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【AI MV|制作ログ】「完璧は退屈だ。」 Chroma Awards応募作『Betty』

Tokii(トッキー)です。

Tokima Tokio|トキマトキオ
音楽家 × 動画クリエイター。2023年に脱東京して、現在は少数精鋭の荷物と機材で、海外ノマドになってみたり、短期間で色んな場所を転々としながら暮らしているミニマリスト/エッセンシャリストでもあります。

フィリピンの日常😽 iPhone 16 Pro Maxで撮影📱

AIでミュージックビデオを作るクリエイターは増えてきましたが、
「1本のAI MVがどんな思考とフローで作られているのか」という裏側は、
あまり共有されていないと感じています。

このnoteではAIFF(AI Film Festival=AI映画祭)「Chroma Awards」に提出した作品『Betty』の、

・テーマ(ストーリー)
・制作フロー
・使用ツール
・実際に使ったプロンプト/手法
・今後の課題

を中心にできるだけシンプルにまとめました。
AIでMVを作っている人、これから挑戦したい人の参考になれば嬉しいです。

💡参加可能なAI映画祭の検索は、
Curious RefugeWorldwide AI Film Contest Listが便利です↓

世界のAIフィルムコンテストリスト📝

1. まずは作品をどうぞ

"Betty" Music Video for Chroma Awards


2. 作品のテーマ

タイトルの「Betty」は “beta(ベータ版)” から来ています。

不完全さとテクノロジーを象徴するキャラクター=「Betty」を中心に、
海に沈んだ渋谷を舞台にした「谷の底からてっぺんを目指す」物語です。

Perfect is boring, I’m still loading…(完璧は退屈だ、私はまだロード中、、、)

完璧を目指すことよりも、試行錯誤を重ねながら進んでいくこと。
そんな「AI時代に生きるロード中の夢見る僕たち」を音と映像にしました。


3. 使用ツール

今回の制作で使用したメインツールです。

・画像: Midjourney / Nano Banana (Pro以前) / Seedream4.0Higgsfield
・動画:
Grok Imagen / Kling AI / Veo 3.1 / Higgsfield
・音楽:
Suno AI (+効果音ラボ
・編集:
Premiere Pro
・アップスケール:
Topaz Video, Topaz Gigapixel

Nano Banana →Adobe Firefly Board / Photoshop
Seedream 4.0 →
Higgsfieldで生成

4. 制作フロー

今回は大きく分けて以下の6ステップで制作しました。

1. 音楽を作る →Suno AI
2. キャラクターを作る 
→Midjourney / Nano Banana
3. 画像生成 →
Midjourney / Nano Banana / Seedream 4.0 / Higgsfield
4. 動画生成 →
Grok Imagen / Kling AI / Veo 3.1 / Higgsfield
5. 編集 → 
Premiere Pro
6. 最終アップスケール →
Topaz Video

使うツールもワークフローも探り探りだったので、
実際の制作では③〜⑤の工程を行き来しながら進めていきました。


4-1. 音楽を作る(Music First!!)

Midjourney巨匠の東京ラグジュアリー。(最近進化が遅れているので頑張ってほしい、、)

今回は「Suno Studio」がリリースされたタイミングでもあったので、
従来の音楽制作ソフトウェア(Ableton Liveなど)は使わずに、

・Sunoだけでどこまで仕上げられるか
 →ポン出しで完成!ではなく、イメージした音楽を作れるか?
・自分で作った音楽だと納得できるか
 →オリジナリティを出せるか、曲を愛せるか?

を試す実験でもありました。
Sunoで制作する流れは下記になります。

① リリックを書く ※超重要、楽曲の構成もリリックで決まる
② 楽曲のスタイル(プロンプト)を決める
③ Sunoで楽曲生成
④ SunoのCoverやEdit/Studioでリミックス ※ここのステップは省略可

① リリック(歌詞):テーマと大枠を自分で決め、英語の言い回しやアイデア出しにChatGPTを使用。

リリックのアイデアをChatGPTと出し合う。2️⃣を採用。
[Chorus] [Verse] [Bridge] 曲の構成はリリックで決まる。※フル尺バージョン


② 楽曲スタイル:曲のイメージと全リリックをChatGPTに伝えて、Sunoで使う「Styles」を出してもらう。リリックを作る段階から予めChatGPTと楽曲のイメージ(ジャンル、楽器等)を共有しておくと早いです。

