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ペンは剣(つるぎ)よりも強いんだ 【前編】

「なんであんなもんがここにあるんだ!?」

時は'80年代

「読んだか!あんたなら読むと思ったよ。
…そうなんだよ…。自分もこれはと思って。そうだ、あなたならと思ってね…。」

おじさん達の職場の共用書架に
とある本が

「大変興味深い内容だった!学のない俺なんかにも平易に書かれてるもんで良かったよ。話聞いた時には、パイロット連中向けの専門書だったらどうしようかと思ったが…一晩かけて読んじまったよ!」
「持って帰ったのか!持ち出しちゃマズいんじゃないの?」

航空自衛隊芦屋基地
Googleストリートビューより

パイロットの教育部隊がいる基地です
現行の練習機 T-4 芦屋基地公式 Xより

'80年代には
T-1やT-33が使われていました

「一応許可は取ったよ。□□さん。ホラ、部屋に責任者で掲示してあったからさ。」
「あれは『火元責任者』でしょう。部屋の管理であって書籍の管理者じゃないよ…」
「あそこ火なんかねぇけどな!まぁ、一日ですぐ元のとおりに戻しといたから、問題ないとは思うけどな。
……なぁ。あれ、貴重なもんだな。」
「そう思うよ。周りの他の本とは違って明らかに異質というか…」

というのがこちら

 刊行前のもの

「第一、表紙にタイトルも何もねぇってのは…あれ自費出版?なのか?」
「本文…というか本文に入る前にそう書いてあるからそうなんだろうけど…。
?◯◯(まるまる)って…

巻頭、「

 昭和◯◯年の本稿の自費出版に当たっては、戦前同じ会社に籍をおいた松本俊彦、角正夫両氏にいろいろとお手伝いをいただいた。松本さんには、主として写真の収集、用語の統一のほか、部分的に私の記憶違いの訂正など、また角さんには、主として原稿を整理、清書していただいた。
 お世話になった数多くの方々に厚くお礼を申し上げる。
   昭和◯◯年
                青木邦弘

もとはこう

すでにあったのです

平成七年(1995年)・平成十年(1998年)
十一月 の年・月数字部分のみ
後の単行本出版時に書き換えられています

昭和時代
その新元号の名前を私達はまだ知らない

(1989年1月8日〜平成)

…思うに、自費出版といってもそのまた初期の、試し刷りみたいなもんなんじゃないのかね?まとまった部数刷る前の…。」
「きれいに活字で字組みもされてて本の体裁にはなってるけど、か。俺なんかから見ると立派なもんだがな。」
「本と言って遜色ないね。タイトルは後決めにして、紙にタイプして貼れば良さそうだけれど…著者さん、随分熟考だね…?」
「アンタもよくあんなの見つけたな!」
「新しく入ったの、目に付きやすい所にあるでしょう。

じゃなきゃ気が付かないよ!背にも何も書いてないんじゃあ…」

そもそもここにある本は
パイロットの卵…若鳥たちが巣立つ時に
置いていった教科書が多い とのこと

件の本は内容・外装ともに
異質

「最近置かれたものなんだな、多分…。
…なあ、ところで改めて今一度確認するが…

今、'84年だよな??」

巻末、第二部文末「一九八五年 夏

すでにあったのです

1984年(昭和59年)に…

「'84年だよ!今、間違いなく'84年だ!」
「だよな!そこ読んだ時、一瞬俺が間違ってんのかと思って朝来た新聞の日付確認しちまったい。」
「自分は壁にかかったカレンダーだったよ…つまりこれ、'85年夏以降ってことにしたい何らかの事情があるんだね。」
「…誰かが退職してから、なんてな?」
「自分らみたいな者はそう考えちゃうけどね。まぁ、ただ単に'85年夏以降に出版の予定が決まっているのかもしれない。」
「しかしそのわりにだ、
そこの後の所には『このメモを書いた時からすでに数年経っている』とか何とか書いてあんだよな!!

