同人オタクが新人女子プロレスラーにハマった話 第九話『オタク、推しの三連戦を見に行ったってよ』
■ はじめに
こんにちは。さんせ三世です🌺
このnoteは──「同人オタクが新人女子プロレスラーにハマった話」第九話『オタク、推しの「関西三連戦」を全部見に行ったってよ』
になります。
今回の舞台は、2月の関西三連戦。
• 2.20 滋賀・うかるちゃんアリーナ
• 2.21 大阪・エディオンアリーナ大阪
• 2.22 神戸・神戸芸術センター
平日ナイトショーの滋賀から、府立(エディオンアリーナ)、人生初の神戸まで。
「どう考えても行きすぎでは?」と思いつつ、気づいたら3日間まるっとスターダムに捧げていたオタクの記録です。
前回の第八話では、
2.3 NEW BLOOD 28 板橋大会──
「オタク、推しの初タイトルマッチを見届けたってよ」として、金屋あんね選手の“28戦目”を中心に書きました。
先に正直に言ってしまうと──
この三日間、「結果」という意味では、まだ叶わなかったリングが多かったです。
推しの初勝利は、もう少しだけ未来に取っておくことになりました。
それでも不思議と、手元のメモには「悔しい」よりも
「ここが良かった」「ここからまた強くなりそう」
みたいな言葉ばかりが増えていって。
「じゃあこの三日間って、
“負けた三連戦”ってひと言でまとめちゃっていいのかな?ふざけるな!無粋じゃないか!そんなこと思ってたまるか!」
と、逆にペンが止まったんですよね。
だから私は、この三日間を
「勝ち星だけじゃ測れない時間を、たくさん見届けた遠征」としてここに書き残しておきたいな、と思いました。
リングの上では勝てなかった夜たちなのに、
客席で、通路で、琵琶湖のほとりで、
オタクの心にだけはしっかりと何かが積み上がっていった三日間だったからです。
そんなわけで今回は、
“推しの関西三連戦を全部見に行ったオタク”の視点から、
滋賀・大阪・神戸の三日間を、できるだけ順番に、
そしてちょっとだけしつこく振り返っていきたいと思います。
※今回かなり長いので、ブクマしてスキマ時間にちょこちょこ読んでもらえると嬉しいです
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◆ 関西三連戦に気づいたオタクの昼休み
すでに私は、2連戦分を休日に充てていました。
改修前ラストの府立(大阪)と、人生初の神戸大会。
「関西でプロレス三昧の週末、楽しみだ〜」と胸を躍らせていた、そんなある昼休み。
タイムラインには、安納サオリ選手が宣伝する2.20滋賀大会のポスト。
ウカルちゃんアリーナ大会まであと2日。
— 安納サオリ (@anou_saori) February 18, 2026
震える。楽しみ。
皆さんが楽しんでいただくことが1番です。
滋賀を大好きになっていただき
プロレスをもっと大好きになっていただく
そんな一日に。
お待ちしております!
大会情報
▶︎ https://t.co/lKZsqkXZtv#おかえりあのたん #STARDOM https://t.co/iY68cTWFAu
その文字列をぼんやり眺めながら、ふと頭に浮かんだのは一言でした。
「滋賀、行きたかったなぁ」
仕事も繁忙期を抜けて、そろそろ閑散期の終盤。
心にもスケジュールにも、ちょっとだけ余白がある。
……そこで、もうひとつ別の声が囁きます。
「3連戦、行けるのでは……?」
半ば冗談のつもりで、会社のデスクでウカルちゃんアリーナまでの経路をポチポチ検索。
するとどうでしょう。
仕事終わりでも無理のない移動時間。
そして関東遠征に比べると信じられないくらい良心的な交通費。
「行くか」
気づいたら、私は滋賀大会のチケットを確保していました。
ライブ遠征みたいに「チケット代+宿代+新幹線」で一撃ドーンと飛んでいくわけでもなく……
ほぼ片道・首都圏遠征分の交通費で、滋賀・大阪・神戸の三大会が見られて、しかも配信で何度でも見直せる。
その現実に気づいた瞬間、心の中でこう叫んでいました。
「プロレスって、なんてオタクに優しい競技なんだろう……!」
そして同時に、関西人でよかった、とつくづく思った昼休みでもありました。
ということで──
• 2.20(金) 滋賀:ウカルちゃんアリーナ(プロレス最終興行)
「STARDOM in OTSU 2026 Feb.
〜ありがとうウカルちゃんアリーナ、私がスターダムの安納サオリです〜」
• 2.21(土) 大阪:エディオンアリーナ大阪(改修前最終興行)
「STARDOM in Osaka 2026 Feb」
• 2.22(日) 神戸:神戸芸術センター
「STARDOM in Kobe 2026 Feb」
この三大会をフル参戦することになった私は、
こうして「スターダム尽くしの三日間」に足を踏み入れることになりました。
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◾︎ 仕事終わりダッシュで、いざ滋賀へ
初日・滋賀は平日。
仕事終わりにタイムカードを切るやいなや、その足で最寄り駅へダッシュして電車に飛び乗ります。
物販は翌日の大阪大会で買うつもりだったので、
車内では座席を確保して、ひとまずホッと一息。
前日にダイソーで仕入れた「スマホ用ワンハンドシャッター」をカバンから取り出して眺めながら
「これでようやく、あの致命的な手ブレから卒業できるのでは……?」
と、ささやかな進歩にニヤニヤしていました。
※テンションに任せて撮った今まで撮った大会の写真、マジで震度5強くらいブレてたので反省…。
とはいえ、この日は完全に仕事モードの服装。
着替える余裕なんてないので、オフィスカジュアルのまま「今日は観戦メインだし」とC席をチョイス。
事前にSTARDOM公式がアップしてくれていた安納サオリ選手と天咲光由選手の案内動画が、本当に頼もしい地図代わりになりました。
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◾︎ ときめき坂と琵琶湖と、安納サオリの街
意外だったのは、滋賀のアクセスの良さ。
最寄り駅を降りて、ときめき坂を歩きながら案内動画の風景をなぞっていくと、
「ここが安納選手が過ごした街か〜!」
と、観光半分・巡礼半分みたいな気持ちになっていきます。

ウカルちゃんアリーナへまっすぐ向かう……前に、私はどうしても寄り道をしたくなりました。
せっかく滋賀まで来たんだし、一度は見ておきたい場所がある。
そう、琵琶湖です。
冷たい風が肌を刺すような寒さの中、
夕暮れの琵琶湖を眺めながら、心の中でそっと呟きました。

「オタク&琵琶湖、来たよ。来たね、滋賀。〜ウカルちゃんアリーナ〜」
どこかの標語みたいな一句も浮かんできます。
安納サオリ選手の“滋賀凱旋”を飾る会場であり、
滋賀の人々に長く愛されてきたウカルちゃんアリーナ。
プロレス最終興行となるその日、
私は「最初で最後の来場者」として、土足厳禁の張り紙を前に上履き(スリッパ)へ履き替えます。
半ば「お邪魔させていただきます…」と頭を下げるような感覚で、
静かに扉をくぐると──
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◾︎ 滋賀・最初で最後のウカルちゃんアリーナ
半ばお邪魔させていただくような感覚でウカルちゃんアリーナに足を踏み入れると、まず最初に感じたのは「木の匂い」でした。
床や壁にほのかに残る木目の質感。
ほんの少し黄味がかった照明。
端的に言うなら──「The・体育館」
生まれ育った地元の体育館に久しぶりに帰ってきたような、くすぐったい懐かしさが胸の奥でふっと揺れました。
入口付近では、滋賀県にまつわる出展ブースや、琵琶湖の“非公式マスコット”びわけんくんがお出迎え。
そのすぐそばでは、安納サオリ選手がお渡し会でファンと和やかに言葉を交わしていて、「あぁ、本当に“安納サオリのホーム”なんだな」と、空気そのものから伝わってきました。
平日夜とは思えない超満員。
しかも、周りからは
「プロレス見るの初めてなんです」
「今日、友達に誘われて来てみました」
という声もちらほら聞こえてきて、
普段のSTARDOMのビッグマッチとも、首都圏の後楽園ともまた違う、ふんわりあたたかい“地元回”の空気が会場全体を包んでいました。
大会開始直前になると、おなじみの『S.T.D.M.』が流れはじめます。
そこへ登場したのは、安納選手の“地元の同級生”たちによるダンサーチーム。
安納選手と同じ時代を過ごした人たちが、
Actress girl’Zデビュー同期・相羽あいなさんの歌う曲に合わせて、一斉にダンスを披露するという、滋賀ならではのスペシャルなオープニング。
リング上ではSTARDOM
客席最前列には地元の友達
流れている曲はかつての同期が歌うテーマソング。
安納選手にとっては
「同級生がいて、同期の声が流れて、自分はスターダムのエース格としてそこに立っている」
という、なんとも言葉にしがたい“地元凱旋”の形なんだろうな、と想像しながら見入ってしまいました。
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◆ 関西三連戦“1本目”のあんね枠『鉄アキラ&古沢稀杏 vs. フワちゃん&金屋あんね』
そして迎えた第一試合。
この関西三連戦を綴る第九話では、全カードを細かく追うというよりも「あんね選手の三日間」を中心に据えて書きたいと思っています。
その意味で、この日の“関西三連戦・一本目”を飾る大事なあんね枠が、こちらのカードでした。
第一試合:鉄アキラ&古沢稀杏 vs フワちゃん&金屋あんね
(この大会での試合はSTARDOM公式の下記動画から無料視聴出来ます。詳細な試合展開や攻防などは実際の試合映像でご覧ください)
令和七年組からは、鉄アキラ選手・古沢稀杏選手・金屋あんね選手。
そこに、バラエティの顔からすっかり“スターダムの一員”になりつつあるフワちゃん選手。
