遠く離れた空の下で見つけた物。
誰かにあげる贈り物にしては、
人生で一番の責任を伴うものかもしれない。
大きなプレッシャーだ。
”名前を贈る”
命が産まれ落ちて、死ぬまでの責任が伴う。
いや死んだ後も残り続ける贈り物を選んだことがあるだろうか。
そう。ぼくと妻に子どもができる。
この文章を書いている今も、命が誕生してもおかしくない。
妊娠を知った瞬間、夫婦で泣きながら喜んだ。
同時に、長く背負ってきた重いプレッシャーから解放された気がした。
海外での生活の中、妊活をしていた。
不妊治療は不安の連続で
上手くいかずに泣き崩れる夜もあった。
だからこそ、やっと授かった命。
「もうあんな日々は過ごさなくていいんだ」
そう思えた瞬間の安堵は今も忘れない。
「名前、どうしようか。」
「まずは候補を出してみよう。」
「なかなかピンと来るのが無いね。」
ぼくはアメリカに、妻は日本にいる。
画面越しに顔を見ながら、少しずつ名前決めをした。
それぞれ候補を出すも、どこか決め手が欠ける。
「常用漢字がいいよね。子どもが書きやすいほうがいい。」
「人気すぎない名前。埋もれず輝くような。」
「誰でも読める名前にしたい。間違われるのはかわいそうだし。」
「できれば、海外の人にも呼びやすい名前がいい。」
一生に一度の贈り物だから、妥協はできない。
お腹の中の子の人生を左右する、大切な選択だ。
それでも、少しも苦痛じゃなかった。
不妊治療のあの頃に感じていた「重さ」とはまるで違う。
限りなく広く明るい未来を見てる。軽やかな重さだ。
名前決めに煮詰まっていた、ある日
いつものように散歩をしていた。
アメリカ中西部の9月だった。
蒸し暑い日本と違い、カラッとした空気が気持ちよい。
無心で歩いていた。
脈が上がり、呼吸が少し荒くなる。
それでも心地よくて、
もっとこのまま歩いていたいと思った。
「ここだと無力に感じるから」
と妻は言い残し、
アメリカの地を去ったことを思い出した。
でも同時にアメリカの自然のことも大好きだったこと。たまには思い出して欲しいな、どこともなく考える。
ふと日差しを避けて木陰に入り空を見上げた。
どこまでも飛べる気がして
天まで突き抜ける空を見ながら
ぐーっと体を伸ばした。

その瞬間だった——
名前が、降りてきた。
青々とした新緑。
澄み渡る大空。
力強く漂う白い雲。
背中を押してくれる風。
大好きなアメリカの自然が
ひとつの名前をくれた。
何度もその名前を心の中で繰り返した。
理屈じゃない。これしかないと思えた。
すぐに妻に電話すると、
「すごく良いね!!それしかないよ!!」
と言って貰えた。
名前が決まったことを二人で喜び合った。
産まれてくる赤ちゃんには何度も何度も
この名前を呼ぼう。
お父さんとお母さんはあなたに会える日を心待ちにしているよ。
このnoteを君が読む日が来るだろうか。
その時は何年後になっているだろう。
贈り物は気に入ってくれているかな。
この想いが伝わってくれるといいな。
まだ会ったこともないけど、遠い空から幸せを祈っている。
こたらさん、分析ママさんの共同企画「#忘れられない贈り物」に参加しました。
本当に素晴らしい企画で、noteを通して心が喜ぶのを感じています。
ぼくや妻にとって、忘れたくない、忘れられない想いをここに記せて良かったです。
またこの記録が遠い未来に子どもに向けての
贈り物になりました。
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