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第三者調査を求める請願は不採択 ──なお残る説明責任と議会の課題

請願は不採択となりました

― 問われているのは、市役所の政治的中立性と議会のチェック機能です ―

3月25日、鶴岡市議会3月定例会の最終日。
「鶴岡市長選挙における市職員の選挙関与に関する第三者による調査委員会の設置を求める請願」は、賛成少数により不採択となりました。

2026.3.25 本会議にて。賛成議員は起立しています

しかし、この問題は、単なる一つの請願の採否にとどまるものではありません。
問われているのは、市役所の政治的中立性が守られていたのか、市民が納得できる説明責任が果たされたのか、そして議会が本来のチェック機能を果たしたのか、という点です。

今回は、その経過と論点を整理してお伝えします。


発端 ── 市幹部職員による選挙関与の疑惑

昨年10月の市長選挙をめぐり、二件の問題が指摘されました。

① 市幹部職員が部下を含む職員に対して、特定候補への投票依頼や演説日程をLINEで送っていたとされる件
② 別の幹部職員が公用メールで前市長を揶揄するような内容を部長級職員に送信していたとされる件

公務員、とりわけ幹部職員には、選挙における高い政治的中立性が求められます。
地方公務員法第36条は、公務員の政治的中立性を守るため、政治的目的をもって行う一定の政治的行為を制限しており、公の選挙における投票勧誘運動は、その典型例として位置づけられています。

この問題が市民の間に疑問と不信を生んだのは、そのためです。


市の調査結果は「処分不問」でした

市は昨年12月4日に調査結果を公表しました。
結論は、公職選挙法・地方公務員法に抵触せず、処分不問というものでした。

しかし、争点はその結論だけではありませんでした。
その調査が、本当に公平で客観的なものだったのか。
ここが大きく問われたのです。

今回の請願者による意見陳述では、市の調査には次の四つの問題点があると指摘されました。

  1. チェック機能がない
     調査結果を独立した立場から検証する仕組みがない

  2. 第三者性に欠ける
     顧問弁護士や市長が委嘱した幹部職員が関与している

  3. 対象が狭すぎる
     アンケート対象は最大29名、一般行政職約1200人のわずか2.4%にとどまる

  4. 質問が不十分
     アンケート項目は4項目で、実態把握に必要な内容が欠けている

ここで改めて確認したいのは、法的に問題がないことと、市民が納得できることは同じではないということです。


副市長人事が、疑念をさらに深めました

この問題が長引いた背景には、その後の副市長人事があります。

12月議会で、疑惑の当事者とされた幹部職員が副市長候補者ではないかという疑問が議場で提起されました。
これに対し市長は、個人情報を理由に明確な答弁を避け、「人事案と調査結果を結びつける質問には答えられない」という立場を取り続けました。

市民から見れば、
「疑惑の十分な検証より先に、人事だけが進んだ」
と映っても不思議ではない経過だったと思います。

このことが、行政への不信をさらに強めたことは否定できません。


2月の議長アンケート
── 議会の姿勢も問われました

2月13日、議長は全議員に文書を出し、「市民からの公正な選挙を求める要請」への対応について意向を問いました。
しかしその設計は、議長自身がすでに「回答不要」との考えを示したうえで、その理由への了承の可否を問う形になっていました。

しかも「回答不要」の理由は、
「市当局がすでに調査し、弁護士を交えて報告書を作成し、公表しているから」
というものでした。

けれども、議会に求められるのは、当局の調査結果が出たことをもって思考停止することではないはずです。
市民から疑問が出されている以上、議会としてどう受け止め、どう応えるのかを示すことこそ、本来の役割ではないでしょうか。

私は、この2月のアンケートの構造そのものに、当局の判断を追認する方向へ議論が誘導されていたのではないかという問題を感じています。
ここでもまた、議会のチェック機能が十分に働いていたのかが問われていたと思います。


3月25日の本会議 ── 何が争点だったのか

本会議での討論は、大きく二つの立場に分かれました。

賛成側

第三者調査を求める立場の主な主張は、次のようなものでした。

  • 市の調査は第三者性に欠け、組織的背景の検証が不十分

  • このままでは市民の信頼は回復できない

  • 誰にとっても納得できる公正な手続きこそが、疑念を解消する道である

反対側

不採択を求める立場の主な主張は、次のようなものでした。

  • 既存の規定に基づいた適正な調査が行われた

  • 新たな事実・証拠は示されていない

  • 第三者委員会の設置はコスト増大や市政の混乱を招く

争点を一言で言えば、こう整理できると思います。

「法的・手続的に決着した問題」とみるのか。
それとも、「市民の納得と信頼回復のために、なお第三者の検証が必要」とみるのか。

採決の結果は、不採択でした。
鶴岡市議会での議員の多数が「第三者による調査は不要」という判断をしたということです。


それでも、問われていることは終わっていません

採決の結果は出ました。
しかし私は、これで問題が終わったとは思っていません。

選挙の公正さは、民主主義の土台です。
その土台に疑念が生じたときに必要なのは、形式的な幕引きではなく、市民が納得できる説明と、信頼回復のための手続きです。

今回の経過から浮かび上がった問題は、少なくとも三つあります。

  • 法的に問題がないことと、市民感覚として納得できることは別である

  • 「個人情報」「人権」という言葉が、説明を避けるための盾として使われていなかったか

  • 議会自身が、行政をチェックする機能を十分に果たしたのか

この三つは、今回の請願の採否とは別に、今後も問われ続けるべき論点だと考えています。


おわりに

このnoteは、対立をあおるためのものではありません。
いま鶴岡市政で何が起きているのか、議会が何を判断し、何を判断しなかったのかを、市民の皆さんと共有するためのものです。

市役所の政治的中立性を守ること。
行政の説明責任を確かなものにすること。
そして、市民に開かれた議会のチェック機能を取り戻すこと。

これらは、一度の採決で終わる課題ではありません。
私はこれからも、必要な発信と議会活動を続けていきます。


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この問題の経過や、これまでの論点整理については、こちらの記事もあわせてお読みいただければ幸いです。