傾斜のラフで迷ったら、まず足元を決める
『足元が整うと判断も整う』
傾斜のあるラフに立つと、頭の中が急に忙しくなることがあります。
そんなときほど、打ち方の前に「立ち方」へ戻ってみる。
そこから一打は、少しやさしくなります。
コースの朝、ラフに立った瞬間の話
朝露が残るフェアウェイを歩いていると、ボールがふっとラフの中へ消えていく。
近づいてみると、ゆるやかな傾斜。
足元の草がシューズの底をじわりと押してくる。
練習場のマットでは感じない、あの不安定な感触があります。
キャディさんが淡々とヤーデージを読み上げてくれている間も、頭の中ではもう別の声が聞こえてくる。
「これ、どうやって打てばいいんだろう」
ラフの傾斜に立った瞬間、練習場で積み上げてきた感覚が、どこかへ消えてしまったように感じることがあります。
その気持ち、よくわかります。
「こんなの打てるのかな」という焦り
私もコースに出始めた頃、同じように感じていました。
練習場では、ある程度ボールに当たる。
でもコースに出ると、平らな場所ばかりではありません。
つま先上がり。
つま先下がり。
左足上がり。
左足下がり。
そこにラフが加わると、足元はさらに不安定になります。
「こんなの打てるのかな」
そう思った瞬間、体は少し固くなる。
固くなった体は、いつものスイングをさらに遠ざける。
焦りが焦りを呼ぶ、あの感じです。
正直に言うと、今でも勾配のきつい傾斜では、思い通りに打てないことがあります。
ゴルフは、うまくなっても自然がいつも味方してくれるわけではありません。
そこが難しくて、でも面白いところでもあります。
生徒さんが教えてくれた正直な言葉
先日のラウンドレッスンで、50代の男性の生徒さんがこんなことをおっしゃっていました。
「田中さん、傾斜やラフが深くなると、頭が真っ白になるんです。どこを見て、何を考えて打てばいいのか、全部わからなくなるんです」
その言葉を聞いて、私はとても正直な方だなと思いました。
きっと多くの方が感じていることです。
でも、それを言葉にできる人は意外と少ない。
そして実は、その「頭が真っ白になる」という感覚こそ、傾斜ライで大切なことを教えてくれています。
私はその方に、こうお伝えしました。
「まず、足場を決めましょう。打つことより先に、立つことです」
傾斜では、いつも通りのスイングをしようとすると難しくなります。
だからまず、足元を決める。
次に、どこまでの振り幅ならバランスを崩さず振れるかを確かめる。
この2つが決まると、使う番手も自然と見えてきます。
たとえば、大きく振れないなら、無理に飛ばそうとしない。
いつもの7番ではなく、少し長いクラブを短く持って、コンパクトに運ぶ選択もあります。
もちろん、結果は打ってみないとわかりません。
ラフの深さも、傾斜の角度も、その日の芝の湿り気も違います。
だからこそ、経験が少しずつ自分の中に残っていきます。
『足元が整うと判断も整う』という言葉の意味。
ビジネスなどで使われる意味とゴルフは違うかもしれませんが、
ゴルフでは、打つ前にもう半分終わっている。
これは少し大げさに聞こえるかもしれません。
でも、傾斜のラフに立つと、本当にそう感じます。
足元がぐらぐらしたまま、良いスイングをしようとしても、体はバランスを取るだけで精一杯になります。
判断力も、集中力も、足元の不安定さに引っ張られてしまう。
逆に言えば、足場が決まると、心も少し落ち着きます。
「ここなら立てる」
そう感じた瞬間、次に考えることが見えてきます。
クラブ選び。
振り幅。
狙う方向。
それらは、足元が整ってから考えれば十分です。
今日から一つだけ試してほしいこと
傾斜のあるラフに立ったら、自分にこう言ってみてください。
「まず足場。次に素振り」
足場を決めたら、一度だけ素振りをします。
目的は、いい形で振ることではありません。
その場所で、バランスを崩さず振れるかを確かめることです。
「打てそうだな」と感じたら、そのまま打つ。
「なんか違うな」と感じたら、足場を少し変える。
それだけで大丈夫です。
最初は失敗してもいいと思います。
ミスを重ねるほど、「この傾斜ではこうなりやすい」という自分だけのデータが増えていきます。
そして次に同じような場所へ行ったとき、少しだけ判断が早くなる。
少しだけ不安が小さくなる。
それも、ゴルフの大切な気づきだと思います。
最初の一打が、未来の百打をつくる
コースの朝、傾斜のラフに立って少し焦ったとしても、それでいい。
焦るということは、それだけ真剣に一打と向き合っている証拠です。
足元を確かめて、一度だけ素振りをして、それから打つ。
完璧じゃなくても、次に何かが残ります。
木々の間から差し込む朝の光が、芝の上に長い影を作っている。
その中で、今日もクラブを握る。
足元を整えるたびに、判断も少しずつ整っていく。
その静かな積み重ねが、ゴルフをまた少し楽しくしてくれるのだと思います。
傾斜のライで「これだ」と思ったコツや、
逆に「ここが難しい」と感じる場面があれば、
ぜひコメントで教えてください。

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