「食から経営を変える」の前に、守らなければいけないもの
「本当に食で経営って変えられるんですか?」
先日のモダンホスピタルショウ。
ブースに掲げた「食から、経営を変えた病院がある。」というコピーを見た方から、こう聞かれました。
率直に投げられたこの一言で、「食と経営って、まだそんなに結びついていないんだな」と改めて実感しました。
経営に必要なのは「攻め」か「守り」か
経営と聞くと、何が思い浮かびますか。
いかに点数を取るか。
ベッド稼働率をどう上げるか。
コストをどう削減するか。
今なら、DXという言葉も並ぶかもしれません。
そんな中でいきなり「食」と言われても、ピンとこないのは当然だと思っています。
でも、実際に食は経営に大きな影響を与えます。
経営には、攻めの経営と守りの経営があると思っています。
点数を取りにいく、稼働率を上げる、新しい収益源をつくる。
これは攻めの経営です。
一方で、今ある足元を守り、崩れないようにする。
これが守りの経営です。
「食から経営を変えた」というコピーは、攻めの話に見えて、その手前に守りの土台があって初めて成り立つということを伝えたかったのです。
攻めの施策がどれだけ優れていても、足元の「食を止めない」体制がなければ、その効果は積み上がっていきません。
土台がないまま攻めても、いずれどこかで崩れてしまう。
この順番を、私自身、現場の方と会話を重ねる中で強く感じるようになりました。
食が止まったら、何が起きるか
もし今、給食が止まったら。そう考えたことはありますか。
まず起きるのは、新規の患者さまを受け入れられなくなることです。
食事の提供体制が整っていない状態では、入院そのものを止めざるを得ません。
ベッドが空いていても、埋められない。
すでに入院されている患者さまへの影響も、避けられません。
食事は治療の一部です。
栄養が届かなければ回復は遅れますし、何より入院生活の中で数少ない「楽しみ」でもあります。
そして、一度でも「あの病院は食事が止まった」という話が広がれば、風評被害につながります。
医療の質そのものは変わっていなくても、「なんとなく不安」というイメージだけが独り歩きしてしまう。
つまり、給食が止まるというのは、厨房現場だけではなく経営にも直結する問題です。
患者さまの受け入れ、既存の患者さまの回復、地域からの信頼といった経営の土台そのものが、静かに揺らいでいくということだと思っています。
まず、守り補強することから始めませんか
リスクに対して先手を打てているかどうかで、5年後、10年後の景色は大きく変わります。
崩れてから直すのではなく、崩れる前に見直しておく。
その差は、今はまだ小さく見えても、いずれ大きな差になっていくはずです。
「食から経営を変える」というのは、コスト削減や加算取得という話だけではありません。
その手前に、「食が止まれば、経営も止まる」という現実があります。
そのためにできることは、給食のあり方を、一度抜本的に見直すことだと考えています。
委託か直営か、人手は足りているか、止まるリスクはどこに潜んでいるか。
今の体制を、まず知ることから始めてはいかがでしょうか。
