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父のnote 8話

2003年 6月
久しぶりにこのnoteを開きました。

最近はあまり修太と話もしていないな。

修太は中学3年生で、
野球の中学校最後の大会がもうすぐ始まろうとしています。

修太が小学校4年から野球を初めて、
もうこんなに月日が経つんだな。

このnoteを見返すと修太が野球始めた時や、
グローブ買った時の事を書いていてとても感慨深い。

去年までは入院や通院も多かったが、
今年は調子が良く友達の飲食店で手伝いをしながら過ごすことが出来ている。

父さんは病気がちであまり修太の試合とか見にいけなかったが今回は違うぞ。
実は中学生の公式の試合でも審判員が出来るようになったんだ。

最近は調子良くて、勉強して試験受けてたんだ。

そしてなんと修太には言ってないが、
中体連の1回戦は父さんが修太の試合の審判できることになったぞ。

全く贔屓ヒイキはしないからな!
ただ1番近くで応援できることを嬉しく思う。

なんだかんだ審判楽しくてな、父さんずっと続けようと思ってるんだ。
いつまで出来るかわからないが出来るだけやってみようと思う。

父さんは自分の店、元乃屋を潰してしまって、
どう生きていけばわからなくなった時もあったが、
まだまだ出来ることもあるし、楽しいこともあるなと感じているんだ。

これからもっと父さんも挑戦してまたお店やりたいな!

父さんもまだまだやりたいこと沢山あるし、
挑戦していくから、

このnoteを読んでいる修太も更に色んなことにチャレンジして自分の選んだ道を進んでいって欲しい。

その時は修太が小さい頃お手伝いでお皿洗ってくれたように、
また手伝いよろしくな!

中学校最後の大会頑張れよ。
応援してます。

父さんより

自宅から


中学校3年生の最後の大会の前に書いてくれたnoteだった。

確かに、1回戦は父さんが審判をしてバッターボックスの後ろにいたのを覚えている。

当時はあんまり気にしていなかったが父さんは確かに傍にいて見守ってくれていたんだな。
そう感じることが出来たページだった。

父さんやっぱりまたお店やりたかったんだな。
そう考えていると、

そこへ妻が部屋に入ってきたので、
僕はまた慌ててnoteを膝下に隠した。

「まだご飯いらない?後、仕事は明日からだよね?」

「実家で結構食べたから今日はいいかな。仕事は明日からだね」

「子ども達朝まで寝るかもね、一応ご飯作って置いとくからお腹空いたら食べてね。ちょっと買い物行くから子ども達起きたらよろしくー」

「はーい気をつけてねー」 

妻は買い物にでかけた。

また反射的にnoteを隠してしまった。

もう一度机の上にnoteを出すと、溜息が出た。

考えてみたら、
僕は父さんと母さんに何もして上げられていない。

母さんは父さんが病気がちで大変だったのに。
父さんも一生懸命病気と闘いながら仕事を頑張っていたのに。

自分が両親に対して向き合っていないと言うことに、
父さんのnoteを通して痛感してしまった。

僕は本当に親不孝者だ。

後悔の波がまた押し寄せてくる。

ただここで少しハッとした。
そして前のページを見返した。

修太はどんな『誇り』を持っている?
と問われたページだ。

僕は自分がただ何となくこのまま美容師として活動しながら生きていくんだと思っていたけど、父さんのnoteがきっかけで今の自分の生き方を考え直し、
自分が感謝を受け取れる人間、そして与えられる人間になろうと決意できることが出来た。親友にも会って始めて感謝を伝えることが出来、妻にも言葉で感謝や愛を伝えたり、母さんに対しても髪を切って上げたいなど、もっと自分から本心を伝えようと考え始めている。

こんな愛のこもったnoteを書いて残してくれた父さんの存在こそ、
僕の『誇り』だ。

今の自分があるのは周りの人達の支えがあり、
その人達にとって、誇られるような人間に僕がならないと、
このnoteを残してくれた父さんにも申し訳ない。

僕の誇りは、父さんの存在だ。

僕は父さんのことを誇りに思い、
父さんみたいな優しさと、周りの人達を支える強さを持って、
自分も誇られるような存在になろう。

さっきまでの悲しさや寂しさの気持ちが嘘のように晴れた。

自分の『生き方』と『誇り』を大事にして、
父さんのように前向きに、生きよう。
そう考えることが出来た。

少し悲しさが消えた。

そこへ玄関のドアが開く音がし、
妻が買い物から帰ってきた。

僕はまた慌ててnoteを引き出しに隠し、
急いで妻を出迎えた。

リビングに戻り帰ってきた妻と何気ない話をしながらお酒を飲んだ。
少し心が晴れた感じがした。

とりあえず、
明日から仕事だから今日は早めに明日の準備をして寝よう。

そう考え寝る支度をし、
昼間遊び疲れて熟睡している子ども達の横に倒れ込んだ。

noteは、明日朝起きたらまた見よう。

また雨が降っていた。
最近いつも雨だ。


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