この4人の中で、まだ白星がついていないのは金屋あんね選手のみ。
しかも、フワちゃん選手の“初勝利の相手”はあんね選手という因縁もあります。
さらに言えば、この日がフワちゃん選手にとって
「地方巡業・初の地方大会」
という節目でもあったそうで、
カード発表を見たときから
「これはもう、令和七年組とフワちゃんで“今のSTARDOMの入り口”を見せる第一試合なんだな」
というのが、すごくしっくりきていました。
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◾︎ フワちゃん&あんね入場:ウカルちゃんに咲いた、南国のツーショット
大会の“色”を決定づける大事な一発目の入場。
そのトップバッターは、フワちゃん選手&金屋あんね選手組でした。
フワちゃん選手の入場曲が流れはじめると、
まず視界に飛び込んでくるのは、遠目にも分かる「黄色 × 南国カラー」の明るいリングギア。
少し黄色がかったウカルちゃんアリーナの照明に照らされると、それだけで体育館の空気が、急にトロピカルな色合いに変わっていくように感じます。
コーナーポストへ駆け上がるフワちゃん選手。
その後ろから続くのは、同じ黄色系のコスチュームにハイビスカスモチーフを纏った金屋あんね選手。
そして、この入場で個人的にいちばん胸を撃ち抜かれたのが──
あんね選手も、フワちゃん選手に続いてコーナーへ登ったこと。
といっても、いきなりセカンドやトップロープではなく、あんね選手が選んだのは“ファーストロープ”。
そこにそっと足をかけて、
いつもの満開の笑顔でハイビスカスポーズをキメてくれました。
セカンドでもトップでもなく、あえてのファーストロープ。
「自分の今の立ち位置で、いま出せる精一杯のアピールをする」みたいな、あんね選手らしい一歩に見えて、ちょっと胸がキュッとしました。
そのあとには、フワちゃん選手がガバッとあんね選手を抱え上げてみせたりして、
ウカルちゃんアリーナの観客席からは
「あ、本当に“フワちゃんが滋賀に来た”んだ」
という素直な驚きと歓声が混ざったような空気が流れていました。

滋賀の体育館に、テレビの向こうの存在がやってきた。
そして、その隣には令和七年組の“琉球マーメイド”が並んでいる。
関西三連戦の一発目から
「これはちょっと、とんでもない三日間が始まるぞ」という空気がしていました。
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◾︎ 互角の攻防と、“新人王で会おう”と宣言されたみたいな終盤
試合内容は、令和七年組+フワちゃんという顔ぶれらしく、終始テンポの良いイーブンな攻防が続きました。
古沢稀杏選手の巧みなサブミッション、
フワちゃん選手のスピードと身体能力、
アキラ選手のガッツと体幹の強さ、
そして、そのど真ん中に飛び込んでいくあんね選手。
とくに終盤は、
自然と「鉄アキラ vs 金屋あんね」の構図へと収れんしていきます。
ここで少しだけ、アキラ選手の名前を出しておきたい理由があります。
アキラ選手は、少し前からX(Twitter)でこんなニュアンスのことを綴っていました。
新人王、
— 鉄アキラ (@AKIRA_K____) January 29, 2026
なんて幸せなんだろう。
俺は新人王というリングで
一対一で
会いたい子がいる。
あの子のキラキラした眩しいエネルギー、
もっともっと近くで誰の邪魔も
されずに感じてみたい、
そして、俺が潰したい!
早く、でも
もちろん、6人で。#STARDOM https://t.co/DvNbj4aG0r
「新人王というリングで一対一で会いたい子がいる」
「あの子のキラキラした眩しいエネルギーを、もっと近くで、誰の邪魔もされずに感じてみたい」
「そして、俺が潰したい!」
名指しこそされていなかったものの、
後にそれが金屋あんね選手のことだったと明かされています。
つまりこの滋賀大会の第一試合は……
「いずれ新人王のリングで“一対一でやりたい”と明言している相手と、三連戦の初日に早くもリングで相まみえた」
という、“宣戦布告の前夜”みたいな試合でもあったわけです。
実際、終盤のアキラ vs あんねのぶつかり合いは、
どの瞬間も気迫がぶつかり合う、見応えのある時間でした。
あんね選手がドロップキックで何度も食らいつき、
アキラ選手も「新人王で会おうとしてる相手」だからこそ、
一切手を抜かない強い一発を返していく。
「ここで遠慮したら、それは失礼になる」
とでも言うような、同期同士だからこその
“気持ちと気持ちが正面から当たりにいく”空気。
結果としては、
令和七年組の中でも最もリング経験を積んでいるアキラ選手が、
最後に半歩だけ前に出る形となりました。
ハーフハッチ・スープレックス・ホールド。
綺麗に決まったブリッジから、スリーカウント。
数字だけ見れば、
この試合もまだ、あんね選手の白星には届きませんでした。
でも、リング上の空気は決して
「負けた方」と「勝った方」
という単純な図では終わらなくて。
⸻
◾︎ 試合後、“令和七年組のこれから”を見せてくれた数秒間
試合終了後。
汗だくのまま向き合ったアキラ選手とあんね選手が、
額をぴたりとくっつけて見据え合うシーンがありました。

あんね選手は、その距離のまま一発、アキラ選手にビンタを見舞います。
それも、ただの感情的な張り手ではなく
「ここで終わりにしないからな」
と言っているような、鋭さと覚悟のこもった一撃。
その瞬間、会場の空気が一瞬すっと締まって、
客席のあちこちから息を飲む気配が伝わってくるようでした。
アキラ選手が新人王のリングを見据えて
「あの子を潰したい」とまで言った相手。
その“あの子”が、
関西三連戦の一本目のリングで、
「まだ全然ここからだから」と宣言し返したような、短いけれど濃い時間。
結果として白星はつかなかったけれど、
この第一試合が終わった時点で、私はノートに
「新人王:鉄アキラ vs 金屋あんね、絶対見たい」
と強めの字で書き込んでいました。
第九話の一日目。
滋賀・ウカルちゃんアリーナの第一試合は、
「推しの白星こそおあずけだったけれど、
“新人王でまた会おうね”と、
同期からきっちり宣言された試合」
として、私の中に刻まれました。
このあと、大阪・神戸と続いていく二日目・三日目にも、
それぞれ違う形で“あんね選手の今”が詰まっていました。
まずはこの滋賀大会が、
その三日間の一歩目のリングだったということだけ、ここに書き残しておきたいと思います。
そして──
このあとに続く“帰り道”が、私個人の関西三連戦の波乱パートの幕開けだった、ということも。
大盛況のウカルちゃんアリーナ大会。
終演はだいたい21時ごろ。
仕事帰りに、土地勘のあまりない路線でそのまま帰る──
という行為にまったく慣れていない私は、案の定というかなんというか、
「あれ? さっきもこの駅、見たぞ?」
みたいな謎の乗り換えを何度か繰り返し、
「今日はこのまま大阪大会に一緒に行く友人の家にお邪魔しよう」と思っていたはずが──
気づけばきっちり自宅の最寄りに着いていて、
そのままほぼ気絶みたいな状態で布団にダイブしていました。
遠征オタク見習い、初日の夜にして早くも電池切れ。
まさかこの“うっかり直帰&即寝落ち”が、
二日目・大阪、三日目・神戸へと続いていく
波乱万丈な三連戦のプロローグになるとは。
そのときの私は、まだ知るよしもなかったのです──。
二日目、大阪。
ここからは沙弥様お渡し会〜開場前までのお話です。
⸻
◆ 電車遅延から始まる、二日目の朝
流石に「仕事終わり滋賀→そのまま帰宅即落ち」コースの翌日ということもあり、
「こうなるだろうな」と、あらかじめちょっと早めに仕掛けておいたアラームでなんとか起床。
この日、大阪大会の本編前には──
現在欠場中の上谷沙弥選手の自伝&直筆サインポートレートお渡し会が組まれていました。
欠場中の沙弥様が、わざわざ大阪まで来てくれて
しかも、直接しもべに本を手渡してくれる。
(※「しもべ」は沙弥様のファン/スターダムファンの呼称)
そんなイベント、逃す理由がどこにあるのか。
眠気を根性でねじ伏せて身支度を整え、完全に“お渡し会モード”のテンションで出発。
……したところまでは完璧だったんですが。
駅に着いた途端、ホームに響くアナウンス。
「ただいま○○線は、人身事故の影響で大幅な遅れが──」
出た、電車遅延。
しかも「ちょっと遅れます」なんて生易しいレベルじゃなく、数時間単位のガッツリ遅延のやつ。
「これ……お渡し会、間に合わないかもしれない」
さすがに血の気が引いて、
一緒に大阪大会に行く予定だった友人にLINEで状況を報告すると──
友人:「お渡し会、代行しよか?」
という、ありがたすぎる申し出が返ってきました。
その一言で、こっちの情緒も少しクールダウン。
「代行という保険がある」と分かった瞬間、人間ってこんなに冷静になれるんだ……と変なところで感心しつつ、
「ここからはパニックじゃなく“最適ルート探しゲーム”だ」
とスイッチを切り替えて、
乗り換え → 乗り換え → 大乗り換え
を繰り返しながら、どうにかこうにかエディオンアリーナ大阪に辿り着きました。

⸻
◾︎ 玖麗さやか乱入。お渡し会が突然「公開処刑ショー」に変わる
会場前には、すでに自伝お渡し会の長蛇の列。
なんとか時間内に滑り込み、列がじわじわ進んでいくのを待ちながら、
「あと10人くらいで……沙弥様……」
と、嬉しさと緊張で変な汗をかき始めた、そのとき。
前の方から、マイク越しでもないのにやたらよく通る声が聞こえてきました。
沙弥様「はぁ!? お前なにやってんの!?」
???「上谷沙弥! 赤いベルトに挑戦させろ!!」
……え? え? と思って顔を上げると──
なんと、玖麗さやか選手が一般客に紛れて変装して並び、乱入。
すでにワールド王座への挑戦表明をしていた玖麗選手が、
まさかの「お渡し会の列から直談判」という形で再アピールしてきたのでした。
そこで飛んできたのが、沙弥様のあの声。
「お前さぁ! 沙弥様の召使いだよなぁ!?
