札幌「青春を返せ裁判」法廷証言から③④~原告が「監禁」を認める/「洗脳教育を受けた」と統一教会を提訴【修正版】
※11月16にアップしたとき、うっかりして連載④に別の回を載せてしまいました。「なんか変だな」とは思ったのですが…。
正しいリンクを張り直し、私の解説文も改めました。既読の方には、お詫びして訂正いたします。
統一教会を訴えた原告への反対尋問~札幌「青春を返せ裁判」
①②の続き。
連載第9部の第3回は、旧統一教会(家庭連合)を訴えた札幌「青春を返せ裁判」で1990年に第2次提訴した4人の原告の1人、吉岡富子さん(仮名、当時20代前半)に対し2000年6月20日に行われた反対尋問を取り上げました。
吉岡さんは「自分は監禁されて脱会説得を受けたわけではない」という趣旨の発言をしますが、被告・統一教会側の代理人が脱会説得時の状況を尋ねると、外形的に見てそれは「監禁」としか言いようのないものだったことが明らかになりました。
こんな具合です。
代理人 あなたにとっては使いたくない言葉でしょうけれども、事実としては監禁されたでしょう。
吉岡 一応別の場所に移されてっていう形では。
代理人 部屋から出られないようにされたでしょう。
吉岡 はい。
代理人 それは鉄筋のアパートですか。
吉岡 それはクリスチャンセンターです。
代理人 入り口は、カギは掛けられて。
吉岡 確かカギは掛かっていたかもしれません。
代理人 他の人がカギを持って、あなたは自由に出入りはできないと、そうですね。
吉岡 そうだったかもしれません。
代理人 で、カウンセラーっていう人が来られたんでしょう。
吉岡 はい。
代理人 パスカル(編注・脱会屋のフランス人)っていう人ですか。
吉岡 そうです。
代理人 その人に聖書を示されて、原理講論(編注・統一教会の教理本)はこういうふうに間違っていますよということを一々対比しながら教えられたわけね。
吉岡 はい。
代理人 それ、自分が今信じていることの侵害だと思わなかった。
吉岡 初めは思いました。
代理人 思った。
吉岡 ええ、(教理の本などを)開いている振りをして、聞いていませんでした。
「別の場所に移された」「部屋から出られないようにされた」「他の人がカギを持って、あなたは自由に出入りはできない」。
これらの状況から、吉岡さんが監禁されたことに疑いの余地はありません。
そして、吉岡さんはこの監禁部屋で、パスカルという人物から『原理講論』の間違いをあれこれ指摘され、それを初めは「自分が今信じていることの侵害だ」と思ったと言っています。
以上のやり取りで驚くのが、監禁場所が「クリスチャンセンター」というキリスト教の施設だったことです。
日本のキリスト教界は、キリスト教の公的施設が旧統一教会(現家庭連合)信者の監禁場所として使われたことについて、どう考えるのでしょうか?
また「監禁」を棄教もしくは改宗を迫る手法として使うことに、良心の呵責を感じなかったのでしょうか?