歌詞の壁打ち+楽曲イメージとリリックに合うような「Styles」も生成。

Futuristic Electro-Pop × J-EN Cyber Aesthetic
Female vocal: bright, confident, emotional, slightly robotic.
Genre: Hyperpop × J-Pop × Cyber R&B.
Mood: Empowering, glitchy, emotional, futuristic.
Clean punchy drums, sidechained sub-bass, bright laser synths, shimmering pads, vocoder harmonies, and chopped “BETA BETTY” hooks.
Add cyber-shamisen (granular, bitcrushed, auto-panned) for a neo-Japanese edge.
Use glitchy arps, reversed risers, and metallic percs to enhance digital motion.
Structure:
Intro – shamisen reverb tail + AI boot-up ambience
Verse – tight rhythm, lo-fi pulse, JP/EN vocals
Chorus – full drop, bright synths, vocoder stack
Bridge – distorted shamisen solo (granular delay)
Final – emotional climax, AI awakening
Theme: AI discovering emotion and evolving beyond code.
Tags: AI awakening, Tokyo neon, cyber soul, future pop.

ChatGPTに出してもらった初期バージョンの「Styles」。
cyber-shamisenの音がお気に入り。


③ SunoAIで楽曲生成:「Styles」を調整しながら生成ガチャを回し(560回生成してたw)、気に入ったテイクをベースに「Cover」→「Editor」機能でおよそ8割まで完成させる。

大まかな構成を「Editor」で完成させる。
部分的な修正(Replace)はStudioより「Editor」の方が上手くいくケースが多い。
CoverやEdit含め560曲生成。人間では到底無理。。


④ Suno Studioで仕上げ:最後は「Suno Studio」で各Stem(ボーカルやドラムごとの音源)を並べて、気に入らない部分の再生成、再配置、足りない音源(別のCoverのStemを利用、心臓の音でビートを制作等)を追加して完成。

心臓の音を足す、キックを4つ打ちにする、部分的に再生成、
別のCoverのStemを組み合わせる等でブラッシュアップ。


Sunoのポン出しオリジナルバージョン(前半)と、
Cover/Editを経て、Suno Studioファイナルバージョン(後半)の違いはこんな感じです↓

※「Betty」フル尺バージョンはこちら

本人的には作った感は生まれましたがいかがでしょうか?

ただ、作曲家としてオリジナル楽曲制作というより、
プロデューサーとしてSunoと共作
もしくは原石をリミックスするような感覚に近いかもしれません。

Sunoは既にポン出しでも十分なクオリティの音楽を生成してくれますが、
そこから意図した完成形にするには今のところ人間の介入が必要です。

ポン出しで曲が0-100完成してしまう(チート過ぎる、、)
けど修正が思い通りにできない
作った方が早くね、、!?

というところがプロ音楽家の方達には敬遠されるところかもしれませんが、

・AI音楽、人間の音楽(またはAI×人間のハイブリット音楽)
・プロとアマチュア
・趣味と仕事

このあたりの境界線は、これからもっと曖昧になっていきそうですね。
(とはいえ人間のスーパースターもやっぱり不滅だと思います)

ベーシックな作曲機能はまだ多くありませんがSuno Studioは、楽曲制作の在り方そのものを変えてしまう革命的な存在だと感じています。

今後は既存のDAWにもこういった作曲支援AIが標準機能として組み込まれていくでしょう。


4-2. キャラクターを作る

音楽ができたら次は映像の主役になるキャラクターを作ります。

ビルをよじ登りパルクールする猫キャラクター(イラストBetty)
セーラー服のスケートボーダー(人間Betty)

この2人のベースイメージをMidjourneyで作り、
Nano Bananaを使ってキャラクターシート(アップ、前、横、後ろ姿)にします。

Firefly BoardでNano Banana(Pro以前)

このキャラクターシートがNano BananaやSeedreamで画像生成する時の、
リファレンス画像になります。


4-3. 画像生成

キャラクターができたら次はシーンごとの画像を生成します。

今回の作り方はシーンごとの「背景」に、

・Midjourney(Image Prompts + Omni Reference)
・Nano Banana
・Seedream 4.0 ※使用頻度少

を使ってキャラクターを合成していきます。

ベースの背景:水中の渋谷スクランブル交差点
Midjourneyで生成。
Nano Banana(Pro以前)で生成。
おまけ:Nano Banana Proなら現実の渋谷が生成できる!!
(インプットはキャラ画像1枚のみ、背景はプロンプトで生成)

背景を同じ参照画像にすることで、別次元のキャラクターたちも「同じ世界」に存在しているように見せられます。

さらに、彼女たちの位置や動き(水中〜水面〜屋上/空)を揃えることで、下から上へとつながっていく1本のストーリーになります。

生成動画から静止画を切り出して新たな生成のリファレンスにしたり、
そのフレームを次の動画生成のファーストフレームとして使う手法も取り入れています。

Nano Banana(Pro以前)で生成した画像や切り出した静止画は少し荒くなってしまうので、動画生成前にアップスケールもしました。

その際のアップスケールにはTopaz Gigapixelの「Redefine realistic」や、Magnificの「Precision」を使用し、リアル寄りの質感を強めました。
(Topaz Bloomはディティールが変わってしまうため、あまり使用していない)

