見出し画像

実践・プロジェクトマネジメント[概要編] - - マネジメントの道具箱

【2025/08/29改訂】
(【関連記事】を追記)

はじめに

 ビジネスの世界では、目標を達成するための計画的な取り組みが欠かせません。その中でも「プロジェクトマネジメント」は、限られた時間や資源の中で成果を最大化するための重要な手法です。特にIT分野やビジネス分野では、変化の激しい環境に対応しながら、確実に目標を達成するために欠かせないスキルとされています。

プロジェクトマネージャ(PM)の役割は『成功請負人』。

 ここでは、プロジェクトマネジメントの基本的な考え方を中心に解説します。ソフトウェア開発を念頭においていますが、他の分野でも共通的な部分が多くありますので、ぜひ参考にしてください。


1. プロジェクトマネジメントとは

 プロジェクトマネジメントとは、目的を達成するためにプロジェクトを計画し、実行し、管理する手法のことを指します。
 ビジネスやITに限らず、建設、医療、教育など、さまざまな分野で活用されています。

1.1 歴史と背景

 プロジェクトマネジメントの概念は、古代の建築プロジェクト(ピラミッド建設など)にも見られますが、現代の体系的な手法としては20世紀半ばに確立されました。特に1960年代以降、NASAの宇宙開発プロジェクトや巨大なインフラ事業を効率的に管理する必要性から、体系化が進みました。
 現在では、IT開発、建設、製造、マーケティングなど多くの分野で活用されています。

1.2 プロジェクトと日常業務の違い

 日常業務(オペレーション)は、継続的に繰り返される作業を指します。一方、プロジェクトは「一時的な取り組み」であり、明確な開始と終了が設定されている点が特徴です。

1.3 プロジェクトの特徴

 プロジェクトには以下の特徴があります。

 ・明確に定義された目標/成果物が存在する
 ・開始時点と終了時点が存在する
 ・一時的な組織が担当する(非永続的)
 ・予算、期間、資源などが限られている
 ・複数の工程/ライフサイクルから構成される

1.4 マネジメントの対象

 プロジェクトを成功させるために管理すべき要素として、「PMBOK第6版」の「10個の知識エリア」をもとに紹介します。

・統合
  →プロジェクト全体を統合し、計画、実行、監視、制御、終結を管理します。
・スコープ
  →プロジェクトの範囲を定義し、変更が発生した際の対応を管理します。
・スケジュール
  →タスクの順序やスケジュールを計画し、納期を守るための管理を行います。
・コスト
  →予算の計画、コストの管理、適切な資金配分を行います。
・品質
  →成果物の品質を確保するためのプロセスや基準を設計します。
・資源(リソース)
  →チームメンバーや必要なリソースを適切に管理します。
・コミュニケーション
  →プロジェクト関係者との情報共有や円滑なコミュニケーションを確保します。
・リスク
  →リスクを識別し、対策を講じることでプロジェクトの成功確率を高めます。
・調達
  →外部からの調達(資材・サービス)の計画と管理を行います。
・ステークホルダー
  →プロジェクトの利害関係者を適切に管理し、協力を得られるようにします。

1.5 利用分野の例

 プロジェクトマネジメントは、企業だけでなく、個人のタスク管理や教育プロジェクトにも応用できます。特に、リモートワークやフリーランスの働き方において、プロジェクト管理のスキルは大きな武器となります。

利用分野の例

・IT業界
  →ソフトウェア開発
   例:新しいスマホアプリの開発
・建設業界
  →大型建設プロジェクト
   例:スポーツ施設の建設
・製造業
  →新製品の開発
   例:電気自動車の開発プロジェクト
・医療業界
  →新薬開発
・マーケティング
  →広告キャンペーンの企画と実施

2.  なぜプロジェクトマネジメントが必要なのか

2.1 目的

 プロジェクトマネジメントの目的は、リスクを最小限に抑えながら、目標を効率的かつ効果的に達成することです。

 具体的には、以下のような目的があります。

(1)目標達成
 プロジェクトには、「新製品の開発」「システム導入」「業務改善」など、達成すべき目標があります。プロジェクトマネジメントは、この目標を 効率よく、確実に実現するための手法です。

