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同人オタクが新人女子プロレスラーにハマった話 第十話『オタク、推しのデビュー一周年に寄せるってよ』




◆ はじめに


こんにちは。さんせ三世です🌺

この記事が公開される本日、金屋あんね選手はデビュー1周年を迎えました。

1年前のあの日。
『新人女子プロレスラー・金屋あんね』という名前を、私はまだ知りませんでした。

そこからの一年間で——

• オタクは、noteを9本も書き(そして10本目を書き始め)
• コミケからハシゴするように、新宿FACEまで初めて“ガチ遠征”するようになり
• 気づけば「推しレスラーのデビュー記念日」を、自分の中の記念日のように待つ人間になっていました。



正直、自分でもびっくりです。
だって私は、もともと“箱推しで一歩引いて見るタイプのオタク”だったから。

そんな私が、
「金屋あんね」という一人のレスラーの一年に、ここまで心を持っていかれた理由を、デビュー1周年に合わせてあらためて言葉にしてみたいと思います。

ついに二桁となった第十話は、そんな「この一年、私にとっての金屋あんね選手」をテーマにした、前・中・後編の三部作です。

まずは前編。ここでは

• 私があんね選手を知った“あの日”のこと
• まだ欠場中だった彼女を、画面越しに推し始めたこと
「箱推しオタクのガード」がどうやって溶けていったのか

このあたりを、ゆっくり振り返っていきます。


◆ 前編──シャッフル再生が連れてきた、見知らぬ新人



きっかけは、本当に些細なものでした。

原稿作業中、作業用BGM代わりに流していた動画がシャッフル再生で切り替わり、たまたま流れてきたのが、金屋あんね選手のデビュー戦だったんです。

「新人のデビュー戦か〜」くらいの、軽い気持ちで見始めたはずでした。

でも——

• 入場の華
• ぎゅっと詰まったフォームの良さ
• 動き出しの速さ
• ぎこちなさより先に、「ちゃんと自分の色で動こうとしている」と伝わってくる感じ

その全部が、最初の数分でガツンと刺さりました。

画面の向こうで、まだあどけない笑顔と、驚くほどキレのいいムーブが並んでいる。

「え、ちょっと待って、この子……」

気がついたときには、
私の中の“プロレスを見るときのフィルター”が、ひとつずつ外れていくのを感じていました。


◾︎ 「いま、リングにいない選手」を好きになる


デビュー戦の動画を見終わって、すぐに私は名前を検索しました。

金屋あんね

検索結果には、いくつかのニュース記事と公式サイトのプロフィール。
そして——

「現在は負傷欠場中」という文字。

そう。
私がハマり始めた時点で、あんね選手はすでにリングに立っていなかったんです。

ここが、「8ヶ月の欠場中にハマった」というより、
「ハマった瞬間には、もうリングにいなかった」
の方が、たぶん正しい言い方だと思います。

• 画面の中には、勢いのあるデビュー戦の姿があって
• でも現実には、その続きがまだ再生されていない

時間が途中で一時停止したままの選手を、私は画面越しに好きになりました。

普通なら、
「戻ってくるまで様子見しようかな」と距離を取りそうなところを、なぜかこのときの私は、逆に──

「戻ってくる時のために、今からちゃんと見ておきたい」

と思ったんです。

今振り返ると、この感覚が、のちのち遠征や三連戦につながっていく最初の一歩だった気がします。


◾︎ “箱推しの安心できる場所”から、一歩はみ出すまで


もともとの私は、プロレスを見ること自体、まずは
「団体全体が好き」「ユニット単位で箱推し」
というスタンスがいちばん心地いいオタクでした。

スターダムという団体そのものが好きで、
その中でいろんな選手やユニットの関係性、空気感、流れを丸ごと含めて見るのが好き。
だから今でも、プロレスを見るときの根っこの部分は“団体箱推し”のままです。