Topaz Gigapixel「Redefine realistic」が好み。


4-4. 動画生成

動画生成はGrok ImagenKling 2.1/2.5をメインに使いました。

日本語プロンプトで当たりを探してから→英語でも試す

という流れが安定して良い結果を出してくれます。

ChatGPTのブラウザ「Atlas」で英語プロンプティング。
最近は母語の日本語でも上手くいくケースが多い。

また、動画生成はYAML形式のプロンプトよりも自然言語の方が上手くいくケースが多いです。

Gemini 3 Proもそう言ってる🤖


他にもVeo、Wan、Hailuo、Ray、、等々、
HiggsfieldやFirefly Boardで使えるツールは全て試した結果、

「世界観の統一」「ダイナミックなカメラワーク」が重要だったため、
それらと相性の良かったGrok ImagenKlingがメインツールになりました。

・時間が止まった世界で人間は静止(orスーパースローモーション)
・金魚は泳いでいる

みたいな現実離れした世界ファンタジー系の映像表現には、
VeoよりもGrok/Klingが適していますね。

ファンタジー系はVeoよりKlingが得意。


今(2025年11月)、僕の最もお気に入りの動画生成AIはGrokです。

・Speed →生成速度が早い!
・Physics →物理的な破綻が少ない、ダイナミックなシーンもOK!!
・Aesthetic →美的センスも最高!!

エンドフレームはまだ入れられません

と3拍子揃った上に、回数に制限はありますが無料でも使えますので本当にオススメです。
(Sora 2もクオリティはヤバいですが、人間をリファレンスにできないので今回は不使用)


4-5. 編集

編集はPremiere Proを使用しました。

ここが最も楽しいパート!!😆

素材をただタイムラインに並べるのではなく、ミュージックビデオなのでビートに合わせたカット割りを軸に、速度/画角調整、エフェクト等々、

1秒も無駄にしない!!

意識で編集しました。(MV初心者なりに🔰)
飛行機の音は動画編集者御用達「効果音ラボ」のものです。

映像をジャマしないようにリリックも追加しました。


4-6. 最終アップスケール

最後にFHDで編集、書き出したファイルを、
Topaz Videoで4kにアップスケールしました。

オススメ設定は「Proteus」Recover detailを「0」にする。

5. 今後の課題

今回は技術面とメンタル面、共に課題がありました。

完璧にはまだまだ遠い(技術的に)
今回のコンテストは見送るか、、(雑魚メンタル)

まず、画像生成、動画生成はガチャ要素もあり破綻もあり、
今回は締切もあったので、ある程度の妥協が必要でした。

特に今回はリアルな人物の一貫性が保てなかった。

ですが、AIが苦手なところは一旦置いておいて先に進む必要があります。
そうしないと、作品は永遠に完成しません。

そうしてモタモタしているうちに、新しい機能が次々と出てきて、
ワークフローはどんどん変わっていきます。

もし今回、応募していなければNano Banana Proで画像からやり直して、
そのままお蔵入り
していた可能性も高いと思います。

しかし、今作のテーマは「Betty」= beta(ベータ版)!!

“Done is better than perfect.”(完璧主義より完了主義)

これはFacebook創業期にマーク・ザッカーバーグが掲げていたスローガンですが、「常にアップデート前提」のAI時代にこそ、改めて必要なマインドセットだと思います。

「完璧は退屈だ。」

(完璧主義な自分への自戒も込めて、全クリエイターに伝えたい)

とタイトルを回収したところで次の作品にとりかかりましょうか。
これからは記録の意味も含めすべての作品で制作ログを残していくつもりです。

ワークフローも今回のように(手動で)画像生成→各動画生成AIだと効率が悪すぎるので、Adobe Project GraphComfyUIのようなノードベースの環境に移行予定です。

ノードベースの環境で複数のAIツールや処理をノードとして線でつなぎ、
フローチャートのようにまとめて自動実行できる仕組み。※画像引用:Adobe Blog

できることも、やりたいこともどんどん増えて、時間はいくらあっても足りませんが、2026年はAI MVに注力していこうと思います。

次はBionic Awards(12/30〆切)!!🏆️
https://bionicawards.com/live/en/page/home

もし作品や制作フローが少しでも参考になったら、いいね、フォローしてもらえると嬉しいです。

「ここもっと知りたい」「このツールも気になる」などあれば、
ぜひコメントで気軽に教えてください。

実験はまだまだ続きます…🐭
Tokii

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