ここに立ってしもべ達にちゃんとお礼を言え!
ちゃんとお辞儀するんだぞ!!」
まさかの“公開説教からのその場で売り子就任”。
ワールド挑戦を直談判しに来たはずの玖麗選手、
逆に返り討ちに遭い、そのまま沙弥様の隣に立たされてお渡し会の売り子にされるという、とんでもない展開に。
「えっ!? えっ!? これ現実!?」と
自分の感情がついていかないまま列は進み、とうとう自分の番が来ます。
⸻
◾︎ 電車遅延を溶かす、あまりにもあたたかい「史上最大の悪夢」
スターダム公式にアップされた動画には残ってない、
私のターンの一幕。
電車遅延でギリギリだったことを伝えようと、
「実は電車が遅延してて……」と話したところ──
沙弥様
「え〜!?!? 良かった〜!!!
本当に間に合って良かったです……!
もし来れなかったら大変でしたよね……? 嬉しい……!」
さっきまであんなテンションで玖麗選手を召使い扱いしていた人と同一人物とは思えないくらいの、ふわっとしたあたたかさ。
ちゃんと目を見て、
遅延のヒヤヒヤも含めて「来てくれてありがとう」と受け止めてくれて。
「あ、今日この人に会うためにここまで来たんだわ……」
って、電車遅延のストレスが一気に溶けていく感じがしました。
本を受け取り、
お礼を伝えて、その場を後にしようとしたところ──
少し離れたところに、さっき売り子に任命された玖麗選手が立っていて。
玖麗選手
「ありがとうございました‼️‼️‼️‼️‼️」
圧倒的声量と気迫。
「アッ…アリガトウゴザイマス…!」
思わずこっちの声が裏返りながらも、
売り子としておもてなししてくれた玖麗選手にもちゃんとお礼。
お渡し会がひと段落すると、
「ちゃんと(売り子)やったんだから挑戦させろ!」と吠える玖麗選手を、沙弥様が容赦なく足蹴にしながら
「やるわけねぇだろバァカ‼️」
と一喝して悠然と退場。
その背中を、全力ダッシュで追いかけていく玖麗選手。
一連の流れがあまりにも“上谷沙弥vs玖麗さやかワールド”すぎて、
ただただ
「すごい……」
という感想しか出てきませんでした。
⸻
お渡し会のあと、
早めに並んでいた友人と合流したとき、開口一番こう言われました。
「お前、遅れて来て良かったなぁ!?
こっちが並んでる時、玖麗選手おらんかったぞ!」
朝から振り回された電車遅延。
「最悪のスタートだ」と思っていた出来事が、
結果的に玖麗さやか選手乱入回のお渡し会に当たるというミラクルを引き寄せてしまったわけで。
不幸中の幸いどころか、
“史上最大の悪夢”(沙弥様のキャッチコピー)そのものだった──
と、エディオンアリーナのロビーでしみじみ噛みしめることになりました。
この時点で、まだ本編の試合すら始まっていないのが、
関西三連戦のこわいところです。
⸻
◾︎ 改修前ラスト・府立に「またね」
以前の記事でも少し触れましたが、
エディオンアリーナ大阪(いわゆる“府立”)は、この大会を最後に改修工事で約1年間使用できなくなることが決まっています。
スターダムにハマってから、何度も通ったあの会場。
仕事帰りにダッシュして駆け込んだ日も含めて、
私にとっての「プロレス現地オタクのホーム」のひとつが、この日でいったん締めくくられる。
「あ〜、今日が“改修前ラスト府立”なんだよな……」
と、ちょっと胸の奥がきゅっとする感覚がありました。
友人と集合して、昨日の滋賀の話をしながら、手土産を押しつけ合うみたいにして軽く雑談。
ふだんはお互いの観戦スタイルとこだわりが強すぎて、
別席だったり、たまに連番だったりとバラバラなんですが、この日は特別。
「ラスト府立、各自ベストポジションで見届けよっか」
ということで、あえて別々の席を選びました。
同じ空間にいながら、ちょっとだけ違う景色を共有する感じも、それはそれで楽しい。
改修前ラストにふさわしく、
この日のカードも「また来年!」と胸を張って言えるような豪華ラインナップが並んでいて、
オープニング前から会場全体にふわっとした高揚感が漂っていました。
そんな中で、私がこの日の三連戦記事の中でも特にメインで書きたいと思っていたのが、このカードです。
⸻
◆ 関西三連戦 "二戦目のあんね枠" 『がむしゃらファンタジー+金屋あんね、府立に集合』

第三試合 6人タッグマッチ
朱里&壮麗亜美&鹿島沙希
vs.
月山和香&梨杏&金屋あんね
先月まで E neXus V に所属していた
月山和香選手&梨杏選手のタッグ「がむしゃらファンタジー」に、
そこへ金屋あんね選手が合流する三人タッグ。
この記事自体が
『オタク、推しの「関西三連戦」を全部見に行ったってよ』
というタイトルのとおり、
今回の第九話では三日間通して“金屋あんね”を追いかける視点で書いているので、
この第三試合も、もちろんあんね選手中心の目線で振り返っていきたいと思います。
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◾︎ あんね・梨杏・月山、三つ編みトリオの入場が可愛すぎた件
ゴング前から、すでにちょっと反則級なのが入場シーンでした。
あんね選手の一個上の先輩でもある梨杏選手と、
まず二人で並んであんね選手の代名詞・入場ダンスを踊り始めるんです。
その「ハイサイ」な空気の真ん中を、
あとからスッと割って登場する月山選手。

同じくらいの背丈、
同じくらいの体格、
そして三人ともおそろいの“三つ編みおさげ”。
三つの影がきれいに並んだまま、
コーナーに向かってテクテク歩いていく光景は、
一瞬だけアイドルユニットの新曲初披露みたいにも見えて、
「がむしゃらファンタジー+1 というより、“三人で一つの物語をやるんだ”って感じだな……」
と、入場の時点でちょっとグッときてしまいました。
梨杏選手の、掴みどころがない独特の空気。
月山選手の、場をあったかくするムードメーカーっぷり。
そこに、華のあるハイビスカスマーメイド・金屋あんねが加わることで、
「無邪気で可愛いんだけど、どこか芯の強さがにじむトリオ」
という空気が、入場だけで伝わってきます。
⸻
◾︎ 実は“生粋の苦労人”に囲まれて立つ、令和7年組のあんね
……なんですが。
この三人、見た目だけで“キャッキャした可愛い三人組”で終わらせるにはもったいないくらい、それぞれに重たい下積みがあります。
まず、梨杏選手。
同期には、八神蘭奈選手や玖麗さやか選手らがいる世代。
本来なら2023年12月にデビュー予定だったところを、直前の負傷でデビューが延期。
人知れず「同期の中で自分だけリングに立てない時間」を過ごし、
ようやくデビュー出来たのは翌年2024年3月末。
そこからさらに、初勝利まで約1年3ヶ月。
2025年6月まで白星がつかないという、
約1年3ヶ月ものあいだ、白星がつかない一年目を過ごした、筋金入りの“がむしゃら側”の人です。
ある意味であんね選手の“未来への不安”にもつながるような、長くてしんどい一年目を経験してきた選手。
そしてもう一人のがむしゃらファンタジー、月山和香選手。
こちらはもはや「伝説」と言っていいレベルの、壮絶な未勝利ロードの持ち主。
かつては、あんね選手も志望している“コズエン”に所属していた月山選手ですが、
デビューから2年7ヶ月もの間、一度も勝てなかった。
途中で突きつけられたのは、
「3ヶ月以内に勝てなかったらコズエン強制脱退」
というタイムリミット。
そしてラストチャンスの試合では、自分でさらにハードルを上げて、
「勝てなかったらスターダムやめます」
と退路を断ち切ってリングに立ち、
ようやく掴んだ悲願の自力初勝利。
だからこそ、あんね選手が
フワちゃん選手にスリーカウントを奪われた翌日──
「自力未勝利は自分だけになった」
と、X(Twitter)にこぼした時、
それに対して真っ先に引用ポストで返したのが月山選手だったのは、まさに必然だったと思います。
たぶんね、
— 月山 和香 Waka Tsukiyama 🌙 (@Waka_Mm3) February 13, 2026
「これ以上負けたくない」
って思うと今の自分が嫌いになったり辛くて苦しい気持ちになっちゃうから、
「次こそは勝つ」って自分を信じよう!