(2)スケジュール(納期)を守る
 プロジェクトには「いつまでに完成させるか」という期限があります。納期を守らなければ、ビジネスチャンスを逃したり、追加コストが発生したりするため、計画的に進めることが重要です。
 例えば、新しいアプリを開発する場合、「3ヶ月以内にリリースする」などの納期が決まっています。

(3)コスト(予算)を守る
 プロジェクトには「どれくらいの予算で進めるか」が決まっています。コストオーバーを防ぐために、無駄な作業を減らし、最適な方法で進めることが求められます。
 例えば、「開発費として500万円以内で完了する」といった予算制約があります。

(4)品質を確保する
 目標を達成しても、品質が悪ければ意味がありません。品質を確保するために、チェック体制やテストプロセスを整えることが重要です。
 例えば、新しく開発したソフトウェアがバグだらけでは、ユーザーは使いません。

(5)リスクを管理する
 プロジェクトには、想定外のトラブルがつきものです。事前にリスクを洗い出し、回避策を考えておくことで、プロジェクトの成功率を上げる ことができます。
 例えば、「技術的な問題で開発が遅れる」「メンバーが急に退職する」など、様々なリスクがあります。

(6)チームの生産性を最大化する
 プロジェクトは、チームで進めるものです。チームの連携を強化し、スムーズに作業を進めることも目的の一つ です。しかし、役割分担が曖昧だったり、コミュニケーションが不足すると、作業が進まなくなります。

2.2 目指すところ(成功の定義)

 プロジェクトの成功とは、スコープ、時間、コスト、品質の全てを満たしたうえで、ステークホルダー(関係者)の期待に応えることです。
 プロジェクトが成功したかどうかを判断するには、いくつかの基準があります。
 一般的に、「成功」とみなされるのは、以下の条件を満たしている場合です。

(1)スケジュール通りに完了したか?(納期遵守)
 プロジェクトが予定した期間内に完了したかが重要です。
 例えば、「6ヶ月以内にシステムをリリースする」という目標があった場合、期日までに完了していれば成功といえます。

(2)予算内で収まったか?(コスト管理)
 プロジェクトが計画した予算内で完了したかも成功の判断基準です。
 例えば、「開発費1000万円で完了する予定だったが、1500万円かかってしまった」となると、コスト超過のため成功とは言えません。

(3)期待した品質を満たしているか?(品質基準)
 プロジェクトの成果物が求められる品質を満たしているかが重要です。
 例えば、新しいWebアプリを開発した場合、バグが少なく、快適に動作し、ユーザーの期待を満たしていれば成功といえます。

(4)ステークホルダーが満足しているか?(顧客・関係者の承認)
 プロジェクトには、経営陣・顧客・チームメンバーなど、様々な関係者がいます。彼らがプロジェクトの成果に満足しているかどうかも成功の重要な基準です。

(5)事業目標が達成されたか?
 プロジェクトは単なる作業ではなく、最終的にビジネスの目的を達成するために行うものです。
 例えば、「新しいECサイトを開発して売上を向上させる」というプロジェクトで、サイトが完成したものの売上が上がらなかった場合、成功とは言えません。

(6)チームが良い状態で終えられたか?(チームの持続性)
 プロジェクトが終わったときに、チームメンバーが燃え尽きていたり、大量離職していたりすると、長期的な視点で見ると成功とは言えません。
 適切なワークライフバランスを維持し、チームが成長する形でプロジェクトを終えられたかどうかも重要なポイントです。

2.3 プロジェクトマネージャーの役割

 プロジェクトマネージャー(PM)の役割は『成功請負人』

(1) 計画の立案と実行
  プロジェクトの成功という1つのゴールに向かって、プロジェクト・チームをリードします。

(2) チームの調整と指導
  プロジェクト・メンバの能力を引き出し、個人かつチームとしてのパフォーマンスを最大化します。

(3)リスク管理と問題解決
  プロジェクトの成功を阻害するあらゆる要素を適切にコントロールします。

3. マネジメントの実際

3.1 主要な活動領域

 プロジェクトの成功を支える主要な活動領域として、以下の8つが「PMBOK第7版」では定義されています。「PMBOK第6版」の「10個の知識エリア」と合わせて見ると、理解が深まるかもしれません。

