「脱会説得のための監禁は違法」②~12年5か月監禁された旧統一教会信者の民事判決。断罪された牧師と脱会支援者
1,12年5か月監禁された旧統一教会信者の民事判決~2015年確定
①からの続き。
12年5か月もの間、監禁され、脱会を強要され続けた後藤徹氏が民事で家族と協力者を訴えた裁判の東京高裁判決(2014年11月、翌15年9月に最高裁で確定)から、一部ピックアップしてご紹介します。
(1)判決と主文。被告代理人は山口広弁護士ら。霊感弁連に所属
判決の全文(個人名伏せ字版)は、「鈴木エイト名誉毀損訴訟 原告後藤徹氏を応援するブログ」で公開されています。
まずは判決と主文から。


というわけで、「拉致・監禁による脱会強要」を行った後藤徹氏の家族3名ならびにその協力者、松永堡智(やすとも)牧師と脱会請負人・宮村峻(たかし)氏に損害賠償、合計2200万円の支払いが命じられました。
なお、暴力的脱会請負人としてその界隈で知らない人のいない宮村峻の代理人は、霊感弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会。全国弁連)の山口広弁護士でした。
2,「監禁と脱会強要を幇助した」宮村峻氏を、立憲民主党はヒアリングに招いた
なお、この宮村峻(たかし)氏は、本判決で「監禁と脱会強要を幇助(ほうじょ)した」「教唆(きょうさ)ないし幇助したといわれても仕方のない行動をとった」と指弾された人物なのに、立憲民主党旧統一教会被害対策本部(本部長・西村智奈美衆院議員)は2022年8月18日、「脱会支援者からのヒアリング」と称して宮村氏を招き、話を聞いたのです。
この会合で宮村峻は「旧統一教会からの脱会を支援してきた」と紹介されていますが、その脱会支援なるものの実態が、違法な「拉致・監禁による脱会強要(強制棄教)」であったことは明らかです。
民法上の不法行為を働いたと認定され、損害賠償の支払いも命じられたのですから。
立憲民主党は、最高裁の確定判決を踏みにじる暴挙を行ったと言わざるを得ません。本当に信じがたいことです。
党同本部特別参与の有田芳生氏は、宮村峻について次のように述べました。
旧統一教会の創始者で、今もメシアと位置づけられ信者たちの結束の中心的な文鮮明教祖に対し、「裏メシア(恨めしや)」と呼んできたのが宮村さんだと紹介。
1985、87年に朝日新聞やアサヒジャーナルで統一教会の原理運動、霊感商法の批判をした当時からこの問題に関わり、多くの信者の脱会に多大な力を尽くしてくるとともに、今メディア等で元信者が発言をしていることも、宮村さんの力が大きく働いている……
立憲民主党旧統一教会被害対策本部会合22年8月18日
(1)疑似科学の「マインドコントロール」を持ち出した立憲民主党
さらに、石橋参院議員は記者団に対し、
「宮村さんからは、長年にわたる脱会支援の活動紹介と、なぜ信者の方々は自ら脱退とならないのか、完全にマインドコントロールの状態に陥っている中いかに脱会が難しいのかなど、貴重なお話をいただいた」(同上)
とコメントしたそうです。
疑似科学の「マインドコントロール」を持ち出すのは、都市伝説や陰謀論の類いを信じ込むのと同じレベルの話です。
野党とはいえ、参院議員ともあろう人が、いともたやすく疑似科学にだまされるとは驚き呆れるばかりです。
かつて立憲民主党の長妻昭議員は、TVの報道番組で「『マインド・コントロール』という本まで書いている紀藤正樹先生」と言って、マインドコントロール論者の紀藤氏を褒めそやしました。
立憲民主党は、紀藤氏の『マインド・コントロール』(アスコム、決定版2017年刊)を必読書指定したのかもしれません。
(2)「どんな相手にも言い負かされない」紀藤正樹弁護士の秘策は「負けそうな相手とは論争しない!」
しかし、この本は既に、23年3月刊行の『間違いだらけの「マインド・コントロール」論~紀藤正樹弁護士への反論と正しい理解』(魚谷俊輔著、賢仁舎)によって、けちょんけちょんに論破されており、「どんな相手にも言い負かされない30の鉄則」を駆使するはずの紀藤氏が、なぜか同書の反論や批判には口をつぐんでスルーしています。
確かに、負けそうな相手とは論争しないのが一番です。論争しなければ言い負かされることもないですから。
紀藤弁護士にとっては、これこそ31番目の鉄則、あるいはとっておきの秘策なのかもしれません。
ちなみに、旧統一教会に関連した民事裁判でも、「マインドコントロール」は否定されています。
(3)裁判所は「マインドコントロール」概念を、司法的判断の役に立たないと一蹴
例えば、「青春を返せ訴訟」の1998年3月名古屋地裁判決は、
「いわゆるマインドコントロール」は、それ自体多義的であるほか、一定の行為の積み重ねにより一定の思想を植え付けることをいうと捉えたとしても、原告らが主張するような強い効果は認められない」
と判示しました。
2000年9月の「霊感商法」をめぐる広島高裁判決も、
「本件事案において、不法行為が成立するかどうかの認定判断をするにつき、右概念(注・マインドコントロール概念)は道具概念としての意義をもつものとは解されない(前示のように、当事者が主観的、個別的には自由な意思で判断しているように見えても、客観的、全体的に吟味すると、外部からの意図的操作により意思決定していると評価される心理状態をもって『マインドコントロール』された状態と呼ぶのであれば、右概念は説明概念にとどまる)」
と述べて、司法的判断の役に立たないと一蹴しました。
なお、オウム真理教事件の刑事裁判でも、「マインドコントロール論」の司法的不採用が最高裁によって追認されています。
3,完全勝訴した民事判決の詳細
(1)「客観的には監禁と評価されても致し方のないものであった」
次に、判決文の「事実及び理由」から特に重要と思われる箇所をいくつかアップします。


