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掌編|【加古川の傍らで】ピンクを纏う小太鼓

秋の音楽会の後だったか
運動会の鼓笛隊についてだったか
それはもう
忘れたけれど、

小学六年生たちが暮らす
明るい教室の中、
写生大会の
ずらっと貼られた
楽器の絵は覚えている。

一番人気は
大太鼓。
「子どもらしい」という
そんな理由で
大太鼓を描いている子の絵は
金賞が多かった。

教室の上の方、
真ん中より左側に
ヤマグチくんの絵が
飾られていた。

ヤマグチくんの絵は
すぐわかる。

彼だけ
背景は、音楽室ではなかった。

そのとき彼が描いた
小太鼓の周りは
桜のような
薄い綺麗なピンク色だった。

そんな絵を描くのは
ヤマグチくんだけだ。

彼の絵は
いつも
サラっとしている。

だから、彼の絵に貼られているのは
「銅賞」の札だった。

「子どもらしくない」というくせに
しれっと「銅賞」にするあたりが
大人の狡いところだと、
私は思った。

中学生になっても
彼の絵は、サラっとしていた。

小さな街並みを描いた
その作品も良かったけれど

やっぱり私は
あの小太鼓の絵が
一番好きだ。

もし、彼に
地元で遇うことがあったら、

思い切って、
あの絵が、まだあるか
訊いてみたいけれど、

きっと私は
素知らぬ顔をして
また
彼の横を
通り過ぎるのだろう。

ちょっと
話してみたかったけれど、

私にとって
彼は、
当時も今も
これからも
ずっとそういう人なのだ。

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同じ学校で、過ごしたあの頃
【加古川の傍らで】綿だらけの水槽
(まっすぐなナカガワ先生)
【加古川の傍らで】先生のヘタな授業
(うっかりなナカガワ先生)

同じ教室で、過ごした私たち
ちーちゃんとひーちゃん
(とっても仲良しだった、ふたり)
ちーちゃんとヤンキーくん
(少し距離が縮んだ、ふたり)

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