(1)ステークホルダー
 プロジェクトに影響を与える全ての関係者の識別、分析、関与の管理。
(2)チーム
 プロジェクトチームの形成、育成、マネジメント。
(3)開発アプローチとライフサイクル
 プロジェクトの開発手法やライフサイクルの選定と適用。
(4)計画
 プロジェクトの目標達成に向けた計画の策定と管理。
(5)プロジェクト作業
 計画に基づくプロジェクト活動の実行と監視。
(6)デリバリー
 プロジェクトの成果物やサービスの提供と管理。
(7)測定
 プロジェクトのパフォーマンスや進捗の評価と報告。
(8)不確実性
 プロジェクトにおけるリスクや不確実性の識別、評価、対応。

3.2 活動の原則

 プロジェクトマネジメント活動の原則として、「PMBOK第7版」では、以下の12が掲げられています。

(1)スチュワードシップ(Stewardship:責任ある管理)
 プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの成果に対して倫理的かつ誠実に責任を持ち、関係者に対して透明性のある行動を取る必要があります。
(2)チーム(Team:効果的なチームを育成)
 プロジェクトの成功には、協力的で適切に管理されたチームが不可欠です。プロジェクトマネージャーは、チームメンバーが能力を発揮しやすい環境を作る役割を担います。
(3)ステークホルダー(Stakeholders:関係者との協力)
 プロジェクトに影響を与えるステークホルダー(利害関係者)と積極的に関わり、適切なコミュニケーションを行うことが求められます。
(4)価値(Value:価値を重視)
 プロジェクトの目的は、単に成果物を納品することではなく、顧客や組織に価値を提供することです。価値を最大化するためのアプローチを常に考えることが重要です。
(5)システム思考(Systems Thinking:全体最適を考える)
 プロジェクトは組織全体の一部であり、外部環境や他のプロジェクトとの関係も考慮する必要があります。部分最適ではなく、全体最適を意識することが重要です。
(6)リーダーシップ(Leadership:積極的にリードする)
 プロジェクトマネージャーは単なる管理者ではなく、ビジョンを示し、チームを導くリーダーであるべきです。リーダーシップを発揮し、メンバーが能力を発揮できる環境を整えます。
(7)テーラリング(Tailoring:状況に応じた柔軟な適用)
 すべてのプロジェクトが同じ方法で進められるわけではありません。プロジェクトの特性に応じて、最適な手法を柔軟に選択・適用することが求められます。
(8)品質(Quality:品質を重視)
 品質は単に「欠陥がない」ことではなく、「顧客やステークホルダーの期待を満たすこと」を意味します。品質マネジメントを適切に行い、期待を超える成果を目指します。
(9)複雑性(Complexity:複雑さへの対応)
 プロジェクトは、技術的な要素や人間関係、環境要因など、さまざまな要素が絡み合い、複雑な構造を持っています。この複雑性を認識し、適切に管理する必要があります。
(10)リスク(Risk:リスクを適切に対応)
 プロジェクトには予測できるリスクと予測できないリスクが存在します。リスクを早期に特定し、適切な対応策を講じることが成功の鍵となります。
(11)適応性と回復力(Adaptability and Resilience:変化に適応する)
 現代のプロジェクト環境は、常に変化しています。計画通りに進まないことも多いため、状況に応じて柔軟に適応し、問題に対処できる回復力を持つことが重要です。
(12)変革(Change:変革を推進)
 プロジェクトは組織や社会に変革をもたらす活動です。単にタスクを完了させるだけでなく、プロジェクトを通じて、組織や市場にどのような影響を与えるかを考えることが求められます。

3.3 プロセス

 「PMBOK第6版」では、プロジェクトの進行を5つのプロセス群に分けています。

(1)立ち上げ
  プロジェクトの目的を明確にし、必要なリソースを確保します。
(2)計画
  プロジェクトの詳細な計画を立案し、リスクやスケジュールを設定します。
(3)実行
  計画に基づき、タスクを遂行します。
(4)監視・コントロール
  進捗状況を監視し、必要に応じて修正を加えます。
(5)終結
  プロジェクトを正式に完了し、成果物を引き渡します。

3.3 フレームワークの例

 ・ PMBOK(Project Management Body of Knowledge)
  一般的なプロジェクトマネジメントのベストプラクティス集

 ・アジャイル(Agile)
  IT開発に多く使われる柔軟な手法

3.4 成功させるコツ

 プロジェクトを成功させるためには、目標設定・計画・リスク管理・コミュニケーション・品質管理など、多くの要素を適切に管理する必要があります。また、失敗の要因を事前に把握し、適切な対策を講じることで、プロジェクトのリスクを最小限に抑えられます。最も重要なのは、計画的かつ柔軟に対応する姿勢を持ち、チーム全体でプロジェクトを推進することです。

