「脱会説得のための監禁は違法」③~『月刊住職』が「統一教会は多数の刑事事件で被告になった」とデマ報道
1,「宗教団体とは縁遠い犯罪の数々」を挙げ、旧統一教会バッシング~『月刊住職』2022年9月号
(1)旧統一教会に取材せず、全国霊感商法対策弁護士連絡会の偏った情報を鵜呑みに
②からの続き。
『月刊住職』2022年9月号の統一教会特集は、反統一教会の時流に便乗したひどい内容でした。
もう3年近く前の発行ですが、こういう悪質な報道が日本列島を覆い尽くしたことで世論が沸騰し、旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)への質問権行使、寄附の不当勧誘防止法の制定、文科省による解散命令請求につながったのだと思います。
記事は極めて悪質です。どこが悪質かといえば、旧統一教会に全く取材していないのです。主たる情報源は、全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会。霊感弁連)でしょう。
自称被害者側に立つのが全国弁連だとすれば、彼らは一方当事者にすぎません。もう一方の当事者である旧統一教会に取材しないのはどう考えてもおかしい。アンフェアです。
(2)「統一教会が刑事事件を起こした」と読者に刷り込む意図。『月刊住職』の記事
3本の特集企画のうち、ここでは編集部執筆とおぼしき「刑事民事判決から見る統一教会の脱法行為と返金条件」を取り上げます。
そこには、こんなことが書かれています。
「統一教会は被害者からの提訴により、多数の刑事事件でも法廷の被告人席に立たされてもいるのだ」
「実際はもっとたくさんあるのだが、紙幅の都合上、15件の統一教会の信者が関与した刑事事件をまとめた。事件の主な類型を見ると、①監禁致死、②効能をうたった食品を売り付ける薬事法違反、③窃盗、④霊障があるなどとして金品の支払いを強要する恐喝、⑤弁護した弁護士に対する名誉棄損、⑥信者による交通事故などによる業務上過失致死、⑦信者となった者の目を覚まさせるために説得している親族に対する暴行、⑧公職選挙法違反、⑨悪質な勧誘販売である特定商取引法違反、⑩韓国人と結婚した日本人女性による殺人事件などである」
「表2をご覧の通り、刑事事件は全国で起きている。およそ宗教団体とは縁遠い犯罪の数々だが、現実に統一教会の信者によって引き起こされた犯罪なのである」
『月刊住職』22年9月号
「刑事民事判決から見る統一教会の脱法行為と返金条件」
「刑事民事判決から見る統一教会の脱法行為」(記事のタイトル)
「統一教会刑事民事判決の現実」(同じ記事の目次)
「統一教会は……多数の刑事事件でも法廷の被告人席に立たされている」
「およそ宗教団体とは縁遠い犯罪の数々」
こういった表現を使うことで、『月刊住職』編集部は、宗教法人としての統一教会が脱法行為、刑事事件、犯罪を犯したと読者に印象付けようとしました。
本文で「統一教会の信者が関与した刑事事件」「統一教会の信者によって引き起こされた犯罪」と書きながらも、それは同時に宗教法人統一教会の刑事事件や犯罪でもあるのだ、というニュアンスが露骨に出ています。
(3)旧統一教会の幹部、職員、聖職者が起こした刑事事件は1つもない
しかし、宗教団体の起こした犯罪と信者の起こした犯罪では、その意味や重みが全く違います。
仏教教団の場合でも、宗派の幹部クラスや寺院の住職が起こした犯罪と檀家信徒が起こした犯罪を同列に扱うことはできないはずです。
実際、『月刊住職』が「およそ宗教団体とは縁遠い犯罪の数々」として挙げた事例には、統一教会幹部が起こした犯罪は1つもありません。教団職員や聖職者が起こした犯罪も見当たりません。
唯一、目を引くのは、今から55年前に起きた監禁致死事件です。
これは同誌によると、「原理研究会」の特別修練会中に18歳の男性が発狂状態となり、信者らが押さえつけて監禁したところ、2階の窓ガラスを割って転落し死亡したというもの。同会の事務局長に執行猶予判決が下りました。
しかし、この人物は統一教会の関連団体の事務局長ではあっても、宗教法人統一教会の幹部や職員だったとは考えられません。同誌自身、「信者が関与した刑事事件」の1例だと書いている通りです。