ただ、その一方で——

• 誰か一人に全振りして傷つきたくない
距離を取りながら、推しやすい範囲で楽しみたい

そんな、ちょっと臆病な“防御姿勢のオタク”でもありました。

その背景には、
子どもの頃からの「好きなものほど、いつか突然いなくなるかもしれない」という怖さもあって。
だからこそ、意識的に距離を保つ癖がついていました。

それなのに、金屋あんね選手という新人レスラーは、
そのガードを、ものの数分で崩してきたわけです。


「団体が好き」という気持ちは、今もずっと変わらない。
でもその“箱推しの安心できる場所”の中から、
金屋あんね選手だけは、まっすぐこちらの心臓を掴んできた。

今振り返ると、あの感覚が、
“団体を好きで見る自分”“ひとりの選手を特別に追いかけたくなる自分”の境目だったんだと思います。

デビュー戦を見終わったあと、私はすぐに

• あんね選手の試合が含まれている大会のアーカイブを探し
• X(旧Twitter)で名前を検索し
• ついには、さんせ三世という「金屋あんね選手のことを中心に語るアカウント」まで作ってしまいました。

「いやいや、ハマるの早すぎない?」と、自分でツッコミを入れながら。

でも、心のどこかではわかっていたんだと思います。

「あ、これは“箱推しの安全地帯”のままじゃ足りないやつだ」

って。


◾︎ 欠場中の8ヶ月が、空白じゃなくて「助走」に変わった


もちろん、現実としての8ヶ月の欠場は、
あんね選手本人にとっても決して短くはない時間だったはずです。

ただ、ファン側の私にとっては、その期間は
「空白の8ヶ月」ではありませんでした。

• デビュー戦を何度も見返して、「ここ、すごい」と思った瞬間をXに書き出したり
• FCブログや配信で、少しずつ明かされる近況を追いかけたり
• 「復帰したら、こんなギアで出てきてほしいな」と妄想しながらFAを描いたり

気づけば、欠場中の時間そのものが
「復帰戦までの助走期間」
になっていました。

この助走の間に、私は——

• 復帰に向けた一人カウントダウンイラスト投稿企画をしたり
noteを書く準備をしたり(第1話〜第3話あたりが、この時期を詰め込んだ記録です)
• まだ見ぬ“リング上の続き”に向けて、自分の感情をどんどん積み重ねていったり

そんなふうに、勝手にではありますが、復帰の日を待っていました。

リングにいない8ヶ月は、私にとっては「心の中であんね選手を育てていた8ヶ月」でもあった、というか。

だからこそ、復帰戦で初めてリングに戻ってきたとき、
第3話で書いたように、私は配信の前でボロボロ泣くことになるわけですが……

その話は中編でたっぷりやるとして、ここでは一旦置いておきます。


◾︎ 「一周年」という節目に、あらためて思うこと


デビュー1周年の日を迎えて、いちばん強く感じているのは──

「この一年間、金屋あんね選手を好きで居続けられてよかった」

という、とてもシンプルな気持ちです。

• 欠場中に見つけて
• 復帰戦を配信で見届けて
• 初めて生でリング姿を見て
• そして関西三連戦まで追いかけて——

その全部が、私の中では一本の線になっています。

この前編は、その線の「スタート地点」を、もう一度なぞるような回でした。

中編では

• 復帰戦の日のこと
• 初生観戦や遠征の話
• そして「ハイスピード戦線の中に立つ“新人・金屋あんね”」を見て感じたこと

あたりを、これまでの第1〜9話とはまた違う角度から書いていきたいと思います。

デビュー1周年のこのタイミングで、
あらためて「推すってなんだろう」と考えながら綴る第十話。

よかったら、もう少しだけお付き合いください。

(中編に続きます)