巻末、第二部文末に続く「追記

 〈追記〉
 私がこのメモを書いた時からすでに数年経っている。その間に、私が新しく知った事実について追記する。

著者 青木邦弘氏

ここも全文すでにあったのです…

おかしな話じゃねぇか、じゃあこの著者先生いつあれ書いたんだよ!未来から来た本だってのか!?」

…魔法学校の図書室の片隅にひっそりと隠された
未来から来た 表紙にタイトルも何も無い謎本

魔導の書だ

「…'85年から数年後のつもりで書いてある。いうことはこの著者の人、どうやら'87〜'88年頃以降にならないと公開するつもりがないのか?って話になってくるんだよねぇ…」

⋯⋯⋯。

「イヤイヤちょっと待て、著者先生何歳だ?俺らより年上だろ。健康に自信があると言ったってそれまでに亡くならんとも限らんぞ!そしたらこれ永久に藪の中じゃねぇか…!」
「…そこに危機感を覚えた何者か、かもね。あそこにあの本を置いたのは…。」

しかもそれをリアル1984年にぶつけてくる
ハイパーセンスの持ち主

もはやSF
(こっちも読みたくなった人はAmazonへGO!)

「あなたじゃないよね?」
「おいちゃんなん?」
「俺じゃねぇよ!!でもそれは俺もちょっと思った 笑 

親近感


(さあ本題↓ここから出版されていない部分)


…だが問題はあの青図だ。

あれこそ貴重なもんだろ!…あの大判のものコピーできる機械がここにはねぇ。ここの者じゃないな。」

青図(あおず)
(昔の図面なので青地に白線白文字)

なんと

キ115 剣(つるぎ)乙 (おつ)の
機体説明書(図面)

が 本に挟まれる形で添付されていたのです

キ115 剣(つるぎ)

wikipedia「剣(航空機)」の項より

「そうなんだよ。あれ、調べたらただのコピー機のコピーじゃないんだ。ジアゾ複写機という特別なのが要るんだね。建築事務所なんかには普通にあるのかもしれないけれど…」

「この人、知らんのじゃないか…ここ自衛隊には普通にそんなもん無いぞ。あるとしても陸自か?土木建築やれる部署ならあるかもしれんが…。
あの添え書き…と言えばいいのか…添え書きを書いた人物だろ?

添え書き

HP『中島飛行機物語』 内
中島最後の飛行機「剣」誕生秘話 :青木邦弘 著
(1)及び(8)より

 本編は中島飛行機の技師であった青木邦弘氏 (1935年入社)の手記をご本人の了解を得て原文のまま掲載しました。先般(八二から八四年)ご本人にお目にかかる機会を得て、いろいろ当時のお話しを伺えました。

 以上が、青木邦弘氏の自費出版された手記の内容であります。添付の資料は中島に関連のあったところで、私が偶然発見した「キ-一一五 乙の機体説明書」 です。本資料は終戦直前に焼却されたようで、これは昭和二十年に太田で生産に携わった部署が再度書き起こしたもののようです。

謎の人物 X氏
つまり ネット版のこの(97〜99年)の所、もとは

八二から八四年

そう…ここもすでにあったのです…
(注・世に出た本には掲載されていない)

刊行された本のこちら↑に倣って
'99年頃ネットに上げる時に数字を書き換えたのです



この本の後半(第二部)の内容が丸々読めて
他コンテンツも充実の謎Webサイトページは
こちら!↓

…青いの挟んだのもその人か。添え書き書いた人。著者先生とは別だよな?」
「そのようだね。著者の人のほうは『キ-115の試作命令書を見たことがない』と書いてあったから…」

巻末、「追記」より

 前にも述べたとおり、私はキ-一一五の試作命令書を見たことがない。これらの資料はすべて終戦直後、焼却されたはずであるが、戦後の文献によると、キ-一一五は昭和二十年一月二十日に「特殊攻撃機」という名称で試作命令が出されていたことになっている。これがキ-一一五が特攻機といわれた一つの理由であろう。さらに、同じ文献により、キ‐一一五には乙型というのがあったことを私は初めて知った。
 その内容は、主翼面積を二・一㎡増大し、かつ木製化するというものであった。

著者 青木邦弘氏
その
キ115 剣 乙型の機体説明書

…が…

な…何故ここに…!

