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2026読んだ本その4『宙わたる教室』〜伊与原新という異色の作家の魅力〜

※基本的にネタバレはありませんが、内容に若干触れます。

伊与原新さんという作家に数年前からどハマりしています。
6年ほど前に『月まで三キロ』に出会ったことをきっかけに、『青ノ果テ』、『ブルーネス』、『八月の銀の雪』、『オオルリ流星群』、『藍を継ぐ海』、『翠雨の人』と次々読み漁ってきました。
東京大学大学院で地球惑星科学の博士号を取られている異色の経歴の持ち主で、科学を題材にした作品が多いのですが、理屈っぽくなく、また専門用語の解説もわかりやすく、そして、ミステリーとして秀逸な作品ばかりです。

今回読んだのは、一昨年NHKにてドラマ化されて話題を呼んだ、『宙わたる教室』。私も当時テレビ放送で見て、すごく良かったので、文庫化を機に原作も読ませていただきました。

定時制高校の科学部が奇跡を起こす青春学園ドラマですが、いわゆる『アオハル』臭さというものはあまりなくて、一度挫折した人が数々の障壁を乗り越えて再挑戦することの『泥臭さ』のようなものを描いた人間ドラマだと思います。
幾つになっても、どんなに不遇に見舞われても、絶対に諦めてはいけない、と思わせてくれる作品です。老若男女全ての世代にオススメできます。
しかもこの話、実話を元にしているというのだから、本当に凄いなぁと感心しきりです。

なお、ドラマ版よりも随分とスッキリしているので、ドラマを先に観た方は少し肩透かしを感じるかもしれません。ドラマ用に新たに肉付けされた部分があったんだなぁと思うと、また観たくなりました。再放送してくれないかなぁ。

そしてこの話、続編も出るようなのです!!また藤竹先生に会える?岳人に会える??もちろんチェックしてみたいと思います。続編も映像化して欲しいな。。。


伊与原さんの作品には共通して『応援歌』のようなものをひしひしと感じます。一生懸命頑張っているけど上手くいかない、なかなか芽が出ない人に向けて、そっと背中を押すような。もう一歩前に踏み出させてくれるような。スガシカオのcongressの歌詞にある、『あと一歩だけ前に進め』のような、Yellを感じるんですよね。
研究や実験の類も、きっとそうなんだろうなと。作中でも、上手くいかない実験ほど燃える、という表現がありました。
読んだ後に元気をもらえる、または尻を叩かれる、そんな作品が多い気がします。

伊与原新さんは他にも文頭に挙げたものなど私がオススメしたい小説をここでぜひ紹介したいので、もう少しお付き合いください。

昨年直木賞を受賞した短編集『藍を継ぐ海』は、その土地に根付いて地に足をつけて踏ん張っている人たちに対するエールのようなものを感じました。
五つある短編はそれぞれが独立していて、北海道や広島など、その土地に根ざして住む人たちの営みへの敬意が伝わってきました。どの話もとても良かったのですが、中でも、個人的には『星隕つ駅逓』が特に良かったです。

『オオルリ流星群』では、ミドルエイジになったかつての同級生たちが集まって天文台を作るという、第二の青春的な話ですが、その中に当時起きたある事に対する謎解きとともに、わだかまりを解いていく過程が凄く良くて、どんどん読み進めていって最後には号泣するという体験をしました。

『青ノ果テ』では、ミステリー仕立てになっていて、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に絡めてストーリーが進んでいきます。賢治ファンならぜひ読んでみてください。最後のまとまりかたがとても綺麗で、そこに至るまでの流れが鮮やかで、ミステリー好きにもたまらない展開となっています。

『月まで三キロ』は彼の最初の短編集ですが、直木賞を受賞した『藍を継ぐ海』と比較しても遜色のない名作揃いとなっています。ちょっぴり切ない、そして愛おしい短編六篇は、短編としての読みやすさと文体の柔らかさで、伊与原初心者に最適と思います。

なんだか長々と宣伝広告みたいになっちゃってすみません。。伊与原新さん、とてもオススメの作家さんなので、まだ出会ってない人はぜひ読んでみてください。
私自身もまだ読んでいない彼の他の作品がまだまだあるので、これからも読み漁って行きたいと思っています。


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