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経営とは|「やりたいこと」「やるべきこと」「できること」のバランスを取ること

「やりたいこと(will)」「やるべきこと(must)」「できること(can)」――
これは自己分析やキャリア設計で使われる、非常にポピュラーなフレームです。

キャリアデザイン3つの輪と呼ばれてます↓

私はこれをそのまま「経営」にも当てはめられると考えています。なぜなら、法人もまた「人」だからです。

  • やりたいこと:目的・意志・理念・ビジョン

  • やるべきこと:手段

  • できること:リソース

このシンプルなフレームワークの切り口で経営を捉え直すことで、良いことがたくさんあります。足りないところや過剰なところが明確になる効果、バランスを整える効果、誰にでも分かりやすく説明できるようになる効果など

このフレームワークで整理して改善に取り組むと、
やりたいこと、は「リーダーシップ」に
やるべきこと、は「戦略」に
できること、は「武器」に

それぞれ昇華していきます。

こんな分析手法見かけたことありますよね?↓
これらが企業経営のどこにフォーカスしていて、どこに改善をもたらすフレームワークなのかよくわからない人も多いのではないでしょうか?

●ビジネスモデルキャンバス(BMC)
・アレックス・オスターワルダー提唱。
●SWOT分析
・企業の内部・外部環境を分析。
●PEST分析(PESTEL分析)
・マクロ環境の変化を捉える外部分析。
●VRIO分析
・自社のリソースや能力の競争優位性を判断するフレーム。
●5フォース分析
・産業構造や競争環境を5つの力(フォース)で評価。

私は今回の「経営3つの輪」フレームワークが、上記全てを内包する上位概念であり、小学生でも分かりやすく、かつ極めて実戦的なものだと確信しています。

■経営とは3つの輪をバランスさせること

  • やりたいこと

  • やるべきこと

  • できること

人も同じ。人生とはこの3つをバランスさせること。

まずは分かりやすいように「人」を主人公にしたケースで見てみます。

子どもの頃は、
「やりたいこと」が大きすぎたり小さすぎたりするし、
「やるべきこと」はまだわからなかったり後回しにしたりするし、
「できること」はとてもとても小さかったりします。

身体や心の成長、知識と経験と資源の拡大、価値観の変容によって多くの場合はこの3つの輪の重なっている部分が徐々に大きくなり、実現できることや達成できることが増えてきます。

例えば、子どもが仮面ライダーになって怪人を倒したいという夢を持って、これを「やりたいこと」にセットしたとすると、まだ子どもなので、「改造人間にしてくれる人を見つける」「倒すべき怪人の居場所を特定する」「変身するための道具を入手する」など「やるべきこと」が何なのかもわからない状態です。さらには、小さい身体と幼い知恵となけなしのお小遣いでは、人や道具を探そうにもすぐに限界が来るでしょう。

法人も同じで、
例えば、創業直後の会社には、「やりたいこと」だけが先行していて、「やるべきこと」や「できること」が追いついていないケースが多々あります。

創業者が「世界を変えるサービスを作りたい」と強い意志(=やりたいこと)を持っていても、市場分析や競合調査が不十分だったり、営業や資金調達の方法が分からなかったりして、「やるべきこと(戦略)」が整理されていなければ実現には至りません。

また、資金も人材も少ない状態では「できること」にも大きな制限があるため、実現可能性が非常に小さいわけです。

逆に、成熟した大企業や歴史の長い中小企業であっても、課題はあります。「やるべきこと」や「できること」が固まりすぎていて、「やりたいこと」を見失ってしまうケースなどです。
現場の業務は効率的に回っていて、財務的にも安定しているが、「我々は何のために存在しているのか?」という理念やビジョンが形骸化してしまっている、という状態です。

このように、「法人」も、成長の段階に応じて3つの輪のバランスを整えることが必要なのです。定期的にこの3つの輪を見直し、重なりを少しずつ大きくしていくことが経営者のミッションになります。すなわち、「経営とは3つの輪のバランス管理である」といえるわけです。

■どれかが欠けたら起きること‐アンバランスがもたらす3つの症状‐

●「やりたいこと(リーダーシップ)」が欠けたとき(大企業病)

 ・経営は安定していて、やるべきことも明確、できることもたくさんある。
 ・けれど、「なぜこの事業をやっているのか?」「この先どこを目指すのか?」という目的意識や情熱が見えない。
 ・結果、社員は「作業者」になり、若手は辞め、イノベーションは止まり、組織は硬直化していく。
 ⚠️衰退の始まりは、“意味を失った効率”から始まる。大企業病は中小企業とは無縁のものではありません。長年経営している会社ならこのリスクは懸念すべきでしょう。

●「やるべきこと(戦略)」が欠けたとき(行き当たりばったり経営)

