Soulquarians works⑤【アルバム解説:Things Fall Apart / The Roots (1999)】

このアルバムは、ザ・ルーツ(The Roots)が生演奏HIPHOPというスタイルを世の中に認めさせた重要な作品です。
また、ソウルクエリアンズの活動の一連の流れでとらえられる点でも大変興味深い作品です。
この超名盤の革新性と凄さ、そしてその魅力を探ってみたいと思います。
概要
The Rootsとは
ザ・ルーツは、ドラム兼プロデューサーのクエストラブと、ラッパーのブラック・ソートを中心としたHIPHOPバンドです。
本作制作時のバンドメンバーは下記のとおりです。
Questlove(クエストラブ): ドラムス
Leonard “Hub” Hubbard(ハブ・ハバード): ベース
Kamal Gray(カマル・グレイ): キーボード
Black Thought(ブラック・ソート): MC
Malik B.(マリクB): MC
サンプリングによるビートメイクが主流だった90年代初期、生演奏のHIPHOPというコンセプトには賛否ありました。
ザ・ルーツは、バンド形態の生演奏HIPHOPを世の中に認めさせたオリジネイターです。
バンド名の由来は、アレックス・ヘイリー原作の小説「ルーツ」を基にした1977年制作のアメリカ合衆国のテレビドラマから来ています。
「ルーツ」は、18世紀にアフリカからアメリカに奴隷として連れて来られたクンタ・キンテを祖先に持つ一族の物語です。
日本でも放映されたのを覚えています。
"Things Fall Apart”は、ライブの生々しさと緻密なプロダクションを同居させた、HIPHOPアルバムの傑作です。
"Things Fall Apart”について
ザ・ルーツの4枚目のアルバムで、1999年にMCAレコードからリリースされました。
本作はThe Rootsが50万枚以上を売り上げた最初のアルバムで、グラミー賞の最優秀ラップアルバムにもノミネートされました。
ゴールドディスク(50万枚以上)獲得が1999年、プラチナディスク(100万枚)獲得が14年後の2013年。
ただのHIPHOPクラシックではなく、継続的に評価され続けている名盤です。
ローリングストーン誌はこれを「トップクラスのレコード」と呼び、オールミュージックはこれを「オルタナティブ・ラップの礎となるアルバムの1つ」と紹介しています。
また本作品は、ラッパーのブラック・ソートの評価を「最も偉大なラッパーの一人」に押し上げた作品でもあります。
ブラック・ソートのラップには、深遠で多彩なメタファーと高度なライミングがぎっしりと詰まっています。
また、隠喩や言葉遊びの対象が歴史や思想に及び、実に博識です。
一見シュールで抽象的ですが、正しく紐解くと論理的なメッセージが現れます。
ラップ・ミュージックは「詩」を楽しむ音楽でもあるのです。
本作は、これまでのアルバムと比べてプロダクションの質が上がってます。
2nd"Do You Want More?!!!??!"(1995)はジャズ演奏の生音を活かしたプロダクションでした。
3rd"Illadelph Halflife"(1996)では、2ndに対する「音が生々しすぎてHIPHOPらしくない」という批判を受け、生演奏であるにもかかわらず、サンプリングしているかのようなライフレスな質感のプロダクションでした。
本作の質感はその中間です。
ザ・ルーツが、自分たちのサウンドの立ち位置を確立した作品であり、ブレイクスルーのきっかけになったアルバムです。
ソウルクエリアンズとのかかわり
レコーディングは1997年から1998年にかけてエレクトリック・レディ・スタジオで行われました。
エレクトリック・レディ・スタジオではこの時期、ソウルクエリアンズが同時進行のでアルバムを作成しており、ディアンジェロの”Voodoo"(2000)、コモンの"Like Water for Chocolate”(2000)、エリカ・バドゥの”Mama's Gun"(2000)などの超ド級の名盤が生まれました。
クエストラブはこのソウルクエリアンズの中心人物であり、本作品にもソウルクエリアンズが大きく影響しています。
なお、ソウルクエリアンズの概要についてはこちらをご覧ください。
アルバムタイトルについて
アルバムタイトルはチヌア・アチェベ(Chinua Achebe)の小説”Things Fall Apart"(崩れゆく絆:1958年)から取られています。
この小説は、伝統的なナイジェリア社会がヨーロッパの植民地主義とキリスト教の到来によって破壊されていく過程を、オコンクウォという一人の男の悲劇を通して描いた作品です。
また、アチェベの小説のタイトルはイェイツ(William Butler Yeats)の詩の一節から取られています。
Turning and turning in the widening gyre
しだいに広がりゆく渦に乗って鷹は旋回を繰り返す
The falcon cannot hear the falconer
鷹匠の声はもう届かない
Things fall apart; the centre cannot hold
全てが解体し、中心は自らを保つことができず
Mere anarchy is loosed upon the world
全くの無秩序が解き放たれて世界を襲う
:
イェイツの”The Second Coming"(再臨)は、第一次世界大戦後の1919年に書かれ、社会の混乱と文明の崩壊を、キリスト教の「再臨」のイメージと、怪物が誕生する幻影を通じて象徴的に描いた詩です。
アチェベの小説は、イエイツが描いた「社会の混乱と文明の崩壊」を「キリスト教の到来がもたらしたナイジェリア社会の混乱」として書いたものです。
イェイツ→アチェベ→ザ・ルーツというわけです。
アルバムジャケットについて
本作には、"Girl"、"Church"、"Ace"、"Riot"、"Baby"という5種類のジャケット写真が制作され、流通しています。
