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学校の門を数週間ぶりにくぐった日。だれかを支えたいと願った。|不登校・発達障がい育児日記

長女の「みるみる」は、ここ数週間学校にまったく行っていなかった。

ちょうど、次女と同じ支援級にいくための手はずを整えて、
「支援級に行くことを許可します」といわれたあたりから。

多分、思ったんだろう。

「いよいよ行かなきゃいけないんだ」って。

そうだよね。怖くなったんだよね。

学校に行かなくってもいい。
元気で笑ってくれていたらそれでいい。
去年の「苦しい」と泣いていた日々からしたら、今でもう十分。

そう思ってる。
いや。そう思うようにわたしは、きわめて、努めてる。
だってそう気をつけていないと、すぐに私の口からはため息が出てしまいそうになるから。

「いつかは行ってくれるかもしれない」
「いつか、友達に会いにいきたくなるかもしれない」

その期待を捨てずにはいられない。だから私は、次年度に変化を求めて動き出した。もちろん、みるみるの気持ちを確かめた上だけど……
そんな私の気持ち。
きっと繊細な彼女には筒抜けだったんだろう。

「本当は行ってほしい」

学校が当たり前の時代で生きてきた私のこの勝手な思いが、今を生きる彼女を苦しめていいはずがない。だけど心の中では、自分が学校で経験してきたいろんなこと、知ってほしい。楽しいこともきっとあるよって伝えたい。でも、期待を負わせてはいけない。私はぐるぐると考えて、それを口から排出しないように努める日々を過ごしている。

noteの世界に入ってから。
いろんな不登校児ママやパパが、同じような努力をしていることを知った。

「学校に行けなくても大丈夫」

みんなが口をそろえて、そう励ましあう。
ただ。その言葉が、noteの世界をひとたび出ると、多少たたかれることも知っている。それで傷ついた不登校ママの存在も知っている。

「行けなくても大丈夫だよ」

そういって我が子を抱きしめるようになるまでに、葛藤がなかったはずがないのに。「行かなくてもいい」だなんて、最初から思っているはずがないのに。開口一番に「行けなくてもいい」といえる親なんてなかなかいないよ。

いないんだ。

親自身の、そして子どもの心の声に耳を澄ませて。そこにヒビが入らないようにじっと様子をみながら、支えあい、なんとか「不安」「期待」「愛情」の均衡を保って、わたしたちは今日を生きているのだ。




今朝。ランドセルを背負って登校する児童の波にまぎれて、1年以上それを背負っていない彼女の細い背中を眺めていた。小学4年生。もうすぐ、5年生。

昨晩、ずっと昔に旅行にいったときに「〇〇ちゃんと、〇〇ちゃんに…」と、みるみるが選んだお土産が出てきたのだ。それを買ったのは小学3年生。教室に入ることができなかった彼女は、ずっと渡せずに、いつしかそれは棚の奥深くに隠れていた。それを発見した彼女は「渡したい」とささやいた。それがあっての今朝である。

先週はひとりで学校に行き、ひとりで帰宅することを1週間がんばった次女は、私の隣で手をつないでいた。彼女は昨日は微熱でおやすみした。今朝は熱がないけど、「歯科検診はいやだな」と言ったので、朝の挨拶だけいった。イレギュラーなことがある日は、心配が勝ってしまう。ASDの特性の部分もあるかもしれない。

手ぶらで歩くふたりの姿を、すれ違う大人や小学生たちは少し不思議そうに眺める。この視線にはすっかり慣れた。べつに、慣れてもいいことはなにもないが、いつなにを言われても守る準備はできている。私は強く、次女の手を握り返す。


「久しぶり! これ、いいの?」

お友達は、喜んで廊下に飛び出してきてくれて、みるみるにそう言った。当然そういったことは本来はダメだろうけど、担任の先生も、彼女たちの交流をそっと見ていてくれた。

「みるみるさん、きてくれてよかった。またね」

先生とハイタッチして、教室を離れる。こわばっている彼女の顔がふとほどけていくのをそばで見ていた。よかったね。そういうと、うん、と小さく頷いた。お友達は1年生から仲良しで、いつでも明るくてクラスの中心のような子。もし、みるみるが教室にいったら。きっとうまくサポートしてくれるのだろうなと思う。だけど、その明るい性格は、今のみるみるには時にまぶしいらしい。教室の外で数分会うときですら、彼女はお友達と目を合わせることもできない。だけどね、大切に思っている。その気持ちは、本当なんだよ。って、伝わっていてほしいなと願う。


長女と次女と連れ立って学校をあとにした。
明らかに遅刻の時間だけど、亀の速度で昇降口に向かう男の子とすれ違う。足元で砂利を転がして、それが邪魔をするんだというかのようにゆっくりと。行きたくない気持ちは、誰にでもあるね。と、私はそっと応援する。

