真・インターアクション実践の舞台裏とは?東京商工会議所セミナーレポート
真・インターアクション協会認定講師の小茂田さんが東京商工会議所の公開セミナーへの登壇したとのことで、インタビューを行いました。
真・インターアクションとは何か
まず藤本理事長が「真・インターアクション」について説明しました。

「インター」は交差する、交わるという意味を持ち、「アクション」は働きかけを意味します。両者を合わせると「交差する働きかけ」、つまりコミュニケーションを技法として体系化したもの。
藤本理事長はこれを「ビジネスコミュニケーションの型」と表現してます。
剣道の小手・面・胴や野球の構えのように、まず型から入り、それを自分のものにしていきます。
問題解決のたものコミュニケーションの型を示したのが、真・インターアクションだと説明がありました。
5つの基本行動と5つのステップ
真・インターアクションの5つの基本行動と5つのステップについてまとめてみました。

信頼を築くための5つの基本行動(話し合いの間、常に守る姿勢)
人間性を尊重する
相手の話を共感的に聞く
言うべきことはしっかり伝える
積極的に聴く
援助する
成果を出すための5つのステップ(この順番で話を進める)
テーマと理由を明確に伝えて共有する
相手の考えや事情、理由を確認する
ブレーンストーミングでアイデアを出し合う
実施することを決める
決めたことを明確に確認する

藤本理事長はこれを宮本武蔵の』にある「守破離」の「守」になぞらえ、退職率が70%から30%に下がった事例もあると紹介しました。
近年特に注目されているのは、ハラスメントにならない指導法としての「行動是正」への活用です。
商工会議所に提案書を提出してから、セミナー登壇までの経緯
小茂田さんが東京商工会議所・足立支部のセミナー登壇が決まった経緯についても、おうかがいしました。

もともと小茂田さんが関わる会社の社長から、商工会議所の担当者と知り合いだったとのこと。
「小茂田さんという人がいるんだけど、セミナーはできないかな」と紹介していただき、「では提案書を出してください。それを見て決めます」と担当者に言われたのが始まりでした。
中小企業での真・インターアクションを導入事例を入れた提案書
提案書には、中小企業に真・インターアクションを研修として導入し、社長や幹部社員に喜ばれた事例を盛り込みました。
「面談をどう進めたらいいか分からない。」
「注意の仕方が分からない。」
「仕事の指導方法が分からない。」
こうしたお悩みがあり、真・インターアクションを導入した企業では、コミュニケーションの型が分かり、信頼関係が良くなったとの事例があります。
「パワーハラスメントにならないようにするにはどうしたらいいか」
「どうやって指導したらいいのか」について、お悩みの経営者は多いです。
「パワーハラスメントにならないための信頼関係構築の方法」というテーマで提出したのは2月のことでした。
4月になってから連絡が入って日程が決まり、6月18日の登壇が決まったというわけです。
登壇が決まった時にインタビューした記事は、こちらです↓
提案書の内容がそのまま、チラシに反映
小茂田さんのお知り合いで、同じ足立支部で経営者向けセミナーを担当したことがあるコンサルタントの方がいました。
その方に、「提案書の書き方を教えてください」とお願いしたところ、提案書のひな型を共有してくださったそう!
ワードで作成されたA4一枚の「セミナー企画書」の実物を画面共有し、見せていただきました。
タイトルは「今日から使える 経営者のための 社員と信頼を深める新しいコミュニケーションの型」
商工会議所で作成したチラシの実物は、こちら↓

このチラシには、提案書の内容がそのまま掲載されています。
ひな型を使うことで、スムーズにチラシが作れるというというわけです。
2時間のセミナー構成とロールプレイングの準備
2月に提案して、4月に6月の登壇が決まり、小茂田さんは2時間のセミナー構成を一から練り上げました。
前半ではパワーハラスメントに触れながら、真・インターアクションの5つの基本行動(人間性の尊重、信頼関係、聴くことなど)を紹介しました。コミュニケーションのズレがハラスメントの原因になり得ることを伝えたといいます。

