【パリ観光#2】ルーブル美術館 “運営”が観光地の質を決める時代へ。
先日パリに行きました🛩️
旅の目的は観光でしたが、歩けば歩くほど、
「パリは“観光都市”としてデザインされている」
と強く感じました。
僕は普段、都市づくりや建設プロジェクトに関わる仕事をしています。
その視点からパリの街を見たとき、
“日本の都市にはない構造的な違い”が驚くほど鮮明に見えました。
このシリーズでは、旅行で感じたことを
建設マネジメント×観光デザインの観点から言葉にしていきます。
第2回は「観光地オペレーションの質」について深掘りします。
※第1回は以下
■ パリ観光で衝撃を受けた「管理のスムースさ」
パリは世界有数の観光都市です。
エッフェル塔・ルーブル美術館・凱旋門など観光しましたが、どこも事前の予約は必須。もちろん当日券もありますが、長蛇の列に並ぶことは避けられません。
また、当然どこに行っても観光客で溢れ返っていました。
にも関わらず感じたことは以下。
観光客は多いのに、混雑でイラつく瞬間がほとんどない
エッフェル塔、ルーブル、…どこも「きっちり管理された流れ」
入場は予約制、時間指定が当たり前
特にルーブル美術館では、予約時間は30分刻み。
予約時間ごとに入場レーンが分けられており、きっちり時間管理がされていました。観光客は多いものの、スムーズに入場できるため不思議とストレスは感じない。時間を過ぎた場合にはラインカットされる等、徹底した時間管理がなされていました。

一方で、日本の観光地でよく起こる「時間通りに来たのに待つ」現象。
せっかく予約時間が分けられているのに、管理側が曖昧に入場させるため意味を成していないケースはよく見受けられる。
この“予約の形骸化”が観光価値を落としている。
まとめると、パリの観光地では、
👉 “混雑のストレスがない”という体験そのものが観光価値になっていた
■ 観光地の混雑をオペレーションで改善
観光地が抱える混雑問題。
パリでは「建設」ではなく「運営」によって解決していると感じました。
▷ 「建設」で解決しようとすると…
施設拡張
駐車場増設
入場レーン増加
物理的な解決策が多く、費用・時間がかかる選択ばかり。にも関わらず、予算を注ぎ込んで拡張した施設で混雑が解消されるか、運営してからで無いと分からない。また、ピーク時に合わせて拡大するため、ピークオフ時には余裕があり過ぎる状態に。
##一方、パリは“運営”で解決している
予約システム
ピーク時間の均等化
オペレーション最適化(これが本当に強い)
どの案もソフト面での解決策であり、費用・時間ともに最小限で済む。
上手くいかない場合には、運営方法を変えることで対応できる。
「小さく試して、小さく失敗する」ことが可能で、リスク最小限で体験価値を高められる。
■ 【日本の事例】大阪万博の混雑問題・・・
つい先日まで開催されていた大阪万博。
僕も混雑がピークになる前の7月に行きました。
コンセプトは 「並ばない万博」。
しかし蓋を開けると……
「やっぱり並ぶ万博」。
とはいえ、すべてが悪かったわけではありません。
むしろ良いところも多かった。
▷ 良かった点
入場は時間指定
人気パビリオンは予約制で待ち時間なし
有志アプリで待ち時間が把握できる
▷ 気になった点
入場時間の指定があるのに長時間待つ
チケット購入時に来場日時を決めない → 閉幕間際に来場が集中
パビリオンの入場待ちが屋根もなく炎天下で苦痛
当日入場の時間予約や、人気パビリオンの日時指定は良い取り組みだったと思います。実際に入場ピークは緩和されていたと思いますし、パビリオンはスムーズに楽しむことが出来ました。
##それでも発生した「予約しているのに並ぶ」問題
一方で、入場時間の指定があるにも関わらず、入場ゲート前で約1時間待つ場面が発生。
予約枠の扱いに問題があったように思います。
大阪万博では「予約時間より後」であれば入場可能でした。
そのため、
後の時間帯ほど、前の枠で“遅れて来た人”が押し寄せる
日本人の性なのか、予約より“かなり早く”から並ぶ人が多い
入場ゲートでは厳重な荷物検査があり、処理能力が追いつかない
結果、**「予約時間に来ても大行列」**という状況に。
さらに、真夏の来場だったこともあり、
パビリオン待ちは炎天下でかなりの負担でした。
直射日光が当たる場所で長時間の待機
待ち列の配置が悪く日陰が少ない
こうした点は体験価値を下げる要因でした。
ただし、
日傘の貸し出しや霧吹きシャワーなど、暑さ対策はしっかり用意されていた点は良かったと思います。

##課題は“運営”だけではなく「建設との連携不足」
建設マネジメントの視点から考えると、
問題は“運営”だけでなく 「建設との連携不足」 にもあったと感じます。
詳細は分かりませんが、恐らくパビリオンの設計・建設は大枠で統括されていたはず。
しかし実際には、
各パビリオンが個別最適で動く
設計・建設・運営が“縦割り”
待ち列の導線や日陰の配置がバラバラ
──こうした構造で、結果的に体験価値が損なわれてしまったのだと思います。
建設段階から“運営まで含めたデザイン”を行うことで、もっと快適にできたはず。
👉 "運営"としては「事前予約」や「暑さ対策」と混雑への対策がなされていた。問題があったのは"建設"との連携不足。
■ 観光地の“体験価値”はハードではなく運営で決まる
パリには古い建物も多く、有名な観光地に至っては古い建物ばかり。
それでも体験価値を高められているのは洗練された"運営"があるから。
・予約システム
・日時指定の入場
・混雑予測シミュレーション など
「ハード」ではなく「ソフト」で観光の満足度を高める。
これをひと言でまとめると👇
観光は「建設」ではなく「運営」で最適化される時代に入った
✏️ 私が目指す「建設×観光×運営」のビジョン
これまで:「建設」は作って終わり、完成時に最も価値が高まる
これから:「建設」を観光のライフサイクルに組み込む
建てて終わりではなく、観光運営の「体験価値」を高めるために建設プロジェクトをマネジメントする。
そんな社会を目指します。
では日本で「建設×運営×観光」の統合はどこから始めればいいのか?
次回はそのヒントを探ります。
##次回予告
【パリ観光#3】「再建の瞬間こそ、最大の観光資源」─ノートルダムから学ぶ建設プロセスの価値。
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