信じる気持ちは力になる🪄
#STARDOM
#ちばりよあんね 🌺 https://t.co/d8K29l1gI7
「負けたくない」って気持ちは、裏返すと
「今の自分が嫌い」って感情に直結しがちで、
そこで心が折れていく新人もたくさんいる世界だと思います。
でも月山選手は、2年7ヶ月も勝てなかった当事者として、その言葉を
「『負けたくない』じゃなくて『次こそは勝つ』にしよう」
って、そっと言い換えてくれた。
あの引用ポストを読んだとき、
「あんね選手の“自力未勝利”って、もう“ひとりぼっちの黒星”じゃないんだな」
って、画面越しのこっちまで少し泣きそうになりました。
──そんな “逆境を骨と血で知っている” がむしゃらファンタジーの二人に挟まれて、
真ん中でハイビスカスの笑顔を咲かせる令和7年組・金屋あんね。
「かわいい三人組」という入り口の向こうに、
「負け続けた時間を知っている三人組」という奥行きがあるからこそ、
この試合前の入場シーンは、そのまま
「あんね選手が、どんな先輩たちと並んで次の一歩を踏み出そうとしているか」
を教えてくれる、すごく象徴的な瞬間だったな、と思います。
ここから先は──
苦労人二人に囲まれて、その真ん中でどう“がむしゃら”に暴れるのか。
大阪・改修前ラスト府立での金屋あんね選手の一試合を、試合の中身と一緒に追いかけていきます。
⸻
◾︎ ゴング前、三人の背中に重なっていたもの
リングアナのコールが順番に響いていき、
青コーナー側には、「God's Eye」の朱里選手・壮麗亜美選手・鹿島沙希選手という、
実力も実績も充分すぎるメンバーが並びます。
対する赤コーナーには、
月山和香選手、梨杏選手、金屋あんね選手。
三つ編みおさげの三人が並んでロープにもたれながら、
相手コーナーをまっすぐ見据える横顔が、
照明に照らされてすごく印象的でした。
苦しい時期を知っている月山選手と梨杏選手。
デビューから一度長く離脱して、それでも戻ってきたあんね選手。
三人三様の「がむしゃら」が、
この府立ラストのリングでひとつに混ざる瞬間。
レフェリーが両チームに一言ずつ声をかけ、
セコンドの選手たちがエプロンから降りていく。
あとは──
ゴングの音を待つだけ。
⸻
◾︎ 「この中で一番弱い人」から始まる、鹿島 vs あんねの開戦
4月の横アリ大会での引退が迫る鹿島沙希選手。
そんな鹿島選手を前に、月山・梨杏・あんねの三人がそろって
「「「よろしくお願いします!!!」」」
と、声を合わせて膝を立て、握手を求めるところから、この試合の物語はスタートします。
【2.21 大阪大会生配信‼】
— STARDOM WORLD (@stardomworld) February 21, 2026
◆6人タッグマッチ
朱里&壮麗亜美&鹿島沙希
vs
月山和香&梨杏&金屋あんね pic.twitter.com/3riZTcx5Jb
ここでさっそく、省エネプロレスの真骨頂。
鹿島選手がレフェリーのデュークさんをチラっと見ながら、
「えっ? 三対一ですか!?」
とニヤリ。
指を一本一本折りながら「どれにしようかな」と数えたあと、
「じゃあ我こそは〜
『一番弱いですよ〜』って人!!」
と、まさかの“自首制”対戦者募集。
当然、三人とも「いやいやいや!!」と一気に後ずさり。
……したところを、
「あんねあんね!!」
と、月山選手&梨杏選手が、満場一致であんね選手を前に押し出すカオス展開。
「えぇ〜〜〜〜〜!?!?」
と、あんね選手は不服と困惑まじりの表情。
しかし月山選手は──
「あんね〜〜!! いぇーい!!」
と、百点満点の笑顔で背中をバシッと送り出す。
この時点で既に、「がむしゃらファンタジー+ハイサイ」の空気感がめちゃくちゃ好き、ってなりました。
⸻
◾︎ 「舐めんなコラ〜!」で火がついた、あんねのカウンター
ところが、出てしまえばあんねはあんね。
ゴングが鳴ると同時に、先制のドロップキックを鹿島選手にズバンッと突き刺し、そのままロープに振っていく……
──はずが、ここで出るのが鹿島選手の十八番、“何度も走らせる”省エネムーブ。
普通の新人なら戸惑って流れを持っていかれそうな場面で、
あんね選手はロープワークの途中でブレーキ。
「舐めんなコラ〜〜〜!!!」
と叫びながらアームホイップで投げ飛ばし、
さらに間髪入れずミサイルキックのコンボまで叩き込みます。
「一番弱いですよ〜?」枠として呼び出された新人が、
開幕から“舐めんな”の四文字を体現してくるの、ほんと最高。
さらにストンピングをガンガン落としてからロープへ走り、もう一発ドロップキックを狙うあんね選手。
しかしここはベテラン・鹿島選手がスッと回避。
カウンターで蹴りを入れながら……
「強いじゃねぇかオラァ!」
「……まぁまぁ強いじゃねぇか!!」
と、まるで“テスト合格”みたいな言葉を投げつけます。
そこであんね選手も負けじと丸め込みを仕掛け、
会場のカウントが「ワンッ、ツー!」と跳ねたところで、惜しくも2。
一見すると「鹿島のペースに乗せられた新人」という構図なんですが──鹿島選手は二度のハイスピード王座戴冠経験者。
あんね選手が目指している“ハイスピ戦線”のど真ん中を走ってきたレジェンドのひとりと、
改修前ラストの府立で、正面から噛み合った数分間でもあったわけです。
⸻
◾︎ God’s Eye の攻勢の中でも、消えない“前に出る”スイッチ
ここからは試合の流れが徐々に God’s Eye 側へ。
壮麗亜美選手の、見ているこっちの胸まで痛くなりそうな破壊力抜群のチョップ。
IWGP2冠女王・朱里選手の、重さとキレを兼ね備えたミドルキック。
それでもあんね選手は、
一発一発をちゃんと受けきったうえで、エルボー合戦を自分から仕掛けていく。
相手が誰でも、
「一回受けてから殴り返す」
「一回倒されても、立ち上がって前に出る」
その“前のめりスイッチ”は、AZM選手とのシングルや、NB28での初タイトル戦から全然ブレてないんだな……と、府立のど真ん中で改めて感じました。
◾︎ 画面に映っていないところで見えた、“ハイスピ戦線への渇望”
この試合で、個人的にいちばんグッときたのはこのシーンでした。
【2.21 大阪大会生配信‼】
— STARDOM WORLD (@stardomworld) February 21, 2026
月山和香が朱里にパロ・スペシャル!
