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5-3田舎暮らしという選択・移住の先輩からのアドバイス

 もしあなたが都会での暮らしに未来がみえなくなったり、人間関係のストレスに行き詰まりを感じたり、新しい何かにチャレンジしたくなったら、田舎への移住を検討してみてはいかがでしょうか。

 「自然に近い」「ストレスが少ない」「食べ物がおいしい」そんなイメージの田舎ですが、ずっと都会で暮らしてきた人にとって、実際の田舎はイメージとずいぶん違うものがあるような気がします。自然豊かな田舎で暮らしたい、そんな願望を持つあなたに田舎暮らしの先輩としていくつかアドバイスさせていただきたいと思います。 

最初から家を買わない

 リノベしたり畑を耕したりと思うと最初から家を買おうと考えるかもしれません。でもほんとうにいい物件は不動産会社や空き家バンクでみつからないことが多いというのが実感です。またそれらの物件は家財が片付けられて補修もされているため、そのぶん高くなっています。でも家財もそのまま補修もされていない家はびっくりするほど安く手に入ることがあります。そんな物件は直接の取引となり現地にいないと情報が入ってきません。また先祖の墓が近くにあったり仏壇が残っていたりでなかなか知らない人にいきなり売ろうと思わないのが普通です。

 いっぽうで今田舎にあふれている空き家は、交渉次第で安価(おそらく2万円以下)で部屋がいくつもある大きな家を借りられることがあります。貸主さんにとっては、売ってしまうより貸すほうがずっと気持ちのうえでの敷居が低くなります。ただし、貸主としては田舎の家は大きな収入になりにくいので、借りれるかどうかは金銭的なことより、気持ちが大きく影響します。顔見知りになることが一番の近道です。家主さんといきなり接点がなければ、自治体や地域の役員さんなどに相談してみると情報が入るかもしれません。

 とりあえず住んでみるとその土地の特性や風土などがわかってきます。また周辺のお得な空き家情報も住んでみることで耳に入ってくるのが一般的です。最初は不動産屋さんを通して中心の町に移り住んで、足で住む家を探すのも方法です。いずれにせよ、いい情報は現地にいないと手に入らないと覚えておいてください。

できるだけ複数で移住

 大家族が核家族になり、独居家庭になっていく・・そんな傾向は都会だけでなく今や田舎も含め日本中に広がっています。今や田舎は独居高齢者ばかりです。

 実は田舎暮らしはやることがいっぱいです。百姓ということばは百の仕事をこなす人という意味です。薪を集め割って積み上げる。味噌や醤油を仕込み梅を取り梅酒や梅干を作る。畔を塗り田圃を耕し雑草を刈る。畑に堆肥を入れ、苗を育て種をまく。豆や雑穀を収穫してより分けて乾燥させる。家の補修をしてヤギや鶏を飼い乳を搾りチーズを作る。パンを焼きジャムを作りトマトの瓶詰やダイコン干し、燻製などの保存食を作る。やりたいことがどんどん出てきて時間がいくらあっても足りません。おまけに村の共同作業の時間も結構とられてしまうのが田舎です。 

 一人では無理でも大勢で分担すれば、田舎暮らしはどんどん豊かになっていきます。もともと田舎の人はそういった共同作業で暮らしを培ってきました。

 ひとりではなく、夫婦で。できれば2家族3家族一緒に。若い人たちなら友人仲間と一緒に。ひとりだけならSNSやブログなどで仲間を募集して、できるだけ大勢と一緒に移住しましょう。

 そしてできれば一つ屋根の下で暮らし、一緒に食事の時間を持ちましょう。そう考えると家のサイズを考えると、5~6人で一緒に住むというのが理想だと思います。

 一緒に食事をするというのは大切なことです。人と一緒に食事をする(共食)回数が多い人ほど、幸福感が高いという統計があります。田舎では、食事は作って食べるものです。一人で食べるのは効率も悪くコスパもよくありません。

 隣近所に住んで一緒にランチを食べるというのもいいでしょう。ただし、車で移動する距離間は共同作業の時間がどんどん減って、結局別々の暮らしになってしまいます。

仕事は移住前に決めない

 特別なスキルがあれば別ですが、一般企業に就職しようとすれば選択肢が限られ、また条件的にも都会に比べ給料や福利厚生にハンデがあるのが普通です。パートともなれば時給も安く能力も発揮できない単純作業のところが多いと思ってください。とにかく就職という選択をしたときに様々な面でキャリアダウンすると考えるべきです。

 そんな会社でも働き出せば人生の大きなシェアを占めてしまいます。収入が減っても家賃が安く物価も安ければやれそうと思っても、普通の会社勤めしていればそんなに節約にはなりません。

 山の中から時間をかけて出勤して、疲れて帰っても近くに店がなかったり、あっても早い時間にしまってしまいます。食事は自分で作ることになります。もちろん田舎ではそれが当たり前ですが、時間がないと結局町のファーストフード店で済ませたり、コンビニやスーパーでお弁当やお惣菜を買って帰って家で寂しく食べることになります。

 再就職を決めずに田舎暮らしを始めましょう。まずは畑を起こしたり、家をリノベしたり、時間をかけて食事を作ったり。それが田舎暮らしの楽しみです。そんななかで地域の人とおしゃべりしたり注意深く観察していけば、その土地で何が不足していて何が求められているかが見えてきます。そこからフリーランスの道を探ってみてはいかがでしょうか。

 移住するにあたって当面の資金や失業保険があれば助かりますが、なければないで何とかなります。都会に住んでいればお金がなければ立ちいかないことも多いけど、お金がないことのリスクは田舎のほうがずっと少ないはずです。

 都会にいるときに予想している田舎のイメージはことごとく裏切られます。まずはゆったり構えて体と心を田舎になじませることから始めることを強くお勧めします。




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