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仲正昌樹・金沢大学教授の会見テキスト(「公平・公正な裁判を求める有識者の会」)~旧統一教会「解散」問題


売れっ子哲学者で元信者の仲正昌樹氏

前回投稿の続き。
仲正昌樹・金沢大学教授は1981年4月~92年10月まで旧統一教会の信者でした。その間、全国大学連合原理研究会(CARP、現World CARP JAPAN)に所属してドイツでも活動、帰国後は教団系日刊紙『世界日報』の記者となり、その2年半後に脱会しています。
仲正氏が一躍、注目を浴びたのは、2009年に『Nの肖像~統一教会で過ごした日々の記憶』(双風舎)を刊行した時です。
現役の国立大学教授でありながら、悪名高い「カルト教団」の信者だった過去を洗いざらい公にしたことが、驚きと好奇の眼差しをもって受け止められました。

ちょうど気鋭の哲学者として“売り出し中”だっただけに、反響も大きかったのだと思います。(同書はのちに『統一教会と私』と改題されて、論創社から再刊)
その後、仲正昌樹氏は次から次へと新刊を出す売れっ子哲学者となり、大きな書店の哲学書売り場に行けば「仲正昌樹」コーナーがあるほどです。
2017年にはNHKの人気教養番組「100分de名著」に出演し、ハンナ・アーレント『全体主義の起源』の解説を行いました。

以下は、8月6日の「公平・公正な裁判を求める有識者の会」の記者会見動画と発言テキストです。

中山達樹 次は仲正昌樹先生、金沢大学の法学部の教授で、政治思想などが専門でございまして、いろいろ中の事情をご存じのようなので、貴重なお話が聞けると思います。それでは仲正先生、宜しくお願いいたします。

旧統一教会の将来に関心はないが、解散命令のプロセスはおかしい

仲正昌樹 ご存じだと思いますが、私は元信者で92年10月に脱会しています。30年近く、時々、昔の知り合いから連絡があったりするんですけど、あんまり関わらないようにほぼ無視してきたんですが、やはりこういう事態になりまして……。
現在でも、やっぱり昔のよく知っている人とちょっと話をすると気まずいこととかありますし、私もそんなにいい宗教だと思ってたらそもそもやめてないわけですから、今でも、これははっきり申し上げますと、私は解散命令のプロセスはおかしいと思ってますが、じゃあ、この旧統一教会がこの後どうなっていくかということに対しては、はっきり言ってどちらでもいいと思います。
このプロセスだけはやはりおかしい。それはなぜかというと、あまりにも実態と懸け離れていると。
それを、元信者の立場として申し上げたいのは、いろいろ言いたいことはあるんですが、まず3点申し上げておきたいと思います。

「地獄に落ちるぞ」なんて言われたことはない

これ、よく報道で統一教会は地獄に落ちると、「~しなかったら地獄に落ちる」という脅し方をして献金させる。
それから無理な活動をさせるということを、ずっと言われてますけれど、私は11年半(信者でしたが)、確かに地獄という概念が全くないとは言わないですけれど、教義の中で「~をしなかったらお前は地獄に落ちますよ」というようなものはないです。
それははっきり申し上げられます。
私はやめたときに、いわゆる合同結婚式の「祝福」を解消したんですけれど、それでそれなりに揉めました。説得も受けました。
でも、その時も、「祝福」を解消して出ていったらお前は地獄に落ちるなんてひと言も言われてません。
私はあまり良い信者じゃなかったので、しょっちゅう内部でもめ事を起こしてました。
教会長の徳野さん(後に統一教会会長になった徳野英治氏)なんかにしょっちゅう怒られて、「出てけ」と言われましたけど、その時に「出てってお前地獄に落ちるぞ」なんてひと言も言われた覚えはないです。
だからこれは、ひょっとしたら「地獄に落ちる」という言い方をしてる人はいたかもしれないですけど、これは一般的ではないです。これは申し上げておきます。


【注記1】
仲正昌樹氏の指摘は正しい。
マスコミや文部科学省、そして多くの国民は、「~しなかったら地獄に落ちる」を旧統一教会の教義と思い込んでいるようですが、これは大きな勘違いであり、誤解です。
このことは意外にも裁判所が認定しているのです。
以下の記事をご参照ください。


人を思い通りに操作できる「マインド・コントロール」は虚構!

