『日本の就活』(常見陽平著)を読んで
2025年11月下旬に岩波新書から発刊された本。副題は「新卒一括採用は「悪」なのか」であるが、著者の採用担当、人材コンサルタントや大学教員としての視点から、就活の歴史(特に就活協定)や疑問への回答などがまとめられ、なるほど感の高い内容だった。
私は就活やキャリア支援担当ではないが、学修支援を通じて共通する部分が多いと感じた。
以下、第6章「中堅私大の就活支援日記」部分を中心に、特に気になった言葉(〇)と私の考え(■)。
〇会社説明会の質疑応答で「本日は貴重なお話、ありがとうございます」という一言(キチョハナ感謝と呼ばれる)のあと、自己PRを繰り返す「意識の高い学生」を面白がったり・・・
■社会人、おじさんも言っている。形式的かつふわっとした感じになるので自分は言わない。言うなら具体的な部分を指したい。
〇現在の学生と企業のマッチング手段は、大きく分けて次の四つに分類することができる。「メディア」「エージェント」「スカウト」「リファレル」の四つである。
■受け身の学生やその親は、「メディア」だけだと思っている。私も「エージェント」や「スカウト」は大都市だけかと思っていたが、学生の雑談から知った。さらに動きの少ない学生は、大学がやってくれると思っているケースも見受けられる。なお、これら以外(前段階でもある)では、常設の就活カフェや対話イベントもあり、仲介業者が行っている場合もあれば、1企業が他の企業も呼んで行っている場合もある。多様化していることとそれぞれの仕組みは覚えておきたい。
〇面接官には不適切質問を行う裏技がある。それは、自然な流れで相手に話してもらうという技だ。
■「尊敬する人物」「好きな本」等は思想や信条につながる、家族関係等のプライバシー情報は、面接質問ではNGとされている。しかし、前者は「大学時代の大きな経験は?」、後者は「就職活動は誰に相談していますか」等を聞くと、それが出てくる場合がある。このあたり、回答する側としてはどこまで答えるかはあらかじめ決めておいた方がいいだろう。
〇(キャリア教育の意味)アルバイト、インターンシップなどでトラブルに巻き込まれないよう、ワークルールを教育する場でもある。
■これは本当に大事。頑張る学生がブラックバイトにはまっていくケースを見てきたが、初年次の最初に受けるべきだろう。
〇(ゲストスピーカー)気をつけないと「興味のない企業の話を聞かされた」という状態になってしまう。
〇その話をフックに、自分ごととして考えてもらうことが必要だ。
■大いに納得。授業の1コマが知らない企業の社長の話なら、ちゃんと聞かなくていいと思うのか、1回全力投球してくるから何か受け止めようと思うのかでは得るものの差が大きいだろう。年末の村田ボーリング社長の話は、まさにコレ。
〇就活相談はときに、人生相談に発展する
■「落とした単位の相談室」も同じだったので、やっぱりという感じ。今までできなかった自己開示の機会になったと考えている。
〇(エントリーシート)さらに多いのは、「とても」「すごく」「かなり」「大変に」などの空気語だ。
■気持ちはわからないでもないが、具体的でないので受けとめる際に、説得力を欠き、ぼやける。数値化や比較を入れて、認識できる位置に収めたい。
〇ただ、変わりたい、成長したいという要求は誰にでもある。そこに火をつけることにより、学生は成長するし、納得感のある進路選択をするのである。
■私が担当している学修支援も同じ。もやもやしている時こそがチャンス(着火)であり、成長した学生を見て「自分もやってみたい」と一歩踏み出す(延焼)ケースも多く見てきた。
その見極めと背中を押すような機会の創出が自分の役目だと思っている。そして、気持ちが前のめりになっていることを確認したら、こんなリスクもあるよ(水差し)と言って、覚悟を決めさせることも大切である。
