好きだったのに、突然のブロック。40代がやっと気づいた男女の恋愛のすれ違い
俺の「好き」は、彼女の国では使えない通貨だった。
今日もスナックゆきで、一杯だけ頼んだ。
グレンマレイ12年にした。
五回目のデートの帰り、
改札で手を振った。
それが、最後になった。
三日後、アプリを開いたら、
彼女のページが消えていた。
退会ではなかった。
ブロックだった。
五回会って、五回とも笑っていた人に、
俺は何をしたんだろう。
グラスの中のグレンマレイを見る。
うまいのに、黙っている酒だ。
言わなくても伝わると思っている。
あの頃の俺と、同じ飲み方をしていた。

気になる人がいた。
マッチングアプリで知り合った。
デートも5回くらいした。
うまくいっていると思っていた。
でも、
いきなり連絡がなくなった。
彼女が悩んでいるから、
解決しようとした。
連絡も一生懸命した。
精一杯気持ちを伝えていた。
なのに、
「わかってくれない」と言われた。
これ以上、
何をすればいいんだろう。
そう思いながら、
また何かをしようとしていた。
やればやるほど、
距離が開いていく気がした。
思い返すと、
最初からずれていた気がする。
私は見た目と雰囲気から入った。
気になったら
すぐ気持ちが燃え上がる。
内面よりも外見から好きになっていた。
でも、
彼女はきっと、
私が信頼できる人かどうかを 確かめていた。
好きになる前に、
安心したかったのだと思う。
私は好きだから安心したかった。
彼女は安心してから好きになりたかった。
順番が、逆だった。
今思い返せば、
会ってすぐ距離を縮めようとすると、
彼女がわずかに引いた。
あれは冷たかったのではなく、
まだ距離感を確認していただけだったのかもしれない。

連絡も、そうだった。
私の連絡は業務連絡だった。
用件が終わったら
返信しなくていいと思っていた。
「了解」で会話を終わらせた。
でも、
彼女にとって連絡は
関係の体温計だった。
体温計が止まると、
冷めたと感じていたのだと思う。
悩み相談の時も、同じだった。
私はすぐ解決しようとした。
彼女が欲しかったのは
解決策ではなかった。
「それは悲しかったね」
その一言だけでよかった。
私はずっと、会議をしていた。
彼女はずっと、
わかってほしかっただけだった。
一番痛かったのは、
拒絶されることが怖くて、
気持ちを伝えるのが遅かったことだ。
確実にフラれないように
距離を詰めてから告白したかった。
でも——
彼女には
「私に興味がないのか」
と映っていた。
私は拒絶が怖かった。
彼女は興味がないと感じていた。
気づいたら、
連絡が途切れた。
ブロックされていた。
しばらく、スマホを見つめていた。

ある夜、ママに話した。
こんなにやっているのに、
なぜ伝わらないのかと。
ママは少し間を置いて、
テンポよく言った。
「ウフフ、、同じ言葉を使ってるのに、意味が全然違ったのよ。あなたの愛は行動で、相手の愛は言葉だったんじゃない?」
少し微笑んで、
次の客に目を向けた。
それだけだった。
その一言が、 家に帰ってからじわじわと効いてきた。
ママの言う通りだった。
でも本当は、もう一つある。
行動で示す方が、楽だったのだ。
言葉にすると、断られたときの逃げ場がない。
俺は愛し方を間違えたんじゃなくて、
傷つかない方を、選び続けていた。
同じ「好き」を使っていた。
ただ、
意味が、違いすぎた。
愛情の量の問題では
なかった。
伝え方と受け取り方が
違っただけだった。
全部を変えようとしなくていい、
と思う。
ただ一つ。
相手が話している時、
解決策を出す前に、
「それは大変だったね」と
言ってみる。
それだけでいい。
相手が求めているのは
解決ではなく
「わかってもらえた」
という感覚だけかもしれない。
こんな夜、
あなたにもありませんか。
こんなにやっているのに、
伝わらなかった夜が。
たぶん、それだけで
何かが変わる。
たぶん、だけど。

グレンマレイをもう一口飲んだ。
グレンマレイは、うまいのに黙っている。
言わなくても伝わると思っている。
あの頃の俺と、同じ飲み方をしていた。
同じ「好き」だった。
意味が違かった。
グラスが空いた。
今日はここまでにする。

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