鹿島沙希がカットに入る!? pic.twitter.com/zwQRhvD7TZ
中盤、月山選手が朱里選手を捕まえて、ど真ん中でパロスペシャルをガッチリ極める場面。
本来であれば……
• 技を極められている朱里選手を助けに行く God’s Eye側
• それを止めに入る、がむしゃらファンタジー+あんね側
…という、乱戦になってもおかしくないタイミングなんですけど──
ここでちょっと“鹿島沙希らしさ”が爆発します。
味方としてカットに走るはずの鹿島選手。
いったん月山&朱里の方向に向かうように見せかけておいて、
スッ…と、そのまま月山選手のことは素通りしてエプロンから場外へ避難。忍者のようにスルスル逃げようとする鹿島選手。
「え、そっち行くんかい!?」な、省エネと頭脳のかたまりみたいな動き。
その鹿島選手の背中を見た瞬間、誰よりも早く反応したのが、あんね選手でした。
朱里 vs 月山の攻防にはあえて混ざらず、
エプロンから降りてリングサイドに回り込むと──
逃げようとする鹿島選手を、ほぼ一周半、全力疾走で追い回す。
配信ではほんの一瞬しか映っていなかったけれど、
会場から見ると、あんね選手は尋常ではない勢いで本当に全力ダッシュ。
• 省エネとポジショニングでハイスピを制してきた鹿島沙希
• 「走ってでも、追いかけてでも、距離を詰めにいく」金屋あんね
このリングサイドの追いかけっこは、そのコントラストが一番はっきり出た瞬間だったと思います。
そしてカメラでは抜かれてなかったのですが、味方陣営に戻ったあんね選手は胸に手を当てるくらいの勢いで走り抜いていました。

「ハイスピード戦線に食らいつきたい」
「あの列の中に、自分も並びたい」
っていう、あんね選手の進行形の渇望が見えていたんじゃないかな、と。
この大阪大会の6人タッグは、星取表だけ見ると一つの黒星かもしれないけど、あんね選手が
• レジェンド・鹿島沙希とどう噛み合ったか
• God’s Eyeの重さをどう受けて、どう前に出たか
• ハイスピ戦線にどうやって「追いつこうとしているのか」
を、府立のラストダンスで見せてくれた一戦でもありました。
スリーカウントがどちらに転がったかだけじゃなくて、
こういう“ほんの数十秒”の攻防に、
あんね選手の進行形の答え合わせが詰まっていた気がします。
⸻
◾︎ 「かわいいベルト」神戸で光るまで
大会終了後。「しばらくエディオンは見納めか〜」と友人と名残惜しさを噛みしめていたとき、ふと思い出したように友人へ聞きました。
「そういえばさ、作ってくれた“あれ”掲げてた?」
“あれ”とは──お渡し会のあとに手渡しておいた、ピンク色の妙に主張が強い物体。
そう、「かわいい・オブ・かわいい選手権ベルト(正式名称:かわいいベルト)」のレプリカです。
#STARDOM 大阪大会おつかれさまでした〜!
— さんせ三世🌅 (@Sunset_luminous) February 21, 2026
実はこっそり友達用に"世界一かわいい選手"の「かわいいベルト」風レプリカベルト作って持ち込んでました🎀
ダンボールと画用紙とモールとポンポン…ご本人制作をリスペクトして100均工作ですが、ベルトって形になるだけでテンション上がりますね#伊藤麻希 pic.twitter.com/mhLaEXVN86
話は少しだけ数日前にさかのぼります。
原稿と格闘していたある夜、友人から飛んできた一言。
「『かわいい・オブ・かわいいベルト』作って〜」
伊藤ちゃんこと伊藤麻希選手が、さくらあや選手との一件で披露した、あの手作りベルト。
「スターダム一かわいいのはこの私なんだよ!」と主張するための、あのピンクの代物です。
ここでオタク、めんどくさいこだわりを発動します。
【1.25 高田馬場大会試合後コメント】
— STARDOM WORLD (@stardomworld) January 25, 2026
伊藤麻希「これは伊藤が作った大切なかわいいベルトだ!これをさくらあやと懸けて タイトルマッチ”世界一かわいいのはどっちだタイトルマッチ”をやろうと思ってる!」 pic.twitter.com/remXz6WbYH
「いやまずね、正式名称は“かわいいベルト”なんですよ。
初代王者の伊藤ちゃんいわく“江戸時代からずっと防衛し続けてる”由緒正しきベルトなんですよ」
とかブツブツ言いながらも、内心はノリノリ。
ダイソーとセリアをはしごして、材料をかき集めました。
(※ここからしばらく「かわいいベルト工作パート」です。
読み飛ばしても本編には支障ないので、お好みでどうぞ〜)
◾︎ ざっくり「かわいいベルト」レプリカレシピ(全部100均でOK)
せっかくなので、私が実際に作ったときの
「かわいい・オブ・かわいい選手権ベルト(正式名称:かわいいベルト)」自作レプリカレシピも置いておきます。
作る人がいるかどうかはさておき、材料は全部100均で揃うので、やろうと思えば誰でもいけます。
① 用意するもの(目安1000円以内)
●土台まわり
• ダンボール(通販の箱をバラしたやつでOK)
• ピンクの紙類どれか
• 色画用紙(B4〜模造紙)
• or ラッピングペーパー
• or ピンクのカラービニールテープ/布テープ
• 強力両面テープ or 木工用ボンド or グルーガン
• OPPテープ or ガムテープ(裏の補強用)
●飾り
• 金色のモールガーランド(ふわふわ太めのやつ) 2本
• デコレーション用カラーポンポン 1袋
(ピンク・黄色・オレンジ系だと本家っぽい)
• 黒の太ペン(油性 or ポスカ)
●あると楽なもの
• カッター&ハサミ
• 定規
• 鉛筆(星の下書き用)
• マジックテープ(ベルトを腰に巻きたい人向け)
⸻
② ベルト本体(帯部分)を作る
1. サイズ決め
自分の腰回り+20cmくらいの長さで、
幅10〜12cmくらいの長方形にダンボールを切る。
(「思ったよりデカいな」くらいでちょうどいい)
2. クセをつける
腰に巻くイメージで、軽く丸めてクセをつけておく。
3. ピンクに染める
表側にピンクの紙をペタペタ貼っていく。
縦に継ぎ足してOK、シワや段差があっても味だと思って割り切る。
4. 裏を補強
ひっくり返して、裏側の継ぎ目をガムテ or OPPテープでざっくり補強。
見えないので雑で大丈夫。
⸻
③ 星プレートを作る
1. 星型を下書き
ダンボールに直径20cm前後の星を下書き。
フリーハンドでも、紙皿で円を描いてから角を足してもOK。
2. 切って、ピンクを貼る
星型に切り抜いて、表面にピンクの紙を貼る。
3. 金モールで縁取り
外周に木工用ボンド or グルーガンでノリをぐるっと一周→太めの金モールを巻きつけるように貼る。
4. ポンポンを盛る
星の内側にカラーポンポンをバランスを見ながらペタペタ。
「ちょっと盛りすぎ?」くらいでちょうどいい。
5. 真ん中に「かわいい」
乾いたら、真ん中に黒ペンでドンと一言。
ここだけは迷わず、思い切りよく「かわいい」一択で。
⸻
④ 組み立てる
1. 帯+星プレートを合体
作った帯の中心に星プレートを置いて、裏からボンド or グルーガンでしっかり固定。
2. 留め具をつける
• お手軽派:裏側の端っこ同士をガムテで止めるだけでもOK(本家感が出る)
• 実用派:ベルトの両端にマジックテープを貼って、着脱式にしても◎
⸻
⑤ 仕上げのポイント
• 多少曲がってても、線がガタガタでも、
「勢い」と「手作り感」こそが正義なベルトなので、細かいところは気にしない方がかわいくなります。
(ざっくりやっても、だいたい 1000円以内&1〜2時間あれば一本できるイメージ)
あとは、
「本当は自分が欲しいんだけどな〜」
と思いながら、推しや友人に渡すもよし、
こっそり自宅観戦用に巻くもよし、という感じです。
(※実際に会場で使うときは、まわりの視界と安全だけはほんと気をつけてね、という念押しだけ…)
気づけば机の上には、
「いやこれもう“レプリカ”じゃなくて“信仰対象”では?」
と自分でツッコミたくなるくらい、存在感のあるピンクのベルトが一本、ドーン。
本音を言えば「これ自分が欲しいんだけどな……」と思いつつ、
友人の「かわいいベルトが欲しい」という無茶ぶりに押されて、泣く泣く譲渡しました。
⸻
で、その友人いわく、府立では
「テンション上がりすぎて出せなかったw」
とのこと。
いやそこで出してくれや!!!と思いつつ……
「じゃあ神戸でちゃんと出しなさいよ。
せっかく作った“かわいいベルト”、三連戦のどこかで輝いてもらわないと困る」
と念押しして、この日は終了。
そんなわけで──
エディオンアリーナ大阪での改修前ラスト大会を終えた私は…
• 推しの試合の余韻
• 沙弥様お渡し会の衝撃
• そして友人の手元に預けたピンクの「かわいいベルト」
この三つを胸に抱えたまま、三連戦ラスト・神戸大会の朝を迎えることになります。
神戸で、あのベルトがどう“仕事”をしたのかは、もう少しあとで。
次の見出しからは──
関西三連戦ラスト、神戸芸術センター大会の一日を追いかけていきます。
⸻
◆ 三日目・神戸芸術センター編──はじめての会場で「推しと、はじめまして」
大会後に友人の家で一泊することになり、共通の趣味でもあるアイドルマスターのライブ配信「876プロフェス」を夜更けまで鑑賞。「ハッピースが良くってえェ‼️‼️」
「涼ちんのDazzling Worldがライブで見れる令和、神すぎる」
なんて話をしながら、完全に遠足前テンションのまま寝不足で起床しました。
(さすがにライブに関する話はお門違いすぎるので詳細は割愛します...)
