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【読書記録 -96】ファンダムマーケティング

乱読のセレンディピティ

「ベータ読み」ができるようになると、セレンディピティ的なことが起きやすくなる。それは、自分の知らない領域の書籍に気軽に手を出せるようになるからだ。

さて、ボクが4月に朝井リョウの「イン・ザ・メガチャーチ」を読んだことはすでに記事にしている。(この作品の中では「チャーチマーケティング」というワードで語られているが)ボクは本作の中で「ファンダムマーケティング」というマーケティング手法を知った。

そうなると、連鎖的にそっちの本を読みたくなるのだ。未読の積読本を大量に抱えているにも関わらず…


共感と熱狂の「ファンダムマーケティング」

本書『ファンダムマーケティング』の著者 高野修平は、トライバルメディアハウスにて数多くのブランド戦略に従事し、エンターテインメントマーケティングレーベル「Modern Age」を立ち上げた、この分野の第一人者だ。

著者が説く「ファンダムマーケティング」の核心は、以下の2点に集約される。

・セグメントマス

メガIP(高い知名度と強力なブランド力を持ち、ゲーム、アニメ、映画、キャラクターグッズ、出版など、多岐にわたる分野で膨大な収益を生み出す「巨大な知的財産(Intellectual Property)」)はなく、特定の層に熱狂的な影響力を持つ「セグメントマス」を狙う。それは「コストの抑制」「強いブランド連想の付与」「クリエイティブの自由度の高さ」という3つの大きな利点があるからだ。

・解釈一致

「わかってるね感(解釈一致)」と「そうきたか感(サプライズ)」を突いた施策は、購買意向を驚異的に高めてくれる。ファンから感謝される状態(オタクの恩返し)を設計することによって、IP提供企業のROIを最大化させることができるのだ。

ファンがブランドを「推す」状態を意図的に創り出し、認知から購買、ファン化までを一気通貫でデザインすること… ファンダムマーケティングによって、売りたい商品を(単なるプロモーションでは不可能な)「愛されるブランド」へ昇華させることができる。

その鍵となるのは以下の3点だ。

1. 商品に「意味」を与える

認知だけでは売れない現代において、商品の機能や効能だけでは差別化が不可能だ。生活者が「この商品いい」という妥協ではなく、「この商品いい」という強い選択理由を持つためには、機能や効能の良さではなく「意味」の付与が不可欠だ。

2. 「可処分精神」の奪い合い

マーケティングの成否を分けるのは、もはや「可処分所得」や「可処分時間」の奪い合いではない。生活者のをどれだけ占有できるかという「可処分精神」の考え方が、究極の差別化を生む源泉となるのだ。

3. 深層部でコンテクストを接続する

最も重要なのは、ブランドとIPのコンテクストを深い部分で接続することだ。コンテクストなきタイアップはファンを失望させるが、深い部分でコンテクストを理解したファンダムは、ブランドとの間に強固な「共犯関係」を築くことになるからだ。

同志としてのファンダム

ファンダムマーケティングの本質は、ファンを単なる「刈り取り」の対象として消費するのではなく、共に世の中を動かす「同志(仲間)」としてリスペクトすることにある。

企業が「推される理由」を自ら耕して、ファンと共に歩む姿勢を見せることによって、商品のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)は自ずと向上する。こうした継続的な取り組みがブランドエクイティ(ブランドの資産価値)を強固にし、それが競争優位性につながるのだ。

参考リンク集

・Amazon『ファンダムマーケティング』書籍紹介ページ
・トライバルメディアハウス:公式ホームページ

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