いずれも白黒の写真で、人権侵害、社会の機能不全、世界各地での混乱といったテーマを視覚的に表現しています。
この解説で掲載しているジャケットは"Riot"です。
これは、1960年代の公民権運動時代にブルックリンのベッドフォード・スタイベサント地区で発生した暴動を撮影した写真です。
写真には、警察官に追われる2人の若いアフリカ系アメリカ人の男女が写っており、女性の顔には明らかな恐怖が浮かんでいます。
公民権運動時代の人種差別と不正義を象徴した写真です。
"Things Fall Apart"=「社会の混乱と文明の崩壊」はこの当時の現実であり、現在も形を変えて続いています。
1999年のアルバムジャケットに1960年代の写真を使うのは、そういう意味だと思います。
曲解説
1 Act Won...Things Fall Apart
1曲目は短いスキットですが、このアルバムの姿勢とコンセプトを知る上で重要です。
少し細かく触れていきたいと思います。
この曲には、スパイク・リー監督の映画「モ・ベター・ブルース」(1990)からの抜粋がサンプリングされています。
これは、ブリーク・ギリアム(デンゼル・ワシントン)とシャドウ・ヘンダーソン(ウェズリー・スナイプス)が、コンサート後にジャズの現状について議論しているシーンです。
ブリークが「黒人だけが俺たちの音楽を理解してくれない」と憤るが、シャドウが「それは観客の好む音楽を演奏しないからだ」と反論します。
最後にはジャーナリストのハリー・アレンの言葉が引用されます。
[Bleek Gilliam]
you're on the bandstand, you look out into the audience, what do you see?
君がステージに立って観客席を見たら何が見える?
You see Japanese, you see, you see West German
日本人も見える、西ドイツ人も見える
You see, you know, Slobbovic, anything,
スロボヴィッチも何でも見える
but, except our people, man, it makes no sense
だが俺たちの仲間以外だ、意味が分からない
It incenses me that our own people don't realize our own heritage, our own culture, this is our music
俺たちの仲間が、俺たち自身の遺産、俺たちの文化、これが俺たちの音楽だ、と気付いていないことに腹が立つ
[Shadow Henderson]
That's bullshit
そんなのはデタラメだ
You complaining about I'm talking about the audience
君が文句を言っているのは観客のことだ
The people don't come because you grandiose motherfuckers don't play shit that they like
観客が来ないのは君たちが彼らの好きな曲を演奏しないからだ
[Harry Allen]
Inevitably, hip-hop records are treated as though they are disposable
必然的に、ヒップホップのレコードは使い捨てのように扱われる
They are not maximized as product even
商品として最大限に活用されることもない
You know, not to mention as art
芸術としてはもちろんのこと
これは、アーティストが自身の芸術性を追求するのか、それとも商業的な成功を求めるのかという、音楽家が直面する普遍的な問いを表現しています。
ザ・ルーツは「バンド形式の生音なんてHIPHOPらしくない」と批判を受けてきました。
過去3枚のアルバムも商業的には成功していません。
彼らは、商業的な成功を求めず自身の音楽性を追求してきました。
このスキットの背後ではザ・ルーツのセカンドアルバムである" Do You Want More?!!!??!”(1995)の一部などがちょろっと聞こえます。
このアルバムはジャズ+ラップの傑作ですが、「音が生々しすぎてHIPHOPらしくない」という理由で批判も多かったアルバムです。
また、スキットの最後でジャーナリストのハリー・アレンが「商業主義の市場ではアートが機能しない」と言います。
これは映画とは別のものからの引用です。
この曲のタイトルは「”Things Fall Apart"の開幕」です。
このスキットをザ・ルーツの置かれた状況のメタファーとして示し、裏の意味として「これから俺たちのアートをぶつけてやる」という意気込みを表現しています。
タイトルのつづりが"one"(1)でなく"won"(勝利)になってます。
「勝利」の開幕です。
2 Table Of Contents (Part 1& 2)
前曲のタイトルは「開幕」でしたが、この曲のタイトルは「目次」です。
この曲では、このアルバムの音楽性と姿勢を、2つのビートと2人のMCで示します。
この曲は2部構成です。
パート1ではブラック・ソートが、パート2ではマリクBが、バンドの姿勢とそれぞれのスキルをラップします。
パート1はローファイなバンドサウンドで、ライブ感あふれる荒々しいドラム、ベース、キーボードが鳴り響きます。
ドラムが左、ベース、キーボード、ボーカルが右に配置されています。
これはモノラルからステレオに移行した、1960年代の録音形態です。
「このアルバムは1960年代のローファイなサウンドを志向している」と言ってるように思います。
ラップはブラックソートで、多彩なメタファーと見事なライミングを披露します。
内容は、これが俺たちのサウンドだ、俺のラップスキルは高度であり競争相手を圧倒する、と言ったものです。
次から次へと畳みかける様なライミングがカッコいい~!
