キーツ訳詩「秋に寄す歌」(一)【英浪漫詩韻律訳】

英詩韻文訳
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ジョン・キーツはシェリーやバイロンとともに英国ロマン派の第二世代を牽引した詩人だ。結核を患い、25歳の若さで早逝したが、それまでに多くの傑作を遺した。
今回文語韻律詩として翻訳した"To Autumn"は11行ずつ3連(スタンザ)の構成で、オード(賦・頌歌)と呼ばれる形式をとるキーツの代表作だ。第1連では、秋めく朝方の豊かな田園風景が美しいリズムで描かれている。
「秋に寄す歌」ジョン・キーツ
(一)
霧に實りの香り滿つとき、
秋は熟れゆく陽を慕ふ。
茅の庇の葡萄の蔓の
重たき房をまた祝がむ。
苔の古木は林檎に撓み、
熟れる萬の實こそあれ。
南瓜は膨れ、
甘き核子の榛は肥え、
蕾は開き、遲咲き花に舞ふ蜂の
夏の局は蜜に溢れて、
暖かき日の夢ぞ果てなき。
原詩
To Autumn John Keats
(1)
Season of mists and mellow fruitfulness,
Close bosom-friend of the maturing sun;
Conspiring with him how to load and bless
With fruit the vines that round the thatch-eves run;
To bend with apples the moss’d cottage-trees,
And fill all fruit with ripeness to the core;
To swell the gourd, and plump the hazel shells
With a sweet kernel; to set budding more,
And still more, later flowers for the bees,
Until they think warm days will never cease,
For summer has o’er-brimm’d their clammy cells.
キーツの詩作活動の目的は、古代ギリシャ神話を甦らせたような世界観の中で、美しい自然から生じる霊感を通して普遍的な美や音楽的な癒しを追究することだった。キーツは泉から湧き出る浄らかな水を飲むことで詩的感性を研ぎ澄ましていたため、墓碑には「その名を水に書かれし者」と刻まれている。
原詩では「秋」を擬人化して精霊のように扱っているが、それを直訳してしまうと返って作為的になり、原詩の情景喚起力と音楽的躍動感が損なわれてしまう。むしろ日本語詩の自然な表現こそ、季節に内在する霊性との交感に相応しいという確信をもって訳した。
©️探神院泣鷗
英詩韻文訳
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