人間が生きていく上で、最も気をつけねばならないリスクとは何か
マキャヴェッリの君主論を2往復しました。
そのため、この記事は君主論書評の最終稿となります。
第一話、第二話をご覧になりたい方はこちらをどうぞ!
【第一話 善人や優しい人ほど人間社会ではバカを見る】
【第二話 運命の概念と運命への抗い方】
それでは最終稿スタートです!
【人が最も気をつけねばならないリスク】
為政者が命を落とす上でもっとも高いケースは何でしょうか。
それは「暗殺」です。
日本の初代内閣総理大臣 伊藤博文は、韓国で安重根に暗殺されました。
坂本龍馬は、江戸幕府の警察組織である「京都見廻組(きょうとみまわりぐみ)」に、醤油問屋の2階で暗殺されました。
安倍晋三元総理は、2022年7月8日、参院選の選挙期間中に、奈良県で山上容疑者に暗殺されました。
暗殺の原因はすべて同じです。
人から恨みを買ったから
殺人事件で一番多い原因、と言うかこれ以外にないんですが、殺害されたのは、人から恨まれ、憎まれたからです。
無差別に殺されるよりもあなたは家族や親族から殺される確率のほうがずっと高い。
(犯罪統計を見るとよく分かります)
女性の場合、あなたに依存してきた男性(もうお前しかいないんだとか言ってくる男)彼氏か息子か夫に殺害される確率がもっとも高い。
これが日本の殺人事件の主要な原因です。
人から憎まれる。
恨まれると人に殺される。
では、人から恨みを買わなければ良い。
たとえば、清く正しく、謙虚に誠実に生きればいいのでしょうか。
それも違います。
全く違う。
人の本性を理解していないと言えます。
禁書 君主論の著者マキャヴェッリは言う。
過去のローマ皇帝の暗殺史を見てみろと。
コンモドゥス、アントニヌス、マクシミヌス帝は、非道で残虐な皇帝であったため、生活に喘いだ民の手によって暗殺された。
しかし、温厚で謙虚な皇帝たち。
ペルティナックスやアレクサンデル帝は善政を敷き、自らは謙虚で質素な生活を送ったが、こちらも領土拡大と強欲に報酬を求めるローマ兵に暗殺された。
基本的に、人間は邪悪で邪で強欲で臆病者で恩知らずな生き物。
現代社会でもそうで、誠実に正しく真面目に生きる人たちは、アイツだけ良い子ちゃん振りやがって気に入らねえ!
と悪の側の者に恨みを買うし、不真面目で怠慢な者は、今度は、真面目で誠実な人たちにアイツは駄目だ。信頼できない。
と社会(会社や学校)で評価を落とす。
つまり社会と言うものは誠実にさえ生きていればいいというものではなく、また、強欲にずる賢く生きていても、いいというものではない。
一本筋の通った生き方ではいずれどちらかの側から恨みを買い破滅する。
織田信長が明智光秀に暗殺されたのは、光秀の領地が減収だったため没収されたことと、皆の前で彼を罵倒し、怒鳴りつけたため、彼の恨みを買ったため。
少なくとも信長は善性の人ではなかった。
民には優しかったが家臣には暴虐に振る舞う君主だった。
しかし、坂本龍馬が暗殺された理由は違う。
江戸幕府の高給取りである国家公務員の警察部隊に恨まれたから。
自分たちの地位と仕事と所得を奪う大罪人と思われた。
坂本龍馬は衰退する江戸幕府において国内で争っていてはいずれ外国勢力によって日本は侵略され、中国や韓国のようにイギリスやオランダ、アメリカから植民地支配を受けてしまう。
大政奉還は国家のためであり、彼は利他的であり、強欲な人ではなかった。
彼は善性の人であった。
しかし江戸幕府から高い所得を得ている既得権の警察部隊に殺された。
天誅とか大罪人とか言って。
マキャヴェッリの言いたいことはここです。
善人だろうが悪人だろうが人から恨まれたら殺されるし、現代社会だと出世や所得増の機会を自分を恨んでいるヤツらが妨害しようとする。
女だと、悪質な噂を流されたりハブられたりSNSで晒されたりと、恨みのエネルギーはあなたの最大不幸を願うために燃焼させ尽くす。
人から恐れられるのは攻撃されずに済むからお得だが、人から見くびられ、恨まれるのだけは絶対に避けるべき。
また、殺されるときには大体において2パターンの段階がある。
それはあなたを殺しにくる暗殺者に見くびられる→暗殺のパターンである。
マッチョな彼氏と同棲している女性はまずもって元彼に殺されることはない。
人間は臆病なヤツラだからだ。
強い男には敵わないと判断するとストーカーはあなたを殺しには来ない。
暴力は現代社会でも役立つ。