パート2は、クエストラブがディアンジェロの"Voodoo"(2000)のセッションで獲得したずれグルーヴが披露されます。
このグルーヴの誕生経緯についてはこちらの記事に書きましたので、ご興味のある方はどうぞ。
ベースはモタり、ドラムはさらに後ノリの、キモ気持ちぃグルーヴです。
"Voodoo"はまだ発売前ですから、リスナーがこのずれグルーヴを生演奏で聴くのは初めてです。
パート1とは打って変わって、「俺たちは最新の高度な音楽性でもある」と提示している様です。
パート2のラッパーはマリクB。
吐き捨てるような容赦のないラップで、罪と暴力に満ちた世界で生き抜く厳しさを語ります。
内容は、俺たちのラップの力で業界のろくでもない連中を一掃する、俺は言葉の救世主だ、と言ったものです。
後ノリグルーヴのビートに対しジャストにラップしているので、ケイデンス(ラップのリズムパターン)が食い気味に聞こえます。
これまたカッコいい!
この曲は、多彩な音楽性と自分たちの堅固な姿勢を「目次」として見せつけ、自分たちが史上最高のHIPHOPグループの一つである、と宣言しています。
3 The Next Movement
この曲では「次のムーブメント」というタイトルで、"Movement"には「楽章」の意味もありますから、「次の流行」と「次の楽章」のダブルミーニングになっています。
この曲は、R&Bやポップスの要素が入ったコンテンポラリージャズを基盤に、クエストラブのタイトなドラムがHIPHOP的です。
客演陣がまた良いですね。
R&Bボーカルグループ「ジャジーファットナスティーズ」が「パン、パン、ウゥ~」と柔らかなスキャットを響かせ、それを切り裂く様な「DJ Jazzy Jeff」の鬼スクラッチがめっちゃいいです。
客演陣はどちらも、ザ・ルーツと同じフィラデルフィア出身のミュージシャンです。
ブラック・ソートのリリックにも触れていきましょう。
英語に強くないので、GENIUSと自分の解釈頼りですが。
なお、本稿の歌詞の解釈はあくまで僕個人の意見です。
間違っている可能性も大いにあるし、他にもいろいろ多彩な解釈ができると思います。
詩と言うのは、受け手ごとに異なる解釈で楽しむものだと思いますので、恐れず行きます。
[Intro: Black Thought]
You are now in tune to the sounds
Of the legendary foundation
お前たちは今伝説の基盤の音に同調している
[Pre-Chorus: Black Thought]
Hey, you listeners, stop what you're doin' and
ヘイ、リスナー、今やっていることをやめて
Set it in motion, it's the next movement
動き出そう、次のムーブメントだ
[Chorus: Black Thought]
We got the hot-hot music, the hot music
俺たちにはホットな音楽がある、ホットな音楽だ
[Verse 1: Black Thought]
:
it's the Thought
ソート だ
The Dalai Lama of the mic, the prime minister Thought
マイク界のダライ・ラマ(精神的指導者)であり、
首相(実務の指導者)でもあるソートだ
:
Black rain fallin' from the sky looks strange
空から降る黒い雨は奇妙に見える
The ghetto is red hot, we steppin' on flames
ゲトーは真っ赤に熱く、俺たちは炎の上を歩いている
※"strange"という単語はビリー・ホリディの"Strange Fruit"(1939)を想起させます。この曲は、南部の木々に吊るされた黒人の死体を「奇妙な果実」として描写し、アメリカにおける人種差別と暴力の現実を告発した凄まじい歌です。「木々に吊るされた黒人の死体」と「空から降る黒い雨」のイメージが符合します。この2ラインは、「奇妙な果実」で描かれた人種差別と暴力が、現代社会においても形を変えて存在していると告発しています。
:
antidote came
解毒剤が来た
The Black Thought, ill syllablist out The Fifth
ブラック・ソート、ヤバい音節使いだ
五音節を抜く
This heavyweight rap shit, I'm about to lift
このヘビー級のラップを持ち上げる
※"syllablist”という言葉のチョイスがユニークです。これは後述するように長い脚韻を踏むためのワードチョイスです。"out The Fifth"は5音節の長い言葉で韻を踏むと言いつつ、ザ・ルーツの5人を指すダブルミーニングになっています。そしてこの音節の長さを重さに見立て「持ち上げる」と言葉遊びをしています。なぜ重さに見立てたかと言うと、"syllablist out The Fifth"と"shit, I'm about to lift"で5音節の脚韻を踏むためです。スゲェ。