とりあえずカフェインだ、と朝イチでコーヒーを叩き込み、今度は私が友人を叩き起こす番。
バタバタと身支度を整えて、三連戦ラストの会場・神戸芸術センターへ向かいます。

着いてみてまず驚いたのが、ロケーションと会場そのものの“居心地のよさ”でした。
外観も中もとても綺麗で、いかにも「コンサートホール」という雰囲気。
中に入ると、いわゆる体育館型ではなくひな壇スタイルの客席で、どの列からでもリングがすっと視界に入ってくるつくり。段差のおかげで前の人の頭に視界を遮られにくくて、「こういう会場で見るプロレス、最高だな……」と一瞬でお気に入りの会場になりました。
そして今回も、友人とはそれぞれ別でチケットを取っていたのですが──
蓋を開けてみると、まさかの“数席隣”。なんなら、若干友人の方が良席ポジション。
「いや、良かったね!? ……けどちょっと羨ましいわ!!」
という感情を胸の内でぐっと飲み込みつつ、せっかくだし今日は“それぞれの席から同じリングを見る”楽しみ方をすることにしました。
すると、ここで思わぬ出会いが。
私と友人の間に座っていたお客さん二名が、とても気さくに話しかけてくださったのです。
私は極度の人見知りなので、現地では基本「誰とも話さず声援だけ送る」スタイル。
ただ、このときは名前もHNも出さずに話せそうな空気だったので、少しだけお話させていただきました。
なんでもスターダム初観戦とのこと。
「どの選手が好きなんですか〜?」と聞いてくださり、私がもじもじしていると、隣の友人がすかさず
「こいつは新人のあんねちゃん推しで、自分は伊藤ちゃん推しです!」
と、スパーンと紹介してくれたのです。
……ちょっと待ってくれ。
友人、ついこの前まで「自分は特定の推しいないからさぁ〜」って言ってなかった!?なんて思っていると……友人はおもむろに上着を脱ぐと、そこには伊藤ちゃんTシャツ。
内心「えっ!? 伊藤ちゃん推しになったんだ!!」と衝撃を受けつつ、その事実は帰り道にたっぷり突っつき倒しました。
そんなやりとりもあって、「スターダム初観戦の人たち」と「三連戦皆勤のオタク」と「伊藤ちゃんに落ちたてほやほやの友人」という、ちょっと不思議な並びで開演を待つことに。
⸻
◾︎ まさかの前説トロピカル☆ハイサ〜イ(略してピカサイ)
試合前のおなじみ“前説”タイム。
スターダムの前説は、初めて観戦に来た人のために声援の送り方やコール&レスポンスのタイミングなどを、選手自身がレクチャーしてくれるコーナーです。
この前説、ずっと「いつかあんね選手がやるところを生で見てみたいな」と思っていたのですが──
この日の神戸は、その願いを最終日にいきなり叶えてくるタイプのサプライズでした。
前説担当として呼び込まれたのは、なんと……
水森由菜選手&金屋あんね選手の「トロピカル☆ハイサ〜イ(通称『ピカサイ』)」コンビ。
そう。前回(第八話)のnoteで書いた『オタク、推しの初タイトルマッチを見届けたってよ』にて、あんね選手が初タイトルマッチで共に組んだ水森由菜選手とのタッグです(もう一度貼ります。大切なタイトル戦なので…)
安藤アナが呼び込んだ瞬間、思わず座席で叫びながら立ち上がりそうになるのを、必死に抑えるオタク一名(私)
南国カラーのふたりが並んで登場しただけで、
さっきまで落ち着いたコンサートホールだった空間が、急にトロピカルなイベント会場みたいな空気に変わるのが分かります。

この時点で
「三連戦ラストの神戸、もう優勝では?」
と、心の中でガッツポーズを決めつつ、トロピカル☆ハイサ〜イによる前説を全力で受講する体勢に入りました。
(そして後半、この神戸大会で──
前日に手渡した“あるピンク色のベルト”が、とんでもない形で輝くことになります。
それはもう少し先のお話……)
⸻
◆ 関西三連戦"三本目"のあんね枠『月山和香&梨杏 vs 水森由菜&金屋あんね』──ピカサイが神戸を常夏にした時間
(この大会での試合はSTARDOM公式の下記動画から無料視聴出来ます。詳細な試合展開や攻防などは実際の試合映像でご覧ください)
この日の第一試合は、前日の大阪大会でタッグを組んだ
がむしゃらファンタジー(月山和香&梨杏)
vs
トロピカル☆ハイサ〜イ(水森由菜&金屋あんね)。
昨日は同じコーナーに立っていた月山選手&梨杏選手と、
今日はリングの中央で向かい合う形になったあんね選手。
「関西三連戦」の最終日にふさわしい、ちょっとだけ物語性のあるカードでした。
⸻
◾︎ 「リングに立つ」を踊るピカサイ入場で、神戸が一瞬で“常夏”になる
ゴングより先に、まず心を持っていかれたのは入場です。
場内に流れ出すのは、水森由菜選手の入場曲「リングに立つ」。
そのサビに合わせて──ステージ上に現れた水森選手とあんね選手が、息ぴったりの振り付けで踊りながら入場してくるんですよ。
元々コンサートホールとして使われている会場なので、
ライトを浴びてステージそのもので踊るピカサイの姿は、
いつもの体育館とも後楽園とも違う「ライブ感」があって、ちょっと鳥肌が立ちました。
2026.02.22 『トロピカル☆ハイサ〜イ』#STARDOM #水森由菜 #金屋あんね pic.twitter.com/TKFzxSGi25
— さんせ三世🌅 (@Sunset_luminous) February 22, 2026
師弟タッグならではのシンクロ率100%のダンス。
南国カラーのコスチュームと、水森選手の破壊力満点の笑顔。
その横で、少し緊張しながらも全力で踊りきるあんね選手。
「あ、今日は完全に“ピカサイの神戸初上陸”なんだ」
そう思った瞬間、三日間の遠征の疲れが一気に吹き飛んで、
初めて生で見るピカサイの入場に、オタクは普通に泣きそうになっていました。
⸻
◾︎ 足踏みスタートと、がむしゃらファンタジーの“洗礼”
試合開始前、まず先発に出てきたのはあんね選手と梨杏選手。
「よろしくお願いします!」と頭を下げ合って、
フェアな立ち上がりになるのかな……と思ったその瞬間。
梨杏選手が、あんね選手の足をグイッと踏みつけて試合開始。
「え、そこで踏むの!?!?」と、思わず声が漏れるオタク一名。
昨日は同じコーナーで笑っていた相手が、
今日は真正面から“がむしゃらファンタジーの一角”として立ちはだかる、その切り替えの速さですよ……。
続いてタッチを受けた月山選手からは、
おなじみのヒップアタックの洗礼。
神戸のリングに「月山和香」という存在をビターンと刻み込むみたいな一撃を、しっかりと受け止めるあんね選手。
そこから先は、
踏まれたり吹き飛ばされたりしながらも、
エルボー合戦に持ち込んで意地を見せるあんね選手のターンへ。
⸻
◾︎ カサドーラ→アームホイップ→ミサイルキック、“これぞ金屋あんね”の黄金比
中盤、流れを大きく引き寄せたのは、
あんね選手の“黄金比コンボ”でした。
相手の体に勢いよく飛びつくカサドーラから、
そのままくるっと体勢を入れ替えてのアームホイップ。
半身で倒れた相手の背中へミサイルキックを放つまで一気につなぐ流れ。
この一連が、ほんっとうに綺麗に決まって。
技が決まった瞬間、あんね選手が
「よっしゃ〜!!」
と、全身で気合いに満ちた叫びを爆発させるんですよ。
その姿を見た瞬間──
「これだよ……これこそ「金屋あんね」だよ……大好き……」
と、三日目にして感情がまた一段階深いところまで転がり落ちていきました。
第一試合らしく、会場をあたためる役割も担いながら、
でもただ“明るいだけ”じゃない、
「負けたくない」「食らいつきたい」という気持ちがちゃんと乗った攻防。
神戸芸術センターの澄んだ空気が、
この時間だけちょっとだけ“常夏”になったような感覚がありました。
⸻
◾︎ ピカサイならではの合体攻撃、そして終盤の梨杏 vs あんね
もちろん、トロピカル☆ハイサ〜イの連携も炸裂します。
あんね選手の得意技・カサドーラを、
水森選手がぐっと抱え上げて──
そのまま梨杏選手めがけて叩きつける合体技は、まさにピカサイならでは。
リング上で一瞬だけ「南国サンドイッチ」みたいな絵になって、
会場からも「おお〜!」とどよめきが起きていました。
終盤は、梨杏選手 vs あんね選手という構図へ。
• 必死の丸め込みでスリーカウントを狙うあんね選手
• ハイスピード志望らしいスピードとタイミング勝負の攻め
• それをギリギリで返し続ける、先輩・梨杏選手
同じ令和世代、だけど一歩先を走ってきた先輩と、
「やっと同じリングに並べた後輩」という空気が、攻防のたびに滲みます。
最後は、
梨杏選手の網打ち式原爆固めがガッチリ決まり、
カウント3。
結果としては、
この神戸大会でもあんね選手の肩はマットについてしまったけれど──
• 三日間を通して折れなかったこと
• 初のピカサイ前説と、この神戸での輝き
• そして「まだ終わらない」という顔でリングを降りていったこと
その全部が、“関西三連戦のあんね選手”の一ページとして、
私の中にしっかり刻まれました。
⸻
◆ ピンクのベルトが光った瞬間:伊藤麻希&古沢稀杏編
ピカサイの第一試合が終わると、
隣の席で伊藤ちゃんTシャツを着ている友人が、目に見えてソワソワし始めました。
家を出るときは
「今日はなんとなくのコーデで行こっかな〜」
なんて言ってたくせに、神戸に着いてから
伊藤ちゃん推しカミングアウト。
オタクの“本命宣言”、聞いてるこっちも微笑ましくてたまらない瞬間でした。
そして、その手元からそっと取り出されたのが──
前日の大阪大会で持ってきていた、あのピンクの物体。
そうです。
数日前に私が、江戸時代から(伊藤ちゃん談)受け継がれてきた由緒正しき(?)