(1)目標を明確にする
 ・プロジェクトの目的・ゴールを具体的に定義する。
 ・「SMARTの法則(具体的・測定可能・達成可能・関連性がある・期限がある)」を意識する。
 •ステークホルダー(関係者)と目標を共有し、認識のズレをなくす。

(2)ステークホルダーの期待を適切に管理する
 •関係者(経営陣、顧客、チームメンバー)と定期的にコミュニケーションをとる。
 •期待値を適正化し、過剰な要求や不明瞭な要件を整理する。

(3)計画をしっかり立てる
 •WBS(Work Breakdown Structure)を活用し、タスクを細かく分解する。
 •マイルストーン(重要な進捗ポイント)を設定し、進捗を可視化する。
 •クリティカルパスを把握し、遅延しやすいタスクを特定する。

(4)チームの役割と責任を明確にする
 •RACIマトリクス(責任分担表)を作成し、誰が何を担当するのかを明確化する。
 •必要なスキルセットを持ったメンバーを配置し、適材適所の人員配置を行う。

(5)リスクを事前に洗い出し、対策を立てる
 •FMEA(故障モード影響分析)やリスクマトリクスを用い、潜在的なリスクを評価する。
 •代替策(Plan B)を用意し、問題発生時に迅速に対応できる体制を整える。

(6)進捗を可視化し、適切な管理を行う
 •KPI(重要業績評価指標)を設定し、プロジェクトのパフォーマンスを定量的に評価する。
 •バーンダウンチャートやガントチャートを活用し、進捗を視覚的に把握する。

(7)チームのモチベーションを維持する
 •定期的な1on1ミーティングを実施し、メンバーの意見を聞く。
 •小さな成功を積み重ね、達成感を与える。
 •業務負荷の偏りを防ぎ、適切なワークライフバランスを保つ。

(8)コミュニケーションを円滑にする
 •情報共有のためのツール(Slack、Teams、Confluenceなど)を活用する。
 •定例ミーティングを実施し、認識のズレを解消する。
 •文書化(議事録、報告書)を徹底し、情報の属人化を防ぐ。

(9)変更管理を適切に行う
 •変更要求が発生した際は、影響を分析し、承認プロセスを経る。
 •変更の影響をスケジュール・コスト・品質の観点から評価する。
 •必要に応じて、スコープを調整し、計画の修正を行う。

(10)振り返りを行い、次のプロジェクトに活かす
 •プロジェクト終了後、Post Mortem(振り返り会)を実施する。
 •成功要因・失敗要因をドキュメント化し、ナレッジを蓄積する。
 •継続的な改善サイクル(PDCA)を回し、次回のプロジェクトに活かす。

3.5 考慮すべきこと

(1)目的が曖昧なまま進めない
 目的が曖昧だと、途中で方向性がブレやすいものです。
  →目的がコスト削減なのか、新規市場開拓なのか、明確にしておく必要があります。

(2)ステークホルダーの意見を無視しない
 経営陣や顧客、現場の意見を軽視すると、後で大きなトラブルになります。
 →主要なステークホルダーの合意を得ながら進めましょう。

(3)リソース不足を軽視しない
 人員・資金・時間のリソースを適切に配分します。
  →「なんとかなる」精神で無計画に進めると、プロジェクトが破綻します。

(4)コミュニケーション不足を放置しない
 メールやチャットだけで済まさず、必要に応じて対面やオンライン会議を活用しましょう。
  →重要な決定事項は必ず記録し、全員に共有します。

(5)リスクを後回しにしない
 「今は問題ないから」と放置すると、後で大きな影響を受けます。
  →リスクは早期に特定し、適切な対策を講じましょう。

(6)変更管理を適当にしない
 スコープクリープ(徐々に要求が膨らむこと)を防ぐため、変更要求は慎重に扱います。
  →変更の影響を十分に評価し、関係者と合意を取るようにしましょう。

(7)品質を軽視しない
 スケジュール優先で品質を犠牲にすると、後で手戻りが発生し、結果的にコストと時間が増えます。
  →品質チェックのプロセスを適切に設定しましょう。