:
Sippin' chlorophyll outta ill silver goblets
ヤバい銀のゴブレットからクロロフィルをすする
※クロロフィルは光合成から化学反応の隠喩と思われ、Versの前の方に「解毒剤」とありましたから、化学反応で解毒剤を調合するイメージです。そして解毒剤とはブラックソートのことであることもすでに説明されています。よって「クロロフィルをすする」は「解毒剤としてのブラックソートのラップを調合する」の意です。また銀のゴブレットは、聖なる儀式の象徴であるとともにマイクを思わせます。つまりこのラインは、「ヤバいマイクで、解毒剤としてのブラックソートのラップを調合する。それは聖なる儀式だ」ということです。
I'm like a faucet, monopoly's the object
俺は蛇口のようなもの、独占が目的
There ain't no way to cut this tap, you got to get wet
この蛇口を切る方法はない、お前は濡れるだけだ
※俺のラップは注目を独占するし止まらない、お前はただ楽しむことしかできない、の意。また、"monopoly"は直訳すると「独占」ですが、ゲームの「モノポリー」とのダブルミーニングになっています。なぜなら、モノポリーの水道局のアイコンが蛇口(faucet)だからです。
Intro、Pre-Chorus、Chorusでは、「俺たちのホットな音楽は次のムーブメントだ」と宣言します。
Versでは、ブラックソートがラップの凄さをアピールします。
Vers2は省きますが、Vers1のリリックの一部を見ただけでもブラック・ソートのリリックのヤバさが伺えます。
ライム(脚韻)やインターナルライム(中間韻)をしながら、様々なレイヤーでの隠喩や言葉遊びが盛り込まれています。
フローも次から次へとあふれ出る様で、文字通り止まりません。
素晴らしい!
なお、ブラック・ソートの歌詞には、たびたび"illa-Fifth"とか”Fifth"とかいう言葉が出てきます。
ここからは僕の推測です。
まず、"illa”は"illadelph"の省略形です。
そして"Illadelph"は、"ill"(ヤバい、イケてる)+"Philadelphia"(フィラデルフィア)という造語です。
よって、"illa-Fifth"や"Fifth"は「ヤバいフィラデルフィアの5人」ということで、ザ・ルーツのメンバー5人を指しています。
あってるかな?誰か正解を知っている人いたら教えてください。
「開幕」「目次」につづいて、「次のムーブメント」としての新しいHIPHOPを印象付ける名曲です。
4 Step Into The Realm
この曲のテーマは、ハードで欺瞞に満ちた音楽業界に俺たちの音楽を認めさせる、というものです。
Hookは「この領域に足を踏み入れれば君は必ず捕まる。そしてこの世の人生からすぐに去るだろう」の繰り返しです。
この領域とは音楽業界を指します。
Vers1はマリクBが暴力に満ちたストリートを描きます。
そしてこれは音楽業界のメタファーにもなっています。
俺たちのビートとラップで、欺瞞に満ちたこの世界(=この領域)を歩いていくと語ります。
ライミング(脚韻)が強調されたフローで、実に気持ちが良いです。
Vers2ではブラック・ソートが、荒野(=この領域)に"Fifth"(=ザ・ルーツ)の基礎を築く)とラップします。
荒野はもちろん音楽業界のメタファーです。
ビートは、ドラム、ベース、ピアノのシンプルなフレーズをミニマルに繰り返します。
面白いのは、ビートがフェードアウトしてはまた始まる、を繰り返すところです。
生音の質感をいかしつつ、サンプリング・ループに聞こえる様なプロダクションです。
とても洗練されています。
5 The Spark
この曲でラップするのはマリクBです。
自分のラップを火花に例え、自身の好戦性、戦略性、強さをアピールします。
面白いのは、"Da'wah"(伝道の呼びかけ)、"salaat"(礼拝)、"zakaat"(貧しい人々への施し)、"Hajj"( メッカ巡礼)といったイスラム教の用語を散りばめながらライムしている点です。
マリクBはイスラム教徒です。
また、マリクBの歌詞の中にはたびたび"M-illa-tant”という言葉が出てきます。
これまた僕の推測ですが、これはマリクB自身を指しているのだと思います。
"illa"は"ill"+"Philadelphia"で、語尾に"tant”をつけて頭にマリクの"M"をつけることで"militant"(好戦的な)と響きが似ます。