内閣総理大臣を殺そうとする勇気あるヤツもいまの令和日本にはほぼいない。
でも、地位が落ち、ガードマンを削減させられた元総理の安倍総理は山上被告から見て見くびられたのである。
マキャヴェッリは言う。
1.誰かから恨まれる 2.見くびられる
と暗殺は実行に移される。
モヒカンやスキンヘッドの同僚に嫌な仕事を振ってくる同僚はいない。
なぜなら強面の男は見くびられないためである。
人に恐怖を与えるというのはあなたにとってお得な行為に他ならない。
誠実に生きていても恨まれるし、悪辣に生きてても恨まれる。
では、どうしたらいいのか。それは彼の名言
君主は人間であると同時に、野獣でなければならない。ライオンの獰猛さと、狐の狡知(こうち)を兼ね備えよ
現代社会に当て嵌めると、女性の上っ面だけの営業スマイルを見習い、君主は、善性の者に対してはでき得る限り善性で対応する。
しかし悪辣な輩が相手の場合は、ライオンの獰猛さによって相手を畏怖させ、脅す必要がある。
さらに、クズのようなヤツが相手のときには、こちらも躊躇うことなく狐の狡知を持って相手を追い込まなければいけない。
人間社会は基本汚い場所なので綺麗なまま生きていくのは不可能だし、ずる賢く生きていくのも人から恨まれ身を滅ぼすことになる。
つまり人間の住まう社会において、大人の生き方とは、清濁併せ持ち、酸いも甘いも知り尽くす者が望ましい。
善性とライオンと狐という最低でも3つの顔を持たなければ生き難い。
それが人間社会である。
さらにマキャヴェッリは言う。
人に優しいだけの人間はむしろ社会にとっては害悪ですらある。
昔、ベンチャー企業の社長室で働いてたとき、ベンチャーは2回経営判断を誤ると倒産するのだが、基本的に社長は皆に優しい人だった。
けれど、会社の業績を低下させ続けるヤツに無条件で優しくするほどベンチャーに余裕はなかった。
2回経営判断を失敗すると会社が傾き従業員30人全員解雇。
会社が破産する。
社員も社長のご家族も露頭に彷徨うことを彼は熟知していた。
だからあまりにも会社の業績を落とし続ける社員には解雇部屋(社長室です)に来てもらって情け容赦なく首を刎ねた。
どれほど善性の者でも身を守るためにはライオンになる必要がある。
大企業でよくあるがズルズルと社員を守り続け結局会社を倒産させる優しすぎる(嫌われたくない・汚れ役ができない)経営者がいるが、あれは、情け容赦の無い無慈悲な経営者ほど、実は、多くの社員とそのご家族を救っていることをほとんどの社員は理解していない。
好きで生首切ってるわけじゃない。
悪人は当然ながら、人は誠実でも恨まれるし、優しいだけでも多くの人を不幸にする。
これがマキャヴェッリの言いたかったこと。
人は邪悪な輩の多い人間社会で不幸になりたくないなら清濁併せ持て。
ということ。
そして最後に運命の女神について。
(前回書き忘れました。済みません)
マキャヴェッリが言うに運命は「運命の神」ではなく「運命の女神」であり、彼女は女性である。
女性に対してはこちらからアプローチを掛ける必要がある。
女神の寵愛を受けたいのならば、男は口説かないといけない。
女神は基本受動的で、アクティブな人を好み、非アクティブな人を蔑む。
また、女神は足掻いていたり、行動的だったりする人に好意を持つ。
写真撮影が好きな人が2人居たとする。
片方は風景を撮ってそれを自宅のPCに取り込んで大画面で鑑賞するのが趣味。
もう片方の人は同じく風景撮影をしてRAWで現像処理をしてプリントアウトをして、月に2回写真コンクールに応募するのが趣味。
3年間の月日が流れる。
片方の人は自宅で自分が撮った写真を3年間眺め続けた。
もう片方の人は、月2回の写真コンクールに3年間で(2回*12ヶ月*3年)72回応募し続けた。
運命の女神は「女神」と言われるように女性的だから自分を何度も口説いてくるアクティブな人を好む。
後者のほうが運命を掴むのにふさわしく、そして実際ある程度の技量の閾値を超すと結構な頻度で入選する。
地方の応募者数の少ないフォトコンテストなどだと特にそう。
閾値を超えなければすべて落選するが、ある一定のボーダーラインの技量を超すと、行動をより多く取った人間に運命の女神は微笑む。
人はそれぞれの職域において一定の技量を身につけた場合に限り、より多く動いた者の方がチャンスを掴める。
それはマキャヴェッリの生きた500年前も今も変わらない人間社会の原理原則である。
(おしまい)
