【パリ観光#3】「再建の瞬間こそ、最大の観光資源」─ノートルダムから学ぶ建設プロセスの価値。
先日パリに行きました🛩️
旅の目的は観光でしたが、歩けば歩くほど、
「パリは“観光都市”としてデザインされている」
と強く感じました。
僕は普段、都市づくりや建設プロジェクトに関わる仕事をしています。
その視点からパリの街を見たとき、
“日本の都市にはない構造的な違い”が驚くほど鮮明に見えました。
このシリーズでは、旅行で感じたことを
建設マネジメント×観光デザインの観点から言葉にしていきます。
第3回は「ノートルダム大聖堂の再建×観光価値の創出」について深掘りします。
※第1回・第2回は以下
■ パリはノートルダム大聖堂の再建を"魅せる建設"に。
## 火災という悲劇‥。パリは再建を観光価値に変換した
パリの観光地のひとつ「ノートルダム大聖堂」。
2019年に火災に遭い、再建を行なっていますが2024年から一般公開されています。
今回のパリ観光では残念ながら訪れることが出来ませんでした。
しかし、改めてノートルダム大聖堂の再建について調べたところ、「再建プロジェクト」を見事に「観光モデル」に組み込んでいる良事例だと認識しました。
ノートルダム大聖堂の再建中である2023年に現地を訪れた方のレポートを拝読しました。(末尾に参考記事を記載)
注目点としては以下。
建設現場を隠さない。見学席をつくり"魅せる"現場に。
仮囲いは"目隠し"ではなく、「真っ白なキャンバス」。
## 建設現場を隠さない。見学席をつくり"魅せる"現場に。
現場の正面に観光客用の「見学席」を設けたのは秀逸の一言。
ゼネコンマンの視点ですが、一般的に建設現場では中の作業を見せない作りになっていることが多いです。
「意図的に隠している」というよりは、「結果的に隠れてしまっている」。
真っ白な壁で囲われた現場をよく見かけますよね?
あれは立ち入り禁止のために、工事範囲を示すもの。
人が簡単に登って来られないように高さを設けると、結果的に中が一切見えない空間が出来上がる。
ノートルダム大聖堂の発想は、
「見せられるものは、魅せてしまおう。」
完成後の姿はいつでも見ることができます。しかし、再建の途中経過は完成してしまえば見ることは出来ません。
再建中にこそ、その瞬間にしか見られない"体験価値"があるとは思いませんか?
ノートルダム大聖堂の再建には1340億円もの寄付金が集まったそうです。これだけ注目されているプロジェクトだからこそ、工事中にも観光客が訪れるという側面はあると思います。
ただ、仮に地方の小規模観光地であったとしても、"再建中にしか見られない体験"という価値設計をすることは可能なはず。
皆さんも観光地を訪れた際に、「ちょうど工事中で真っ白な壁しか見られなかった」という体験はありませんか?
もし"再建プロジェクト"が「魅せる再建プロジェクト」になれば、「その瞬間だからこそ見られた姿」という体験ができる。
👉ノートルダム大聖堂が提供したのは"その瞬間限定"という体験価値。

引用:https://bunganet.tokyo/notredame/
## 仮囲いは"目隠し"ではなく、「真っ白なキャンバス」。
ノートルダム大聖堂は仮囲いを「ただの壁」ではなく「真っ白なキャンバス」に。再建プロジェクトについて「概要」「完成パース」「工法」など観光客向けに紹介する場として有効に活用しています。
建設中に設置する必要がある「仮囲い」ですが、捉え方ひとつで"観光資源"に昇華させることが出来るという事例。
プロジェクト紹介用の施設をプレハブ等で作る必要もなく「スペースの有効活用」も実現している。
再建プロジェクトが終了した後も、このままミュージアム等で展覧することまで考えられているのでしょうか?
まさに、再建をライフサイクルに組み込んだような良事例だと思います。

引用:https://bunganet.tokyo/notredame/
■ "建設プロセス"にこそ体験価値がある
## 日本の建設プロジェクトは"完成時がピーク"
日本の建設プロジェクトは「完成した瞬間」に最も価値がある状態。
いざ運用が始まってからは老朽化により価値が落ち続ける一方です。
僕の考えとしては、施設のライフサイクルを考えることで、その時々で価値をもっと高められるはず。
## 建設中だからこそ生み出せる"体験価値"
ノートルダム大聖堂の事例を参考に「建設を観光地化」することで"体験価値"を生み出す。
前述のように、日本の建設現場は「真っ白な仮囲い」で覆われていることが多い状況。
いっそのこと、
「建設現場を観光スポットにしてみては?」というのが僕の考えです。
例えば、
作業の様子を公開する
完成イメージをポスターにして貼り出す
高台の作業がよく見える場所を展望台にする
観光客に簡単な装飾づくりを体験してもらう
日本でも小さいながら素敵な事例はあります。
そのひとつが上野動物園のサル山リニューアル工事。
一面が仮囲いで覆われていますが、完成パースが示されていたり、猿の写真が展示されていたりと、「ただの壁」にせず「展示スペース」として意味を持たせています。

完成パースの紹介があることで
完成が楽しみになる仕掛け。

ちょっとした写真があるだけでも
空間に意味を持たせている
## 「参加」こそ最大の体験価値になる
また、観光客に「参加してもらう」ことが体験価値を高めると考えています。
例えば、「親子で屋根の瓦を作ってみよう!」とか「障子を張り替える体験」などほんの些細なこと。
参加することで「自分が建設に関わった施設」になり、施設との心理的距離感がぐっと縮まる。
こういった些細な「参加」が物として残り続けるのも建設プロジェクトならではの"体験価値"になり、人と施設を繋げる体験になる。
✏️ 僕が目指す「建設×観光×運営」のビジョン
「建設プロジェクト」を「作るだけ」で終わらせない。
「建設中」だからこそ得られる"価値"を提供したい。
この発想が広がれば、日本の観光体験の質そのものが底上げされると思っています。
では日本で「魅せる再建」の事例は無いのか?
ありました。「沖縄」に。
## 次回予告
【沖縄観光】火災からの"復興"を観光プロジェクトに〜首里城の再建〜
※【参考】ノートルダム大聖堂の工事状況レポート(2023/7)
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで読んでくださってありがとうございます!✨
いただいたチップは大学院の学費に使わせていただきます👍