「好戦的な、ヤバいフィラデルフィアの”M"」でマリク自身を指すのだと思います。
ビートは、ゆったりとグルーヴィですが、ギターっぽいキーボードの響きがどこか不穏です。
クレジットを見ると、キーボードとアディショナル・ベースにディアンジェロの名前があります。
同じエレクトリック・レディ・スタジオでクエストラブと共に”Voodo"(2000)を制作中だったので、遊びに来たのでしょうか。
6 Dynamite!
この曲にはJディラが参加しています。
Jディラはジャズ・サックス奏者のズート・シムズ(Zoot Sims)のIndiana (1974)からバッキー・ピザレリ(Bucky Pizzarelli)のギタープレイをサンプリングして使用しています。
バンドの生演奏によるライブ感とサンプリングのハイブリッド・スタイルは、このアルバムの立ち位置を体現しています。
クエストラブの乾いたドラムに、サンプリングしたギターのアダルトな響きがめちゃカッコいいです。
ラップはブラック・ソートと"ELO the Cosmic Eye"ことレハニ・サイード。
レハニ・サイードについてはネットでも情報が拾えなかったのですが、この曲の歌詞が全体的にフィラデルフィア推しなので、フィラデルフィア繋がりだったりするのかしら。
ちなみにレハニ・サイードは、2nd"Do You Want More?!!!??!"でもゲスト出演しています。
歌詞は、フィラデルフィア出身である自分たちの音楽の凄さやラップスキルをアピールする感じです。
Vers部分は隠喩や言葉遊びが多くて正直雰囲気しかわからなかったのですが、Hookの"Everybody, touch this Illa-Fifth dynamite, come on"(みんなこの"Illa-Fifth"ダイナマイトに触れろ、さあ)に意味が集約されているように思います。
"Illa-Fifth"は「"ill"なフィラデルフィアの5人」すなわちザ・ルーツを指し、"dynamite"は「ファンキーな爆発力」的なニュアンスだと思います。
キャッチーなHookとハイスキルなライミング、そこにHIPHOPかつジャジーなビートが合わさった、僕のお気に入りの1曲です。
7 Without A Doubt
プロデュースはフィラデルフィア出身のメルビン・“カオス”・ルイス(Melvin “Chaos” Lewis)です。
これまたフィラデルフィア出身のスクールリーD(SCHOOLLY D) のサタデー・ナイト(Saturday Night)がサンプリングで使われています。
客演もフィラデルフィア出身のLady Bです。
クエストラブは、この曲についてライナー・ノーツで下記の様に語っています。
社内のもう一人の天才、メルビン・“カオス”・ルイスが、もし「ヒップホップのカバー曲を作るという至って簡単な作業」をやるなら、最高にイカした素材にすべきだと提案した。
だから誰の曲を借りるかは自明のことだった。
52番街出身のスクールリーDだ。
この時点で、ヒップホップ界は彼の名曲「P.S.K. “What Does It Mean”?」を過剰に使い倒していた。
そこで次善の策として彼の87年の名曲「サタデー・ナイト」を選んだ。
この曲で街の誇りを得られたことを願っている。
歌詞の内容は、フィラデルフィアからファンキーな音楽を届ける、敵な感じです。
原曲を活かした、スナッピーレスの抜けの良いスネアと、派手なカウベルの響きがファンキーです。
8 Ain't Sayin' Nothin' New
客演のダイス・ロウ(Dice Raw)とブラック・ソートが、中身がなくただ派手な言葉を並べるだけの、当時のラッパーたちに対し「何も新しいことなんて言ってない」と皮肉をラップします。
ブラック・ソートのラップは文字通り圧倒的で、語彙力を生かしたワードセンスとスキルで聴かせます。
クエストラブのタイトなドラムと、メロウで浮遊感のあるギターフレーズ(サンプリングかな?)の繰り返しがクセになります。
この曲はもともとインタビューのためだけに制作されたものですが、クオリティの高さから収録されることになったそうです。
メロウなビートとラップのフローがばち~っと噛み合った名曲です。
9 Double Trouble
この曲では、ブラック・ソートと客演のモス・デフ(Mos Def)による、バー・トレーディング・スタイル(数ラインごとにバトンを繋ぐ)での息の合った掛け合いが堪能できます。
この高度な掛け合いは、「ヒップホップ界で最も優れたバー・トレーディングの一つ」と評されています。
ライミングしながら、高速で様々な隠語や言葉遊びが飛び交います。
