『仕事は楽しいかね?2』 読書共有【第80弾】
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はじめに
今回はデイル・ドーテン『仕事は楽しいかね?2』(野津智子訳、きこ書房、2002年)からの共有です。
前作は過去に共有済みですが(下記リンク参照)、その内容をごく簡単に振り返っておきましょう。前作では、中年サラリーマンの主人公が老人マックスとの出会いを通して、「仕事は楽しいかね?」というシンプルな問いかけを軸に対話を重ねていく中で、自分自身の働き方や生き方についての可能性を発見していくストーリーが展開されていました。
一方、その後の主人公とマックスとの再会を描く今作は、前作の内容を引き継ぎつつ「職場」に焦点を当てることで、管理職や部下との関係構築、またリーダーシップの本質を学べる物語となっています。
その中でも特に重要なのは、本書が「 “最強”の上司の英知を集めたもの」であり、仕事の能力や仕事の楽しさ等の諸テーマについて、上司と部下の理想の関係という観点から紐解いていることでしょう。読者がどのような立場であれ、本書が提示する内容はより良い職場の在り方を考える上で極めて有益であると言えます。
本書によれば、「ほんもの」の上司は自由・変化・チャンスを重んじる一方で、これらの3要素は同時に優れた部下が求めるものでもあるがゆえに、「ほんもの」の優れた上司のもとには「ほんもの」の優れた部下が集まってくるといいます。その結果、「ほんもの」の優れた上司は部下を育て、やる気にさせ、助力を得ることができるとされています。
今回の共有では、様々な企業における「ほんもの」の上司たちによって築かれた職場の在り方を紹介しつつ考察を展開したいと思います。
「ほんもの」の上司の一番大切な特徴
まず、著者は「ほんもの」の上司の特徴について次のように述べ、具体例を提示しています。
「 “ほんもの”の上司はまず第一に、みんなに働きたいと思ってもらえる場を思い描き、そういう場をつくり出す。有名なプログラムがいくつかある。たとえば、そう〔中略〕事務用品で有名な3M(スリーエム)社の“十五パーセント・ルール”。社員は好きなプロジェクトを自分で選び、勤務時間の十五パーセントをそれに充てるんだ。このプログラムなら、 “我が社は並みの職場とは違います”と言っていることになる」
このように、まずは「みんなに働きたいと思ってもらえる場を思い描き、そういう場をつくり出す」のが「ほんもの」の上司の特徴であるとされています。「ほんもの」の上司は自由・変化・チャンスを重んじるということは先述の通りですが、これらのことを可能にする場を作り出すことが「ほんもの」の上司の最大の役割と言えます。
「優秀な管理職の基本的な仕事は、管理することじゃない」と本書で指摘されている通り、「優秀な管理職」(「ほんもの」の上司)の仕事は、社員たちが誇りを持ち、信頼し合える職場を作り出すことなのです。
管理ではなく、誇りと信頼を育むリーダーシップがここでは重要視されており、職場を楽しくするための考え方やあり方が追求されていると言えます。
ここでは例として3Mという会社が引き合いに出されていますが、以下で3M含めて幾つかの企業のケースを見ていくことにします。
3Mの15%ルール
3M(スリーエム)という会社はご存知の方も多いと思います。その製品ポスト・イット(付箋)は私も読書の際には必須で、必ず3M社のものを使うほどのファンです。
なおポスト・イット自体は、実は強力なテープを作る際に失敗して粘着力の弱いものができてしまい、これはこれで使えるんじゃないかというのが始まりの製品だと言われています。つまり、一見して失敗作の中に後のヒット製品のヒントがあったわけです。
こうして失敗を失敗に終わらせず、失敗の中にこそ成功の萌芽を見て取るマインドは、「心理的安全性」をも確保する環境を生み出すことでしょう。また、失敗を隠蔽することなくオープンにすることで、誰もが失敗を恐れずにチャレンジできる雰囲気が醸成されもするでしょう。
こうした環境において、先述の15%ルールで社員が好きなプロジェクトを自分で選んで遂行できるという自由度の高い労働形態も、ヒット製品が生まれる大きな理由になり得ているかと思います。ちなみにGoogleにも同じく20%ルールというものがあります。
ただ、私が在籍する会社にはこのようなルールは存在しないので、私は勤務時間外に趣味で読書や諸々の資料作り、アイデア出し等の時間を設け、それを本業に繋げるという循環を生み出せるように工夫しています。この勤務時間外という特にリラックスして取り組める趣味の時間が自分にとっては大切で、その時に良いアイデアが生まれてきやすいと感じています。
チャイナ・ミスト・ティーの象徴的な変化
また、別の会社の例を紹介しておくと、次のように言われています。
「チャイナ・ミスト・ティー社CEOダン・シュヴェイカ―はテーブルをビリヤード台に替えてしまった。くだらないと思うかもしれないけれど、これは新風を巻き起こすための第一歩として、とても大切なことだった。彼は、重役用の駐車スペースも廃止した。そういう象徴的な変化がまずあって、次第に社内の雰囲気が変わり、社員の気持ちも弾んでくる。ダンの部下の一人は僕に、『職場というのは息のつまるような重苦しいところだと思っていましたが、いまはなんだか楽しい休暇を過ごしているような感じですよ』と言っていたよ」
さすがに会社のテーブルをビリヤード台に替えることはできないかもしれませんが、何か工夫を加えることはできるでしょう。
