大失敗しても辞めない会社員──上司も市場も解雇しない「理由」
ここ数年で取り組んできた仕事が運用にうまく乗っておらず、上司からいつも叱られている。新しいシステムの導入を試みたが、現場に運用が定着されず、期待していた効果が出せていないのである。
1年以上前から取り組んでいたことで、他にシステムに詳しい社員がいないことから上司は僕を担当に任命した。しかしたったひとりで片手間でできるような事ではなく、品質の低い状態のまま現場にリリースする日を迎えてしまった。迷惑を掛けてしまっている社員には申し訳なく思っている。
これにより「お前の失敗は○千万レベルの損失だ」とよく言われるようになった。年間のコストにすると、確かにそのくらいの金額になる計算だから、言っていることは正しく何も言い返せない。
こうして大きな金額を示しつつ怒られている僕を見た同僚や部下は「よくメンタルが持ちますね」と声掛けをしてくれるようになった。確かに大きな金額を出されると大失敗をしてしまった感が強まって、反省どころの話ではなくなる。自分を責めて辞めてしまう社員も今までたくさん見てきた。
ただ、僕ももちろん気にはしており反省もしているが、メンタルが持たないほどではない(こんなことを言うと余計怒られるかもしれない)
なぜなら、その時の自分としては「やれるだけやった」と思っているからであり、自分が無能で努力もしない故に起こった失敗ではないと捉えているからだ。
そして、怒られている時も「そこまで言うなら、なぜクビにしない」と思いながらいつも聞いていた。あまりに仕事量が増えると、こっちも辞めたくなる。市場が効率的ならば僕はもっと早く解雇されて、新しい環境でチャレンジできるようになる。
それでも、ただただ言葉を重ねて責めてくるだけということは、他の手が考えられていないだけであるため、こうして自分の雇用が守られている事実に浸って過ごしてしまっている。日本経済が繁栄しないのは、やっぱり解雇規制が厳しくて労働力が流動的じゃないからなのかもしれないな。
日本の会社員は報酬は少ないうえに社会保険料と税金が大きく差し引かれる、極めて立場の弱い存在だと思う。しかし、(それが良いか悪いかは別として)その分リスクも極めて少ない。
その道を選んでいるのだから、とんでもない失敗をしたからと言って、過剰にリスクを感じて自分を責めてしまっては人生がもったいないと思っている。もちろんチャレンジして成功するのが一番良い。
世の中には無理難題なことが存在する。それらを乗り越えることができれば最高だけれど、その成功の果実を得るのは経営者と株主であり、会社員にはそこまで還元されない。
それに対して真面目に悩んで落ち込んでメンタルを病んでしまう、そして退職していく社員をたくさん見てきた。
そういう風に真面目であるがゆえに、失敗を恐れて傷ついてしまう人がいるとしたら、それはもう辞めにしよう。冷静に自分の役割を捉えて、健やかなメンタルを身に付けてほしい。
ちなみに僕も、次の取り組みでは成功させるように意気込んでいるという点は、どうか誤解しないでいただきたい。
