『サーチ・インサイド・ユアセルフ 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』 読書共有【第72弾】
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はじめに
今回はチャディー・メン・タン『サーチ・インサイド・ユアセルフ 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』(柴田裕之訳、英治出版、2016年)からの共有です。
著者はGoogle独自の研修プログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」を開発者した人物で、このプログラムはGoogle社内で爆発的な人気を得て、SAP、アメリカン・エキスプレス、LinkedInなど世界中の有力企業にも広がりました。
「Googleの人材はこの研修で成長する」と言われており、そこでは心を整える「マインドフルネス」を主軸として、自己認識力、創造性、人間関係力を高め、「仕事と人生を飛躍させる」ことが目指されています。
本書は、この「マインドフルネス」を科学的根拠に基づき日常でも実践しやすい形で取り入れる方法や、また成功や幸福に必要な「EQ(こころの知能指数)」とも関連づけた形で仕事や人生を飛躍させる様々な考え方や手法を紹介しており、内容も豊富かつ具体的でとてもためになる一冊です。
働きがいや生きがいを考える上でも本書は大いに参考となり、人生を変えたいと強く願っている人に特におすすめできます。
SIYによってあなたの人生も変わる。ほんとうに、根本から。
マインドフルネスからEQへ
今回も私なりの観点からの共有となりますが、本書で特に興味深いと感じたのはマインドフルネスとEQを結びつけて論じている点です。これまでの読書共有でも両者についてたびたび触れてきましたが、それぞれ別々に考えてきたものが本書によって見事に統合された感覚です。
両者の関連については、たとえばEQの概念を世界中に広めたダニエル・ゴールマンは、本書に寄せた「序文」の中で次のように述べています。
「EQの中核を成すのは己を知ることであり、それを実際に心にやらせるための最善の方法は、「マインドフルネス」と呼ばれる心のトレーニングである」
本書でいう「EQ」とは、「自己認識(自分の内面の状態、好み、資質、直感を知ること)」から始まり、「自己統制」「モチベーション(動機づけ)」「共感」「社会的技能」という領域に展開していき、「仕事での成功と人生の充実」を可能にする能力のことですが、この中核である「己を知ること」を最善の形で実現させるのが「マインドフルネス」だということです。
心を整えるマインドフルネスは、「今この瞬間」に「たんに存在する」ことを通して、「注意力を鍛え、明瞭で安定したものにする」と言われています。つまり、偏見のない曇りなき眼で自分を含めたあらゆる存在を認識するということでしょう。著者は次のように言います。
「EQを養う私たちのアプローチはマインドフルネスから始まる。私たちはマインドフルネスを使って注意力を鍛え、明瞭で安定したものにする。〔中略〕情動経験を高水準の明瞭さと解像度で知覚する能力は、EQの土台となる」
なお、偏見の有害さはこれまでの読書共有でも触れてきましたが、こうした偏見によってはEQの「自己認識」も歪んだものとなり、また他者認識の際にも同様の歪曲が起こりかねないでしょう。偏見においては、自他が「今この瞬間」に「たんに存在する」という「あるがまま」が排除され、恣意的に自他を見たいように見るという我がままが生じているように思われます。
ここでは分かりやすく偏見を例に挙げましたが、こうした歪んだ「自己認識」においてはEQの開発や向上を望むことは難しいと言わざるを得ないでしょう。「自己認識」の段階で歪んでいれば、それに続く「自己統制」「モチベーション」「共感」「社会的技能」も歪んだものになるほかないからです。
ここに、心を整えるマインドフルネスの有効性が示されていると言えます。
二分間でできるマインドフルネス
本書では、「二分間でできるマインドフルネス」というシンプルな方法が紹介されているので、それを以下で簡単に共有しておきたいと思います。
「私と娘はたいてい毎晩寝る前に腰を下ろして、マインドフルな状態で二分間過ごす。よく冗談で言うのだが、二分というのは、子供やエンジニアが注意を持続できる時間だからだ。私たちは生きていていっしょにいることを毎日二分間、静かに楽しむ。もっと根本的には、存在していることを毎日二分間楽しむ。たんに、あるがままでいることを。たんに存在するというのは、人生で一番あたりまえであると同時に一番貴重な経験だ」
「この単純なエクササイズがマインドフルネスの練習になる。頻繁にやれば、心に本来備わっている穏やかさと明瞭さが深まる。人生の一瞬一瞬を十二分に味わう道が開ける。どの一瞬もかけがえのないほど貴重なのだ。これは、私を含め、多くの人にとって人生が変わるような練習になる。考えてもみてほしい。ただあるがままでいることを学ぶという単純な行為が、あなたの人生を変えうるのだ」
