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学部・学科のタイプ別に考える「将来の夢」のあり方【志望理由書対策】

更新日:2025/05/03

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。

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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


「将来の夢」のあり方を、学部・学科のタイプ別に分けて考えてみた

 これまでも志望理由書対策として、志望理由書の中で一番大事な「軸」となる「将来の夢」のあり方をあらゆる角度から考えてきました。「社会にどんな職業があるか調べてみること」や「自身の『興味・関心』の対象を自己分析で明確にすること」、「社会での『仕事』のあり方や意義から自分の将来像を考えること」など、今までも「将来の夢」のあり方について、いくつか記事をまとめてきました。

(将来の夢を考えるためのブックガイド)

 しかし、そのいずれも「現在の自分」を起点として考えているものですが、本日のこの記事では、あえて「志望先の学部・学科」を起点として考え始め、「その学部・学科を志望先として選んだ」ことを前提とした上で、そこから「逆算」して、自分がどういう「将来の夢」(大学進学の動機)を持っていたのかを「再発見」する、というかたちで「将来の夢」のあり方を考えていきたいと思います。既存の学部・学科を大きく3つのタイプに分けて、それらの「学びのあり方」から敷衍して、そこからどういう「将来像」があり得るのか、という点から、「将来の夢」のあり方を考えていきます。その点で言うと、少し「受験テクニック」的なお話しとも言えます。

 既存の学部・学科を、「想定できる卒業後の進路」から大きく3つのタイプに分けました。それは「職業直結型」・「純粋探究型」・「『国際型』と『学際型』」の3つです。大学の学部・学科のほとんどは、この3つのどれかに分類されます。それぞれのタイプの学びの内容や想定目標から導き出される将来進路を、それぞれ考えていきます。

「職業直結型」の学部・学科を受験する場合

 一つ目は「職業直結型」です。これは、ある特定の職業のプロフェッショナル(職業人)を養成することを想定した学部・学科群です。代表的な例としては、理系では、医学部や看護学部、薬学部、福祉マネジメント学部、スポーツ健康科学部などをはじめとした「医療・福祉・スポーツ健康系関連学部」、獣医学部や畜産学部などの「獣医・畜産系関連学部」、農学部や園芸学部などの「農学系関連学部」、家政学部・栄養学部などの「家政・栄養系関連学部」、工学部をはじめとした「IT技術・テクノロジー系関連学部」などが挙げられます。一方文系では、法学部・政治学部などの「法学・政治学系関連学部」、経済学部や経営学部、商学部などの「経済・経営系関連学部」、教育学部に代表される「教育系関連学部」(理系学部もあり)などが挙げられます。また、ここに「美大や芸大、音大」などの「芸術学・デザイン学系関連学部」を含めてもよいでしょう。いずれにしても、学部・学科名から将来どの分野のプロフェッショナルになれるのかが想起しやすい学部・学科群と言えます。

 これらの学部・学科で想定されている学びとは「その道の専門職業人の育成」に他なりません。たとえば、医療系学部では様々な分野の医療従事者を、また法学部では法曹界で活躍できる人材を育成することが見込まれています。このタイプの学びは、実学志向で専門職業人の育成を想定しているため、ある意味「専門学校の学び」に近いと言えます。

 このタイプの学部・学科を受ける場合の「将来の夢」の想定は容易です。というよりも、その学部・学科を選んだ時点で「将来ある特定の職業に就くことを志向している」ことを示すため、ほぼ自動的に「将来の夢」は決まります。たとえば、医学部を受験しようと決意した段階でそれは「医師になりたい」という夢を抱いたのと同義です(普通は)。したがって、このタイプの学部・学科を受ける人が「将来の夢」を聞かれて返答に困るというのは、ほぼないでしょう(医師になる気がないなら、そもそも医学部を受験しようとは思わないはずです)。

「純粋探究型」の学部・学科を受験する場合

 二つ目は「純粋探究型」です。これはある特定の学問を深く探究・研究することを想定した学部・学科群です。理系では、これらは「理学部」として集約されることが多いです。たとえば、「理学部数学科」は「純粋に数学を学問として探究する」ことを目的とした学部・学科であり、その学びが何か特定の職業スキルに直結することを想定していません(もちろん、卒業後にプログラマーになるなどして、結果的にその数学の学びが間接的に活かされるということはありますが)。一方、文系では、これらは「文学部」として集約されることが多いです。「文学部」は、一見すると「文学を学ぶ学部」と考えがちですが、大抵の場合、それは「人文学を学ぶ学部」を意味します。この人文学には、文学はもちろんですが、史学や語学、哲学など多くの文系学問が内包されます。たとえば、「文学部日本文学科」は「純粋に日本文学について学問的に探究する」ことを目的とした学部・学科ですが、必ずしも卒業生の全てが「日本文学の研究者」になるのではありません。特定の職業のプロになることをその学びは必ずしも保証しているわけではありません(ただし、たとえば卒業後に中学の国語の先生になった場合などは、結果として、その「日本文学の学び」が大きく活かされることということはあるかもしれません)。このタイプの学びは、いわゆる「古き良き、伝統の大学の学び」であり、その「学問の研究者」の育成を想定した学びとなっているのが特徴です。