同誌は、こんな刑事事件も挙げています。
「ラーメン店での現金窃盗と民家の茶の間で現金を盗もうとしたとして逮捕・起訴」(昭和54年〈1979年〉8月、窃盗・宮崎県都城簡裁)
『月刊住職』22年9月号
「刑事民事判決から見る統一教会の脱法行為と返金条件」
これを読むと、誰しも妙な気持ちになるのではないでしょうか。
この種の事件なら、どの宗教団体の信者もしょっちゅう起こしているんじゃないか、と思うからです。
同じような事件で逮捕された人物が、伝統仏教各宗派の檀家信徒だったり、巨大新宗教の信者だったりすることは、大いにあり得る話です。しかし、普通は窃盗事件を起こした人物の所属宗教は報道されません。
宗教が関係する犯罪としては、例えば厳しい修行に耐えきれずに寺院を抜けだし、空腹を満たすために盗みを働いたとか、御利益を説く新宗教の信者が営業で頑張りすぎて押し売りを働いたとか、神仏の霊力を信じる余り、「絶対儲かるから」と言ってお金を集め、特定商取引法違反に問われたとか、そういうことはあるでしょう。
歴史的に有名なのは、金閣寺の徒弟僧が国宝の金閣寺を燃やしてしまった事件です。三島由紀夫や水上勉がこの事件を取材して小説を書いたことはよく知られています。
しかし、今挙げたどの事件も、信者個人の犯罪であり、宗教団体は無関係です。
だというのに、『月刊住職』はわざわざ46年も昔の、ラーメン店での信者個人の窃盗事件を持ち出して、「およそ宗教団体とは縁遠い犯罪の数々」の1つに入れたのです。
過去55年間から15件を選び出した重大な刑事事件の1つが、一信者によるラーメン店での現金窃盗だとは。
過激派の起こしたあさま山荘事件(3人死亡、27人重軽傷)や爆弾テロ、内ゲバ、リンチなどの刑事事件や日本共産党が組織ぐるみで起こした山村工作隊・中核自衛隊などによる警察署襲撃、火炎瓶闘争、白鳥事件、大須事件、練馬事件などに比べたら、(相対的に)微罪中の微罪としか思えないのですが。
旧統一教会を反社会的団体として指弾するには、肩すかし感が半端ないと感じるのは私だけでしょうか。
(4)「旧統一教会に刑事事件なし」と報じた『朝日新聞』2008年4月27日付
旧統一教会に刑事事件がないことは、2008年4月27日付『朝日新聞』が報道済みです。
この記事は中山達樹弁護士がブログで紹介しています。
それより早く、ルポライター米本和広氏の『我らの不快な隣人』(2008年、情報センター出版局)も、第11章で取り上げました。
その箇所を引用しましょう。
08年4月27日の朝日新聞に、宗教法人を所管する文化庁の担当者のコメントが載っている。元信者と統一教会の示談交渉によって、2億円という破格の金額が返還されることを受けて、文化庁が調査を行わないのは怠慢だという批判に対するコメントである。
「民事で敗訴した例は多々あっても、使用者責任を認めるにとどまる。刑事事件にもなっておらず、報告や調査を求める要件に当てはまるとは考えていない」
あらためて担当者に取材したが、コメント通りの答えだった。警察庁のみならず、文化庁も「刑事事件になったことはない」というのである。
『我らの不快な隣人』pp.231~232
長くなるので引用はしませんが、米本和広氏は、文化庁だけでなく警察庁も統一教会は刑事事件を起こしていないという認識だと書いています。
しかし、『月刊住職』の書きっぷりは明らかにこれと違います。上の方で挙げた4つの箇条書きを見れば、誰がどう読んでも、宗教法人たる統一教会が刑事事件に深く関わっているという印象を受けるでしょう。
これは分かっていてそう書いているのです。
というのも、同じ号の「元宗務課長の前川喜平氏に行政の宗教問題対応を聞く」という記事で、『月刊住職』編集部は「詐欺罪に当たるケースも当然に考えられる」、「なぜ警察は検挙しないのか?」(小見出し)、「なぜ、警察はこれほど消極的なのか」などと書き、警察がちゃんと動けば信者がらみの刑事事件の件数はもっと増えるはずと勝手に決めつけているからです。
旧統一教会は刑事事件まみれの宗教団体だと印象付けることで、法人本体も刑事事件に関わっているに違いないと読者に思わせ、「早く解散させるべきだ」という世論を盛り上げようとしたのでしょう。
