クラシック音楽好きの旅ノート〈3〉|ドイツ・ドレスデン Dresden
これまでドイツの方達が、ウィーンを絶賛するのをたくさん耳にしてきました。
でも私は思うのです。
ドイツにだって、ドレスデンがある!と。
ドレスデンが纏う空気には、どこか気品と貫禄が宿っています。街を歩いていると、地層みたいに積み重なった歴史に包まれているような、不思議な気持ちになるのです。
ライプツィヒ(Leipzig )からドレスデン(Dresden)へ
滞在していたライプツィヒから、電車でドレスデンに向かいます。ライプツィヒ中央駅からドレスデンの中心地までは、電車で1時間半くらいです。

ドレスデン聖母教会(Frauenkirche Dresden)

ドレスデン旧市街に行くと、ノイマルクト(Neumarkt)にひときわ目を引く教会があります。この場所には11世紀頃からずっと教会が建っていて、現在の建物は18世紀の壮大なバロック教会を忠実に復元したものです。
1736年には、新しく完成したばかりのジルバーマン(Silbermann)のオルガンをJ. S. バッハが演奏したと伝えられています。また、ハインリヒ・シュッツが1672年に、この教会に埋葬された歴史もあるそうです。
第二次世界大戦後の再建
1945年2月のドレスデン空襲により、建物全体が崩壊してしまいました。
そして戦後すぐには再建せず、東ドイツ時代、教会跡は「戦争の記念碑」として何十年もの間保存されていました。
1990年、東西ドイツ統一され、世界中から寄付が集まり、再建が開始され、2005年に完成しました。外壁をよく見ると黒い石が混ざっていて、これは焼け残った18世紀の石を再利用したものです。60年の歳月を経て生まれ変わったこの建物は、過去と現在が共存している印象を与えます。
プロテスタント教会のため、内部は祭壇・説教壇・オルガンが一体となるように設計されており、「説教」と「音楽」を重視する礼拝空間になっているのも特徴です。
今日ではFrauenkircheはドレスデンの象徴であるだけでなく、和解・平和・希望の象徴としても世界中の人々に大切にされています。
歴史的緑の丸天井(Historisches Grünes Gewölbe)
ドレスデン王宮(Residenzschloss)内にある、世界でも有数の宝物館です。
ザクセン選帝侯であり、ポーランド王でもあったアウグスト2世が、財宝を展示するために整備したもので、「18世紀の王様の宝物部屋」がそのまま再現されています。つまり、宝物も、部屋も、家具も丸ごと芸術作品なのです。
とてつもなく豪華ですが、正直どう感動したらいいのか…?私が一番印象に残ったのは、宝石類よりも「鏡」でした。当時の実物をなるべく忠実に再現しようと、材料や製法にこだわって作られた貴重なものだそうです。表現に困るのですが、キラキラし過ぎず、上品で落ち着いた不思議な輝きがありました。
セキュリティチェックがかなり厳重で、内部の写真撮影は不可です。オーディオガイドの貸し出しがあります。
新・緑の丸天井(Neues Grünes Gewölbe)
こちらは一般的な博物館のような雰囲気で、写真撮影も可能です。

特別展の韓国新羅時代の展示も見ることができました。



ドレスデン交通博物館(Dresden Verkehrs Museum)
ドイツに滞在してからというもの、電車やトラムに自然と目が行くようになりました。
ICEの白と赤の配色もいいし、トラムは都市ごとにもデザインが違ってそれぞれに可愛らしいです。そして一番気になったのが機関車!日本ではあまり見ないからかもしれません。
そんなときに、ドレスデンで偶然目に飛び込んできたのが、この博物館でした。あらゆる乗り物の展示がありますが、私は鉄道部門をメインに見学しました。

ドレスデン市立博物館(Stadtmuseum Dresden)

ラントハウス(Landhaus)という18世紀の建物の中にあります。ザクセンの地方議会が開かれていた由緒ある建物です。ここでドレスデン800年の歴史を見学することができます。