拙noteで繰り返し指摘しているように、監禁は刑法第220条の逮捕・監禁罪にあたる犯罪行為です。
統一教会の解散事由(東京地裁)は民法の不法行為ですが、監禁は刑法犯罪なのです。民法の不法行為とは次元が違います。
そして、刑法第220条は、たとえ家族が監禁しても、それは同条に該当するとしています。「家族の話し合い」という理由付けは、法的には通用しません。
吉岡富子さんを監禁した家族は、刑法第220条に抵触する犯罪を犯しました。
監禁場所にやってきたパスカル氏は、吉岡さんの意思に反して棄教・改宗を迫ったことから、それがあらかじめ決めた手はず通りであるなら、監禁の教唆(きょうさ。そそのかすこと)または幇助(ほうじょ。手助けすること)の罪に問われる可能性があります。どちらも刑法犯罪です(第61条、第62~63条)。
手はず通りでなくても、パスカル氏は監禁されていることを知りながら脱会説得をしたわけで、民事訴訟になった場合、違法行為と認定されるのは間違いありません。
実際、2000年8月の鳥取地裁判決で、神戸真教会の高澤守牧師が、
「一般的に宗教的活動は自由であるとしても、右のような状態(棄教目的で逮捕監禁されている状態)にある原告に対し、その状態を知りながら、原告の意思に反する宗教活動を行うことは、正当な業務活動であるということはできない」
として、その行為の違法性を認定されました。(『拉致監禁』家庭連合編、2022年、光言社)p.154)
なお、文中のパスカル氏は、「救出カウンセラー」を自称するパスカル・ズィヴィです。1995年に『マインド・コントロールからの脱出~統一教会信者たちのこころ』という本も書いています。
原告は「洗脳教育」を受けて統一教会に取り込まれ、「救出」されたと主張
2013年2月7日付の連載第9部第4回は、タイトルが「原告の1人が出した『脱会届』」。しかし、これは本文の内容とマッチしないタイトルです。
この回は、第3回同様、札幌「青春を返せ」裁判の原告に対する被告・統一教会側代理人による反対尋問を取り上げ、脱会に至るプロセスに「監禁」があったことを立証しています。
登場するのは、内田美子さん(仮名)と武田敏子さん(仮名)。
内田美子さんは「洗脳教育を受けて、統一教会に取り込まれていたところを1989年7月に救出された」と主張しました。
『世界日報』によれば、内田さんのプロフィールは次の通りです。
原告の内田美子さん(仮名)は高校卒業後、札幌市の看護学院に学んでいる時に、統一教会に伝道された。
前回の吉岡富子さんと同様、請求の原因として「統一協会(ママ)による洗脳教育を受けて、その組織に取り込まれていたところを平成元(1989)年7月に救出されたものである」という。
平成2(1990)年に提訴した1人で、内田さんはその時、20代前半だった。
2000年3月7日に実施された反対尋問で、内田美子さんは「救出された」という主張とは裏腹に、監禁されたことを認めています。「監禁された」とは言っていませんが、話している内容が、外形的に見れば監禁そのものだからです。
以下、こんな具合です。
代理人 あなたが統一教会を脱会したことについて伺いますが、どこかマンションに連れていかれたんじゃないですか。
内田 私は、旅詰(旅先で寝泊まりする所)みたいなとこでホテルというとこかな。薄野(すすきの、編注・札幌市中央区の繁華街)にあるマルスガというビジネスホテルでした。
代理人 そのビジネスホテルにずっといたんですか。
内田 はい、いました。
代理人 それは、だれが契約して借りたか分かりますか。
内田 うちの親です。
代理人 合計何日間、そこを借りたんですか。
内田 土曜日に入って土曜日に出たので8日間ですね。
代理人 フロアは何階だったんですか。
内田 2階だったと思うんですけど。
代理人 あなたは、自由に出入りはできなかったんでしょ。
内田 あ、できません。
代理人 鍵が掛けられてたの。
内田 はい。
1990年提訴組の1人、武田敏子さん(仮名)は、高校を卒業後、北海道のバス会社に勤務しているときに勧誘され、入信しました。提訴した時は20代半ば。
彼女も事実上、監禁を認めました。
代理人 あなたは妹さんが借りていた部屋に何日間ぐらいいましたか。
武田 私は1週間くらいいたかと思います。
代理人 部屋から自由に出入りできましたか。
武田 いいえ、できませんでした。
代理人 かぎ掛かっているわけね。
武田 はい。
(中略)
代理人 あなたが妹さんの部屋にいたときに、外部のビデオセンターのスタッフとは、自由に連絡が取れましたか。
武田 統一協会側のですか。
代理人 ええ。
武田 いいえ、取れませんでした。
第3回、4回の記事では「拉致」の状況は明らかにされませんでした。
しかし、ここまで見ただけでも、札幌「青春を返せ裁判」の原告のうち3人が「監禁されていた」ことは否定しようがありません。
連載第5回以降も、原告への反対尋問(の記事)が続きます。
⑤⑥へつづく