もう一つ、マインド・コントロールの話ですけど、今さらですが、時々、教団の人も冗談で仰ってますけど、マインド・コントロールの技術があったら、もっと自分が世の中で出世するために生かしてますよ。
そんなものを習った覚え、一切ないです。習ったらもっとうまく世渡りしてるよと思います。
マインド・コントロールって一体何をもってマインド・コントロールと呼ぶかによりますけれど、私は宗教というのは、まあ宗教じゃなくても、人間は団体生活をしてたらそれなりにマインド・コントロールはあると思います。
じゃあ、統一教会で集団生活、今はあまりしてないですが、集団生活をしてれば、それなりにあったと思います。一緒に何十回も祈祷したりすれば……。
ただ、「こうやったらこの人間はこういうふうに言うことを聞くというような技術」は、1回も教えてもらった覚えはないし、それをされていたら、私はやめてないです、どう考えたって。
私以外にしょっちゅうやめてる人間を見てますけど、その人たち、いろいろ恨み言を言ってる人もいれば、わりと平気に「もう関係ないよ」という人もいるし……。
そんなにすごいマインド・コントロール技術はどう考えたってないと。
これは、流布しているのはかなりの虚構であると言っていいと思います。

文科省は「被害者」の話しか聞かない。なぜ「被害」を与えたという信者に話を聞かないのか?

それから最後の3点目ですけれど、解散請求の過程において、現役信者の人の意見って聞いてないと。
被害者の元信者の方がいらっしゃると、そういう人がいるかいないかって個別のケースの問題になるので私はそれを全否定なんかしたりしません。本当に被害者といわれるような人はいるかもしれません。
ただし、被害者がいるんだったらその人に加害を与えた信者がいるはずなんです。現役なのか、その人も元信者になっているのか知らないけれど、それだったら、少なくとも被害を与えたという人の話を聞くべきだと思いますが、文科省はそんなこと一切やってません。
私はもうかなり元信者としては、いろいろ名前を売ってると思いますし、たぶん文科省は、金沢大学には仲正という問題(児)が、というか、いろいろ文句を言う教授がいるなぐらいの認識はあると思うんですけど、ではそのいろいろ文句を言っている仲正に1回でも文科省から問い合わせがあったかというと、ないです。
で、私にさえ聞いてないぐらいだから、本当に現役信者に対してはほぼ関心ないんじゃないかと。そういう状態で統一教会のイメージだけが増幅していく。それはあまりにも不公正ではないかということで、この解散命令のプロセスはおかしいということで反対させていただいてます。


【注記2】
仲正昌樹氏は、22年夏の事件以来、いろいろなメディアに呼ばれて対談や寄稿を行ってきましたが、何しろ哲学者ですから、『宗教を哲学する』のような日本人の宗教観や政教分離の問題を考察した難しい本も出しています。

一方、一般読者向けでは、『月刊正論』への寄稿「旧統一教会が『闇の政府』という妄想」が読みやすく、タイトル通り、旧統一教会が自民党や政府を乗っ取って日本の政治を意のままにしようとしている(もう少しでそうなるところだった!)というような巷に流布する言説を、荒唐無稽な妄想と斬って捨てています。
また、「マインド・コントロール」の非科学性を実体験に基づいて明らかにしており、この点は記者会見でも強調されました。
もう1冊、解散命令に関して、『宗教問題』への寄稿「このまま旧統一教会を解散させていいものなのか」も読んでおきたいところです。


9月13日投稿へつづく。