中世から近世にかけてドレスデンはエルベ川沿いの要塞都市だったので、町は城壁と堀に囲まれていくつもの城門(Tor)がありました。
19世紀になると城壁を取り壊し、その跡地に大きな環状道路が整備されました。それで現在でも、リング状の道路網が旧市街を囲むように残っているというわけです。
アルテ・マイスター絵画館(Gemäldegalerie Alte Meister)
ドレスデン国立美術館群(Kunstsammlungen Dresden) のひとつで、ツヴィンガー宮殿内にあります。
以前に日本の展覧会で、フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》を観られる機会がありました。作品のホームであるこの美術館で、また観ることができて嬉しかったです。

Delft 1632-1675 Delft
Brieflesendes Mädchen am offenen Fenster, um 1657-1659

Genf 1702-1789 Genf
Das Schokoladenmädchen, um 1744
ミュージアムショップで岡倉天心・著『茶の本』のドイツ語翻訳版を発見して購入。素敵な装丁です。

ドレスデン国立歌劇場(ゼンパー・オーパー Semperoper)

ドレスデン旧市街、エルベ川沿いの劇場広場(Theaterplatz)に面しています。
「ゼンパーオーパー」は実は正式名称ではなく、建築家ゴットフリート・ゼンパー(Gottfried Semper)の名前に由来するのだそうです。
(正式名称:Sächsische Staatsoper Dresden)
最初の建物は1841年に完成し、空襲で破壊されたのちに再建されました。1985年2月13日に再建された「三代目ゼンパーオーパー」は、ウェーバーの《魔弾の射手》で開場しました。ワーグナー、シュトラウスなどの作品にも縁が深く、合計9つのオペラを初演しています。
シュターツカペレ・ドレスデン(Sächsische Staatskapelle Dresden)の本拠地でもあります。
〈ガイドツアー〉
劇場のガイドツアーに参加しました。
ステージ上で作業している様子を客席から見ることができて楽しかったです。劇場の歴史や建築、内装や美術品についての詳細、公演プログラムや、劇場での業務についてなどの解説がありました。
(ツアー中に施設内を撮影するには、有料のライセンスが必要です。壁や柱などを触らないように気をつけましょう。)
チケットは公式サイトから予約しました。英語とドイツ語が選べます。
オペラ
ドレスデン国立歌劇場(ゼンパー・オーパーSemperoper)

プッチーニ 《ラ・ボエーム》
Giacomo Puccini 《La bohème》
イタリア語上映、ドイツ語・英語字幕
3階席の最前列を選びました。音響がとても良かったです!
チケットは公式サイトから予約しました。


ドレスデン文化宮殿(Kulturpalast Dresden)・コンサート

ここは1969年、旧東ドイツ(DDR)時代に完成した建物で、もともとは「社会主義文化の家」として計画され、コンサートや演劇、集会など、市民が集う多目的文化施設として建設されました。
2017年に大改修が行われ、現在ではドレスデン・フィルハーモニーの本拠地、中央図書館や劇場も入る複合文化施設として親しまれています。
とても良い席で内田光子さんのピアノを聴くことができて幸せでした。
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽
現地でドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴くことはできませんでしたが、先日、嬉しいことに先日、来日公演がありました。
旅行の記憶と相まって、心に残る公演になりました。
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
Dresdner Philharmonie
サー・ドナルド・ラニクルズ
Sir Donald Runnicles (首席指揮者, Chief Conductor)
樫本大進(vl)
ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 0p.26
<ヴァイオリン>樫本大進
ブラームス:交響曲第4番 ホ短期0p.98
2026年6月28日(日) 横浜みなとみらいホール
おまけ: 伝統菓子
Eierschecke(アイアーシェッケ)

ドレスデンやザクセン地方で有名な伝統菓子で、3層仕立てになっているのが特徴です。
下の層:甘めのイースト生地(またはクッキー生地)、真ん中の層:クヴァルク(フレッシュチーズ)やプディングを使った、濃厚でクリーミーなフィリング、一番上の層:卵・砂糖・バターで作ったカスタード風のふんわり層(=これが「Schecke」部分)
カフェのメニューにも見かけますし、ベーカリーで売っていることもあります。
おわりに
今回私が行った場所はすべて、徒歩で回ることが可能です。歴史的、文化的施設が充実しており、エルベ川沿いや自然豊かな庭園を散歩することもできます。
今回の滞在で、ドイツの中でも特に好きな都市の一つになりました。