◆ 中編──“いない時間”から始まった推し活の話


前編では、
「そもそもなんで私が金屋あんね選手にハマったのか」
そして「デビュー1周年って、数字以上に重たいよね」という話をしました。

中編では、そこからもう一歩だけ踏み込んで、

• あんね選手が長い欠場に入っていたあの8ヶ月
• 画面の端っこで、セコンドとして映っていたあんね選手
• そして、私がnoteを書き始めた理由

……このあたりを、1周年の今だからこそ言える言葉としてまとめておきたいと思います。


◾︎ 「ちょっと辛気臭い書き方だな」と思った、あの日の自分へ



この連載の第1話〜第3話を読み返すと、今より文章にも慣れていないし、正直ちょっとだけ湿度高めなんですよね。

「なんか、ちょっと辛気臭い言い方しちゃってるな……」

と、自分で自分にツッコミを入れたくなるところもあります。

でも、そのときの自分をなかったことにはしたくないので、ここだけはちゃんと今の言葉で書き直しておきたいです。



当時の私は、プライベートでも仕事面でも創作面でも、心身ともにけっこうギリギリな時期を過ごしていました。

気力が残っている日は原稿の絵を描いて、
残っていない日は、ただぼんやりと天井を見て過ごす。

「楽しい」はちゃんとあるのに、
どこかでずっと、自分の輪郭がぼやけていくような、そんな毎日でした。

そんな時期に出会ったのが、画面の中で全力で戦っているあんね選手でした。

• 技のコンボが決まって「よっしゃ〜!」と叫ぶ声
• どんなに押されていても前に出るフットワーク
• 負けた試合後でも、泣きそうになりながらファンに頭を下げる姿

ひとつひとつに胸を打たれて、
「この人の歩幅を、ちゃんと追いかけてみたい」と思ったのが、すべての始まりです。


◾︎ “いない8ヶ月”を一緒に走ってくれた人


先述しましたが、ここからが他の推し活とはちょっと違うところで。

私が本格的にあんね選手にハマったのは、まさにその人が長い負傷欠場に入っていた8ヶ月間でした。

リングに立っている試合よりも

• セコンドに付いてマットを叩いている姿
• バックステージまで駆け足で引き上げていく背中
• 場外でダウンした選手のそばにしゃがみこんで声を掛けている横顔

そういう“断片”の方を、先にたくさん見てきたオタクなんです、私は。



当時のnoteでは、そこをうまく言葉にできなくて、
少し暗いトーンで書いてしまったかもしれません。

だから、今の言葉で改めて言わせてください。

最初にハマった時期は、欠場中のあんね選手にとっても、単なる一オタクの私も心身ともにしんどい時期でした。
それでもアーカイブ配信の向こうで、あんね選手は明るい笑顔と、まっすぐで熱いファイトスタイルを届けてくれた。
リングに上がれない間も、セコンド業務やリング調整、場内を駆け回る仕事を通して「プロレスラー・金屋あんね」をひとつも諦めていなかった。

その背中に、私は何度も助けられました。

“いない8ヶ月”は、
「推しがいない時間」じゃなくて

“推しの復帰に向かって走っていた時間”

だったんだな、と今は思います。


◾︎ 画面の端の“セコンド”を、何度も巻き戻した


配信中継を見ていると、どうしてもフォーカスされるのはリングに立っている選手たちです。

でもあの頃の私は、
画面の端っこでチラッと映る“セコンド姿のあんね選手”を探すのに必死でした。

• 試合後、先輩レスラーの腕を支えながらバックステージまで戻っていく
• 場外乱闘に巻き込まれないよう、選手の導線とファンの安全を確保している
• カメラに抜かれていないところで、ちょっとだけ客席の方を見て笑う

