名作俳句五十句選【古詩歌浪漫解】

日本名作詩歌選
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花鳥諷詠の名作俳句五十選。著作権を考慮して、1967年以前に亡くなった俳人の句から選んでいる。富安風生、山口青邨、水原秋桜子、石田波郷といった俳人たちにも名句は多いが、亡くなってから70年経過していないため、選に加えていない。
春 16句
日の御影花ににほへるあした哉
花の雲鐘は上野か浅草か
四方より花吹き入れて鳰の波
うれしさの狐手を出せ曇り花
桜咲く日本に生まれ男かな
世を捨てに歩く桜の山路哉
提灯に落花の風の見ゆるかな
鶯の身を逆に初音かな
雪とけて村いつぱいの子どもかな
しら梅に明る夜ばかりとなりにけり
菜の花や月は東に日は西に
春の海ひもねすのたりのたりかな
春雨やものがたりゆく蓑と傘
西行を残して富士は霞みけり
天地を神代にかへす朧かな
ぜんまいののの字ばかりの寂光土
夏 8句
青東風や松に天女の忘れもの
不二一つ埋め残して若葉かな
國分の大王杉やほととぎす
郭公大竹原を漏る月夜
閑さや岩にしみ入る蝉の声
夏草や兵どもが夢の跡
花二つ紫陽花青き月夜かな
蛍から蛍へ風のうつりけり
秋 16句
たましひのたとへば秋の蛍かな
秋風や舟から舟へゆくからす
雁ひとつさほの雫となりにけり
一さほに舟漕入れよ天の川
荒海や佐渡に横ふ天の河
月空へ躍りてすすむ舳かな
月と日の間に澄り富士の山
四五人に月落ちかかるをどりかな
月天心貧しき町を通りけり
ふるさとの月の港をよぎるのみ
月の坂高野の僧に遭ふばかり
頂上や殊に野菊の吹かれをり
秋霧のしづく落して晴れにけり
雨晴れて兎とびかふ花野哉
金剛の露ひとつぶや石の上
秋旻や金龍昼の月争ふ
冬 8句
初しぐれ猿も小蓑をほしげ也
霜つよし蓮華とひらく八ヶ岳
奥白根かの世の雪をかがやかす
降る雪の奥に春日の巫女の舞
遠山に日の当たりたる枯野かな
焚くほどは風がもてくる落葉かな
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
夢に舞ふ能美しや冬籠
新年 2句
東山静かに羽子の舞ひ落ちぬ
手毬唄かなしきことをうつくしく
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