見出し画像

ミスのあと、ゴルフは整え直せる

『整える力が崩れを止める』

ミスをしないことより、ミスのあとに自分を戻せること。
ゴルフでは、その小さな力が一日の流れを助けてくれることがあります。


朝の1番ホール、霧の中に立つ

朝6時半。

スタート前の1番ホールには、まだうっすら霧が残っている。

フェアウェイの芝は朝露に光り、遠くのバンカーが白く浮かんで見える。
ティーイングエリアに立つと、冷んやりした空気が頬に触れる。
どこかで鳥が一声鳴いて、それからまた静かになる。

「よし、今日こそ気持ちよく打とう」

そう心の中でつぶやいて、バックスイングを上げる。
そして振り抜いた瞬間——。

ボールが、ふわりと右へ流れていく。

あの感覚、あなたも経験したことがあるかもしれません。


「また崩れるかも」という声が心の中に広がっていく

打った直後、心の中で小さな声が広がっていく。

「今日も右に出る日かな」
「このまま続いたらスコアが崩れるかも」
「昨日あれだけ練習したのに」

これは初心者の方だけに起きることではありません。

ある程度コースを回れるようになっても、いや、うまくなりたい気持ちが強い人ほど、たった一球のミスが心に重くのしかかることがあります。

ゴルフの難しさは、スイングそのものよりも、もしかするとその後にあるのかもしれません。

「次もミスするかも」

その不安が、次の一打までついてくる。
そして本当に体が固くなり、テンポが速くなり、いつもの自分から少しずつ離れていく。


私にも、今でも忘れられない朝があります

ゴルフ場に勤めて1年ほど経った頃のことです。
ゴルフ歴も1年を過ぎ、コンペでは70台で回れる日も出てきて、少しずつ自信がついていました。

そんなとき、新人キャディさんの研修で、お客さん役としてプレーする機会がありました。

大勢の人が見ている中でのショット。

「かっこよく打ちたい」
そう思えば思うほど、体が固くなりました。

結果は、今まで経験したことがないくらいのミスの連続。
新人キャディさんにとっては、ある意味とても勉強になるお客さん役だったかもしれません。

でも、打っている本人は恥ずかしくて仕方がない。

その場では何もなかったように次のショットへ向かいました。
けれど、心の中はぐちゃぐちゃでした。

あのときの私は、ミスをしたあとに自分を整えることができていませんでした。

「うまく見られたい」
「失敗したくない」
「取り返したい」

そんな気持ちばかりが前に出て、いつもの呼吸も、いつものテンポも、どこかへ行ってしまっていたのです。


生徒さんと歩いた、あるラウンドの話

以前、一緒にコースを回った40代の女性の生徒さんにも、似たようなことがありました。

練習場ではとても安定していて、「本番が楽しみです」と笑顔で話していた方です。

ところがコースに出ると、ティーショットが続けて右へ。
3ホールほど続いたところで、彼女はクラブを握ったまま黙ってしまいました。

「最後まで回れる気がしません。帰りたいです」
小さな声でした。

その言葉が、今でも胸に残っています。
少し間を置いてから、私は聞いてみました。

「次の一打を打つ前に、何を考えていますか?」
彼女はこう言いました。

「またミスすることを考えてしまいます」
そうなんです。

ミスの記憶が、次の打席にまでついてきてしまう。
過去の一打を抱えたまま、次の一打を打とうとしている。

それでは体も心も苦しくなります。

大切なのは、ミスをなかったことにすることではありません。
ミスの後に、自分をもう一度「今ここ」に戻してあげることです。


今日の言葉:『整える力が崩れを止める』

ミスはなくなりません。
プロだって毎ラウンドミスはしていると思います。

大切なのは「ミスをしたこと」ではなく、
「ミスの後に、どう自分を整えるか」です。

「整える」というのは、特別なメンタルトレーニングじゃない。

深呼吸を一回する。
いつものグリップを確かめる。
アドレスをゆっくりつくる。
ターゲットを、もう一度だけ見る。

それだけでいい。

崩れかけた自分を、そっと元の場所へ戻す。
その数秒が、ラウンド中の大きな助けになります。

私の経験では、コースでいつも通り当たらなくなるときは、テンポが速くなっていることが多いです。

もう一つは、ボールとの距離が普段より遠くなっていること。

練習場ではマットが目印になりますが、コースでは景色が広がります。
方向も距離感も少し狂いやすい。
気づかないうちに、ボールから離れて構えている方も少なくありません。


今日から一つだけ試せること

ミスが続いたとき、次のティーショットの前にこれだけやってみてください。

次のショットの前に、ゆっくり一回だけ素振りをする。
そして、アドレスでボールとの距離がいつも通りかを確認する。

それだけで十分です。

うまく打とうと頑張りすぎなくていい。
取り返そうと急がなくていい。

いつもの形に戻ること。
いつものテンポに戻ること。

それが、崩れを止める最初の一歩になります。


霧が晴れたあとのフェアウェイのように

あの女性の生徒さんは、その後のホールでティーショットをフェアウェイの真ん中へ運びました。

「先生、なんか体が軽くなりました」
そう言って、ぱっと笑ってくれました。

スイングを大きく変えたわけではありません。
変わったのは、打つ前の心の整え方でした。

朝の1番ホールに立つとき、昨日のミスをコースは覚えていません。
霧が晴れたあとのフェアウェイは、いつも静かに次の一打を待ってくれています。

慌てなくて大丈夫です。

ミスをしても、また整えればいい。
次の一打は、いつでも新しく始められます。


あなたはラウンド中にミスが続いたとき、どんなふうに自分を整えていますか?
「これをすると落ち着く」というあなたなりの方法があれば、
ぜひコメントで教えてくださいね。


いいなと思ったら応援しよう!

トモティー|大人から始める、やさしいゴルフ⛳️ 応援ありがとうございます😊