そんな一瞬を見つけるたびに、スクロールを巻き戻しては、何度も何度も見返していました。

「この人、絶対リングに戻ってくる」

そう確信できるだけのものが、
たった数秒の映像にもぎゅっと詰まっていたからです。


◾︎ 2025年12月8日・後楽園——“本当のスタートライン”の日


そして迎えた、2025年12月8日・後楽園ホール大会。
『金屋あんね vs. 浜辺纏』令和7年組ふたりの“ダブル復帰”シングルマッチ。

連載第3話では、この日のことをかなり細かく書きました。



ここでは試合内容の振り返りではなく、
「1周年を前に、あの日をどう思い返しているか」
だけを書いておきます。



配信の画面の前で、私は何度も両手を握りしめていました。

• ゴングの音
• 花道から聞こえる入場曲
• コールに重なる、客席の拍手

どれもこれもが、「推しが帰ってきた」実感を運んでくる。

画面越しだからこそ、逆に距離がなくなる瞬間ってあるんだな、と感じたのもこの日でした。

「8ヶ月間、いない時間を一緒に走ってきた人が、
いま目の前で“プロレスラー・金屋あんね”として戻ってきた。」


その事実だけで、試合内容の細かい感想なんて一回どこかへ吹き飛んじゃって。

ただただ……
「生きてリングに立っている」
「戻ってきてくれた」

そのことを噛みしめる1試合でした。


◾︎ そこから始まった、“はじめて”だらけの一年


復帰戦が終わってからは、とにかく
「はじめて」
がぎゅうぎゅうに詰まった時間でした。

• はじめてのサイン会(こちらは復帰前日ですが...)
• はじめての現地観戦
• はじめてのプロレス遠征


そのひとつひとつを、私はこのnoteに書き残してきました。

文章としては、まだまだ拙いところもあります。
でも読み返してみると、どの記事にも共通しているのは……

「あんね選手のことを、ちゃんと“今の言葉”で好きって言いたかったんだな」

という気持ちです。


◾︎ noteを書き始めた理由は、「未来の誰かの地図になれたら」だった


あんね選手の復帰後、私はあらためて
「このオタクの気持ちを、どこかに書き残したい」
と思うようになりました。

それが、この連載
『同人オタクが新人女子プロレスラーにハマった話』
の始まりです。

最初の数本は

• 推しに出会った時期のしんどさ
• 病み上がりでおっかなびっくりな初サイン会参加
• 配信の前でひとり泣きそうになっていた夜

……そういう、ちょっと湿度高めの話が中心になりました。

でも根っこにあったのは、ただひとつです。

「いつか“途中から金屋あんね選手を見つける誰か”が現れたとき、その人にとっての“地図”みたいなものがあったらいいな」

• どの大会でどんな姿を見せてくれたのか
• その時の客席の空気はどうだったのか
• オタクはどんな気持ちで帰り道の電車に揺られていたのか

その全部を、“記録”じゃなくて“温度”として残したかった。

結果的に、自分のしんどかった時期のことにも触れる形にはなりましたが、それも含めて『金屋あんね選手のデビュー1周年までを追いかけた記録』になったのかなと思っています。


◾︎ 中編のまとめ——“いない時間”も含めて、一年分の「ただいま」


ここまでが、

• 欠場中に出会って
• 画面の端でセコンド姿を追いかけて
• 復帰戦の配信に立ち会い
• noteを書きながら自分も少しずつ前に進んできた

そんなオタク側から見た、
「デビュー1周年までの中間地点」
の話でした。

あんね選手にとってこの一年は、
「ケガからの復帰」「巡業」「初めてのタイトルマッチ」など、リング上の挑戦がぎっしり詰まった一年だったと思います。

そして私にとっては、

“いない時間”も、“いる時間”もひっくるめて、
何度も「ただいま」「おかえり」を言い合ってきた一年”でした。



後編では、いよいよ──

• 関西三連戦で見た景色
• そして「デビュー1周年」という当日のこと
• オタクとして、これからの金屋あんね選手に何を願っているのか

そのあたりを、いつものテンションのまま、全力で書いていきたいと思います。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
後編も、よければお付き合いくださいね。

(つづく)


◆ 後編──初タイトルマッチと、“まだ途中”の一年のこと


前編では
「どうして金屋あんね選手にハマったのか」
中編では
「欠場中の8ヶ月と、“いない時間”を走った話」

を、それぞれ今の言葉で振り返りました。

後編ではいよいよ、この一年のハイライトのひとつである

初タイトルマッチのこと

そして、そこから関西三連戦を経て、デビュー1周年にたどり着くまでの「途中経過」を、あくまで一人の同人オタク目線で書き残しておきたいと思います。


◾︎ 2.3 TOKYOSQUARE in Itabashi(インイタ)──配信越しで見た、初めてのタイトルマッチ



第八話では
2.3 NEW BLOOD 28 板橋大会“28戦目”について、けっこうしつこく書きました。

2.3 TOKYOSQUARE in Itabashi大会(いわゆる「インイタ」)で組まれたNEW BLOODタッグ選手権試合が、
金屋あんね選手にとっての初めてのタイトル挑戦になりました。

私はその現地には行けなくて、
自宅のPC前、部屋の照明を少しだけ落として、
いつもより姿勢よく、配信画面の前に座っていました。


◾︎ 画面越しのコールなのに、「もう戻れない」と感じた夜


大会が進んでいき、いよいよメインイベント。タイトルマッチが近づいてくる。

あんね選手の入場曲『ハイビスカスサンシャイン』が、スピーカー越しに部屋の空気を震わせるくらいの音量で流れた瞬間——

私はインイタではなく、狭い自室の椅子の上に座っていたはずなのに、ふっと足元の感覚が変わるような気がしました。

「あ、ここから先は“ただの一新人”じゃなくて、
一度でも“タイトルの景色”を見たレスラーになるんだ」


現地のざわめきも、コールに重なる拍手も、全部配信のスピーカー越しの音なはずなのに。

その瞬間だけは、画面の向こうとこっちの距離が一段ぐっと縮まったような、不思議な感覚がありました。


◾︎ 配信越しに見た、“今の金屋あんね”の全部


試合そのものは、第八話でも触れた通り、私の語彙じゃ追いつかないくらい「今の金屋あんね」の全部が詰まった時間でした。

• 倒されても、気迫でカウント2.9で肩を上げること
• しんどい場面ほど、前に出てエルボーを打ちに行くこと
• タイトルマッチだからって背伸びしすぎず「これが自分の色です」と言うようにドロップキックやカサドーラを何度もぶつけていくこと