正門の前では、小さな女の子と手をつないだお母さんが、男の子のランドセルをぐいぐい押し出していた。黄色いカバー。1年生だ。次女を送るとき、何度か見かけたことがある親子だった。

「はやくいって! もうはじまってる!」
「どうしてもどってくるの!」
「教室に入ればいいんだよ!」

お母さんは、何度くるりと進行方向を変えても戻ってくる男の子にいら立っているように見えた。男の子は泣きそうな顔で、何も言えずにお母さんのことを見つめている。「もう!」といいながら、お母さんも離れることができずにいて、「いい加減にしてよ」と口調を荒げていた。

──ううん。
泣きそうになるのを、きっと必死にこらえていたんだ。
わかる。わかってるよ。お母さん。

私もそうだった。

──「行ってくれないと困るよ! 初日なのに、遅れちゃう!」

職場に復帰するその日。泣いている彼女を先生に託し、急いで出勤した。
その日からあっという間に、みるみるは学校に行かなくなった。その日の自分を、つい重ねてしまう。

お母さんだって。
我が子に泣いてほしくなんてない。でも、やむを得ない事情がきっとあるんだよね。
手を差しのべたかった。
お母さんも男の子も。抱きしめてあげたかった。
だけど、それをしたらきっと泣いてしまうんだろうなって思った。

そのうち、学校の先生がそばを通ったので、私はその場をあとにした。
それでも。できることがなかったか……あれからずっと考えている。




久しぶりの登校で緊張したこともあったんだろう。
しばらく、ひとり部屋にこもってじっとしていた、みるみる。次女は漫画を読んでケラケラ笑っていた。のんきな彼女には救われることが本当に多くある。

そのうち、仕事を始めた私の部屋にそっと入ってきた。手にはiPad。
「描けたの、みてくれる? 大丈夫かな?」
私はそれを見て「めっちゃいいじゃん!」といった。
みるみるの作品を、いつも最初のひとりとして見れることがうれしい。

はそやmさん。マスクド★noteの副賞として

彼女は、私が参加したマスクド★noteの副賞として、希望者の方にイラストを描くことを承諾してくれた。勉強もあまり進まない彼女はゲームばかりしがちで、でも、イラストは大好きだ。

さっそくXでポストしたら、光の速さではそやmさんが、記事にしてくれた。

気づいたら、もうアイコンまで変えてくれている( ;∀;)

記事の中ではそやmさんは、
「今日はつらいことがあったけれど、癒されました。生きているといいことがあると実感!」
と、書いてくれた。

寝かしつけた5児の寝息を聞きながらそれを目にして。涙が出た。
彼女が夢を描き、勉強は向かず、すがるように始めたイラスト。それが、他の誰かの力になる。これは本当にすばらしく、ありがたいことだと。
受け取ってくれる人のことを考えて、それを届ける努力。学校でだって、なかなか得難いことだよな、と感じる。それを経験させてもらえるこの環境が本当にありがたい、と再認識した。


その中でふと、あの親子のことが私の頭をよぎった。
今夜、無事に寝かしつけられたかな。
きっと疲れ切っているんだろうな。
眠った子どもたちの顔を見て。
「ごめんね」って思ってないかな。そう考えた。


イラストを届けたみるみるの健やかな寝顔を見て。
私も、あの親子や、他の苦しんでいる人たちに向けて、もっと言葉を届けていきたいな。そう思った。


今度、あの親子に出会ったら。私にはなにができるかな。
極力、手は出さない方がいいことはわかってる。
でももし、もうついに泣いてしまった姿をみた、そのときには。

男の子も、お母さんも、いっしょに抱きしめてあげたい。
私がいっしょに行ってあげるって、教室につれていってあげたい。
うちもそうなんですよお、って、仲間だよっていってあげたい。
つらいよねって、いっしょに涙したい。
でもかわいいんだよねって、再確認したい。
じゃあ今日もがんばろうねって、ハイタッチして正門で別れたい。
おせっかいおばちゃんになりたい。
私はおせっかいな人間になりたいのかもしれない。
このご時世、簡単にはそうなれないからこそ、あこがれる。
おせっかいに仲間たちに寄り添いたい。


私は。
そんな記事を書くことが、目標なのかもしれないな。


校門で困っていた、お母さん。そして、私。
ほんとうにお疲れ様。
大変だけどさ。
よく眠って。子どもの寝顔をもう一度、よく見つめて。
また明日も、愛して生きようね。


おせっかいだったなら、ごめんなさいね。



すのう氏。みるみるイラスト登場させていただき、ありがとうございました!最高の記事でした!

masaruさん、さっそくロジウラー通信にみるみるアカウントの紹介をありがとうございます!

長女のみるみるが、インスタをはじめました。ちょっとずつ増やしていく予定です🍀


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髙塚しいも|5児の母 もしこのような記事をサポートしたいという稀有な方がいらっしゃいましたら、ぜひともよろしくお願いいたします。5児の食費・学費にさせていただきます!