フローや息の合った掛け合いも実にカッコよく、"Double Trouble”(最高峰の2人)のタイトルが示す通りです。
2人は自身のラップ技術を「楽器」として扱い、派手な商業的ラップとは一線を画す真のスキルを提示しています。
ビートは、重いキックドラムに浮遊感のあるピアノ、アウトロではビートチェンジします。
ビートチェンジは現在では当たり前になってきましたが、90年代までのHIPHOPではあまり見られないものでした。
生演奏では当たり前の考え方なので、もしかしたらザ・ルーツ以降にビートチェンジをするミュージシャンが増えたのかもしれません。
荒い質感のプロダクションのとスピード感のあるラップの掛け合いが、どこかセッション的なライブ感を醸し出しています。
生演奏+ラップの真骨頂、聴きどころ満載の名曲です。
10 Act Too...The Love Of My Life
ここから第二幕です。
ブラック・ソートと客演のコモン(Common)が、HIPHOPという文化への愛と感謝をラップします。
また、ジェイムズ・ポイザーがキーボードで参加しています。
クエストラブ、ジェイムズ・ポイザー、コモンはソウルクエリアンズとして、同じエレクトリック・レディ・スタジオでコモンの”Like Water for Chocolate"(2000)を並行して制作していましたから、その流れでの客演参加だと思われます。
曲の雰囲気がちょっとコモンの"Time Traveling"に似ています。
コモンの”Like Water for Chocolate"に入っていてもおかしくない感じです。
この曲は元々インタールードの予定でしたがフルソングに発展しました。
もしかしたらコモンのセッションでベーストラックが作られ、それをザ・ルーツとして仕上げたという流れだったのかもしれません。
11 100% Dundee
この曲では、映画「クロコダイル・ダンディー」(1986)のミックがモチーフとして用いられます。
Versではブラック・ソートとマリクBが、ヒップホップというジャングルで偽のラッパーが熟練したハンターである自分たちに狩られる、とラップします。
Hookではブラック・ソートとマリクBが、交互にラップします。
Black Thought, I represent the Fifth Dynasty
ブラック ソート、俺は第五王朝代表
Lyrical clique, one hundred percent dundee
リリカル派閥を代表する100 パーセント ダンディー
Malik B., I represent the P-5-D
マリク B.、俺はは P-5-D代表
Guerilla clique, one hundred percent dundee
ゲリラ派閥を代表する100 パーセント ダンディー
マリクの、"P-5-D”は"Philadelphia Fifth Dynasty"(フィラデルフィア第五王朝)の略で、ザ・ルーツの5人を指します。
ブラック・ソートの"Fifth Dynasty"も同じ意味です。
この曲の2人のラップは特にすごいです。
次から次へと、溢れる様にライム(脚韻)やインターナルライム(中間韻)が展開されます。
気持ちイイ~!
またその際、語彙のユニークさ、隠喩、ダブルミーニング、言葉遊びなど、リリックのテクニックがぎっしりと詰まっています。
かっこイイ~!
後半ブラック・ソートが"hot shit"(熱いラップ)と繰り返しますが、これがコモンの"Heat"と同じフローです。
コモンは同じスタジオの別な部屋で"Heat"を制作していますから、そのオマージュだと思います。
正直言うと、全てを分析して把握できたわけではなく、実は意味が1/3もわかっていません。
僕は英語もわからない上に、HIPHOPを聴き始めてまだ1年くらいなので、スラングや文化や背景に明るくないのです。
それでもこのリリックとフローのスキルの高さだけはひしひしと感じ取れます。
誰か詳しい人がこの曲の詳細な解説をしてくれないかしら…。
ビートはダークでありながらどこか浮遊感があります。
クエストラブのドラムとカマル・グレイのキーボードが凄く良いです。
生演奏なのにサンプリング・ループ的に聞こえます。
このアルバムの中でもかなりお気に入りの1曲です。
12 Diedre Vs. Dice
客演のダイス・ロウ(Dice Raw)がラップする、インタールード的作品です。
まずビートがイケてます。
クエストラブのドラム+シェイカーに、ウッドベースの弓弾きと指弾きで、どこか東洋風の怪しい雰囲気があります。
