不思議な魅力に満ちた謎の国 〜 北マケドニア🇲🇰 | 40女のヨーロッパ乗り鉄旅 | #08-2
【Day18: スコピエ/北マケドニア】
ギリシャのテッサロニキ行き夜行列車が急遽行き先変更となり、スコピエで降ろされる。夕方のバスまでドキドキの首都探索。
🚊96日間の旅エッセイ。前回のお話はこちら↓
********************
##いきなり謎だらけ
早朝に到着した鉄道駅から中心部へは1.5kmほど。
意外にも美しく整備された大通りを歩いていると、向こうのほうから真っ赤な2階建てロンドンバスがやってくるではないか。

いきなりの登場にびっくりしたけれど、その後もたくさんのロンドンバスを見かけたので、普通の路線バスにこの車両が使われているようだ。
川に突き当たると、向こう岸には国家機関の建物のような豪華な西洋建築がずらり。


川沿いには何とも唐突に銅像があちらこちらに現れる。
何の情景を表しているのかしら?と近づいてみても、それぞれの銅像には説明も何もなく、その統一性の無さが奇妙な雰囲気を増大させている。

説明無し!
##人より銅像が多い街
川に架かる数本の橋には、両側に等身大以上に巨大な人の銅像が20以上向かい合ってずらりと立っていて、時間だけはたっぷりある身なので1つ1つじっくり見ていくことにした。

銅像の人影だけが目立つ橋
ある橋は建国の功労者を、ある橋は芸術分野の功労者を讃えているようで、一人一人に肩書きと名前が記されている。
特に芸術分野が面白くて、各人の持ち物やポーズが個性豊か。
音楽家、作家からコメディアンまで、見ているだけでこんな人いそう~と思わせる面白さがある。

周囲に人っ子一人いない中で、橋にずらりと並ぶ巨大な人物銅像はそれはもう奇妙な風景で、この国いったいどういう国なんだ?と謎が深まるばかり。

##野犬がいっぱいの中央広場
広場に出るとさらに困惑。
移動遊園地のようなスペースがあるかと思えば、広場のあちらこちらに首輪をしていない犬が寝そべったり歩き回ったりしている。

野犬だろうか、よく見るとみんな耳にタグを付けているので狂犬病対策などはされているものと思われるが、結構なデカさの犬が何頭もウロウロしていては犬嫌いじゃなくても恐ろしい。

広場の中央には見上げるのも大変なほど巨大なアレクサンダー大王像が噴水に囲まれて建っていて、ここぞこの国の中心という雰囲気。
それでも広場を取り囲む建物はまだまだ改築中なのか建築中なのかよく分からないシートがかけられた状況で、この国が観光を目玉に発展させようとしている意気込みだけは伝わってくる。

まだ朝が早すぎるので、唯一空いてた広場に面したカフェで朝食を取りながらいろいろと下調べを進める。

トマトにネギとバジル。不思議、そして激安!
##マザーテレサの出身地
少し歩くとマザーテレサの銅像を発見し、その背後にマザーテレサ記念館的な建物があった。
入口の説明を見て分かったことだが、実はマザーテレサはこの国出身とのこと。

どうりで先ほどから街中の建物のあちらこちらに、マザーテレサの名言が書かれた金のプレートが掲げられているのを見かけたわけだ。
マザーテレサもこの国の観光資源の1つということなのかもしれない。

いいことおっしゃる
早速入ってみた資料館には、彼女が愛用していた家具や手紙などが飾られていてなかなか興味深い。
1日たっぷり時間があるので、あたたかい日差しが差し込む静かな資料館で1つ1つじっくり見学したけれど、それでも1時間も時間が進まない。

##大震災の被害を受けた街
近くの歴史博物館にも行ってみると、地域の出土品やら昔の人々の服装展示やら馴染みのない地域の歴史だけになかなか興味深い。


しかもこの建物、何だかやけに立派だなと思っていたら、昔のスコピエ駅舎らしく、1963年に発生した大地震により壊れた駅舎を博物館として利用しているとのこと。


地震の記録を残したコーナーもあり、日本人には既視感のあるもので、一気に親近感が湧いてきてしまった。
モンテネグロのコトルも1970年代に大地震に被災しているということだし、バルカン半島のこのあたりの地域は地震が多い地帯のようだ。
##オスマン帝国時代の重厚な橋
たっぷり時間をかけて見学してから外に出ると、街に少しずつ活気がでてきた。
それでも奇妙なくらい人が歩いていないけれど、チラホラと欧米からの観光客の姿が見られる。

怖すぎる
広場から川を渡った先は旧市街ということなので、立派な石造りの橋を渡って向こう岸へ渡ってみる。

こちらの石橋はオスマン帝国統治時代に作られたということで、サイドから見ると分厚い石造りのアーチがいくつも連なっていて相当頑丈そうに見える。地震の影響も少なかったのだろうか?

