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海外では日本の敗戦が1945年8月10日から伝えられていたことを示す号外を入手ー知らぬは臣民ばかりなり

 1945(昭和20)年7月26日、米国大統領トルーマンは、米国、英国、それに中華民国の3国が連名で日本に降伏を呼びかける「ポツダム宣言」を発表します。ソ連が入っていないのは、戦後処理からソ連を排除する狙いがあったとされますが、それより前の2月のヤルタ会談では、ソ連の対日参戦が決まっていて、米英も了解していました。

 ともかく出された13の条文からなるポツダム宣言は、無条件降伏のための条件を列挙したものでした。そして日本国内の臣民は、違法にラジオを改造して短波放送を受信した人を除けば、米軍が爆撃機からまいた「伝単」で内容を詳細に知ることになります。
 ちなみに当時、新聞には宣言が出されたことだけが示され、翌日、鈴木貫太郎首相の「重視せず」との発言を「黙殺」「笑止」などと過剰な見出しをつけて報道します。そのようにしなければ軍や政府のお覚えがめでたくなかったからです。このミスリードが黙殺を拒否であると諸外国に取らせることになります。虚勢の結果が重大なことになります。

ポツダム宣言を掲載した伝単「マリヤナ時報 号外」
マリヤナ時報号外の裏面

 説明するまでもなく、8月6日、広島に原爆投下。8月8日に和平工作仲介の望みを託していたソ連から対日宣戦布告文書を手渡され9日午前零時に満州へソ連軍が侵攻開始。そして同日、長崎に2発目の原子爆弾が投下されます。
 この日はソ連の参戦を受けて天皇から木戸内大臣が「戦局の収拾につき急速に研究決定の要ありと思ふ」との言葉を伝えられ、午前10時半ごろから戦争指導会議が開かれるものの、国体護持だけを条件に降伏すべきとする意見と、日本軍の自主的撤兵や補償占領はしないといった条件も付けるべきとする意見が出て、長崎原爆投下の報を聞いてもまとまりません。午後2時からの閣議でもまとめられず、御前会議で結論を出すことに。
 午後11時50分ころ、皇居内地下壕で天皇を含めた御前会議が開かれ、やはり議論はまとまらないまま時間が過ぎ、10日午前2時過ぎ、鈴木首相が天皇の聖断をあおいで、「国体護持」のみを条件としてポツダム宣言を受諾するとの聖断が下ります。同日午前7時半、ラジオ東京の海外向け放送が、ポツダム宣言を「天皇の国家統治の大権変更を要求しないものであるとの了解の下に受諾する」と放送します。

 この知らせは各地を駆け巡り、新聞号外の研究で知られる小林宗之氏の「アジア・太平洋戦争期の新聞号外」によりますと、スイス「バーゼル新報」の号外写真、フランスで発行された米軍向け新聞、そして中国の新聞でも号外を出していた事実を指摘しています。
 今回、中の人は、こうした動きが臣民だけ知らされていなかったことを確認する資料として、中国の新聞号外を入手しました。こちら、8月10日発行の「時事新報」号外です。「アメリカの新聞報道によると」としつつ、日本がポツダム宣言を受諾、降伏と伝えています。

8月10日午後8時の発行とある

 日本側の回答に対し、8月12日、米国国務長官バーンズによる回答が出され「天皇と日本政府は連合国最高司令官にsubject toする」「国の体制は日本国民の自由意思によって決定するべき」とありました。これに対し陸軍が「従属」ととらえて、また、国民の判断にゆだねることを拒否して抵抗しますが、14日午前11時前、再び開かれた御前会議で、受諾反対意見を聞いた天皇が、受諾すべきとの考えをあらためて示しました。トルーマンがこの内容に接したのは、米東部時間午後3時とされます。
 こちら、8月14日午後4時発行の新華日報号外です。重慶の米国新聞が伝えるところによると、として、あらためてポツダム宣言の受諾を伝え、詳細は明日の紙面でとしています。

34年は中華民国歴。8月14日午後4時発、とある

 そして、日本国民には8月15日に天皇の肉声によりポツダム宣言を受諾したことを伝える「玉音放送」が流され、この放送に続いての日本放送協会アナウンサーによる解説で、敗戦が理解されることになります。一方でソ連は、これは宣言であって正式な降伏ではないとして、その後も侵攻を続けるのはご存じの通りです。

 結局、臣民は戦争を始めたのもラジオの臨時ニュース、戦争が敗戦で終わったことを知ったのもラジオの放送ででした。

 9月2日、東京湾の米国戦艦ミズーリ号上で、降伏文書調印が行われて、正式に戦争が終結します。こちら、その模様を伝える9月3日の華美晩報号外です。

 敗戦の時期を知る上でも、当時の上層部の判断を考える上でも、貴重な外国報道の流れだと思います。こうした事実も、知っておくべきことだと思うのです。

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