「民事訴訟や刑事事件など数多の問題を抱える団体」という、ほとんど名誉棄損ではないかと思えるような記述まで出てきます。
私は旧統一教会を代弁する立場にはありませんが、同教団が多数の刑事事件を抱えているという話は、全くの初耳です。
宗教法人世界平和統一家庭連合が一体どんな刑事事件を抱えているのか、同教団はいつ、何の容疑で捜査を受け、立件されたのか、是非とも『月刊住職』編集部に教えていただきたいものです。
2,仏教・キリスト教界で起きた住職や牧師の性加害事件&疑惑。旧統一教会には一切ないが…
『月刊住職』の主な守備範囲は仏教界だと思われますが、その界隈でも犯罪事件は起きています。
最近、注目を集めているのが女性僧侶への性加害疑惑や事件です。
尼僧の叡敦(えいちょう)さんは、天台宗寺院の住職から14年間にわたり日常的に性被害を受け、その住職を紹介した宗派最高位の大阿闍梨(だいあじゃり)に相談したが無視されたとして、天台宗に住職と大阿闍梨の僧籍剝奪を求めました。
また本門佛立宗では、妙恩寺の住職が出家修行中の女性にわいせつな行為を行い、準強制わいせつの罪で2024年12月に有罪判決が出ています。
天台宗の方は疑惑にとどまりますが、本門佛立宗は住職が刑事で有罪判決を受けたわけで、これこそ宗教団体にあるまじき犯罪でしょう。
信者個人の犯罪ではなく、住職という宗派内の要職にある人物が刑事事件を起こしたのですから。
【追記】
後日知りましたが、尼僧から性被害を告発されていた天台宗寺院の住職、平井哲叡大僧都は、天台宗審理局(同宗の裁判所にあたる)の審理で住職を免ぜられました。
処分理由は、寺を守る立場にありながら夫のいる叡敦さんと「夫婦同然の同居生活」を続けたこと(『京都新聞』デジタル4月17日)。2025年4月16日に天台宗務庁が公表しました。ただし、性暴力は確認できないとしています。
尼僧は処分に納得しておらず、記者会見を開いて宗務庁を批判。今後の対応を検討中とのこと。
今回の処分で天台宗住職(当時)と尼僧との間に長期にわたり性関係があったことが明確になりました。これだけでも倫理的に許されない行為ですが、現段階では性加害があったと断定はできません。
一方、旧統一教会について言えば、『月刊住職』がどんなに「宗教法人統一教会の犯罪」を読者に印象付けようとしたところで、幹部、職員、聖職者が起こした犯罪は1つもないのです。
宗教団体にあるまじき性犯罪も性犯罪疑惑も、旧統一教会にはありません。
しかし、仏教界と並んでキリスト教界にはあるようです。
『AERA』2008年4月14日号が報じたところによると、日本聖公会高田基督教会、日本ホーリネス教団平塚教会、日本基督教団熊本白川教会の牧師が、それぞれの教会の女性信徒に強姦、わいせつ行為をしていたとのこと。
これは『我らの不快な隣人』p.383で言及されています。
立件されたかどうか不明なので、性犯罪と断定的に言うつもりはありません。しかし、疑惑が生じたことは確か。米本氏は、性加害行為を行ったのは牧師だとハッキリ書いています。
ところで、強姦やわいせつ行為などの事件を起こした(疑惑を受けた)聖職者が宗教法人統一教会にいるという話は、寡聞にして知りませんし、信者が同様の疑惑や事件を起こしたという報道も見たことがありません。
そんな疑惑や事件があったら、全国弁連が嬉々として書き立てたはずですが、全くないのです。
(反統一教会の人たちは黙して語りませんが、旧統一教会信者が拉致・監禁により脱会を強要され、その過程で「脱会説得者」からレイプされた事件は少なくとも2件あります。『我らの不快な隣人』pp.200~201)
3,『月刊住職』よ、「統一教会が多数の刑事事件で被告となった裁判」はどれか、示されたい
(1)「多数の刑事事件で法廷の被告人席に立たされている」と印象操作
「拉致・監禁による脱会強要は違法」との判決は、既に1991年の京都地裁で示されていた――この話を書こうと思いつつ、本題にたどり着くまで随分遠回りしてしまいました。
やっと準備が整いました。書き始めると書きたいことが次々に出てきて収拾がつかないため、書きながら何とか心を落ち着かせている状態です。