後半の目玉となったのが、渡部幸さんとのロールプレイングです。小茂田さんが上司役、渡部さんが部下役を演じました。
題材には「部下が遅刻を繰り返す」というケースを選びました。
渡部さんによれば、当初は協会が普段の研修で使う別のケースを使う予定でした。
中小企業の経営者によりリアルに感じてもらえるよう、あえて身近な「遅刻」というテーマに変更したとのこと。
準備段階では、5つのステップの一つひとつをロールプレイし、その都度「今のステップではこういうことを伝えていました」と解説を挟む形式を試行錯誤しながら作り上げていきました。
ロールプレイ実演(一部抜粋)
ライブの中では、ステップ1の「テーマと理由の共有」の冒頭部分を即興で実演していただきました。
小茂田:渡部さん、お疲れさまです。少しお話ししたいことがあるので、お時間をいただいてもいいですか? 隣の部屋に来てもらえますか?
渡部:はい、分かりました。
小茂田:先週少し遅刻されて、今日もまた遅刻されていましたよね。今回は特に、朝、お客様とのミーティングがありました。そこで遅刻されたということで、お客様からの信頼にも関わります。渡部さん自身も、周りの皆さんから「どうしたんだろう」と思われるかもしれません。そのことについて、少しお話ししたいと思っています。15分くらい、お時間は大丈夫ですか?
渡部:はい、分かりました。
本番と練習の違い ― 直前で変えた進行スタイル
練習では通しでロールプレイを行い、最終的にはかなり手応えのある仕上がりになっていたといいます。
しかし本番直前、「一度ロールプレイを止めて、ステップごとに区切り、説明を挟んでからまた戻る」という進行に変更することを決めました。
理由は、通常の研修とは違い、受講者がテキストを手元に持たない公開セミナーの形式だったため、ステップの区切りが分かりにくくなることを懸念したためです。
ただしこの形式での練習は事前にできておらず、小茂田さん自身「ロールプレイがどこまで進んでいるのか分からなくなってしまった」と反省点を挙げていました。
渡部さんも部下役をしながら同様の戸惑いを感じたといい、この点はアンケートにも指摘があったそうです。
印象的なエピソード ― 「大きい目覚まし時計」
ロールプレイ中、渡部さん演じる部下が解決策として「ものすごく大きい目覚まし時計を買います」と発言する場面がありました。
これに対し小茂田さんは、部下役の年休残日数や親の介護事情を踏まえ、「年休もあるので、お休みしてもいいですよ」と提案しました。

後日、このセミナーに参加していたある社長を訪ねた際、「あれはすごく良かったよ」と言われた一方で、「僕だったら、もう休んでもらっちゃうよ」というコメントもあったとか。
小茂田さんは「経営者が自分の会社に当てはめて社員への思いを巡らせるきっかけになった」と前向きに捉えています。
会場でも笑いが起こっていましたし、反応がよかったです。
休憩時間に質問している方もいて、参加者が自分事としてとらえている姿勢が感じられました。
藤本さんはこの場面について、真・インターアクションでは相手の回答が予想外であっても、まずは実行してみることが大切であり、「なんでそんなことを言うの?」と否定しない姿勢が重要だと補足しました。
アンケート結果 ― 「大変参考になった」92.3%
セミナー後のアンケートでは、「大変参考になった」が92.3%、「まあまあ参考になった」を含めるとほぼ100%という高評価を得ました。寄せられた感想の一部をご紹介します。
具体的な事例が聞けたのが良かった
5つのステップを学べたので実践して身につけたい
「小茂田さんらしい、温かい2時間でした」
ロールプレイングの内容が実際に起きている事案で参考になった
「叱られた経験が少ないZ世代への関わり方」の具体的なケーススタディが良かった
行動に至るまでの価値観や思考の違いがコミュニケーションのズレになるという気づき
実演を交えた進行が分かりやすく楽しかった
コミュニケーションの型を見直すきっかけになった
関係性の構築の重要性を再認識した
プライベートでも役立てたい
会場では講座終了後や休憩時間にも質問者が列をなし、中には「最近、会社に来なくなってしまった社員がいる」という深刻な相談も寄せられました。
参加者には経営者だけでなく、会員企業の人事・総務責任者と見られる方もいらしたそうです。「社員同士の人間関係が良くない場合はどうすればよいか」という質問も出ました。
「聞く」ことの本当の意味
対談の後半では、開発者である藤本さんが5つのステップのうちのステップ2「相手の考えや事情を確認する」について掘り下げました。