なお私の職場では、偉大な先輩方がいらっしゃった時代からボディメイク関連の文献を事務所に並べて共有するという習慣があり、今ではさらに働き方や生き方全般に関連する文献を並べて読書共有や資料作りの際に役立てています。これだけでも、私にとっては随分と楽しい職場になっています。
本の背表紙を眺めるだけでも、アイデアが湧くヒントになるので不思議です。いま自分が抱えている問題を、たとえばスティーブ・ジョブズならどう考えるだろうかなどと空想するだけでも、自分本位の狭い考え方を打破するきっかけとなり得ます。
これはささいな例かもしれませんが、私にとっては「象徴的な変化」だと感じています。読書をはじめとした学習の習慣により、ボディメイク以外のことでもお客様の心身の健康や幸福、自己実現に寄与したいという気持ちが溢れてくるからです。こうした象徴的な変化がなければ、おそらく今の形でのnoteデビューも果たせていなかったかもしれません。
タイヤズ・プラスの特別ルーム
さらに最後の例として、タイヤ販売のチェーン店を展開するタイヤズ・プラスという会社の本社には、フィットネス・ルームやマッサージ・ルーム、瞑想用ルームがあるそうです。
こららの導入により、社員の生産性とモチベーション向上が期待され、また心身の病気予防や離職率の低下などにもつながり、ひいては企業のブランディング強化にもなり得ると考えられます。
なお本書では紹介されていませんが、同じく海外企業の事例だとGoogleやMeta Platforms(旧:Facebook)の社内ジムの存在は有名かもしれません。また、Googleではマインドフルネスも人気で、これは過去の読書共有でも紹介済みです(下記リンク参照)。
そして日本企業においても、株式会社千広(熊本市)が本社屋にスポーツジムを設置しているという素晴らしい例があります。社員は毎日7:00~22:00まで自由に利用できるとのことで、パーソナルジム並みの設備を整えているようです。
その他、日本においても「福利厚生にフィットネスを導入した企業の成功事例」が出てきていることは、パーソナルトレーナーにとっても歓迎すべき傾向であると言えます。
以上のタイヤズ・プラスをはじめとした例は、各企業における「ほんもの」の上司たちによって築かれた職場の在り方を示しているものとして考えられます。これらの企業においては、物理的な意味でも精神的な意味でも、社員が心から働きたいと思える環境づくりが実践されていると言えます。社員たちが誇りを持ち、信頼し合える職場を作り出すためのヒントがここに見出されるでしょう。
お客様に通いたいと思っていただける場を作り出す
本書を私の視点で読み替えるならば、これまでに見てきた職場環境の雰囲気はスタッフ視点のみならずお客様の視点にとっても大切であると思われます。「我が社は並みの職場とは違います」ということが誰の目にも明らかなのであれば、相当のブランド力を持っていると言えるでしょう。
私はこうした考え方をパーソナルジムの文脈で実現したいと考えています。端的に言えば唯一無二を目指しているわけですが、これには物理的な環境だけではなく、心理的な環境の創出が何としてでも必要です。
これは「ボディメイクを通した心身の健康、幸福、自己実現」が私のテーマでもあるからですが、何よりも純粋に「通いたい」「これなら通ってもいい」とお客様から思っていただける場を作り出すことが、パーソナルトレーナーとして一番大切なことではないかと最近思い始めているからです。
このように考えるならば、スタッフのみならずお客様にとっても楽しいジムでなければならないでしょう。何をもって楽しいと言えるのかというのは議論の余地がありますが、少なくとも私は既存の楽しさ以上に、新たに発見される楽しさを探求していきたいと考えています。
私もスタッフもお客様も、誰もがまだ気づいていない楽しさを探求する場でもありたいというのが私の願いです。それは日常的な楽しさから、人生を変えてしまうレベルの楽しさまで様々な可能性が考えられます。
ここで大切なのは、楽しさはこういうものだろうという決めつけを排除することです。何にしてもやってみないと分からないことが多いものです。その中で、未知の楽しさを期待して行動を重ねること、失敗を重ねること、繰り返し学ぶことで、結果として新たな楽しさを発見できるかもしれませんし、またそれまでの過程そのものが楽しさを実感させてくれるということもあるかもしれません。
このnoteでの読書共有の試みも、いわば実験的な楽しさがあって、結果として楽しさを味わうこともあれば、過程そのものの楽しさも実感させてくれるものとなっています。
最後に、本書の印象的なフレーズを共有して終わりにしたいと思います。いつもこの言葉を胸に、仕事を楽しむことを忘れないでいたいものです。
仕事は楽しくなくちゃだめだ。
職場から笑い声が聞こえてこなければ、
きみのやり方は間違っているということだろうね。
おわりに
今回も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。
日々少しずつ閲覧数やリアクション数、フォロワー数も増えてきて嬉しい限りです。今後も最低週1回の更新を目指して頑張ってまいります。
あえて本の要約といったことはメインとせず、私なりの観点から面白いと思った箇所の共有という限定的な内容にしております。それが少しでも皆様の記憶に残り、日々の読書体験の深まりや具体的な行動・実践に繋がるのであれば幸いでございます。
今後とも宜しくお願い致します。
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