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父のnote 11話

2015年 7月

修太へ

修太が東京から引き上げて帰ってきた。
地元で働くことになって嬉しいな。
髪、切ってもらいたいな。

今日このnoteを書いたのは、
謝らないといけないことがあるから今書いているだ。

実は父さん、また病気が見つかって
入院しないといけなくなったんだ。
とりあえず手術をすれば大丈夫らしいがまたしばらく仕事ができなくなる。
なんで父さんはこんなに体が弱いんだ。
健康には気をつけていたのに、昔っからそうだ。

しかも大事な少年野球の審判員を任されていてたのに、
それも出来なくなってしまい、結局また周りに迷惑をかけてしまった。

もうこんな自分が嫌になってしまった。

そして実は修太に渡そうと書いていたnoteなのに、
こんな自分が修太に何も残せる言葉なんて無いと思ってしまって
途中のページを破いてしまったんだ。

でも結局、途中で留まった。

そんなことをしても何も意味がない。

どんな出来事にも意味があり、
感謝を忘れないこと大切さをこのnoteを通して伝えたのは父さんだ。

父さんにとっても大事なnoteだ。
修太が必要な時に渡そうと考えていたnoteだ。

それを勝手に破り捨てようとしてしまい申し訳ない。

これは修太の成長と、父さんの2人で書き上げるnoteだ。

絶対に修太に渡す日が来るまで大事にしないとな。
全然筆が進んでいないnoteだけど、
自分の手で渡すと決めている。

破ってしまったページは結局捨てられなくて、
父さんの机の2段目の一番奥にしまってある。

このnoteを渡す時にテープで貼って直して渡そうかな。

修太と話してないから
noteを渡すタイミングがわからないが、
そろそろ渡してみようかな。

恥ずかしさを捨てて、
「髪切って欲しい」
と伝えよう。

髪切ってくれた後にでもnote渡してみようかな。

そうだな、
退院して落ち着いたら言ってみよう。

普段中々言えないから、
皆んなへの手紙も準備しておこう。

修太がこのnoteを見ている頃には、髪切ってもらえてるだろうな。

楽しみにしているぞ。

父さんより。


その後のページは白紙で何も書かれていなかった。

父さんはこのnoteを書いて、2ヶ月半後の少年野球の試合が終わった時にグラウンドで倒れたんだ。
これが最後のページだ。

最後まで父さんの髪は切って上げられなかった。
でも父さんが生きられなかった今を
生きている僕にとって大事な人達が周りには沢山いる。

僕は父さんのnoteから沢山のことを教えてもらった。
自分のこれまでの人との関わりや、繋がり、誰かに伝える大切さ、
これからの自分の生き方に大きな変化を与えてくれた。

自分らしくちゃんと伝えていこう。
自分なりの感謝と愛を。

これが僕の今の『生き方』で
父さんがいてくれたことが僕の『誇り』だ。

破れてしまったページがあると言っていたな。

翔平と会った帰りの電車で見つけた破れたページだな。

父さんの元乃屋があった時から使っている机の引き出しの2段目を開けた。

透明のビニールに丁寧に入った破れたページがあった。
強引に破られていたので端の方が少し読みにくいが、
父さんのnoteの破れたページに合わせると綺麗に読めそうだ。

僕は破れたnoteのページをビニールの中から取り出し、
父さんのnoteを開いて破れたページに合わせて、
そのページを読み始めた。


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