(8)属人化を防ぐ
 特定のメンバーだけが情報を持っていると、その人が抜けた際にプロジェクトが停滞します。
  →ドキュメント化を徹底し、ナレッジを共有しましょう。

(9)メンバーの負荷を考える
 過剰な業務負荷が続くと、モチベーション低下や離職につながります。
  →必要に応じて、業務の見直しやタスクの再分配を行いましょう。

(10)進捗管理を怠らない
 「大丈夫だろう」と思い込まず、定期的に進捗を確認します。
  →遅延が発生した際に迅速に対応できるよう、予備計画を用意とよいでしょう。

4. プロジェクトマネジメントのこれから

 AIや自動化技術の進化により、データ駆動型の意思決定が増えることでしょう。また、リモートワークや国際的なチームとの協働が一般化することで、グローバルなマネジメントスキルも重要になります。

5. 関係する国際規格と参考となる書籍

国際規格

(1)PMBOK(Project Management Body of Knowledge)
 PMI(Project Management Institute)が策定するプロジェクトマネジメントの標準ガイド。

A.PMBOKガイド第6版:2017年発行
  ・従来のプロセスベースのアプローチを採用。
  ・プロジェクトマネジメントを5つのプロセス群と10の知識エリアに分けて体系的に説明。
  ・各プロセスは入力・ツールと技法・出力(ITO)に基づいて記述されている。
  ・アジャイル実践ガイドも追加され、アジャイル型のプロジェクトマネジメントにも対応。

B.PMBOKガイド第7版:2021年発行
  ・原則ベースのアプローチに移行。
  ・伝統的なプロセス重視から脱却し、より柔軟で適応可能なフレームワークを提供。
  ・12のプロジェクトマネジメント原則と、8つのパフォーマンスドメインを中心に構成。
  ・アジャイル、ウォーターフォール、ハイブリッドといった多様なアプローチを包括的にカバー。

  どちらを使うべきかは、プロジェクトの性質や組織のニーズに応じて選ぶのが良いでしょう。例えば、伝統的なウォーターフォール型のプロジェクトなら第6版が役立ちますが、柔軟性が必要なプロジェクトなら第7版のアプローチが有効です。

(2)PRINCE2(PRojects IN Controlled Environments, 2nd version)
 英国商務局(Office of Government Commerce; OGC)が開発したプロジェクトマネジメント手法。
 「組織」に着目しており、「各ロールの役割と責任」を軸とした話が多いのが特徴です。特に、ユーザー・エグゼクティブ・サプライヤー・プロジェクトマネージャー・チームマネージャーなどの役割と責任範囲が明確に定義されています。

(3)ISO21500
 Guidance on project management (プロジェクトマネジメントの手引き)
 プロジェクトマネジメントに関するガイドラインはアメリカのPMBOKをはじめ、イギリスのBS6079、ドイツのDIN規格など、各国様々な規格が乱立しています。多くの国の技術者が協同作業を行う国際プロジェクトでは、関連する用語やプロセス概念の意味や理解が異なることが多くあります。
 ISO21500はプロジェクトマネジメントに関する用語、コンセプト、プロセスの定義について、国際的な共通する理解を、基本ガイドラインとしてまとめたものです。


おわりにかえて

 今回紹介したことは、あくまでもプロジェクトマネジメントの入り口/概要です。まだまだ奥の深いものがあります。正しい考え方/やり方を理解して、プロジェクトの成功に結びつけてください。

 予定通りに事が進まないのは世の常のことです。緻密に立てた計画でも、状況を判断して、たとえ進行中であっても柔軟に軌道修正していくことが、時には必要となります。そこを判断し実行していくのがプロジェクトマネージャーの手腕です。

 かつて、ミュージシャンたちを主人公にしたTVドラマ(カルテット、坂元裕二脚本)で、ステージのマネージャーが次のようなことを言っていました。
 「間に合ったもんが正解なの、プロは。
 注文にこたえるのは一流の仕事。
 ベストを尽くすのは二流の仕事。
 (我々のような)三流は、明るく楽しくお仕事をすればいいの。
 志のある三流は、四流だからね。」と。