控訴人(注・後藤徹氏)は……平成7年9月11日当時、既に31歳で、特に他者の介護や補助を受けなければ日常生活等に支障があるという状態ではなかったことは明らかであるから、親兄弟といえども、控訴人を別個独立の人格を有する個人として十分に尊重しなければならないことは当然のことであり、控訴人の信じている宗教の内容が親兄弟の考え方と異なるからといって、任意の説得の範囲を超え、有形力を行使して、その自由な意思や行動を制約し、強制的に統一教会からの脱会を迫ることは、もはや社会的に許されている親子兄弟による任意の説得の範囲を超えるものであって違法であり、客観的には監禁と評価されても致し方のないものであったと認めるのが相当である。
(甲13‐2 後藤裁判控訴審-判決文〈個人名伏せ字版〉)より
判決は「有形力を行使して、その自由な意思や行動を制約し、強制的に統一教会からの脱会を迫ること」は、「社会的に許されている親子兄弟による任意の説得の範囲を超えるものであって違法」としました。
最高裁がこれほど明確に判示したのに、なおこのような行為を「保護・説得」「救出」などと呼び、正当化する輩が後を断たないのはなぜでしょうか?
紀藤正樹弁護士はじめ全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の人たちや一部国会議員、一部牧師や脱会請負人(注・脱会屋とも言う)、マスコミなどは、旧統一教会を叩くにはどうしてもこの概念が必要だと考え、手放すことができない、いや手放したくないのでしょう。
疑似科学にコロッとだまされ、何度その誤りを指摘されても目が覚めない人たちが、旧統一教会信者を「だまされた人」扱いするのは、全くもって笑止千万としか言いようがありません。
「少しは自分の頭を使ってみろ!」と言いたいですね。
(2)松永堡智牧師は「旧統一教会信者の監禁を教唆していた」
判決文の「事実及び理由」の続きです。


判決文中にある「荻窪フラワーホーム」は監禁場所の1つです。間取り図は以下の通り。

図に「原告の居場所」と書かれています。この部屋に閉じ込められた信者が、自らの意志で自由に外に出られるわけがありません。
物理的に監禁して行う脱会説得を、言葉の正しい意味での「説得」と呼べるでしょうか? 「呼べる」と言う人は、良心が完全に麻痺した人か、悪魔に魂を売った人だけでしょう。
(3)脱会請負人・宮村峻氏と松永牧師は「監禁と脱会強要を幇助した」

控訴人(注・後藤徹氏)に脱会を説得するため、控訴人の自由を制約することは、これまでにも述べたとおり、控訴人の個人の自由や尊厳を侵害するものであって、違法なものといわざるを得ない。しかも、本件でもそうであったように、控訴人において統一教会から脱会するとの意思を表示しても、それが真意に基づくもので、確実なものと確認できるまで、引き続いて控訴人の拘束を続けていたものであるから、結局、被控訴人<兄>らの行為はもとより、その幇助とみなされる被控訴人松永や被控訴人宮村の行為についても、控訴人に対して統一教会の信仰を捨てることを強要していたものといわざるを得ない。
上記のとおり、被控訴人松永、被控訴人宮村も、被控訴人<兄>らが控訴人を統一教会から脱会させるために本件の一連の行動を取ったことについて、教唆ないし幇助といわれても致し方のないような行動を取っており、被控訴人<兄>らと共同不法行為の責任を負うべきものというべき。
(甲13‐2 後藤裁判控訴審-判決文〈個人名伏せ字版〉)より
もう十分です。詳しくは公開されている判決全文をお読みください。
後藤徹氏が会長を務める「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」のウェブサイトでは、詳細な証拠や資料を見ることができます。
③へ続く
