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(5/29はこんにゃくの日)ぷるぷるなのに、昔は“薬”だった? こんにゃくと人の長い付き合い(絵本風やさしい記事)

おでん。煮物。田楽。
気づけばいつも、そこにいる「こんにゃく」。

ぷるぷるしていて、ちょっと地味。
「大好き!」という人はいても、主役になることは少ない食べものかもしれません。

でも実は、こんにゃくは昔、「体を整える特別な食べもの」と考えられていました。

今のように薬や病院が身近ではなかった時代、人々は毎日の食事の中で、体をいたわる工夫をしていました。こんにゃくも、そのひとつだったのです。

5月29日は「こんにゃくの日」。
今日は、おでんの鍋の中で静かに揺れている、あの不思議な食べものの物語をのぞいてみましょう。


1. こんにゃくの日って、なんの日?

語呂合わせの奥にある、長い歴史

5月29日は「こんにゃくの日」です。

これは「こ(5)んにゃく(29)」という語呂合わせから、こんにゃくを広める団体によって定められました。

でも、こんにゃくの歴史は、そんな語呂合わせよりずっと昔までさかのぼります。

こんにゃくの原料になる「こんにゃく芋」は、もともとは中国や東南アジアの地域で育てられていた植物だと言われています。

それが日本へ伝わったのは、はるか昔。
平安時代ごろには、すでにこんにゃくを食べていた記録が残っています。

今ではスーパーに当たり前のように並んでいますが、昔のこんにゃくは、とても貴重な食べものだったのです。


2. ぷるぷるなのに、“薬”だった?

お寺から広まった、体を整える食べもの

こんにゃくが最初に広まった場所のひとつは、お寺でした。

僧侶たちは、肉や魚を使わない「精進料理」を食べて暮らしていました。
その中で、こんにゃくは大切な食材として使われるようになります。

当時の人々は、こんにゃくを「おなかの調子を整える食べもの」や、「体の中をきれいにする食べもの」と考えていました。

今のように栄養学が発達していたわけではありません。
それでも人々は、食べたあとに体がどう変わるかを、長い時間をかけて感じ取っていたのでしょう。

こんにゃくは薬そのものではありません。
けれど、“体をいたわる知恵”として、大切にされていたのです。

だから昔は、「こんにゃくは胃のほうきをする」なんて言葉もあったそうです。

なんだか、ちょっと面白いですよね。


3. 固くて苦くて、今とは違った

むかしのこんにゃくは食べにくかった?

でも、昔のこんにゃくは、今のようにやわらかくて食べやすいものではありませんでした。

こんにゃく芋には強いアクがあり、そのままでは食べられません。
きちんと加工しないと、えぐみや苦みが残ってしまったのです。

人々は、どうすればおいしく食べられるかを何度も工夫しました。

すりつぶして。
煮て。
固めて。
また作り直して。

そうした長い試行錯誤の積み重ねの中で、今の「ぷるぷるのこんにゃく」が少しずつ生まれていったのです。

当たり前のように見える食べものにも、昔の人たちの努力が隠れているのですね。


4. 地味だけど、ずっと食卓に残った

どうして今も食べ続けられているの?

こんにゃくは、決して派手な食べものではありません。

おでんの主役は、大根やたまごかもしれません。
すき焼きでは、お肉に目がいきます。

でも、こんにゃくは昔から、ずっと食卓に残り続けてきました。

味がしみこんだこんにゃくを食べると、なんだかほっとする。
派手ではないけれど、「これがないと少しさみしい」と感じる人も多いのではないでしょうか。

それはきっと、こんにゃくが長い時間をかけて、人の暮らしに寄り添ってきたからです。

目立たなくても、ちゃんと必要なもの。
こんにゃくは、そんな存在なのかもしれません。


5. こんにゃくは、やさしい知恵だった

体をいたわる、昔の人の工夫

昔の人たちは、今ほどたくさんの薬を持っていたわけではありません。だからこそ、毎日の食事をとても大切にしていました。

食べすぎた日の翌日。
少し体が重たい日。
寒い冬の日。

そんなとき、体にやさしいものを食べながら、自分を整えていたのです。

こんにゃくも、そんな「暮らしの知恵」のひとつでした。

すごい力を持つ特別な食べもの、というより、
毎日の暮らしをそっと支えてくれる存在。

それが、こんにゃくだったのでしょう。


6. 今日のこんにゃくが、少し違って見えるかも

おでんの中に残っていた、小さな歴史

おでんの鍋の中で、静かに揺れているこんにゃく。

そのやわらかさの中には、何百年もの工夫や、「体をいたわりたい」という人の願いが詰まっています。

地味だけれど、ちゃんと必要だったもの。
目立たないけれど、長く愛されてきたもの。

こんにゃくは、そんな食べものなのかもしれません。

5月29日、こんにゃくの日。
次にこんにゃくを食べるときは、少しだけ思い出してみてください。

そのぷるぷるの向こうには、昔の人たちのやさしい知恵が、今も静かに残っているのです。

おでんの中で静かに揺れるこんにゃく。
そのやわらかさの中には、何百年もの「体をいたわる知恵」が残っているのかもしれません。(文:千里ふうた)

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