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AIボーカル曲を“自分の作品”にするまで

Sunoで曲は作れる。リリースもできる。
でも、どこか「自分の作品」と言い切れない違和感が残った。

AIでビートつくっても意味ないじゃん?

この曲はそんな違和感から生まれました。

ボーカルはSuno v5.5

一方、トップライン(歌詞・メロディ)は人間が書き、ギター、ベース、ビート、ボーカルチョップ、ミックス等、楽曲の主要部分は人間がDAWで作り込みました。

いわゆる“ポン出し”の100%AI生成曲ではなく、人間が書いた歌をSunoが歌い、Sunoで生まれた素材を選び、分解し、再構築し、人間の演奏を加え、Ableton Liveで仕上げた、人間 × AIのハイブリッド作品です。

この記事では、AIボーカル曲をDAW/DTMでどう「自分の作品」にしていったのかを、人間パートAIパートに分けて記録します。

この記事はこんな方におすすめ📝

・SunoやUdioで作った曲を、DAWで自分の作品として仕上げたい
・AIボーカルを使ってオリジナル作品をリリースしたい
・音楽生成AI × DAWで何ができるのか知りたい
・AIが作った曲をそのまま出すことに違和感がある
・AI生成楽曲のクオリティ(音質)に限界を感じている
・AI時代の新しい創作の形を模索している



はじめに

Tokii(トッキー)と申します。

Tokima Tokio(トキマトキオ)|音楽家 × 動画クリエイター
2023年に東京を離れ、少数精鋭の荷物と機材で、短期間で色んな場所を転々としながら暮らしているデジタルノマド/ミニマリスト/エッセンシャリスト。
AI時代の新しい創作の形、人間がつくる意味、制作の裏側を記録、公開しています。

冒頭の動画は現在進行中の「人間トラックメイカー × AIボーカル」プロジェクトのものです。

今回はTikTokでも質問のあった、「どこが人間パートで、どこがAIパートなのか?」について、制作ログとしてその裏側を公開します。

DAWのトラックリスト。
主にボーカルはAI🤖、トラックは人間😎

制作の全体像

人間パート😎:
1. トップライン(歌詞、メロディー、メインのボーカルチョップ)
2. 編曲(コード、構成)※Sunoのアイデアも活用
3. ギター / E.ピアノ(トラックのメインフレーズ)
4. ベース(ソフトウェア音源「Trilian」を使用)
5. ビート(Sunoの「Drums」をバラして、DAWで再構築)
6. FX(サンプル音源)
7. ミキシング(Ableton Live

AIパート🤖:
1. ボーカル(Suno v5.5
2. ボーカル成分を含むパッド / テクスチャ系ステム
3. 効果音(良い音を部分的にサンプリング)

ざっくり言うと、ボーカルはAIですが、歌詞、メロディー、コード、構成、ギターのフレーズ、ベースライン、ビート等、曲の主要部分は人間が担っています。キックやスネア、効果音の一部はAI生成音をサンプリングして再構築しています。

AIを使った音楽制作では、「どこにAIを使ったのか」を説明できる透明性が求められており、Spotifyでも「AIクレジット」機能の試験運用が始まりました。

ボーカルや演奏、プロダクションの中で「どこにAIを使ったのか」を示す流れが生まれつつあります。だからこそ、この記事では「人間 × AI」のハイブリッド制作の過程を、人間パートとAIパートに分けて記録します。

AIボーカルや生成ステムを使って、どう自分の作品として仕上げていくのか、DAWを使ったハイブリッド制作に興味ある方の参考になれば嬉しいです。


人間パート解説😎

1. トップライン(歌詞、メロディー、ボーカルチョップ)

制作初期は1バース、1コーラスの短いボイスメモ(声と仮ビートのみ)から始まり、Sunoでカバーしながら、トップラインのアイデアを固めました。

AI時代のクリエイターの葛藤を歌にしました📝

メインのボーカルチョップは制作の終盤に制作、追加しました。

ボーカルチョップとは?

ボーカルの一部分を切り取り、MIDIで演奏したり、オーディオを切り貼りしたりして新しい音、メロディーを作ること

前半は、Sunoが生成した“ボーカルチョップ風”のフレーズです。後半は、実際にボーカル素材を切り貼りして、新しいメロディーとして作り直しました。

ギター / E.ピアノのフレーズも加わることで、AI生成の“それっぽい音楽”から人間の“意図のある音楽”に近づいたと思います。

参考📝: MIDIでのボーカルチョップの作り方
Avicii - Without You (Tokima Tokio Remix) Vocal Lead Tutorial


2. 編曲(コード、構成)※Sunoのアイデアも活用

DAWでデモ曲を制作し、Sunoでカバーを繰り返し、Suno Studioで構成を練り、DAWに戻し、、(を繰り返し)楽曲の方向性を探りました。

別バージョン含めこの曲だけで1000曲以上生成🤖
楽曲のメインフレーズ。ギター/エレピのコード🎹

同じトップラインでも、ジャンルやテンポを変えるだけで、曲の印象は大きく変わります。

Sunoでカバーを繰り返すことで、短時間でアイデアを何パターンも検証できるのは、音楽生成AIを使う大きなメリットだと思います。

自分1人だけのアイデアではなく、AIに任せたわけでもなく、Sunoと一緒にアイデアの可能性を広げていった感覚に近いです。


3. ギター / E.ピアノ(トラックのメインフレーズ)

Abletonでトラックのメインフレーズになるギターをレコーディング。

曲中のループは、ギターと同じフレーズをエレピの音に置き換え、ギターアンプで鳴らしています。

音作りはギター/エレピ共にIK MultimediaのTONEXを使用⚡️
やるしかないじゃん…
(ギターはリアル、習字はAIのハイブリッドです)


4. ベース(ソフトウェア音源「Trilian」を使用)

ベースはソフトウェア音源のTrilianを使用。低い音、高い音、2種類を使っています。

これ、一生使えます👴

AI生成のベースも悪くないんですが、ループやビートのパターンが崩れたり、同じフレーズでも微妙に鳴り方が違ったり、輪郭もモヤっとしてますよね。

特にダンス系のトラックでは、同じ音の同じフレーズをループさせたり、モノラルにしたかったり、微妙な差にこだわりたい場合は、こういった音源やDAWでの作業は現状必須かなと思います。

使用している音源のTrilianは、昨年アップデートされたOmnisphere 3同様、買い切りで一生モノなので本当にオススメです!