画面越しでも伝わってきたのは、
“特別な日”だから変わるあんね選手ではなく、
“いつもの金屋あんね”が、いつも以上に「これが自分だ」と言い張っている姿
でした。

結果だけ言えば、その日、ベルトはまだ彼女の腰には巻かれませんでした。

でも、配信を見終わったあと、
私の中にいちばん強く残ったのは──

「金屋あんね選手は、ちゃんと“タイトルマッチをやったレスラー”になったんだ」

という、静かな確信でした。


◾︎ セカンドロープからのダイブと、「フロッグスプラッシュ」という名前


この初タイトルマッチで、どうしても触れておきたいワンシーンがあります。

試合中盤。
あんね選手がセカンドロープに登って、そこからダイブして飛び込んだ、あの技です。

当時の配信は実況なしで、
試合後に出たレポートにも、その技名は特に書かれていませんでした。

画面越しにそのモーションを見た瞬間、
胸のどこかがふっとざわつく、妙な既視感があって。

「あれ……この軌道、知ってるぞ?」

という感覚はあったのに、
確信が持てなかったのと、あまりにも自分の中では“私事すぎる話”だったので、そのとき書いたnoteでは、あえて具体的な技名を出さないままにしていました。

それから少し時間が経って。




この試合が『We are STARDOM!!』で、
ダイジェスト版&実況付きで収録されたときのこと。

画面の中で、同じシーンが流れ、
あんね選手が再びセカンドロープからダイブした瞬間——

村田アナの声が、はっきりこう乗りました。

「フロッグスプラッシュ!」

その一言を聞いた瞬間、
ずっと喉の奥に引っかかっていた何かが、ストンと腑に落ちました。

この技は、私にとっては
“あんね選手以前に、幼少期に最初にできた推し”の代名詞みたいな技でした。

• 同じ“常夏”の空気をまとった生まれ育ちで
• 今はもうリング上から去ってしまった推しが
• 何度も何度も、命を削るみたいに飛んでいた名技

それが「フロッグスプラッシュ」で。
私は子どもの頃からずっと、その軌道と着地の瞬間に心を持っていかれてきました。

その技を——
今はリング上から去った“最初の推し”が残した名技を

同じ常夏の空気をまとった金屋あんね選手が、自分の武器としてリングで使っている

という事実だけで、配信を見ていた当時の私は、正直かなり涙を堪えるのに必死でした。

「似たタイプだから」とか
「南国キャラだから」という単純な話じゃなくて。


自分が最初に恋をしたプロレスラーの背中からこぼれ落ちた“何か”を、令和七年組の金屋あんね選手が拾ってくれている。

そう感じてしまったら、もう泣くなという方が無理で。

だから私は、
“あの試合でセカンドから飛んだ技”を、
デビュー1周年の今、ちゃんと名前で呼んでおきたいなと思います。

あれは、フロッグスプラッシュでした。

そして、あのフロッグスプラッシュを飛んだ日こそ、
私にとっての「金屋あんね選手の初タイトルマッチ」だったんだな、と。


◾︎ 「勝てなかった」より、「あの景色を見たかった」


初タイトルマッチを配信で見終わったあと、
真っ先によぎったのは、やっぱり
「あのベルトに届くところを見たかったなぁ……」
という気持ちでした。

でも、冷静に考えれば、
私にはあんね選手の肩を押すことも、相手のカウントを止めることもできません。

オタクにできるのは、
せいぜい声援と拍手(とコメント)と、あとで残すイラストと文字くらい。

だから今は、その気持ちを少しだけ言い換えたいです。

「勝てなかった」のではなくて、「あの景色に立ち会いたかった」に近かったんだと思います。

その代わり——
あのフロッグスプラッシュと、画面越しでも伝わってきた“今の全部”を、ちゃんとタイトルマッチとして胸に刻んだ自負はあります。

少なくとも私は、
「まだ早いんじゃない?」という不安よりも、
「ここで一度、あの景色を見せてもらえてよかった」
