〈最終話〉96日鉄道旅の終着駅、ロンドン| 40女のヨーロッパ乗り鉄旅
【最終回: ブレーメン→ロンドン】
ユーレイルパス3ヶ月連続使用版の使用期間最終日。ドイツからベルギーに抜け、一気にロンドンへ。96日間のゴールを迎える。
🚊96日間の旅エッセイ。前回のお話はこちら↓
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##最後の乗り鉄へ、いざ出発
いよいよ3ヶ月間に及ぶユーレイルグローバルパス3ヶ月連続使用版の最終日。

この日まで本当によく乗ったもんだ。
特に最後の1ヶ月ほどの動きは、我ながら変態的な乗りっぷりだった。

最終日の最後の最後まで乗りまくるべく、ドイツのブレーメンからケルンを経由しベルギーのブリュッセルに出て、ブリュッセルからロンドンまではユーロスターに乗って鉄路でドーバー海峡を渡る予定だ。

ユーレイルパスではユーロスターは乗れないかと思っていたら、あまり安くはないがパス利用者の割引設定があるということで、そちらで一等座席を予約していた。

##ユーロスターで思わぬ事態
ユーロスターの乗り場はまるで空港のような雰囲気で、1時間ほど前には到着する必要があるし、手荷物検査や出入国検査が入念に行われるとウワサに聞いていたので、少し緊張していた。

まず手荷物チェック、バックパックを涼しい顔で置いたのに、何やらアラートが出て厳しく制止される。
せわしない毎日ですっかり忘れていたのだが、フィンランドで一目で気に入った赤いムーミン柄のキッチンバサミを買っていたのだ!
購入時は、荷物になるのとまぁまぁな値段がするので悩みに悩んだのだが、店員さんの「飛行機でも荷物を預ければ持ち帰れますよ」との優しい声かけで決断し購入。
ユーロスターの場合、どうなるんだろ?
まさかの没収!?
想定外の事態に一気に血の気が引いて、モノを出せという指示のもと、
「これは私の自分へのお土産なの…」
と今にも泣き出しそうな顔で懇願しながらモノを出す。
泣き落とし作戦が効いたのか、出てきたハサミがあまりにもキュートなものだからなのか、威圧感たっぷりだった係の女性はクスッと笑い、
「いいわよ、しまいなさい」
と見逃してくれた!
もしかしたら飛行機ほどは厳しくないのかもしれないが、大切な自分へのお土産を死守できてホッと胸を撫で下ろす。

没収されなくて本当に良かった…
##お次は入国検査
お次は長い行列の出入国検査。
非EU民の列に並ぶが、ひとりひとりがやたら長いので全然列が進まない。
各人めっちゃ話してるけど何聞かれるのかな?とドキドキしていると、ようやく私の番がやってきた。
ベテランぽい女性が冷たい眼差しを向け、
「いつからここに来たの?」と問う。
ベルギーという意味なら今日だけど、EUだとしたら4月?
「4月中旬…」
質問の意図がわからないままヨーロッパに入った時期を伝える。
女性の目つきがギラリと変わり、
「今までどこの国にいたの?」
どこと言われても困る。
「いっぱい…」
と答えると、はぁ?とため息をつかれたので、慌ててユーレイルパスを見せながら、これで各国を旅して来たのだ、と精一杯の英語で伝える。

2018年当時は手書き記録の運用だった
すると女性の目の色が変わり、私のパスに綴られた4枚にも渡る乗車記録を一枚一枚丁寧に目を通し始めた。
「これ、全部ひとりで?」
「このチケットいくらくらいするの?」
「私も学生時代にひとり旅したんだけどー」
と目を輝かせて質問攻めし、挙句は楽しそうに自分語りを始める。
最後に、
「あなた、本当に勇気あるね!感心したわ!」
と優しく微笑んでチケットとパスポートを返してくれた。
旅の終わりのこのタイミングで、私の大冒険を讃えてくれる温かい言葉をかけられ、ジーンと胸が熱くなった。

##3ヶ月間に思いを馳せる
ユーロスターの一等席ともなるとかなり豪華な革張りシートで、私の身体は埋もれそう。
予想外にしっかりめの食事とワインまでいただけたので、堪能しながら旅の総括として頭を巡らす。

まずは90日間、小さなトラブルは多々ありながらも、大きなトラブルも体調を崩すこともなく、無事にここまでやり切ることができたことが何より感慨深い。
不安も苛立ちも憤りも、たくさんの感情に翻弄されたけれど、長年の夢を実現させるべく踏み出した自分の勇気に自画自賛しちゃう。
まぁ、やっていたことは
“乗って、歩いて、食べて、飲む“
くらいなのだが、これだけたくさんの国や街を一挙に知れて、経験値が爆上がりした気分だ。
私の大好きな青春18きっぷのいつぞやのキャッチコピー、
“この旅が終わると、次の私が始まる“
何かが大きく変わるわけではないけれど、確実に変化が生まれていて、これからの長い人生の糧になるだろう。
また50、60、70と、人生の節目で大冒険を企画したいな!南米?シベリア鉄道?はたまたワインとか歴史とか、別テーマの旅も面白そう。
そして、もう少し腰を据えて街を堪能する“暮らすように旅する“もやってみたいことのひとつ。
おっと、その前に今回泣く泣く諦めたアレコレを回収するのが先か?

旅の総括と言いながら、すでに次の冒険を画策してしまう。
ロンドンに向かうユーロスターは、途中トラブルにつき長く停車していたため、ちょうど夕陽を追いかけるように走っている。
車窓からの美しい太陽を眺めながら、安堵とともに次なる冒険に胸ときめかせるのだった。

旅の集計
ロンドン、セントパンクラス駅に着いたのは21時。
ロンドンは信じられないほどホテル代金が高くて、この旅ダントツ最高額の駅近ホテルなのに、なんとも侘しい半地下の変な部屋。
それでも無事到着した安堵から、ゆっくり眠ることができた。

オタク的に楽しみにしていたのが、総走行距離はどれくらいになったかということ。
旅の間、毎日コツコツとつけていた行動記録を元に、国内路線は時刻表記載の営業キロを、国際路線はマップの移動距離から算出してみると、
26,538km(ユーレイルパス対象路線のみ)
JR6社、新幹線含む営業キロは約2万キロと言われているので、それを遥かに上回っていた!
3ヶ月もあれば日本全国乗り尽くしができるのか。それはそれで興味深い。
地球一周は約4万キロと言われているので、鉄道だけで地球3分の2は移動できたということか。
これはこれでキリ良く一周といかなくて、ちょっと残念。
こんなに移動したにも関わらず、ユーレイルパス付録の路線図の塗り潰しをしてみると、まだまだ行けてないエリアがたくさんあって、ヨーロッパの広大さをしみじみと実感するのだった。

28カ国96日間の旅。
この旅の思い出を糧に、新しい私がはじまる。
〈THE END〉

🚊110話にも及ぶ旅記録にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
投稿を通じて、もう一度旅をしているような日々を過ごせました。
この旅はひとまず一区切りですが、まだ少し書いてみたいことが残っている気がしています。
もう少しだけ、お付き合いいただけたら嬉しいです。
📘この投稿は「40女のヨーロッパ乗り鉄旅」の一編です。全編はこちら↓
