父のnote 10話
実家に到着すると、
母さんが父さんの部屋の片付けをしていた。
「今日から仕事だったんでしょ?帰り?ご飯食べてく?」
片付けをしながら母さんは僕にそう言ってきた。
「家に帰って食べるからいいかな。でさ、ちょっと話があるんだけど」
「あら、どうしたの珍しい」
母さんは片付けする手を止めて僕の方を振り向いた。
「母さん、俺、昔からあまり父さんと母さんに素直になれなくてちゃんと伝えたこと無かったけど、いつも本当にありがとう。父さんが病気でお店続けられなくなった時、俺本当はわかってたんだ。母さんが辛そうなの。
でも自分が父さんと母さんのこと考えるのが辛くて見て見ぬふりしてた。
それから母さんや父さんと素直に話せなくなってしまって、
父さんが入院してる時も会いたく無いというか、
自分の気持ち、父さんと母さんに出すの苦手になってしまってた。
母さんや父さんのこと全然考えずにこの歳になってしまって。
本当はもっと支えて上げられたはずなのに、今更なんだけど本当にごめん。
今まで、小さい時から支えてもらってばっかりだったけど、
今度は俺が母さんのことちゃんと支えて行くから安心して欲しい
いつも1人で色々と抱え込ませてごめんね」
初めて母さんに自分の気持ちを伝えた。
母さんは、
「母さんは全然大丈夫だよ」
笑顔でそう返された。
1番大変だったのはやっぱり母さんだ。
父さんが病気の時も、僕や千秋が寂しい思いをしないようにずって考えてくれたり、不自由しないように僕達の言ったことは全て肯定してくれて、反対されたことなんて1度も無い。全部受け入れてくれた。
そして今も僕に心配かけないように笑顔で話しを聞いてくれている。
「でもありがとう、母さんは十分支えてもらってるよ。母さんもごめんね、修太には昔から寂しい思いばっかりさせて」
僕はそう言われた瞬間に涙が止まらなくなりそうだった。
でも振り絞った。
「今度髪切りに来てよ」
後ろを振り向いて顔を見せないように言った。
「いいの?ありがとう。母さん嬉しい。来週ぐらい空いてる?」
「いいよ、連絡するね」
母さんの優しさが身に沁みた。
父さんはもういないけど、
母さんにはまだ親孝行することが出来る。
今僕が出来ることは母さんや千秋、妻や子ども達、関わってくれている人達に
自分らしく周りの人達に愛を伝えていけば良いんだ。
「楽しみだなー」
そう言って母さんは父さんの部屋から出て言った。
僕はふと鞄から父さんのnoteを取り出し、
まだ散らかっている父さんの部屋に座り込みnoteを開いた。