藤本さんによれば、「聞く」とは単なるヒアリングではなく、相手の発言の中で分からない部分に踏み込んで質問することを指します。
「いろいろあって大変だったんです」という発言に対し、「どういうことがあったの?」などと、相手の発言に対して質問して、深堀りすることが大切です。
渡部さんは、小茂田さんがロールプレイの中で遅刻の事情を丁寧に聞く姿勢を見せたことが、経営者にとって「あそこまで聞くのか」という衝撃だったのではないかと振り返っていました。
会議・ファシリテーションへの応用
小茂田さんは、真・インターアクションを社内会議にも取り入れているとのこと。
議題について全員が一言ずつ発言する時間と、意見を選択する時間を分け、発言力の強い人の意見だけで決まってしまうことを防いでいるそうです。
この話を受け、藤本さんは同日公開したnoteの記事で「真・インターアクション・ファシリテーション」という構想に触れていたことを明かし、偶然の一致に驚いた様子でした。
ファシリテーターとしても活動経験のある小茂田さんとともに、新たなプログラム開発に取り組みたいとの意欲を語っていました。
渡部さんは、講師やファシリテーターが会社に関わり続けるのではなく、最終的には社員が自立してこの型を使えるようになることが目的だと補足しました。
今後の展望 ― 人事評価への活用
小茂田さんは今後、人事評価のフィードバックにも真・インターアクションを活用したいと話していました。
自己評価と上司の評価のギャップが生じる理由を丁寧に聞き取る場面で、応用できるとの考えがあります。
藤本さんはこれに応じ、通常の真・インターアクションが「意見を出し合ってより良い結論を導く」ものであるのに対し、人事評価のフィードバックは結論(評価)がすでに決まっている点が本質的に異なると説明しました。

目的や場面によってプログラムの作りは若干変わるものの、基本の流れは共通していると話していました。
基本の流れ
①テーマと理由の共有
②相手の考えを聞く
③評価を伝える
④納得してもらう
⑤今後を考える
藤本さんはまた、自身がスポーツ指導者のモウリーニョやエディー・ジョーンズなどを研究した経験にも触れました。
的確な即時フィードバックが、個人やチームを強くするというデータについても紹介していました。
メッセージ ― 学びに来てほしい人へ
インタビューの最後に、真・インターアクションを学んでほしい対象についておうかがいしました。
一つは、コミュニケーション力を高めたい一般の方です。
「会社の中で声を上げ、研修として導入してほしい」と呼びかけました。

もう一つは、講師を志す方々です。
小茂田さんのように各地で技法を広める講師が増えることで、日本全体にこのメソッドが広がることを望んでいます。
「真・インターアクションを使ってビジネスコミュニケーションを行うようになれば、日本の生産性は必ず上がる」とも。
また真・インターアクションをテーマにした、書籍出版の企画もあります。
小茂田さんの今後のさらなる実践と、今後の真・インターアクションの展開が期待される、実りあるインタビューとなりました。
提案書やアンケートも画面共有しているアーカイブ動画
今回の小茂田さんのインタビューでは、実際に提出した提案書や、セミナー後のアンケートの内容も、画面共有しながらお話いただきました。
アーカイブ動画は、こちらから視聴できます↓
小茂田郁子さんの自己紹介ページ
小茂田郁子さんのホームページ
commoパートナーズ ホームページ
真・インターアクション協会について
真・インターアクション協会では、コミュニケーションの質を高める講座・認定プログラムを提供しています。