という気持ちで、配信を閉じることができたから。



◾︎ 関西三連戦——追いかける楽しさを、あらためて知った三日間


初タイトルマッチの余韻と、
フロッグスプラッシュの衝撃を抱えたまま、少し時間を置いて迎えたのが、第九話で書いた


『2.20 滋賀〜2.22 神戸の関西三連戦』です。

詳しくは上記の九話に約26000文字以上の言葉で全部ぶち込んだので🫠ポイントだけさらっと。

• 滋賀・ウカルちゃんアリーナで見た、鉄アキラ選手 vs 金屋あんね選手の“新人王で会おうな”前夜祭みたいな第一試合
• 改修前ラスト府立での、ハイサイがむしゃらファンタジー“三つ編みトリオ”
• 神戸芸術センターでの、トロピカル☆ハイサ〜イ前説&第一試合——そして友人の「かわいいベルト」爆レス事件

星取表だけ並べれば、
三日間とも、結果の欄には「黒星」が続きます。

でも、九話でも書いた通り、あの遠征はどう考えても
勝敗表だけでは言い表せない三日間でした。

黒星は続いたけれど、それ以上に
「追いかけるのが楽しい」
「見届けたい瞬間がどんどん増えていく」

そんな気持ちの方が、ずっと大きかったんです。


◾︎ “推しの連鎖”の輪の中で、オタクは何を見ていたか


三連戦noteの最後に書いた、あの一節を、
1周年の今もう一度だけ引っ張り出させてください。

「リングの上の推しを追いかけながら、
その推し自身もまた、別の誰かを全力で推している。」


滋賀から神戸までの三日間、
私は客席からあんね選手の背中を追いかけていました。

でも同じ時間軸のどこかで、あんね選手は

「876プロフェスの配信を一人でガッツリ楽しみにしているP」

でもあって。

• 選手間でのご飯のお誘いを断ってまで
「一人で、ゆっくり観たい」と言えるくらい

“推しのいるオタク”として生きている人が、
リングの上では令和七年組として戦っている。

推しのいるオタクが、推しのいるオタクを推している。

その、ちょっとややこしい輪っかの中に、
私も客席の一人として混ぜてもらっていた三日間だったんだな、と。

デビュー1周年を迎えた今あらためて思うと、
関西三連戦はやっぱりここに帰ってきます。


◆ デビュー1周年の日に、いちオタクが一番言いたかったこと


そして、カレンダーが一巡して迎えた
「デビュー1周年」

正確な日付や大会名、対戦カードは、公式の記録に任せるとして。
私はオタクとして、この日にいちばん言いたかったことだけ書きます。


◾︎ 「一年間お疲れさまでした」じゃなくて、「ここからも一緒に走らせてください」


この一年、あんね選手は

• デビュー
• ケガ
• 約8ヶ月の欠場
• セコンドでの復帰準備期間
• 2.3 インイタでの初タイトルマッチ

と、ひとりの新人レスラーにしては、本当にいろんなものを背負いすぎなんじゃないか、ってくらい濃い時間を走ってきたと思います。

だからこそ、

「一年間おめでとうございます!」

とだけ言ってしまうと、
どこか“区切りの挨拶”みたいに聞こえてしまうのが、どうしても引っかかって。

なので私は、1周年の日にこっそりこう決めました。

「一年目、おめでとうございます」だけじゃなくて、
「一年間、一緒に走らせてくれてありがとうございました。ここからも、隣の客席に座らせてください。」

っていうスタンスで、二年目も推し続けよう、と。


◾︎ 勝敗表だけじゃ測れない“1年目”を、ちゃんと見ていたい


この一年を星取表だけで眺めてしまうと、
決して「順風満帆な新人一年目」ではなかったかもしれません。

• 8ヶ月にわたる欠場期間
• まだ初勝利がついていないこと
• 初タイトルマッチを落としていること
• 同期が先に白星を重ねていく場面

そういう全部を「悔しい一年」の一言で括ることもできる。

でも、現地と配信の両方から追いかけてきた感覚としては……

“負け続けた一年”じゃなくて、
“勝敗表では追いきれないものが確実に積み上がっていった一年”

