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札幌「青春を返せ裁判」法廷証言から⑦⑧~監禁7日目で考え出す/「マインド・コントロールが解かれた」


原告は「拉致・監禁による脱会強要」の被害者

⑤⑥の続き。
今回は『世界日報』連載の第9部第7回(2013年2月10日付)と第8回(2月11日付)。
1987(昭和62)年に始まり、2001(平成13)年6月29日に地裁判決が出た札幌「青春を返せ裁判」。この裁判で被告・統一教会側が原告の元信者1人1人に反対尋問を行ったところ、その多くが監禁下で脱会の説得を受けたことを認めました。
自発的に監禁される人はいませんから、監禁されたということは、ほとんどの場合、その前に拉致があったはずです。すなわち、原告の証言は、彼らが「拉致・監禁による脱会強要(強制棄教)」の被害者だったことを雄弁に物語るものです。
第7回では、原告の木山ゆう子さん(仮名、当時30)が1999(平成11)年12月14日の反対尋問で答えた内容が紹介されています。

疑似科学の「マインド・コントロール」を真の科学と信じ込まされた悲劇

第8回では、反対尋問に答えた原告の1人が、「自分はマインド・コントロールされていたが、監禁中に受けた説得でマインド・コントロールを解かれた」と不思議な主張をしました。
その1人とは、2000(平成12)年3月7日の被告・統一教会側の反対尋問に答えた井上しげ子さん(仮名)です。

井上さんは「私は統一教会でマインド・コントロールされていた」と言うのですが、「マインド・コントロール」は疑似科学です。
科学的に認められた概念ではなく、日本にも海外にも、「あなたはマインド・コントロールされていて、自己決定能力や責任能力を欠いている」と臨床的診断を下せる(科学の世界で承認された)専門家は1人もいません。
心神喪失や心神耗弱は、精神科医が一定の時間をかけて患者を診察し、様々な検査や調査を重ねて結論を出しますが、マインド・コントロールに関しては、そういうことのできる専門家(自称専門家ではなく、科学界で承認された専門家)は存在しないのです。
それなのに、井上さんはどうして自分がマインド・コントロールされていたと分かったのでしょうか?
井上さんは、脱会支援者や牧師に「あなたはマインド・コントロールされている」と言われたと考えられます。
しかし、その人物は、いかなる科学的根拠と臨床的な診断の結果としてそう言ったのか?
実際には科学的根拠など何もなく、国内外で通用する共通の診断基準も存在しないわけで、井上さんは監禁下で脱会説得を受けるうちに、脱会支援者や牧師に「あなたは統一教会でマインド・コントロール(MC)されていたが、いま私たちの話を聞いてMCが解けた」と言われ、それを信じ込んだのでしょう。
つまり、井上さんは疑似科学を真の科学と思い込まされ、脱会支援者や牧師にだまされたのです。
連載第8回は、記事をこう締め括っています。


日本で「マインド・コントロール」という言葉がしばしば使われるようになったのは、平成5(1993)年、新体操の選手で元統一教会員だった山崎浩子さんの退会が機だった。
その「マインド・コントロール」を主唱したのは米国の心理学者、マーガレット・シンガーで、1983年に米国心理学会(APA)に委嘱されて研究。「日常的な説得技術の積み重ねにより、しかも本人に自分がコントロールされていることを気付かせることなく、強力な影響力を発揮し、個人の信念を変えてしまう」とその存在を報告した。
しかし、1987年、APAは科学的裏付けを欠くとして、その報告書自体の信憑性を否定した。


⑨⑩へつづく