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自身の「将来の夢」をあえて「他人軸」で考えてみる【志望理由書対策】

更新日:2025/05/07

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。

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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


自分の問題『将来の夢』を自分の中だけで考えると行き詰まることも……それならば……

 一昨日、「志望先の学部・学科のタイプから『将来の夢』について考えてみる」という記事をアップしました。本来の志望先選択の流れだと「『将来の夢』を見つける」方が先行するのが常ですが、あえて「志望先をもう決めた」ことを前提にして、そこから、志望理由書を書くために「将来の夢」についてどのようにアプローチしていくか、についてまとめてみました。

(志望先の学部・学科のタイプ別に「将来の夢」を考えてみる)

 普段、添削指導の中でみなさんの志望理由書を拝見していると、本来的な因果関係で言えば「自分は将来こうしたい。だから、この大学・学部・学科を志望した。」となるはずのところですが、実際はそう「すっきり」とは行ってないことの方が多いということがわかります。たぶんに、受験生の頭の中で展開される志望理由書作成のリアルな思考プロセスとは、「自分は将来こうしたいと考える」ことと「志望先を決める」こととが同時並行的に「ないまぜ」に考えられ、それを志望理由書を書く段階において、因果関係などを整理して「『将来の夢』を見つけ、そこから志望先を選んだ自分のストーリー」として構築しているのだと考えられます。したがって、あえて逆算的な思考で「志望先から将来の夢を再発見し気付く」ということもあり得るのではないか、そういう風に考えながら、上掲の記事をまとめました。

 今日はその記事の続編的な内容となります。「志望先から将来の夢を考える」ということが可能であるなら、その志望先の学生や卒業生の学び方や生き方に仮託するかたちで、自身の将来進路を考えるということもありなんじゃないか、という考えの下でまとめた記事です。

 そもそも「自分のことを、自身で考えて決めること」にはある種の困難さが伴います。人間、なかなか普段の生活の中では自分自身のことについてわからないものです。ですから、自分で自分のことについて考えて理解するためには、深い自己洞察と細かい自己分析を意識的に行うことが必要ですし、私も添削指導中のコメントの中でそれを促すことがあります。しかし、それはしばしば「行き詰まり」ます。大学進学後または大学卒業後といった、「近くない自身の将来」について考える中で、なかなかそのイメージが定まらないというのは無理からぬことです。現在高校生である自分が、大学生活や大学卒業後の社会生活を現実的に考えることには自ずと限界があるからです。であるなら、志望先のウェブサイトやパンフレットにある「在学生の声」や「取得可能な資格」・「卒業生の進路」を参考に、自分の将来像を練り上げるというのも一つの手として考えられるのではないでしょうか。自分のことだから「自分軸」で考えるのが本来ですが、あえてここは「他人軸」で自分の将来の夢について考えてみてはどうか、というのがこの記事の内容です。本記事は、今まさに自分の「将来の夢」について考えていて「煮詰まっている」人には、是非参考にして欲しい内容です。

志望先の「在学生の声」から、自身の志望先での進学後の学びをイメージする

 志望先のウェブサイトやパンフレットには、よく在学生の「私はこの大学でこういうことを学んでいますよ」といったインタビュー記事やコラム記事が載っていますよね。こうした記事をここでは「在学生の声(※よく「voice」などのタイトルがついているため)」と呼びたいと思いますが、これを活用して、自分がその大学のその学部・学科に入ったらどんな取り組みや学びが得られるのかを理解することができるというのが、ここでのお話です。

 正直、大学のアドミッション・ポリシーやカリキュラムについて、高校生のみなさんがウェブサイトやパンフレットを見ただけで十分に理解するのは困難だと思います。割と専門的な学術用語なども使われており、内容も抽象的だからです。

 しかし、この「在学生の声」は、そこに通う、自分と年の近い大学生が語る「生の声」であり、志望先で何を学べるのかが具体的にわかる内容のものです。これは、よくCMである「商品使用者の感想」に近いものです。「この健康食品はこういう効果がありますよ」ということを医療用語や学術用語でいくら専門家に説明されても、なかなかその効果を感覚的に理解することはできません。しかし、「実際その健康食品を買った人の生の声」として「これを食べるようになったら、朝の目覚めがとてもすっきりしました。」などと聞くと、「あぁ、そういう効果があるんだな」と肌感覚で理解しやすいです。これと同じで「在学生の声」も、この大学・学部・学科に進学したら自分もこういう「大学生活」ができるのだな、という具体的な理解を得やすいものです。したがって、これを参考にすると、自身の志望先での進学後の学びをイメージしやすくなるでしょう。

 その記事にある大学生の学びと同じ学びを自分もしてみたいと考えるのもよし、あるいは「そういう学びができるのなら、私はその学術テーマについてこちらの別の角度から探究したい」と考えるのもよしです。いずれにしても、その大学・学部・学科での学びが具体的にわかることで、「自分だったらその学習環境下でこういう学びを得たい」と考えることができます。

志望先の「取得可能な資格」・「卒業生の進路」から、大学卒業後の自分の将来進路に思いを馳せる

 同じく、志望先のウェブサイトやパンフレットには、その大学・学部・学科で「取得可能な資格」やそこを卒業した「学生の進路」が掲載されています。これらを活用することで、大学卒業後の自身の将来進路を考えることができます。

 その学部・学科でどういった資格を取得できるのかを知ることによって、「自分の将来の可能性」について考えることができます。「こういう資格がとれるのなら、自分はこの道を目指してみよう」、あるいは「自分ならこの資格を在学中にとって、この仕事や取り組みにこう活かそう」というような、「将来に対するより現実的な想定」が可能になります。

 また「卒業生の進路」からは、そこを卒業した学生がどういう道に進んだのかがわかります。各種データから、「この業種に進む人が多い」、「この系統の企業や官公庁に就職する人が多い」などのことがわかり、そこから「自身が進学してこの大学や学部・学科で学んだ後に、どういう道がその先に広がっているのか」を現実的にイメージすることができます。逆に、今大学卒業後に進みたい方向が決まっている人は、その職種や業種にどのくらいの人が就いているのかをここで確認することで、自分の将来像をより明確にすることができます。

まとめ ~時には「他人軸」で自分の「将来の夢」について考えると「答え」がすっきり出るかもしれない~

 自己分析してわかった、「自分の経験やそこから得た自分の強み」、または「今の自分の興味や関心の対象」から進学後の学びや卒業後の進路を考えるのが、本来の志望理由書作成の「セオリー」ではあります。しかし、そのセオリー通りに考える中でそれが「煮詰まる」こともあるでしょう。そのときは「先人に学ぶ」ことも一つの手です。

 もちろん、他人の人生は自分の人生ではありませんが、「先輩」たちがその大学や学部で何をどのように学び、その学びを活かしてどのように社会で活躍しているのかを知ることによって、翻って「自分ならどんなことを学びたいか」・「自分ならどのようにして社会に貢献したいか」などを具体的に考えることができます。「なかなか将来の夢が決まらない」と今もがいているのなら、この記事の内容を是非参考にして実践してみてください。

 自分の中で悩んでいるより、他人の学びや取り組みを見てそれを参考にして考えた方が、時にはスムーズに「答え」を出せるかもしれませんね。

(私をはじめ「昔の受験生」にはおなじみ「蛍雪時代」(笑)。これは臨時増刊の学部学科案内号です。こういうのも活用して、志望先での学びや将来進路への具体的なイメージを獲得しましょう。)


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