航空自衛隊芦屋基地
芦屋基地公式HPより

「??ここは中島の工場でもあったか?俺はそんな話は聞いたことがないが」
「無いよ。そう思って調べたけれど、何も出てこない。ここの資料や町の町史を見ても、飛行機関連の話は戦後米軍駐留から返還されたところからなんだね…。

1955年(昭和30年)の米軍機
wikipedia「芦屋基地」の項より

(注・この謎は後に解明
隣の岡垣町史も必要でした)

中島飛行機と言ったらそれより前、戦前戦中の話でしょう。」
「あれだな、マークなんかあったんだな!俺初めて知ったわ。不勉強で申し訳ないが」
「あそこ、著者さんたちのお気持ちがにじみ出ているよねぇ…」
「にじむというより溢れ出てんじゃねぇか!本、一番言いたいのそこなんじゃないか」
「名文だね。ただ説明する文章でこんなに伝わるものなんだねぇ…誰が書いたのかが判然としないけれど…。対する三菱マークなんかは今も一般にもよく見るからね」

巻頭、「序」「目次」「タイトル」に続くこちらも…

すでにあったのです…

「ナカジマ?」
「昔、飛行機を開発して作ってた有名な会社があったんだ。」

中島飛行機株式会社の社章

周りの意匠は飛行機の正面顔です

「数々の名機を世に送り出した有名企業だぞ。こういう作るとこは『メーカー』っていうんだ。
本の前半はその頃の国内外のいろんな飛行機の話…分析ってのかな、外国のもあって面白いぞ。面白いっちゃあれか、学びの多い内容だぞ。
後半は、その中島の飛行機の内でも特に最後の『剣(つるぎ)』って機と、終戦間際のその会社の話だ。」
「アシヤにあったん?」
「それが…ここにはないんだね…」

ないの?

「あれだな、本の後半に出てくる地名も…どれもあさっての方だしな。
出たのが…三鷹(東京)・岩手(東北)・太田市(群馬県)、あとは大宮(埼玉県)・浜松(静岡県)、…そういや参考文献のところに宇都宮中島会とあったが(栃木県)。…浜松以外は全部関東よりあっちの方だよなぁ…。

巻末、「参考文献」…あったのです…

'84年版、もう99.9%完成稿でしたね

ひょっとして、兵庫県の芦屋市と間違ってんじゃねぇか?」

よく間違われるけど 九州なんですよ

「そう思ってそっちも調べたよ。でも無いんだよ…中島のなの字も出ない。間違ってるにしたって「芦屋」に絞らなきゃ話が通らないわけでしょう、神戸あたりならまだしも…。
つまりここにある道理がわからないんだね。

それで、あなたのその知恵とセンスを拝借したいと思ってね。読んでもらったんだ…」
「ハハッなんだ褒めても何も出ねぇぞ!でもアンタに褒められるとは光栄だ、ありがとう!
……確かに大変興味深いが…だがしかし
こいつは一筋縄じゃぁいかねぇようだ…」

「???」


⋯⋯⋯。

お〜い磯野ォ〜




(【中編】・【後編】へ続く…)




そんなおじさん達とのよもやま思い出話始めています。

(↓本を見つけたおいちゃんが主役のお話)

(↓本を一晩で読んだおいちゃんが主役のお話)

(↓そのおいちゃんが大ファンだった、自衛官じゃないけど航空イラストレーターNobさんのこと)

過去作は↓こちらのマガジンたちに随時まとめています。
よろしくお願いいたします(人∀・)









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