 これになぞらえて「プロジェクトマネージャー」について言うとしたら、
 「予定通りの結果を出して、間に合わせるのが、プロ。
 何事も無かったかのように涼しい顔をして淡々と進め、予定通りの結果を出すのが一流。
 途中バタバタと大騒ぎして大汗をかきながらも、最後は予定通りの結果を出すのが二流。
 途中も最後も大騒ぎの末、問題を残して終わるのは三流。
 大騒ぎの末、いつの間にか姿をくらましているのは四流だからね。」

 やるなら一流を目指したいものです。そのためには、タイムリーなリスク管理も大切です。ただ、「仕事している感」を強くアピールしているのは二流の方かもしれません。困ったことに、時にこちらの方が評価が高かったりすることもあるようで・・・



【関連記事】

プロジェクトマネジメントの小径

実務で実際に使うPMBOK・導入で注意すべきこと - - マネジメントの道具箱
ソフトウェア開発における品質管理入門 - - マネジメントの道具箱
ソフトウエア開発の体制 - - マネジメントの道具箱
ステークホルダーとの関わり方 - - マネジメントの道具箱
ブロジェクトにおけるリスクマネジメント - - マネジメントの道具箱
プロジェクトにおけるスコープの管理 - - マネジメントの道具箱
ブロジェクトにおけるリソース管理 - - マネジメントの道具箱
ブロジェクトにおけるコスト管理 - - マネジメントの道具箱
ブロジェクトにおけるスケジュール管理 - - マネジメントの道具箱
プロジェクトにおける調達管理 - - マネジメントの道具箱
プロジェクトにおけるコミュニケーション管理 - - マネジメントの道具箱
プロジェクトにおける品質管理 - - マネジメントの道具箱
プロジェクトにおける統合管理 - - マネジメントの道具箱



【書籍の紹介】

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド
 (PMBOKガイド)第7版 Kindle版
 +プロジェクトマネジメント標準: PMI日本支部 監訳
 プロジェクトマネジメント協会(PMI) (著)
 一般社団法人 PMI日本支部 (2023/1/6)
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

図解即戦力 PMBOK第7版の知識と手法がこれ1冊でしっかりわかる教科書 Kindle版
 前⽥ 和哉 (著)
  技術評論社 (2024/9/20)
 プロジェクトマネジメントの世界標準として知られるPMBOK Guide 第7版の解説書です。「プロジェクトの基本」「価値実現システム」「12の原理・原則」などプロジェクトマネジメントの基礎となる知識のほか、PMBOK第7版のメインテーマともいえる「8つのパフォーマンス領域」について、要点をくわしく解説します。プロジェクトマネジメントの勉強のほか、PMP試験対策の第一歩としてもおすすめできる1冊です。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

図解入門よくわかる 最新PMBOK第6版の基本 Kindle版
 鈴木安而 (著)
 ‎ 秀和システム (2018/3/23)
 PMBOKガイドは、米国プロジェクトマネジメント協会により、日本語を含め世界11ヶ国語に翻訳・出版されています。翻訳されても、専門用語が多い、カタカナ用語が多いなどの理由からなかなか理解が困難です。本書は、『PIMBOKガイド第6版』の翻訳・監訳チーム・リーダーでもある著者が、本来の意味をなるべくかみ砕いて解説します。イメージしやすいよう図版を豊富に使っているので、初心者からベテランまでわかりやすくなっています。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

プロジェクトマネジメントの基本がこれ1冊でしっかり身につく本 Kindle版
 前田和哉【著】
 技術評論社(2022/06)
 本書は、プロジェクトマネジメントについて基本から学ぶことのできる入門書です。プロジェクトマネジメントの基礎知識について解説した後、プロジェクトを「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「完了」という5つの段階に分け、各段階において実施すべきこと、注意すべきポイントについて丁寧に解説しています。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

担当になったら知っておきたい「プロジェクトマネジメント」実践講座 Kindle版
 伊藤大輔 (著)
 日本実業出版社 (2017/2/1)
 本書は、プロジェクトマネジメントの具体的知識とツールを、「目標設定」「計画」「実行」という3つの視点を中心に解説。プロジェクトの進捗に沿って、豊富な図を使って説明しています。多くの仕事や活動がプロジェクトである、と言っても過言ではありません。ビジネスマンをはじめ、プロジェクトを成功させたいすべての人、必読の一冊です!
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



いいなと思ったら応援しよう!

Tom.Msn よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!