5. ビート(Sunoの「Drums」をバラして、DAWで再構築)

ビートはSuno生成曲からキックやスネアをサンプリングし、DAWでグルーブを再構築しました。(Splice等、別のサンプル音源も使用しています)

Sunoのステムを使う時は、まず第一に良いボーカル、次にサンプリング元として良いドラムのステムを利用する前提で選んでいます。

Spliceでサンプルを選ぶのとやってることはあまり変わりませんが、Sunoのドラムはキーやボリュームが既に楽曲にフィットしているので時短になります。

今回のトラックを作品として仕上げるには、ビートのグルーブ(どこに配置するか、どれだけズラすか、どこに間を入れるか)や、意図したループ(同じキック、スネアを鳴らしたい)はかなり重要な要素なので、「AIに任せてたら意味ないじゃん?」というわけで再構築しました。

余談ですが、SpliceがClaudeと公式に連携し、Claude上から自然言語でサンプルを検索したり、検索条件をスキルとして記憶してワークフローを自動化させたり、動画をインスピレーション源としてトラックの出発点を作ったりできるようになりました。

かなり使えそうな機能なので、またレビューします。


6. FX(サンプル音源)

シンバルやライザー系のサンプルをアクセントに使用しました。

Deadmau5 XFER Sample Pack by Xfer Recordsのサンプル音源を使用。

2009年頃、当時CDで購入したサンプル音源を使用しています。


7. ミキシング(Ableton Live

Ableton LiveでのミキシングにはiZotope Neutronも使用しています。

ミキシング/マスタリングはAIを活用したい🤖

主要DAWとして他に、LogicCubaseStudio OneFL Studio等が挙げられますが、どれを使っても同じことができるので好みのUIで選ぶのが良いかと思います。(Ableton LiveはElectronic/Dance系アーティストが多く使っている印象)

またまた余談ですが、Splice同様にAbletonもClaudeコネクタが提供されました。Claudeが直接Liveを操作するわけではありませんが、「Live」や「Push」の公式ドキュメントに基づいてClaudeが回答を提供してくれるとのこと。

初心者の方はDAWの習得もハードルが低くなりそうですね。


AIパート解説🤖

1. ボーカル(Suno v5.5

楽曲の構成が決まってからは、Sunoのボイス機能(ボーカルの声を固定できる機能)を使用し、カバーを繰り返し、理想のボーカルを生成し、それらをDAWでミックスしました。

Sunoのボーカルはセンターに寄りがちですが、LR両サイドに別テイクのボーカルを重ねることで立体感を出しています。イヤホン/ヘッドホンで聴いてみてください。左右の広がりが分かると思います。

参考📝: Sunoで立体感のあるステレオボーカルを作る方法

上段がセンター、下段がパンをLRに振ったボーカル
コンテスト応募でも使用したお気に入りの
AIボーカル「Betty


2. ボーカル成分を含むパッド / テクスチャ系ステム

メインボーカルを採用したSunoのステムのうち、ボーカル成分をうっすら含むステム(今回はSynth/Keyboard/FX)の一部を採用しています。高音のパッド / テクスチャ系のトラックに含まれることが多いです。

これらのステムは空気感や質感を足すレイヤー素材のようなもので、ギターやベースのように作家性が出るパートではないので、人間が作り変える必要性は低いかなと思っています。

なくても曲として成立しますが、外すと少しツヤが失われるため、今回はあえて残しました。


3. 効果音(良い音を部分的にサンプリング)

パッド / テクスチャ系素材と同様に、ボーカル以外のSunoの生成音でも良い音、使える音は部分的に採用しています。


完成バージョンはこちら♫

※イントロ0〜9秒、アウトロ2分5秒〜のボーカルチョップもAI生成を微調整したものです。ギターとの絡みも上手くいったので採用しています。

いかがでしょうか?

今回は人間トラック × AIボーカルのハイブリッド制作の裏側をまとめました。

ゼロから楽曲の全てを作ると時間はかかってしまいますが、AIを活用しつつも、自分のギター等の演奏を重ねたり、自ら音を奏でることは「音楽」というアートを作る上では大きな意味があると思っています。

今後はハイブリッドでの制作が主流になり、AIと人間の境界線はますます溶けていくと思います。

AIで音楽が作れる時代だからこそ、どこに人間の意思を込めるのか。

その判断、伝え方、透明性がこれからの音楽制作では大事になっていくのかもしれません。

とはいえ、主役であるボーカルがAIである以上、まだどこか「本当に完成と言えるのか?」という迷いはありますが、

やるしかないじゃん?

というわけで、引き続き作る意味を探しつつ、楽しんでいこうと思います。

次回は、音楽配信サービスに出す時のAI利用申告やクレジット表記について、実際にリリース準備を進めながら整理します。

ご意見、ご質問等お気軽にいただけると嬉しいです!
ではまた!!

Tokii

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