(6/10は時の記念日)昔の人は、時計なしでどうやって生きていたの?
〜「時間」をめぐる やさしい物語〜(絵本風やさしい記事)
朝起きる時間。
学校へ行く時間。
仕事が始まる時間。
待ち合わせの時間。
私たちは毎日、時計を見ながら暮らしています。
スマホの画面を開けば、すぐに時刻がわかりますし、駅の時計も、腕時計も、電子レンジも、みんな同じ時間を教えてくれます。
でも、ふと考えたことはありませんか?
もし時計がなかったら——。
昔の人たちは、どうやって時間を知っていたのでしょう。
6月10日は「時の記念日」。
今日は、当たり前すぎて普段は意識しない「時間」の物語を、いっしょにたどってみましょう。
1. 時の記念日って、なんの日?

日本で初めて「時計」が動いた日
6月10日は「時の記念日」です。
この日は、日本で初めて時計が使われたとされる出来事にちなんで定められました。
今からおよそ1400年前、飛鳥時代のことです。『日本書紀』には、天智天皇(てんじてんのう)の時代に「漏刻(ろうこく)」と呼ばれる水時計が設置されたという記録が残っています。
漏刻とは、水が少しずつ流れる仕組みを利用して時間を測る時計のこと。
スマホも腕時計もない時代、人々は水の動きを見ながら時間を知ろうとしていたのです。
私たちが当たり前に使っている時計の歴史は、そんな小さな工夫から始まりました。
2. 時計がない時代、人は何を見ていたの?

太陽が教えてくれた時間
もちろん、水時計が登場する前にも人々は暮らしていました。では、その頃の人たちはどうしていたのでしょう。
答えは、とてもシンプルです。
太陽です。
朝日が昇れば一日が始まり、太陽が高くなれば昼になり、夕日が沈めば仕事を終える。
人々は空を見上げながら生活していました。畑へ向かう時間も、家へ帰る時間も、自然が教えてくれたのです。
鳥の鳴き声。
虫の音。
空の色。
今よりずっとゆっくりと、人々は自然の変化の中で時間を感じていました。
もしかすると、「今何時だろう」と焦ることも少なかったのかもしれませんね。
3. 水で時間をはかるなんて!

水時計のふしぎ
それでも人々は、もっと正確に時間を知りたいと思うようになりました。
そこで生まれたのが、水時計です。
水を入れた器から少しずつ水を流したり、逆に水をためたりして、その量で時間を測ります。
今の感覚で考えると、とても不思議ですよね。
でも当時としては、画期的な発明でした。
人は昔から、「時間を見えるようにしたい」と考えていたのです。
太陽だけではわからない曇りの日や夜でも、水時計なら時間を知ることができます。小さな水滴が、人々の暮らしを支えていたのです。
4. 江戸の人は「今、何時?」をどう知ったの?

鐘の音が知らせてくれた
時代が進み、江戸時代になると、人々は、寺や町に響く『時の鐘』を頼りに暮らしていました。
朝。
昼。
夕方。
夜。
町に響く鐘の音が、時間を知らせてくれたのです。
ところが、江戸時代の時間の考え方は、今とは少し違いました。
実は、昼と夜をそれぞれ六つに分けていたのです。
夏は昼が長く、冬は昼が短い。そのため、一時間の長さも季節によって変わっていました。
現代人からすると少しややこしいですが、自然の変化に合わせた、とても日本らしい時間の考え方だったのかもしれません。
時計ではなく、自然に寄り添う時間。
そんな暮らしがそこにはありました。
5. 時計は、だんだんみんなのものになった

鉄道が変えた「時間」
明治時代になると、日本の暮らしは大きく変わります。
鉄道が走り始めたのです。
列車を安全に運行するためには、正確な時刻が必要でした。
「だいたいこのくらい」では困ります。
鉄道の運行には正確な時刻が欠かせなかったため、分単位の時間が広まり、やがて全国で時刻をそろえる仕組み――日本の標準時も整えられていきました。
懐中時計を持つ人が現れ、やがて腕時計が普及し、誰もが同じ時刻を共有する時代になりました。時間は、個人の感覚から社会全体の約束へと変わっていったのです。
6. 今日の私たちは、時間に囲まれて生きている

スマホの時計の向こう側
今の私たちは、驚くほどたくさんの時計に囲まれています。
スマホ。
パソコン。
テレビ。
駅の時計。
車の時計。
気づかないうちに、一日に何度も時間を確認しています。
そして、たった数分の遅れでも気にすることがあります。
でも、そんな便利な暮らしの始まりには、太陽を見上げた人たちがいました。水滴を数えた人たちがいました。鐘の音に耳を傾けた人たちがいました。
長い長い時間をかけて受け継がれてきた工夫の先に、今の暮らしがあります。
今日の一分も、誰かがつないできた時間

手首の時計。
スマホの画面。
駅の時計。
私たちは毎日、たくさんの時計に囲まれて暮らしています。でも、その始まりは、空を見上げたり、水の流れを見つめたりしていた人たちの小さな工夫でした。
6月10日、時の記念日。
この日だけは時計を見るたびに、こんなことを思い出してみてください。
「昔の人は、どんなふうに時間を感じていたんだろう」
そう考えると、いつもの一分一秒が、少しだけ特別に見えてくるかもしれません・ ・ ・
太陽を見上げた人たちも、
鐘の音に耳を澄ませた人たちも、
きっと大切な時間を生きていました。
今日あなたが過ごす一分も、
その長い歴史の続きの中にあります。(文:千里ふうた)



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