 以前、別の記事でお話ししましたが、「興味・関心の対象が明確であるにもかかわらず、それを『将来の夢』につなげることができていない志望理由書」を書く人は、このタイプと次の「国際型」・「学際型」の学部・学科受験生にとても多いです。「文学部史学科」を志望したのは「歴史が好き」だから、まではスムーズに出てきますが、その大学での歴史学の学びが自身の将来においてどのように活かされてくるのかまでに考えが及んでいないのです。しかし、これに対して「受験生の将来への見通しの甘さ」だけを非難することはできません。そもそもこの「純粋探究系」の学問は基本的に「実学」ではないのです。そのため、その学部・学科を選択した時点である職業への選択を自動的に行うということにならないという構造的な問題がここにあります。したがって、このタイプの学部・学科を受ける人は、「大学卒業後の将来の進路を意識的に考える必要がある」と言えます。

(以下の別の記事で、高校生のみなさんの書く志望理由書をパターン別に分類して説明しています。その中で「興味・関心の対象は明確であるもののそれを『将来の夢』に昇華できていない志望理由書」のケースを取り上げています。)

「国際型」・「学際型」の学部・学科の場合

 三つ目は「国際型」・「学際型」です。これは、「最近の大学の学びのトレンド」とも言えます。「国際型」には、たとえば「国際コミュニケーション学部」や「国際教養学部」、「国際関係学部」など様々な学部・学科があります。これらは、もちろん外国語の習得などもカリキュラムには含まれていますがそれだけが学びの内容ではありません(それは「外国語学部」です)。言語はもちろん歴史・宗教・民族などの文化面のでの学びなどを、国や学問の分野の枠を超えて、まさに国際的(グローバル)な視野の下で行うのがこのタイプの学部・学科の特徴です。これも、先の「純粋探究型」の学部・学科と同じように、ある特定の専門職業人を想定しているのではありません。むしろ、「国際社会を舞台として多くの分野で活躍できる人材を育成しよう」というのがこのタイプの学部・学科での学びの目的です。これは「学際型」の学部・学科にも同じことが言えます。たとえば「総合グローバル学部」や「総合政策学部」、「総合人間学部」など、学部・学科名を聞いただけでは何を学べるかがわからない学部の多くは、「一つの社会課題の解決に向けて、多くの複数の学問分野から総合的にアプローチする」ということを想定しています(そういう意味での「総合」です)。したがって、それは「ある特定の学問分野にとどまるのではなく、多くの学問分野を横断して(学際的に)学ぶことで課題解決をしていく」というのが、このタイプの学びの特徴であり、ここでも「特定分野にとどまることなく、多くの分野を横断してマルチに活躍できる人材を育成しよう」というのが学びの目的となっています。これとよく似た学びの構造を持つものに「社会学部」があります。「社会学」とは何かということにはここでは詳しくふれませんが、研究対象は「社会の事象の全て」であることから、その学びは自ずから「学際的なもの」となります。哲学・政治学・言語学・心理学・芸術学・文化人類学など、多くの既存の学問を横断しながらその社会の問題について探究する姿勢は十分に「学際的」と言えます。

 先ほど、これらのタイプは「最近の大学の学びのトレンド」と言いましたが、これには「現代社会の問題の複雑化とグローバル化」が背景にあります。近世から近代・現代にかけて専門分化を常に行ってきたのがこれまでの大学の歴史でした。たとえば「博物学」という自然のものを雑多に扱う学問から「鉱物学」や「動物学」、「植物学」など様々な学問が分化し、それぞれが専門性を高めていきました。しかし、その結果「その専門のことしかわからない教養人」が育成されていったため、現代社会において一つの社会問題を解決する際に、「自分の専門にしか考えが及ばず、問題全体を構造的に解決できない」事態が見られるようになってきたのです。つまり現代になり社会問題を複雑化し、また地球規模の(グローバルな)ものとなってきため、その問題の解決に対しての「時代の要請」としてできたのが、この「国際型」・「学際型」の学部・学科であり、その学びなのです。したがって、ここでの学びを活かす将来の進路の数は「無限」と言ってもよいでしょう。もちろん、現実的な限界(「医師になるには医学部に行かないとダメ」など)はあります。しかし、ある特定の職業を想定した学びではないので、将来に対して「自由に」考えることはできます。ただ、「自分の将来に対して、『自由に』、『無限に』想定できることから、かえってそれを持て余してしまい、明らかに、自分の将来に対して「迷子」になっている志望理由書」がよく見られるのも事実です。前の二番目のタイプと同様、その学びをどこでどのように活かすか、その「将来の夢」を自身で考える必要があります。

まとめ ~自分の志望する学部・学科の学びの内容や特徴から、自分の将来の夢を「逆算」して考えるのも一つの手である。~

 通常の考える順序でしたら、「まず将来の夢を立ててから、それに合わせて志望する大学や学部・学科を選ぼう」となりますが、今回はあえて「志望先学部・学科を選んでから、それに合わせて将来の夢を立てるにはどのように考えたらいいか」について考えてみました。

 志望理由書の作成の仕方として本来的な考え方ではありませんが、自分の「将来の夢」をより明確化して志望理由書の内容をより充実させるには、こうした「その学部・学科での学びを、将来社会でどのように活かせるのか」という観点から考えてみるのもよいでしょう。今回は、志望理由書で必要不可欠な「将来の夢」のあり方を、学部・学科のタイプ別に分けてそれぞれ考えてみました。

(「大学・学部・学科選び」と「職業選び」を関連付けて考えると、「将来の夢」がより明確に見えてくるでしょう。その助けとなる一冊)


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