上記は極めてシンプルな方法ですが、どんな時でも「今この瞬間」に「たんに存在する」という「あるがまま」に立ち返ることができたなら、これほど心強いことはないのかもしれません。マインドフルネスは、最強のセルフコントロールと言えるでしょう。
有能であってしかも人に愛される
次に、マインドフルネスを主軸としたEQの能力の中でも、私が特に関心を持った「社会的技能」に関する共有をしてまいります。
本書では、「有能であってしかも人に愛される」と題されたテーマについて論じられていますが、ここで著者は「人に愛されるのはあなたのキャリアのためになる」とし、リーダーシップ研究で有名なジム・クーゼとバリー・ポズナーの研究を引き合いに出してきます。
その研究内容によれば、管理職の成功を説明できる諸要因の中で、上位者と下位者を明確に分かつものとして「愛情」が際立ったものとして挙げられると言います。
この研究は飽くまで「管理職の成功」に焦点を当てたもののようですが、ここで言われている「愛情」は、管理職のみならず万人のための「成功」要因として考えても良いのではないかと思われます。この観点を踏まえて、以下に見る著者の見解をお読みいただきたいと思います。
「物事を成し遂げる最も効果的な方法は、冷徹な人間のように振る舞うことだという考え方に慣れている実業界の人には、この研究はもっと良いアプローチがあるという、新鮮で刺激的な可能性を示してくれる。好かれるのを諦めてまで物事を成し遂げる必要はない。両立は可能なのだ。良い思いをしながら昇進を果たすのも夢ではない。実際、長い目で見たとき、人に好かれるのが、物事を成し遂げる最も効果的な方法かもしれない」
このように、「愛情」を持った人財が仕事で成功していく過程は想像にかたくありません。愛情においては、「人に好かれる」ことと「物事を成し遂げる」ことは両立するのです。
愛情は、その性質からしてEQ的な要素を含んでいると考えられますが、この根源には曇りなき眼で自他を見ようとするマインドフルネスの姿勢があると私は考えています。
偏見なき愛情は、自他が「今この瞬間」に「たんに存在する」という「あるがまま」を認めることができるでしょう。対人関係において、この愛情を持って他者を「あるがまま」に認めることができるならば、人から愛されないはずはないと思うのです。少なくとも、私自身はこうした意識と実践を通して良好な人間関係を構築してきたつもりです。
まずは自分から、偏見なき愛情を持って他者に接することです。そうしたEQの能力を発揮することによって、「有能であってしかも人に愛される」ことがはじめて可能になるでしょう。
人に好かれ成功するために不可欠な社会的技能
著者によれば、「人に好かれ、しかも自分の分野で成功するのを助けるための情動的な技能」、つまり「不可欠の社会的技能」として、次の三点が挙げられます。
①思いやりのあるリーダーシップ
思いやりは、あらゆる信仰と数多くの哲学において偉大な徳として知られているのみならず、これまで測定された中で最高水準の幸せの原因であるとともに、最も効果的な形のリーダーシップの必要条件である。
②善意に基づく影響力の行使
私たちがすることしないこと、言うこと言わないことはすべて他人に影響を与える。重要なのは影響力を獲得することではなく、すでに持っている影響力を拡大し、皆のために行使することである。
③洞察力にあふれたコミュケーション
効果的なコミュニケーションには共感だけでなく洞察力が必要。具体的には、アイデンティティの問題や、意図と実際にそれが引き起こした影響の落差といった、普段は隠れてしまっていることの多い会話の要素への洞察。
上記だけでも何となく雰囲気はつかめるとは思いますが、要は人のためにという利他的な観点から考え、また行動できる愛情深い人財が成功を収めやすいということです。愛情も、まずは自分から与えるという精神が大切だと言えるでしょう。
ここに、まずは自分から与えるという成功哲学の特徴を見て取ることができます。愛情含めたポジティブな感情や気持ちの表出は、まずは自分からという率先垂範が必須です。
特に愛情に関しては先に示して損なことはないでしょう。そもそも損得勘定を超越しているのが愛情でもあるからですが、愛情はどれだけ表出してもお金のように無くなっていくものでないばかりか、場合によっては増えていく類いのものです。古くは宗教がこのことを発見し、最近では心理学の研究からも実証されてきているように見えます。
愛情の表出のし過ぎで心身ともに疲れたというのであれば、それは愛情とは違う感情である可能性が高いかもしれません。
ちなみに仕事に対する私の愛情は、マリアナ海溝ほどの深さはあるでしょうか。なお、志はエベレスト並みに高い模様。
おわりに
今回も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。
日々少しずつ閲覧数やリアクション数、フォロワー数も増えてきて嬉しい限りです。今後も最低週1回の更新を目指して頑張ってまいります。
あえて本の要約といったことはメインとせず、私なりの観点から面白いと思った箇所の共有という限定的な内容にしております。それが少しでも皆様の記憶に残り、日々の読書体験の深まりや具体的な行動・実践に繋がるのであれば幸いでございます。
今後とも宜しくお願い致します。
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