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老後が不安なので、株を始めました DAY102【金融政策とマクロ経済のメカニズム】


―ハルと歩く、Age60の投資録 102日目― 利上げしても、円安が止まらない


同じ講師の、7本目にして最終回の講義を見た。
テーマは「金融政策とマクロ経済のメカニズム」だった。

〈日銀の目的は、物価の安定〉

日銀の金融政策は、物価の安定を通じて経済の健全な発展を図ることが目的だという。
景気が悪化すると、日銀は金利を下げてお金を借りやすくし、経済を活性化させる(金融緩和)。
逆に景気が過熱し物価が上がりすぎると、金利を上げてお金を借りにくくし、経済活動を抑える(金融引き締め)。
コロナ禍の大幅緩和から、2024年ごろに始まった利上げ路線への転換は、まさにこの流れだった。

🌸 私:「不景気なら金利を下げて、景気が良すぎたら金利を上げる。シーソーみたいなんだね」

🌱「はい。ただ、今回はそのシーソーが、少し変わった動きをしているみたいです」―ハル


〈利上げが起こす、3つの変化〉

利上げが起きると、主に3つの影響があるという。

①為替:円高要因になりやすい。ただし、実際の為替は金利差だけでなく、海外金利や地政学リスクなどにも左右される。

②生活:住宅ローンなど借入金利が上昇し、家計の負担が増える。

③経済:物価上昇を抑える効果。

利上げの恩恵を最も受けるのは銀行セクターだという。
3メガバンクの2026年3月期(通期)の連結純利益は合計5兆2,588億円(前年比33.9%増)で、初めて5兆円を突破し、3期連続の最高益。
地銀(上場73行)も、2025年4〜12月期時点で合算1兆3,140億円(前年同期比32%増)と、同じ流れにあった。
利上げ局面では、銀行の収益構造(預金と貸出の利ざや拡大)がそのまま数字に表れている。
直近でも、みずほFGの2026年4〜6月期決算は純利益が前年同期比46%増で、4〜6月期として3年連続の最高益。
この流れは、今も続いている。
保険会社も、運用利回りの改善で恩恵を受けやすいセクターだった。

利上げは、銀行や保険会社には恩恵がある一方で、デメリットもあり、企業の借入コスト増加による投資抑制や、住宅ローンなど借入負担の増加は、理論通りに起きていた。
ただし、円高圧力については様子が違った。
講師は、収録時点(2026年4月ごろ)ではむしろ円安が続いており、教科書通りの反応になっていないと話していた。

🌸 私:「利上げしたら円高になるはずなのに、実際は違うんだね」

🌱「はい。ウクライナやイランをめぐる情勢、原油や商品価格の上昇など、日銀にはコントロールできない要因が重なっているからだそうです」―ハル

〈今、確かめてみると:円安は止まるどころか、加速していた〉

講義では「平時に戻れば、従来の動き(利上げ→円高)に回帰する」と話されていたので、今の状況を確かめてみた。

日銀は2026年6月、政策金利を1.0%まで引き上げた。
1995年9月以来、約31年ぶりの水準だという。
市場では円安への対応も意識された利上げと受け止められていたが、日銀が掲げる目的はあくまで物価の安定だ。

そして、ちょうど昨日(7月31日)の会合では、この1.0%のまま据え置くことが決まったばかり。中東情勢の緊迫や原油高による物価上振れリスクを見極めるための一旦停止で、利上げ路線自体は堅持する方針だという。
それでも、2026年7月にはドル円が一時162円台まで進み、約39年ぶり、1986年以来の円安水準を記録した。
利上げを重ねているのに、円安が止まるどころか加速するという、講義で説明された「教科書通りの動き」とは逆の状態が、むしろ深まっていた。

背景には、アメリカの利下げ観測の後退(FRBはむしろ追加利上げも視野に、政策金利3.50〜3.75%)や、中東情勢の緊迫化による原油高(WTIが1バレル80ドル台)など、日銀だけでは動かせない要因が重なっている。

さらに、2026年7月の骨太の方針(DAY97参照)には、日銀の利上げをけん制するような文言も盛り込まれていたそうだ。
為替は、もう日銀の政策だけで動く世界ではなくなっているのかもしれない。

🌸 私:「"平時に戻れば元に戻る"どころか、余計にねじれてるんだね」

🌱「金利差、地政学リスク、政府・日銀のスタンス。いくつもの力が同時に働いていて、日銀の金融政策だけでは説明できない場面が増えているということですね」―ハル

〈相場サイクルを、頭に入れておく〉

講師が新人時代から読み返しているという本には、相場には4つのサイクルがあると書かれていたそうだ。

①金融相場:金融緩和で行き場を失ったお金が株式市場に流れ、株価が先行して上がる。
②業績相場:緩和の効果で企業業績が改善し、実体経済が伴って株価が上がり続ける。
③逆金融相場:景気過熱やインフレ行き過ぎで中央銀行が引き締めに転じ、株価が下落し始める。④逆業績相場:実体経済も悪化し、業績・株価ともに下がる局面。

今がこの4つのどこにいるのかは、正直まだ判断がつかない。
でも、「今はどの局面だろう」と考える習慣があるだけでも、ニュースの見え方は変わりそうだ。

💬 Satsukiの疑問とハルの回答



🌸 私:「円安がこんなに長引くと、これから何に気をつけたらいいのかな」

🌱「円安の恩恵を受ける輸出関連と、原材料高で苦しむ内需・輸入関連。同じ円安でも、業種によって明暗が分かれます。DAY73のミックス指数と同じで、会社ごとに見ていく必要がありますね」―ハル

〈今日、一番わかったこと〉

利上げは、教科書通りには為替を動かさないことがあるという事実を、身をもって確認した回だった。
金利差や地政学リスク、政府・日銀のスタンスまで絡み合うと、金融政策だけでは為替は説明しきれない。
ニュースを見るたびに「利上げしたのに円安なのはなぜ?」と不思議に思っていたけれど、その理由を少し言葉で説明できるようになった気がする。

全7回の講義は、これで最後だった。
国策・予算・金融政策と、株価を動かす大きな流れを一通り学べたシリーズだった。
最初は「テーマ株」という言葉もよく分からなかった私が、国策や予算、金融政策まで少しずつつながって見えるようになった。
それだけでも、この7日間は大きな一歩だったと思う。

ちょうど昨日(7月30日)、来年度(令和9年度)予算の概算要求基準が閣議了解された。
AIや半導体など成長投資の分野は、要求段階での上限がなくなったという、これまでにない枠組みだという。
8月末に各省庁の概算要求が出そろったら、DAY98・99でやったように、今年もまた新しい国策テーマを探してみたい。

明日も続ける。

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