「かわいいベルト」レプリカとして、
100均素材を駆使して夜な夜な作ったあのベルトです。
そして、まさにそのタイミングで呼び出された第2試合のカードがこちら。
第2試合:伊藤麻希&古沢稀杏 vs 刀羅ナツコ&琉悪夏
伊藤ちゃん&稀杏選手の入場。
この時点で、友人の心拍数は明らかに上がってました。
⸻
ステージ袖から現れたのは、
手作り感満載の豪華マイクスタンドを抱えた伊藤ちゃんと、
大きなリボンをつけたマイクを手にした古沢稀杏選手。
二人で「Brooklyn The Hole」を歌いながら、
コンサートホールならではのステージをゆっくり練り歩いていく。
歌いながら、照明を浴びながら、
赤コーナー側へと向かってくる二人の姿は、
もうほとんど「ライブ」のそれで。
しかも──
伊藤ちゃん&稀杏選手の視線動線が、完全に友人のいるブロックのど真ん中を通る配置。
「これはもしや……」と胸騒ぎがしながらも、
私は自分の席からリングを真っ正面に見るので精一杯で、
友人側の細かい動きは見えていませんでした。
⸻
試合後、友人から聞いた一部始終はこんな感じです。
1. まず最初に、稀杏選手がかわいいベルトに気づいてくれたそうで、ニコッとしながら指をさして反応してくれたとのこと。
2. その流れで、伊藤ちゃんもマイクスタンドを下ろしたあと、
稀杏選手にトントンと肩を叩かれ、友人の方を見た瞬間──

「うぉぉっ!?!?」って顔で、思い切り驚いたリアクション。
そこからすぐに指差し → グーサイン →
そして口の動きではっきりと分かる「ありがとう」
「そんな都合のいいレスある〜!??」って思って、
半信半疑で帰りの電車で配信アーカイブを再生してみたら──
本当にその一部始終が、ばっちりカメラにおさまっていました。
画面の中で、
伊藤ちゃんが一瞬だけ歌モードから“いつもの伊藤麻希”に戻るみたいにして、
あのピンクのベルトへリアクションしてくれていて。
あれはもう、紛れもなく
爆レスです。思いっきり爆レスです。
合流した際に涙ぐみながら
「やばい…やばい……」と繰り返している友人を見て、
「よかったね……」
と、私まで胸がぎゅっとなりました。
あんね選手の関西三連戦を追いかけに来たはずの遠征だったのに、
気づけばそのすぐ横で
• 「かわいいベルト」を掲げた伊藤ちゃん推しの友人
• それに気づいて、驚いて、指さして、グーサインして、「ありがとう」と口パクで返す伊藤麻希選手と古沢稀杏選手
という、もうひとつの“小さな物語”がしっかり完結していて。
琵琶湖のほとりで安納選手の凱旋&ウカルちゃんアリーナのラストを見送って、
府立でがむしゃらファンタジー&あんね選手の「まだ終わらない」姿を見て、
神戸ではピカサイと、かわいいベルトと、推しに落ちたてホヤホヤの友人の爆レスを見届ける。
この三日間は、“あんね選手の関西三連戦”でありながら、
同時にそれぞれの推しを抱えたオタクたちの三連戦でもあったんだな、と
伊藤ちゃん&稀杏選手からの爆レスでズビズビと泣いている友人を見て、静かに実感しました。
そして、ここで終わらないのがこの神戸大会のこわいところです。
そう、まだこの日は──
かわいいベルトの“二度目の出番”と、
そして私自身があんね選手から“人生最大級の爆レス”をもらう出来事が、しっかり残っていました。
⸻
◾︎ そして、まさかの二度目の出番:さくらあや&なつぽい編
かわいいベルトの物語は、これで終わりません。
大会終盤。
いよいよメインイベントのコールが始まります。
メインイベント 6人タッグマッチ
朱里&壮麗亜美&八神蘭奈
vs.
さくらあや&玖麗さやか&なつぽい
「神戸市一かわいい(伊藤ちゃん談)」神戸出身 さくらあや選手の凱旋試合。
そう。かつて「スターダム一かわいいのは私なんだよ!!!」と、伊藤ちゃんの「かわいいベルト」に挑んだ当人・さくら選手。
さらに、東京女子プロレス時代から伊藤ちゃんと因縁深い、なつぽい選手。
かわいい・オブ・かわいい戦線の“因縁三角形”が、
神戸のメインで偶然そろってしまったわけです。
⸻
そこで、やらかした人間がひとり。
そう。
友人です。
青コーナー寄りの席から、
さくら&玖麗&なつぽい組が入場してきたそのタイミングで──
例の「かわいいベルト」を、堂々と掲げたのです。
私の席からも、そのピンクの輪郭ははっきり見える。
「アンタなにしてんの!?!?」
と、心の中で叫びながらも、
もうここまで来たら止められないし、
「まあ…見てくれたらそれはそれで……」と
半分他人事のように見守っていました。が。
⸻
まず反応したのは、さくらあや選手。
ステージ上から客席を見回している中で、
ふっと笑いながら友人の方を指さして、
横のなつぽい選手に「見て見て」と言わんばかりに教えてくれます。
視線の先を追ったなつぽい選手は、
手をかざしてライトをさえぎると──
グワッ!と鋭い視線で睨みつけてから、「下げなさい!」のジェスチャー。
どうやらさくら選手も一緒になって、
同じ方向を見ながらちょっと怖い顔をしていたらしく、
「爆レスやけど……!!爆レスやけどさ……!?」
と、友人もあとから震えながら笑っていました。
オタク的にはもう、
「かわいいベルトを掲げた瞬間に“かわいい戦争”の当事者二人から直にリアクションをもらった」
という、とんでもない出来事で。
大胆すぎる友人の行動にはヒヤヒヤしつつも、
反応してくれたさくら選手&なつぽい選手への感謝しかありません。
かわいいベルトを #なつぽい 選手と #さくらあや 選手に向けたら(コラ‼️)
— さんせ三世🌅 (@Sunset_luminous) February 22, 2026
大睨み▶︎下げなさい‼️のサインをされたそうです...友人の代わりに謝ります...すみません...#STARDOM https://t.co/SwDP1kijRd pic.twitter.com/ScnItXUAap
⸻
伊藤ちゃんと稀杏選手が見つけてくれた最初の爆レス。
さくらあや選手&なつぽい選手が“睨み返してくれた”二度目の爆レス。
どれもこれも、
数日前に
「本当は自分がこのベルト欲しいんやけどな……」
と、ぼやきながら、
100均の材料でチマチマ作った
ひとつのピンクのベルトがなかったら生まれていなかった光景です。
神戸芸術センターの客席で、
友人の肩を小突きながら
「かわいいベルト、作ってよかったなぁ……」
と、心の底から思いました。
この三連戦は、あんね選手の試合を追いかける旅でもあったけれど、同時に──
「好きなものを手作りするオタクの熱量が、ちゃんと届くんだ」
っていう、小さな証明みたいな三日間でもあったな、と。
⸻
◾︎ 関西三連戦の最後に、ローカルルールを一度だけ破った話
そして、ここからは完全に私のエゴで書くオチの話です。
「推しとの距離感、そういうのもうええねん」という方は、どうかそっとページを閉じてください。
それでも、この瞬間だけは文字にして残しておきたいので、少しだけお付き合いください。
⸻
スターダムの大会では、試合の合間に「新人たちによるリング清掃と調整」の時間があります。
ファンにとっては休憩時間でもありますが、リングにとっては
• ロープの緩みを張り直す
• マットの状態を整える
• 後半戦に向けての“生命線”を守る
とても大切な時間です。
私は金屋あんね選手のファンなので、現地観戦に行くたびにずっと一貫している楽しみがあります。
「休憩時間?
こんなに推しが大会の生命線を維持してくれてる光景から席を外すなんて、もったいなくてできるか〜〜!」
という謎のこだわり。
ロープを引き、マットを整え、汗を拭きながら動きまわるあんね選手の姿を、
最初から最後まで“通し”で見守ることが、私なりの現地観戦フルコースになっています。
(その結果として、友人と別席になることも多かったりします。
人付き合いが悪いのか、それとも推しへの執着なのか──そこは、いったん棚に上げておきます)
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そしてもうひとつ、私の中にはローカルルールがありました。
「リング清掃中は、選手に声をかけない」
令和7年組の皆さんたちも、あんね選手も、真剣にリングと向き合っている時間。
その集中を乱したくなくて、私は
• 手を振らない
• 声をかけない
• “ただ見るだけ”
という制約を、自分で自分に課していました。
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ただ、今回の関西三連戦を通して、ひとつ驚いたことがあります。
意外と、ファンの皆さんがちゃんと“いい距離感”で声をかけていたこと。
• 手が空いた瞬間に、そっと一言だけ話しかける
• 選手の方も、笑顔で短く返してくれる
そんな光景が、滋賀でも大阪でも、神戸でも何度か目に入りました。
「うわ、みんな楽しそうだな〜」と思いつつ、
私は意地っ張りなので、二連戦まではぐっと堪えて、ローカルルールを守り続けていました。
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そんな中で、神戸大会の途中。
友人がふと、こんなことを言って席を立ちました。
「そろそろその意地っ張りやめてもええんちゃう?