オスマン帝国時代の石橋の向こうにアレクサンダー大王が見え、背後に迫る山の上に巨大な十字架も目に入る。
これだけでこの国の複雑な歴史や宗教の変遷を表しているようだ。
##いきなり異世界に迷い込む
そんなことを考えながら旧市街に入ってびっくり。

先ほどから見てきた荒削りな西洋建築の景色から一変、そこには素朴なイスラム風の商店がこまごまと軒を連ね、ヒジャブをした女性達がのんびり行き交う街が広がっていた。

何だか急にタイムスリップしたような、どこか知らない異国に紛れ込んだような不思議な感覚。
商店はお土産物屋もあるけれど、大半は生活する人向けの様子で、イスタンブールのオールドバザールなんかとはまるで違うノスタルジックな田舎感が漂っている。

さっきまで教会やらマザーテレサやら言っていたのに、ここはすっかりムスリムの街なんだな、と改めてこの融合感に驚いてしまった。

お店も下着やアクセサリー、ドレスの店まで様々。なんだかやたらとウェディングドレスを飾っている店が多くてそんなに売れるか?と心配になってしまう。

普段ヒジャブで隠しているムスリムの女性がお金を使うもの、ということなのだろうか。

カンカンと響く作業中の音が心地よい
##マケドニアでもやっぱりケバブ
そろそろお昼時でお腹が空いてきたので、適当な店に入りメニューを開く。
やはりここでもケバブが先頭に来ているので、マケドニアスタイルを見てみようとケバブ&ビールをオーダー。

敷き詰められている
肉の様子はセルビアと似ているが、このパンがガーリックバター風味で実に美味しくて、トマト煮込みを付けて食べるとペロリといけてしまう。
私があまり下調べも冒険もせずにケバブばかり頼んでいるせいだけれど、さすがにこの挽肉を焼いたものにも飽きてきてしまった。
明日からギリシャ、海鮮でも食べられるかしらと期待が高まる。
##お次は要塞
満腹になったので少し歩いて街が一望できるところに行こう、とスコピエ要塞を目指す。

立派な城壁が見えてはいるものの、入口が分かりづらくてイライラ。
侵入を防ぐ要塞なのだから仕方ない。

お昼を過ぎて太陽はジリジリ、この国は国旗に太陽が描かれているだけあって南国らしい太陽が照りつけるのだ。
汗だくになりながら要塞を登りきると、そこには何もなくただただ草ボーボーの荒れた空地が広がっていた。
拍子抜けではあるものの、そんな場所なので観光客は誰もおらず、通り抜ける風の音だけが響いて最高に心地良い。
##風に吹かれながら物思う

最近要塞ばっかり登ってるな、と可笑しくなるけれど、それだけバルカン半島は攻防が激しかったということなのだろう。
ボーッとしてると睡魔が襲ってきたのでしばし居眠り。
やはり夜行列車だし朝も早かった。
全身が気だるいしシャワーどころか顔も満足に洗えてないので気持ち悪いし、この日差しの下で日焼け止めすら塗れてないし…。
思いがけない途中下車で不快な思いも多々あるけれど、まさか来るとは思わなかった国、しかもこんなに不思議な空気が漂う興味深い国に来られたので結果オーライだな、としみじみ。

国も街も、その時代、その時期、その時間にしか感じられない風情があり、旅人によって見るもの出会うもの、その印象は大きく異なるだろうけど、だからこそこの日に訪れられたのもご縁、まさに旅は一期一会の極みなのかもしれない。
##一期一会に感謝して次の国へ

その後もバスの時間が来るまで、モスクで礼拝に集まる人を眺めたり、博物館やカフェで時間を潰しつつ午後を過ごし、18時過ぎ、無事にギリシャのテッサロニキに向けてバスが出発した。


週末ということもあり、バスはギリシャに旅行に行く人なのか帰る人なのか、若いカップルで賑わっている。
車窓から延々とぶどう畑が続いているのを見て、この国でワインを飲まなかったことを少し後悔した。


🚊次回、ギリシャのテッサロニキ到着。先進国で楽勝かと思いきや不穏な空気に驚く
📘この投稿は「40女のヨーロッパ乗り鉄旅」の一編です↓