だったと、私は思っています。

セコンドでの動き方も、
入場ダンスのキレも、
技を受けるときの覚悟も、
タイトルマッチで飛んだフロッグスプラッシュも。

少しずつ、でも確かに変わっていったからこそ

その変化を「勝った」「負けた」以外の言葉で残しておきたくて、私はnoteを書き続けているんだと思います。


◾︎ 「二年目の金屋あんね」に、ひとりのオタクが願うこと


最後に。
デビュー1周年を迎えた金屋あんね選手へ、
小生意気ながら、いちオタクとして願っていることを、いくつかだけ書かせてください。



① あんね選手の“勝利の景色”を見てみたい

今、いちオタクとしていちばん素直に思うのはこれです。

タッグでもシングルでも、どんな形でもいい。
私は金屋あんね選手の勝つ姿が見たいし、その先に広がる“勝利の景色”を一緒に見てみたいです。

その日が来たら、きっと言葉にならないくらい嬉しいと思います。
ここまで見てきた時間が、ちゃんと繋がっていたんだなって思える気がするから。

だから二年目のどこかで、その瞬間に立ち会えたら嬉しいです。



② ハイスピ戦線のど真ん中で、自然に名前を呼ばれる日が来てほしい

現チャンピオンの師匠・水森由菜選手や、
ラストダンスに向けて歩む鹿島沙希選手や、
“パイセン”としてあんね選手を査定してくださったAZM選手をはじめとした先輩たち、
歴代のハイスピード王者たちの名前の中に、

「金屋あんね」

という名前が、ごく自然に並ぶ日。

その未来が、この一年で少しずつ輪郭を持ち始めている気がします。

• インイタでのタイトルマッチ
• AZM選手との「生意気新人」vs「ハイスピの象徴」
• 府立での鹿島選手との攻防
• 神戸でのピカサイとしての第一試合

ひとつひとつはまだ“途中”だけど、
ぜんぶが「ハイスピ戦線に入りたいです」という自己紹介になっているように感じます。

二年目は、その自己紹介が
「自己紹介」から「名前を呼ばれる側」
に変わる一年になったらいいな、と思っています。



③ そして何より、「推しのいるオタクとして生き続けてほしい」

これは完全に、私のわがままです。

876プロフェスのTシャツの話も、
配信を「一人でゆっくり観たい」と言っていたことも、
あの一連のエピソードが、私は本当に大好きで。

“推しのいるオタク”としての金屋あんね選手が、
リングの上の金屋あんね選手と同じくらい、ちゃんとそこにいること。

その事実に、何回も救われたから。

だから二年目も、どうかそのままでいてほしいな、と思います。

リングの上では、誰かの“憧れ”として。
画面の前では、誰かの“担当”として。

その両方を抱えたまま走り続ける姿を、これからもこっそり、でも全力で応援させてもらえたら嬉しいです。


◆ おわりに——「1年ありがとう」と「ここからもよろしくお願いします」


あらためて振り返ってみると、
あんね選手のデビュー1周年までの一年は、私自身にとっても

「同人オタクが新人女子プロレスラーにハマって、
自分の生活と文章の重心がハイビスカス色になった一年」


でした。

• イラストやnoteを書き始めたこと
• 現地と配信観戦が生活のリズムの一部になったこと
• 約8ヶ月越しの復帰戦や、初生観戦、初タイトルマッチのフロッグスプラッシュで何度も号泣した夜があること

あんね選手の試合をはじめ、ここまで読んでくださった皆さまも、立派な「金屋あんねウォッチャー」だと思います。

またどこかの会場で、みなさんと同じ空気を吸いながら、金屋あんね選手のハイビスカスポーズと、大一番の肩車からの回転丸め込み、そしてフロッグスプラッシュを見上げられたら嬉しいです。

その実況TLや客席のどこかに『同人オタクが新人女子プロレスラーにハマった話』を書いてるやつが一人座っていますが、どうか温かい目で見逃してやってください。

その全部込みで、
「あんね選手のいる一年」
を歩けてよかったです。

あらためて、デビュー1周年──。


🌺🌺🌺🌺デビュー㊗️一周年🌺🌺🌺🌺


金屋あんね選手、一年目を駆け抜けてくれてありがとうございました。


そして、二年目の景色も楽しみにしています!




次回はいよいよ、金屋あんね選手デビュー1周年当日の『NEW BLOOD 30』新木場大会回を投稿予定です!

以上、さんせ三世でした🌺

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