ダイス・ロウのラップもカッコいい。
なんでフルソングにしなかったんだろう、てくらい良いです。
この曲はちょっと位置づけが謎です。
このカッコ良さで、わざわざ客演呼んでインタールドってのももったいないし、タイトルの"Diedre"て誰!?って感じです。
誰か詳しい人いたら教えてください。
13 Adrenaline
ブラック・ソート、マリクB、ダイス・ロウ、ビーニー・シーゲル(Beanie Sigel)がフィラデルフィアの勢いとスタイルをアピールします。
客演のダイス・ロウ、ビーニー・シーゲルも、ザ・ルーツと同じフィラデルフィア出身です。
スコット・ストーチ(Scott Storch)がプロデュースとピアノで参加しています。
この曲はカマル・グレイとスコット・ストーチのツイン・ピアノです。
スコット・ストーチはザ・ルーツの初期メンバーでしたが、独立して音楽プロデューサーとなりました。
印象的なピアノフレーズのリフレイン、クエストラブのタイトなドラム、4人のラッパーのマイクリレー、華と勢いのあるノリの良い曲です。
14 3rd Act: ? Vs. Scratch 2...Electric Boogaloo
タイトルの"? Vs. Scratch”は「クエストラブ対DJスクラッチ」です。
"Questlove"は"?uestlove"とも表記されます。
クエストラブのドラムと客演のDJスクラッチのスクラッチ・プレイだけの曲ですが、逆再生になっています。
これは前作"Illadelph Halflife"の”? Vs. Scratch (The Token DJ Cut)"を逆再生したもののようです。
それで" 2...Electric Boogaloo"がついているんですね。
ちなみに”Electric Boogaloo"は「ひどい続編」のスラングです。
映画"Breakin' 2: Electric Boogaloo"(1984)が、「意味不明で、過剰で、作る必要がなかった」と評されたことから来ています。
確かにこの曲も意味不明ですが、役割としては第三幕へのインタールードです。
遊び心ですねぇ。
15 You Got Me
この曲ではラッパーのイヴと、シンガーのエリカ・バドゥが客演参加しています。
この曲のHookはジル・スコットが作曲し彼女が歌入れまでしましたが、「売れる予感」を感じたレーベル側が、もっと有名なエリカ・バドゥの起用を要求してきたことでこの形なったそうです。
ちなみに、ザ・ルーツはライブにジル・スコットを同行させ、この曲を歌ってもらっています。
正直に言うとエリカ・バドゥの起用は大正解でしたね。
ジル・スコットも素晴らしいのですが、エリカ様の声は圧倒的です。
この曲は2000年のにグラミー賞で「デュオまたはグループによる最優秀ラップパフォーマンス賞」を取りましたが、エリカ様の起用が無かったらここまで評価されていたかどうかわかりません。
ボーカル以外にもレーベルからのテコ入れの跡が見えます。
ギターやストリングスが加えられており、アディショナル・キーボードでスコット・ストーチも参加しています。
このアルバムの他の曲とは明らかに楽器数が違います。
この曲はアルバムの中で一番最後に制作された曲です。
締め切り近いということで、レーベルの大人たちが見に来て、あれこれ言ったのかもしれません。
ちょっと過剰演出気味のこの曲をすっきりと仕上げるのは流石クエストラブです。
引き算のプロダクションが出来る男です。
歌詞は、男(ブラック・ソート)と女(イブ)のそれぞれの視点から、お互いへの想いとすれ違いの悲しさをラップします。
ちょっとした短編映画の様で、エリカ・バドゥはナレーション的な立ち位置です。
ブラック・ソートのリリックは洗練されており、フローは落ち着いた感じです。
クエストラブのドラムとエリカ・バドゥの声が揃うと、一気にネオソウルみたいな質感になりますね。
アウトロではクエストラブが、ドラムンベースのリズムパターン繰り出します。
突然どうした!?って感じですが、これがエリカ・バドゥの声と良く合います。
この終わり方良いですねぇ。
しっとりと染み入る名曲です。
16 You Don't See Us
共同プロデューサーとアディショナル・キーボードでジェイムズ・ポイザーと、フィラデルフィア出身のジャズギタリストであるチャーマーズ・"スパンキー"・アルフォードが参加しています。
硬質なベースフレーズがライフレスな響きです。
ドラムはタイトで後ノリ、忙しいベースフレーズにスペースを与え、緩急が効いています。
そこに"スパンキー"・アルフォードの特徴的なテンションノートのギターがめちゃめちゃカッコいい!
