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生成AI君よ、ついて来れるかな?生成AIとのつきあい方を考えてみた(3)

第1回は『DAWの登場』によって起きた音楽界の変化と、生成AIの作品の完成度が51点というお話でした。

第2回は、完成度51点の根拠を、AI君の学習の仕組みから、紐解いてみました。

第3回目の今回は、音楽界に起きた2つ目の大技術革新の話をさせて頂きます。

当時私自身は冬眠中で、渦中にいたわけではありませんが、眺めてるだけでも面白く刺激的でした。

では参りましょう。音楽界に起きた2つ目の大技術革新はコレ。

初音ミクの登場


馴染みのない方のため簡単に説明すると、
歌う電子楽器です。パソコンに歌わせることが出来ます。
元々『VOCALOID(ボカロイド)』は、ヤマハが開発した音声合成ソフトのブランド名でしたが、今では、後続する他社製品を含めた音声合成ソフトを総称して『ボカロ』と呼ぶことが一般的です。

初音ミク以前に、音声合成ソフトはありました。革新的で注目されていましたが、機械のような歌声は、新しもの好きの限られた音楽家に受け入れられるのみで、商業ベースの作品には活かされませんでした。
世間は、機械声のボーカリストを求めてなかったのです。

同時期、ニコニコ動画では、アイドルマスターというアイドル育成ゲームの映像に、オリジナル曲や既存曲を合わせた、MAD動画(2次創作動画)をつくって楽しむ文化が出来上がっていました。

そんな時に登場したのが初音ミクです。

ニコニコ動画でMAD動画を作っていた人達はこれに飛びつき、初音ミクを用いたMAD動画が大量生産されました。
さらに、3DCGを比較的簡に扱える MMD(ミクミクダンス)の登場によって、動画クリエイターも巻き込み、人ではとても歌えない音域や節回しを始めとする斬新なサウンドと、クオリティの高い映像によって、『ボカロ』という文化を確固たるものにします。

中でも、”ネギを持った初音ミク” が登場すると、勢いはさらに加速し、ニコニコ動画を飛び出して、イラスト、漫画、小説など、さまざまな分野に波及し、2次創作がさらに2次創作を生み出す社会現象にまでなりました。CMにもなったしね。

ちなみに、初音ミクにネギを持たせたご本人 Otomania さんは、noteにいらっしゃいました。


初音ミクとそれ以前で決定的に違うのは、音声合成ソフトが、

キャラクターを持ったこと

未来的な容姿の2次元キャラを与えたことによって、歌う電子楽器は、

心を持たない機械声の歌姫

に生まれ変わり、クリエイターの想像力を掻き立て、作家の世界観を表現する器として広く受け入れられたのでした。

今は、『ボカロを使って音楽を作ってる人』という広義の意味で『ボカロP』という言葉が使われてますが、元々は言葉通り『ボカロをプロデュースする人』でした。ニコニコ動画でMAD動画を作ってた人たちは、初音ミクをどうプロデュースするか、どんな世界観で、どんな音楽で、どんな映像で、そこに自分の色をどう表現するのか、そしてどう楽しんでもらうか、その創作を楽しみながら切磋琢磨していました。

大きな技術革新の後には、必ず混沌が訪れ、そこから鬼才が誕生する!というのも、音楽業界人にとっては 私には、確定事項です(笑)

米津玄師さんやYOASOBIのAyaseさんもボカロP出身。この様な土壌から生まれたアーティストのお一人です。

少々話がそれますが、ボカロPさんでは『ゆこぴ』さんが大好きです。
本気で音楽家再スタートを切った2年ほど前。ボカロを何にしようか散策してて出会ったのがこちらの作品。私の中心にドン!と響きました!

ここにも米津玄師がいた!
ボカロの申し子のような鬼才がいた!

って思いました。

ほぼ情景描写だけの歌詞。
少ない音数で抑揚と情緒を感じるアレンジ。
儚さをと情緒を膨らませるメロディー。
これにマッチした初音ミクの不器用な歌い方。
その上、動画も目が離せません。
音楽も映像もセンスの塊!
隅から隅まで作家の意図を感じます!
私が言う100点の作品ってこれです。

昨年、『強風オールバック』が社会現象になったのは、記憶に新しいところです。

DAWで音楽センスを磨き、ボカロでプロデュース力を磨いてきたクリエイターさんをたくさん生み出した、音楽界に起きた2つの大技術革新のお話は以上です。

ボカロの今


ボカロにもすでにAIが入り込んでます。
その中心にあるのが SynthesizerV (シンセサイザーブイ)という、音声合成ソフトです。
AI搭載前から人が歌ってるみたいと言われてましたが、不自然さを感じる部分は少なからずありました。
AIを搭載した現在は、とても機械が歌ってるようには聴こえません。
その技術は現時点ですでに完成形にあると感じます。
すでに何種類もの歌声データベースが発売されており、その中から好みの歌声を選ぶ段階にあります。

AI搭載といっても、生成AIのように歌詞やメロディーを作ってくれるわけではありません。入力した歌詞とメロディー(音の高さと長さ)を、人が歌ってるように自然に歌わせる、この部分をAIが担っています。逆に機械声で歌わせることはできないので、初音ミクと棲み分けがなされてます。

ボカロが良いのは、ディレクション出来るところです。
「語尾を突き放すように」とか「アクセントは裏に」とか「ここのシャクリは抑えて」とか「始めはビブラートを弱く徐々に揺れを大きく」とか、声量や抑揚、ビブラートの始点や振れ幅、声質、明暗などの値を編集することで、理想の歌い方に近づけることが出来ます。

表現力では生のボーカリストに及びませんが、納得行くまで、作り込みが出来る、自分専属のボーカリストを抱えてる感じ。
操作に慣れてしまえば、レコーディングの時、作曲家やディレクターがボーカリストに指示出してるのと、まったく同じ感覚です。
気分はレコーディングルームのディレクター(笑)

SynthesizerV本体(約1万円)と歌声データベース(約1万円)で、合計2万円。違う歌声が欲しくなったら、追加1万円で新しい専属ボーカリストを増やすことが出来ます。

ボーカリストに依頼すると、費用もさることながら、感覚的なものを言語化し伝えることが難しかったりします。
(これを助けてくれるのが音楽理論なんですよ)
こうした手間と時間も節約できる SynthesizerVのコスパは最強です!

あと、私がSynthesizerVを使うのは、自分で歌うよりも曲のクオリティーが上がるからです。下手な歌でリスナーの聴く気を削ぐより、常に70点の歌唱で歌ってもらう方が、最後まで聴いてもらえる、という判断です。

私のようにボーカル以外は一人で全部やって、歌唱だけボカロに任せてる人は山ほどいます。この裏で、仮歌やコーラスのバイトなどでお小遣いを稼いでいたボーカリストの仕事は奪ってるはずです。

* * *

もし、私が全く音楽を演ってなかったとしたら、SunoAI を楽しんでると思います。自分だけの楽曲をじゃんじゃん作れるのですから、面白いに決まってます。

細かいことにこだわらなければ、使い所は沢山ありますし、楽しいから使ってます!自分が聴きたい音楽を生成してます!趣味の範囲で楽しんでます!という方は、どんどん遊び倒してください。
私も時間が作れたら使い倒してやろうと考えてますし。



すみません。
勢いのまま書いてたら、6000字を超えてたので、また分けることにしました。なので、次も生成AIの未来予想ではありません(汗)

次は、SunoAIから一歩進んで、アーティストやミュージシャンを目指してる方に知って欲しい、今の音楽業界の話しと、私からの提案をお届けする予定です。

ではまた。

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