『月刊住職』22年9月号の記事「刑事民事判決から見る統一教会の脱法行為と返金条件」に掲載された、表2の刑事事件(1970年~2022年で計15件をリスト化。他に2007年以降9件の特商法違反あり)の一覧表を一部引用します(平成以降のみ)。


表2のタイトルを見てください。「統一教会……が刑事事件で被告となった裁判」と書かれています。
本投稿の冒頭の引用文には「統一教会は被害者からの提訴により、多数の刑事事件でも法廷の被告人席に立たされてもいる」とありました。
しかし、表のどの記述にも、あるいは記事本文にも、これらの刑事事件のどれで宗教法人統一教会が被告になったのかは書かれていません。
見たところ全部信者個人の事件です。実際、宗教法人統一教会が刑事事件の被告席に座った例はなく、そのことは、先に紹介した文化庁のコメントで明らかです。
表2には入っていませんが、2009年に「新生事件」という、会社ぐるみで特商法違反を行ったとして、教団の渋谷教会に捜査が入った事件が起きました。これについては、以前の投稿で書いています。
支部教会に捜査が入るという教団にとっては不名誉な事件でしたが、教団とは無関係です。したがって、これも「統一教会……が刑事事件で被告となった裁判」には該当しません。
では、表2のうちのどれが「統一教会……が刑事事件で被告となった裁判」に該当するのでしょうか?
「統一教会は被害者からの提訴により、多数の刑事事件でも法廷の被告人席に立たされている」の「多数の刑事事件」はどの事件とどの事件で、全部でいくつあるのでしょうか?
『月刊住職』編集部の方に、是非ともご教示賜りたい。
(2)1991年「暴行等(京都地裁)」の背景には、「拉致・監禁による脱会強要」があった!
さて、この表の「平成3年1月 暴行等(京都地裁)」とあるのが、問題の1991年京都地裁判決の事件です。
『月刊住職』の説明を読むと、暴行を加えた信者だけが悪者扱いされています。でも、それでこの事件を説明したことになるでしょうか?
「信者Sの父により信者Sが『身体の自由を拘束され信仰の放棄を要求されている』との話を聞いた別の信者が……」と書かれているように、事件の背景には、拉致・監禁による脱会強要という刑法第220条の逮捕・監禁罪ならびに「信教の自由」の蹂躙(じゅうりん)という重大問題が隠れています。
『月刊住職』は統一教会信者の起こした刑事・民事の事件を引き合いに、同教団を一方的にバッシングしました。
ならば「拉致・監禁による脱会強要」で実に4300人もの信者が被害に遭ったことは、どう考えるのでしょう?
この「拉致・監禁による脱会強要」については、2014年11月に「たとえ家族であったとしても違法」と民事の東京高裁判決(2015年9月、最高裁で確定)が判示したことは②で述べました。
刑事事件なら刑法の逮捕・監禁罪に相当し、幇助(ほうじょ)した者は従犯に問われます。
これほどの重大な人権侵害が警察によって取り締まられず、放置されてきたことについて、宗教界を取材する『月刊住職』編集部の面々は何とも思わないのでしょうか?
いったい誰がこんな非道な人権蹂躙をしてきたのか?
4300人以上という数から見て、それは組織的に行われたのではないのか?
だとしたら、誰がその中心にいてその手法を編み出したのか?
なぜ警察は動かなかったのか?
普通の人権感覚の持ち主なら、当然このような疑問を抱くはず。
『月刊住職』編集部の面々は、「信者Sの父により信者Sが『身体の自由を拘束され信仰の放棄を要求されている』」という記述を、果たしてどんな気持ちで読んだのか?
旧統一教会側が「拉致・監禁」と言い、反統一教会側が「保護・説得」と呼んでいるものの実態を、なぜ自分たちの目と耳で取材して真実に迫ろうとしないのか?
凄惨な人権侵害とも言える「拉致・監禁による脱会強要」事件には、あなた方が情報提供を受けたであろう全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)が深く関与しています。
見て見ぬ振りというやり方で、、、
「保護・説得」「救出」などと詭弁を弄して、、、
この際、監禁現場から命からがら逃げてきた信者たち、ならびに諸々の事情を知る旧統一教会に直接取材して、どちらの言い分が正しいか調査すべきです。
④へつづく