ジャズの様式でありながら何か新しいサウンドに聞こえます。
ラッパーは、ブラック・ソート、マリクB、客演のダイス・ロウです。
歌詞の内容は、お前は俺たちの革新的な音楽にまだ気づいていない、というものです。
マリクBがラップするHookの歌詞に集約されていると思います。
You don't see us, but we see you
お前は俺たちを見てないけど、俺たちはお前を見てる
You stuck on sleep, get on your P's and Q's
お前は寝ぼけてるんだ、注意しろ
※"P's and Q's"は「注意しろ」という慣用句です。「"p”と"q"の文字が似ているため注意しろ」から来たという説が有力です。
'Cause you will get crept with no discrept
お前は誰にも見られずに忍びよられるから
ブラックソートの歌詞にも面白い言及がありました。
Yo, okay, computer, radioheads knock to the future shock like Curtis, at your service
よし、コンピューター、ラジオファン達がカーティスのような未来の衝撃へノックする、どうぞご用命ください
直訳すると意味不明ですね。
まず" future shock like Curtis"ですが、これはカーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)の"future shock"(1973)を指します。
カーティス・メイフィールドは、ファンクにコンガや弦楽器を取り込んだ革新的なサウンドが特徴です。
次に”okay, computer, radioheads"ですが、これはレディオヘッド(Radiohead)の"OK Computer"(1997)を指します。
それまでギター・ロックバンドだったレディオヘッドが、このアルバムではエレクトロニカの導入など革新的なサウンドに挑戦しており、「時代を先取りしすぎた」とか「とっつきにくい」という声が一部ありました。
ブラック・ソートはインタビューで「革新的な音楽は受け入れられるのに時間がかかる」様なことを言っており、その中で上げたいくつかの例の一つとしてレディオヘッドに言及していました。(もっとも、その時挙げたアルバムは”Kid A"でしたが)
カーティスもレディオヘッドも、革新的な音楽性の為に受け入れられるのに時間がかかりましたが、その後の音楽に大きな影響を与えることになったアーティストです。
マリクBの「お前には俺たちが見えていない」というラインと合わせると、「俺たちがやっている革新的な音楽はお前たちにはまだ理解できてない。お前は寝ぼけているんだ。俺たちの音楽を注意して聴け」と言った感じです。
生演奏なのに、まるでサンプラーで作ったような質感のビートです。
ドラムもベースもかなり高度なことやってますよねぇ。
革新的な名曲です。
17 Return To Innocence Lost
この曲では、フィラデルフィア出資の詩人であるウルスラ・ラッカー(Ursula Rucker)がポエトリー・リーディングを行います。
崩壊した家庭の中で、夫から暴力を受け続ける女性が息子を産み、その息子が最終的にストリートライフに飲み込まれ、自分が軽蔑していた父親の様になってしまう。
息子は数々の犯罪を犯し、やがてクリスマスに射殺されてしまう。
この詩は息子の死を"Death was the cost of Returning to innocence lost”(死は「失われた無垢への回帰」の代償)と表現します。
死ぬことでしか無垢を取り戻せない、貧困層の悪循環が深く描かれていて、"Things Fall Apart"=「社会の混乱と文明の崩壊」の一例が示されます。
18 Act Fore...The End?
第四幕にして終幕です。
この曲はおそらく、即興的に作られたと思います。
インディーズで発売された1stアルバム“Organix”(1993)はこのスタイルで制作されました。
Scratch
スクラッチ
Scratch, wake up, man
スクラッチ、起きろ
My bad, my bad, my bad
悪い、悪い、悪い
Something's really bothering me, man,
何かがすごく気になるんだ
it's like You know, we did this album from start to finish
まるでこのアルバムを最初から最後まで作ったみたいだ
It's, you know, five in the morning
朝の5時だぜ
And, uh, something doesn't feel right
そして、何かがおかしい
Like I thought it was bangin', but something's not right
最高だと思っていたけど、何かがおかしい
I'm just tryna figure out what I should do
どうすればいいのか考えているんだ
What do you mean you're?—
どういう意味だ?
What you talkin'?—
を言ってるんだ?
Do another one?
もう1曲やる?
A hidden track?
隠しトラック?
Yo, man, it's five in the morning, a hidden track? Why? Why?
おい、朝の5時に隠しトラック? なぜ? なぜ?
You think they wanna hear some more?
みんなもっと聴きたいと思ってると思う?
You think it's gon' work?
うまくいくと思ってる?
You don't have to spit on me like that, I'll do it
お前はラップしなくていい、俺がやるから
ブラック・ソートが朝の5時にスクラッチを叩き起こして、もう一曲即興でやる、と言っています。
古いテレビ場組から取ったと思われるビアノや”Ah~"というビートの上で、ブラック・ソートがフリースタイルでラップします。
この終わり方最高!
ここまで緻密なプロダクションを繰り出してきた最後に、この即興のライブ感です。
そしてタイトルのつづりが"four"(4)でなく"Fore"(前)で、"The End"には?がついています。
このアルバムの締めではありますが、これから始まるムーブメントの予兆だと言っている様です。
まとめ
ライブ感のあるローファイで生々しいサウンドと、HIPHOPに潜在するライフレスなプロダクションとが調和しています。
このアルバムは生演奏HIPHOPというスタイルを世の中にに認めさせました。
ザ・ルーツは現在でも唯一無二の存在ですが、この作品はその礎を気づいた超名盤です。
また、ずれたグルーヴや、ジャンルの垣根を超えたオルタナティブなアプローチなど、ソウルクエリアンズの活動の一連の流れでとらえられる点でも大変興味深い作品です。
ブラック・ソートやマリクBのリリックは、正直1/10も理解できていません。
それでも、ライミングやフローを通じて、また隠喩や言葉遊びの雰囲気から、非常に高度なリリックスキルであることは感じ取れます。
今後何度も聴いて、調べて、感じて、楽しめる、とても素晴らしいものだということだけはわかります。
本当に、本当に、素晴らしいアルバムです。
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