 ・ビジョンは熱く、リソースも多少ある。けれど、マーケットや時流を見ずに、戦略も描かず動き出してしまう。
 ・結果として、顧客ニーズとのズレやコスト過多、商品・サービスの迷走が起きる。
 ・社内も混乱し、「あれ?これって何のための施策だったっけ?」と誰も応えられない状態に。
 ⚠️“冷静な戦略は、戦略なき情熱に勝る”。キリギリスはアリに絶対に勝てません。

●「できること(武器)」が欠けたとき(夢想家)

・壮大なビジョンと精緻な戦略があっても、実行に移すリソースが足りない。
・人材、資金、ブランド、信用…「ないもの」を前提に描かれた戦略は、結局は“絵に描いた餅”。
・実行段階で頓挫し、信頼を失い、事業が立ち上がらない。
 ⚠️実行力なき戦略・情熱は、“ただの評論家・夢想家”にすぎない。リソースを把握してない外野からの助言はこのパターンに陥りがちです。コンサルの使いどころには十分注意しましょう。

■バランス不足を補う方法-意思・戦略・資源はどう補えるのか?-

●「やりたいこと(意思)」を補給できるのか?

結論から言えば、補給は可能です。
・ただし、それは外から与えられるのではなく、「内側から湧き上がる」ものであるべきです。
・創業当時は熱い想いがあったが、事業拡大や日常業務の中で“なぜ”を見失ってしまった。
・そんなときは、原点に立ち返ること。なぜこの会社をつくったのか?誰を救いたかったのか?
・あるいは、新たな社会課題や顧客ニーズと出会うことで、再び“やりたい”が再点火することもあります。

もし、なんらかの挫折を通じて意思が折れたのだとすれば、あなたに必要な3つの条件は「居場所」・「負けを認める」・「自分で再選択する」です。

挫折マネジメントについてはこちら↓

●「やるべきこと(戦略)」はどこから湧いて出てくるか?

戦略はほとんどの場合は“自然に湧いてくる”ものではありません。現状分析と仮説思考と検証結果の積み上げによってはじめて形作られていきます。
・自社の理念・ビジョンと、世の中の動きや競争状況を照らし合わせる=PEST分析
・自社の強みと弱み、機会と脅威を明確にする=SWOT分析
・競争相手や代替手段など外部環境の力関係に焦点を当てる=5フォース分析
などのフレームワークを使って、現実と目的のギャップを特定する。そこから「どこを攻めるか」「何に集中するか」が見えてくるのです。

私はそのタイプなので、特に意識しなくても戦略が沸いて出てきますが、経営者の方と話せば話すほど感じるのは、戦略が身体から沸いて出てくる極少数派とそうでない大多数が存在するという事実です。
先のことばかり考えながら同時にそれを実現する現実的な作戦を立てて実行することに最高の楽しさを感じる、好奇心と現実主義を足して2で割ったような人です。
非常にレアなこのタイプの人が、身近な味方にいる人は非常にラッキーです。

「戦略」と戦略家の選び方についてはこちら↓

●「できること(武器)」は持って生まれるか、勝ち取るか、シェアするか

資源は、先天的な要素もありますが、後天的に増やすことも可能です。
自社にないなら、「買う(資金)」「借りる(金融)」「繋がる(パートナー)」ことで補うこともできます。
小さな成功を積み上げて獲得する方法もあります。例えば、信用・信頼やブランド、人材など、時間と行動の蓄積によって“勝ち取る”ものたちです。
また、シェアエコノミーやアライアンスのように、“持たずに使う”という手段も増えてきています。
リソース不足を言い訳にせず、「どう勝ち取り、補うか」を設計するのが経営者の仕事。

これらを総合して一言でまとめるなら「実力」です。

実力についてはこちら↓

■まとめ

経営とは「やりたいこと」「やるべきこと」「できること」のバランスを取ることです。

このバランスのとり方(=スキル)は、なにも会社経営者になって初めて取り掛かるような一部の人向けのスキルではありません。

キャリアデザインの3つの輪も同じまったく構成ですので、個人のキャリア形成においても同じスキルが求められます
つまり、人生経営にもこの記事の考え方がそのまま応用できるということです。また逆もしかり。

個人のキャリア形成でこの3つの輪をちゃんと意識してきた方なら、会社経営を任されることになっても焦る必要はありません。
本質的には同じだと考えて、落ち着いて取り組みましょう。

中小企業診断士や経営コンサルの書籍を多数読んで、経営スキルやテクニック論をたくさんインプットしてきて、体系的に学び、それらの位置づけを理解したつもりでしたが、今回の記事をまとめることで、それらの上位概念や本質的な位置づけがより深く理解できました。

皆さんもお気づきの点があればコメントでフィードバックいただけるとありがたいです。

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