こうしてちゃんとお話してくれてはんねんやし、
タイミングが合えば、一回くらい名前呼んだってバチ当たらんよ」
ずっと心のどこかで「声、かけてみたいな」と思っていた気持ちを、やさしく正面からつつかれた気分でした。
ここまでローカルルールを貫いてきた私ですが──
私も人間です。
この三連戦を全部見届けたあとなら、一度だけ破ってもいいのかもしれない。
そう腹をくくって、
「もしタイミングが合えば、“一回だけ名前を呼ぶ”。それだけ」
という新ルールを、心の中にそっと追加しました。
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しばらくして、私は友人の荷物を見ておくために、友人の席の近くへ移動しました。
ペットボトルが入ったビニール袋を膝の上に置いて、なんとなくリングの方を見ていると──
ちょうどその目の前を、水分補給用のボトルを持ったあんね選手が通り過ぎようとしていました。
ここしかない。
でも、怖い。
聞こえなくてもいい。
気づかれなくてもいい。
ただ、自分の中で一度だけ呼べたら、それでいい。
そうやって、保険をかけまくった結果──
喉から出てきた声は、自分でも笑ってしまうくらいか細く小さな声でした。
「……あんねちゃ……」
と、言いかけたところでハッとします。
これまでずっと、文章にするときも心の中でも「金屋あんね選手」と呼ぶことにこだわってきたのに、
この瞬間だけは、口が勝手に「ちゃん」付けを選んでしまっていて。
ああ、よりによってこんな大事な瞬間に“選手呼び”を貫けなかった──。
そんな後悔と、どうしようもない照れくささが、一気に胸の奥からせり上がってきました。
臆病者全開、声量マイナス100のオタク。
それでも、たしかに私は、あんね選手の名前を呼びました。
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そしたら。
あんね選手が、こちらをぱっと振り返ってくれて。
目が合ったと思った瞬間、
右腕をぐいっと高く上げて、満面の笑顔で、
「やっほ〜〜〜!!」
って、全力で手を振ってくれたんです。
リングと出入口のあいだ。
忙しい移動の途中。
たぶん、ギリギリの時間配分のはずなのに。
そんな中で、か細いオタクの声にもちゃんと振り向いてくれたこと。
一瞬で、胸がぎゅっと掴まれました。
私は慌てて、手をヒラヒラと振り返しながら、
「わぁぁ……!!」
と、人に聞こえるか聞こえないかの声で小さく叫ぶのが精一杯でした。
あんね選手へ意を決して声をかけたら「やっほ〜!」って返してくれて号泣(ごうなき)
— さんせ三世🌅 (@Sunset_luminous) February 22, 2026
リング調整の合間にありがとうございます...!😭#STARDOM #金屋あんね pic.twitter.com/zk4eN23EHe
三連戦、最後の大会でまさかの爆レス。
どれだけ時間が経っても、
他にどんな現地の思い出が上書きされても、
あの神戸芸術センターのひとコマだけは、
きっと一生、私の中で色褪せないと思います。
ウカルちゃんアリーナ。
エディオンアリーナ大阪。
神戸芸術センター。
この三日間で、色んな景色に連れて行ってくれたのは、
リングの中で闘う金屋あんね選手であり、
リングの外でリングを整えてくれる金屋あんね選手でもありました。
その人が最後に見せてくれた、
あの「やっほ〜!」の笑顔を、
私はこれからもずっと、“関西三連戦の光”として大事に抱えて生きていこうと思います。
◆ 関西三連戦は「推し続ける想い」の三日間だった
この関西三連戦は、
私にとっては「推しレスラーの関西三連戦を全部見に行った三日間」だったけれど、
あんね選手にとってはきっと、
リングの上で令和七年組として走り続ける自分として、「初勝利」に向けてひたすら前に進んだ時間だったんだと思います。
勝ち星という“結果”だけを見れば、
この三日間は「まだ届かなかった試合」が多かったかもしれません。
でも客席からメモを取り続けていたオタクのノートには
• 「ここが良かった」
• 「この一歩が、次のあんね選手を強くする気がする」
みたいな言葉ばかりが増えていきました。
リングの上の推しを追いかけながら、
その推し自身もまた、別の誰かを全力で推している。
その“推しの連鎖”の輪っかの中に、
客席の一人として自分もそっと混ざらせてもらえていることが、
この三連戦を「過酷な遠征」じゃなくて
「推しと一緒に、“楽しく笑って泣ける推し続ける覚悟”を決めた三日間」
として胸を張りたくなる理由なんだろうな、と思います。
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◆余談:876プロフェスと、あんね選手の「推し続ける覚悟」の話
先程本編の最後で
「“推しの連鎖”の輪っかの中に混ざらせてもらえた三日間だった」
みたいなことを書いたんですけど──
ここから先は、その裏側で実際に何が起きていたかを、
完全にアイマスPとしての視点でちょっとだけ掘り下げる余談です。
(ここまで読んでお腹いっぱいだよ~という方は、この章はそっと飛ばしてもらって大丈夫です)
今回の関西三連戦の途中でも少し触れましたが、
実は「2.20滋賀・2.21大阪・2.22神戸」の三日間って──
あんね選手がこよなく愛する『アイドルマスター』のライブフェス『876プロフェス』と、
さらにその先の広島大会まで全部まるっと日程が被っていたんですよね。
少し前、下記のnoteにも書いたサイン会の際、あんね選手に「担当アイドルは誰ですか?」と伺ったときには、
すでに公式から876プロフェスの開催が告知されていて。
「あんね選手、このフェス楽しめるといいなぁ……」と、
勝手に同じPとしてワクワクしていたんですけど──
スケジュールを見て……
「あっ、これガッツリ試合と被ってるやつだ……」
と、そっと天を仰ぎました。
自分自身も、仕事の都合で現地参戦は叶わず。
(なにせ876プロ初の単独フェス。
一度きりのシークレットライブから、約16年越しの“実質初ワンマン”ですよ。
Pとしては、喉が枯れるくらい叫びたくなるやつです)
だからこそ、
「これはもう、あんね選手も見られないかもしれないな……」
と、勝手に胸がチクッとしていました。
そんな中、広島大会を含めた4連戦の直前。
あんね選手が「876プロTシャツ」を着ているポストを上げてくれて。
その瞬間、
「うわぁ……めちゃくちゃ楽しみにしてるやつだ……!」
と同時に、日程を知っている身としては
「これはこっちからあれこれ言うのはやめとこう」
と、決めました。
“行きたかったけど行けなかった側”の気持ちって、
たぶん言葉にするよりも、そっとしておいた方が楽なときもあるから。
自分も現地を断念したPの一人として、あのモヤモヤは痛いほど分かるので……。
でも、連戦が全日程無事に終わってから。
あんね選手が──
#876プロフェス 配信で応援しました📣
— 金屋あんね (@anne_stardom) February 24, 2026
当時中学生だった私は今プロレスラーになって、ずっと待ち望んでいた大好きなディアリースターズのライブを観れて本当に幸せでした。
信じ続ければ、必ず報われる日がくる。
もらったたくさんの愛と希望を私のやり方で繋いでいきます!
初勝利するぞ! pic.twitter.com/GSBObdQeVi
と、ポストしてくれていて。
「よかった……!!」って、
その一文だけで胸がじんわり温かくなりました。
しかも、ある選手のストーリーズ経由の情報によると──
なんとその日は仲のいい選手間でのご飯のお誘いを断ってまで
「一人でゆっくり観たいから」
と、配信に臨んだそうで。
(どの選手かはストーリーズの内容なので伏せますが)
リングの上では令和7年組として、
「新人レスラー・金屋あんね選手」として闘っていて。
でも同じ時間軸のどこかでは、
16年越しの悲願のステージを、Pとして一人でちゃんと見届けたいと願う
「アイマスPの金屋あんねP」もちゃんと生きていて。
その両方を「同じ時間を生きているオタク」として、そっと見守れたことが、今回いちばん嬉しかったことかもしれません。
──というわけで、本当に本当に最後まで読んでくださってありがとうございました。
ここまで付き合ってくれた読者のみなさんも、立派な「金屋あんねウォッチャー」だと思います。
またどこかの大会で、
あんね選手のハイビスカスポーズを見上げながら、
同じ景色を共有できますように。
次回は 3.20に迎える金屋あんね選手 デビュー1周年にまつわる回 or 『3.31 後楽園ホール大会 観戦記』を投稿予定です
(二大会分溜まっている特別編、いきなり放出するかも知れませんが……現在原稿期間中故、首をシャンプーして待っていてください......!)
以上、さんせ三世でした🌺
