副市長人事、何が問題だったのか ――説明責任と議会の役割について、市民の皆様へ――
はじめに
12/19本会議における副市長人事をめぐる議論は、
市民の皆さんにとって、分かりにくい状況になってしまっており、
そのこと自体が問題だと考えています。
はじめに明確にしておきたいのは、
今回の議論は、特定の職員を疑うことが目的ではないという点です。
問題にしているのは、次の3点です。
調査が内部調査にとどまり、第三者性に一定の限界があったこと
調査結果と人事判断との関係について、説明が限定的だったこと
その状態のまま、議会に対して重要な人事判断が求められたこと
「市長選挙における職員の地方公務員法及び公職選挙法違反に係る調査報告書」の問題点については、この本会議の前日に行われた議員全員協議会の記事もご参照ください↓
本稿では、
まず私自身が本会議で行った反対討論の全文を掲載します。
そのうえで、当日の質疑・討論・表決の経過を振り返りながら、
市民への説明責任と議会の役割を整理します。
① 私の反対討論(全文)
※令和7年12月19日 鶴岡市議会本会議
副市長の選任議案について、反対の立場から討論を行います。
先ほどの質疑において、
本副市長候補者と調査対象者との関係について、
当局から明確な説明は示されませんでした。
個人情報への配慮は理解します。
しかし、調査対象者との関係性が明らかにされないまま、
議会に対して人事の可否を判断せよという状況は、
極めて不自然であります。
昨日の議員全員協議会では、
調査報告書が内部調査であり、
第三者性に限界があること、
法的評価も顧問弁護士一名の見解に依拠していること、調査範囲や影響評価にも課題が残ることなどが、当局による答弁から明らかになりました。
以上を踏まえますと、本副市長人事案に関し、調査対象者との関係について、当局から明確な説明がなされないまま、議会に判断を委ねるという状況にあります。
個人情報への配慮が必要であることは理解します。しかし一方で、人事の適否を審査する議会に対し、判断に不可欠な情報が示されないことは、議会の役割を著しく困難にするものです。
また、市民の側から見れば、調査報告書の位置づけや、その結果と人事判断との関係が説明されないまま、重要な人事が進められようとしていることは、説明責任が十分に果たされているとは言えません。
このような状況は、結果として、議会の審査機能を軽視しているのではないか、あるいは市民に対する説明責任を放棄しているのではないか、という疑念を生じさせます。
市民の理解と信頼を得るためには、まず必要な情報を丁寧に示し、議会と市民が判断できる条件を整えることが不可欠です。
副市長は、今後4年間にわたり、市政運営の要として、市長を補佐し、全庁を束ねる立場にあります。
その人事は、単に多数決で決められるものではなく、
本来、議会全体の信頼と納得、すなわち全会一致に近い合意のもとで選任されるべき性格のものです。
その前提が整っていない以上、本副市長選任議案は、現時点では判断すべき段階にないと考え、反対の意思を表明いたします。
② 質疑の冒頭で起きたこと
本会議では複数の議員から、副市長人事案を判断する前提として、
先に公表された市長選挙をめぐる調査報告書との関係を確認しようとする質問が出されました。
しかし、市長はこれに対し、
「個人情報保護の観点から答えられない」
として、調査対象者との関係について明言を避けました。
また、その質問の途中で、議長から
「人事議案と調査報告書は関係ない」
「無関係の発言である」
として、発言を制止される場面がありました。
結果として、
人事判断の前提となる説明が十分に行われないまま、質疑が進んだ
というのが、当日の本会議の実際の姿でした。
③ 討論と表決の構図
質疑の後、討論が行われました。
反対討論:3件
(共産党、市民と歩む会、無所属1名)賛成討論:なし
<表決結果>
賛成 創政クラブ(自民系)13名、公明党3名、希望のつどい1名
反対 共産党4名、市民と歩む会3名、無所属1名
退席 希望のつどい2名
賛成討論が一件も行われなかったため、
市民に説明責任が果たされていません。
賛成者の誰一人として「なぜこの人事に賛成なのか」
「疑惑については問題ないのか」を、
会議録に残る本会議の場で語ろうとしなかったのです。
なお、前日の議員全員協議会に引き続き、傍聴者も多く、
市民の関心の高さが感じられる本会議でした。
④ 何が十分に議論されなかったのか
今回の本会議で十分に示されなかったのは、
個々の職員の評価や資質ではありません。
問題となったのは、
人事判断の前提となる説明と手続きです。
具体的には、
調査が内部調査にとどまり、第三者性に一定の限界があったこと
調査結果と副市長人事との関係について、説明が十分でなかったこと
その状態で、議会に重要な人事判断が求められたこと
これらは、
「誰かを疑うかどうか」という問題ではなく、
市民に対して説明責任が果たされているかどうか
が問われているのだと受け止めています。
⑤ 副市長人事に本来求められるもの
反対討論でも述べたとおり、
副市長は単なるポストではありません。
市政運営の中枢に立ち、
職員組織の信頼と協力を前提として、
リーダーシップを発揮する役職です。
だからこそ、副市長人事は、
単に多数決で決めるのではなく、
議会全体として、
幅広い信頼と納得が得られる状態で
判断されることが望ましいと、私は考えています。
市民に対して十分な説明責任を果たせない状態で、
重要な人事判断ができるのか。
私はその一点から、
本副市長人事案に反対の意思を示しました。
おわりに
今回の副市長人事は、結果として可決されました。
しかし、議論を通じて明らかになった課題は、
決して小さなものではありません。
市当局と市議会は、どちらが上でも下でもなく、
市政を前に進めるための「車の両輪」です。
市長が執行を担い、議会が監視と検証を担う――
それが、地方自治における二元代表制の基本です。
だからこそ、
副市長のような重要な人事にあたっては、
市当局から十分な説明が尽くされ、
議会がその内容を市民の立場で検証し、
責任をもって判断できる環境が不可欠だと考えています。
今回の議論では、
その前提となる説明や共有が十分であったとは言えず、
私は議会の一員として、
この点を看過することはできませんでした。
市民の信頼こそが、市政運営の基盤です。
その信頼を守り、積み重ねていくために、
これからも私は、
議会の一員としての役割と責任を自覚し、
事実と論理に基づいて問い、声を上げ続けていきます。
