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【EZ Sign 開発物語 ⑬】日米でくっきり分かれた星の数。同じ製品なのに「星1」が連発する謎と、期待値のギャップを埋めるUX改善への闘い

こんにちは!Santek(サンテクノロジー)のCEO、矢次です。
前回の第12回では、EZ Signがオフィス、販売店、工場などの枠を飛び出し、一般家庭で「家じゅうの紙をなくす魔法の板」として活躍しているストーリーをお届けしました。 
今回は少し視点を変えて、私たちが直面した「市場ごとのリアルな壁」と、今も挑み続けている「終わらない改善(Continuous Improvements)」の地道な試行錯誤の裏側をお話しします。

少し時計の針を戻します。 第9話と第10話でお話しした通り、私たちは販売初期にぶつかったハードウェアの壁を乗り越え、さらに「使い勝手」に対する厳しい声に応えてアプリを根本から大改修しました。 

ハードもソフトも徹底的に磨き上げ、「これでEZ Signはより良い製品になった」と私たちは信じていました。
しかし、毎月数千台が世界中のお客様に届く中で、私たちは「ある奇妙なデータ」に直面することになります。 
それは、日本とアメリカのAmazonにおける「レビュー評価の明確な乖離」でした。


📊 同じ製品なのに、なぜ? 日米で分かれた「レビューの明暗」

2026年6月24日現在、日米のAmazonでのEZ Signの評価(5段階)は以下のようになっています。
• 【アメリカ(US Amazon)の評価】
o 4色(4C)モデル: 星 4.4
o 2色(2C)モデル: 星 4.7
➔ 総じて非常に高い評価をいただき、熱狂的な支持を集めています。

• 【日本(Amazon Japan)の評価】
o 4色(4C)モデル: 星 3.7
o 2色(2C)モデル: 星 4.3
 ➔ 日本市場では、4色モデルの評価が大きく落ち込んでいます。

日本の4色モデルのデータを詳しく分析すると、約7割のお客様からは「星4」または「星5」の高い評価をいただいています。

しかし、約15%のお客様が「星1つ」という最低評価をつけており、これが全体の平均を著しく下げる結果(星3.7)を招いていました。
「何度やっても書き換わらない!」 
「全く使えない!」

そうした怒りのコメントと共に返品された製品を、エンジニアが一台ずつ確認したところ、製品自体には異常がなく、正常に動作するケースがほとんどでした。 
なぜ同じ製品なのに、これほどまでに評価が違うのか・・・? 
それは「製品の質」の差ではなく、「NFCと電子ペーパー(EPD)という技術に対する前提知識(期待値)の差」でした。

アメリカのお客様は、NFCの給電メカニズムや、「電子ペーパーは、高解像度で美しい液晶(LCD)や有機EL(OLED)ディスプレイではない」という特性をよく理解してくれています。

そのため、「解像度がスマホより低い」「カラーの発色が淡い」といった、EPDの特性上どうすることもできない部分に対するクレームはほとんどありません。

一方、日本市場においては、こうした新しい技術への認知がまだ浸透しきっていません。
お客様の「物理的なスマホ環境」と「NFCという技術への認識」との間にギャップが生じ、見かけ上のエラーが起きてしまっていたのです。

📱 エラーの正体:NFCに立ちはだかる「4つの物理的な障害」

4つの物理的な障害

外見からは見えにくい「EZ Signの書き換えの仕組み」。
これを知らないと、誰でも不良品だと勘違いしてしまう4つの物理的な障害がありました。
① 多くの人が「自分のスマホのNFC位置」を知らない問題 
SuicaやApple Payを使うとき、なんとなく改札にスマホを当てていますよね。
実は、iPhoneは「端末の先端(上部)」にアンテナがありますが、Androidは「背面の中央」にあることが多いのです。 
ご自身のスマホのNFC位置を正確に把握していないと、EZ Signのアンテナ(スイートスポット)とズレてしまい、電力がうまく伝わりません。
② 高性能カメラレンズの「出っ張り」による物理的干渉 
近年のハイエンドスマートフォンはカメラ性能の向上により、レンズ部分が大きく出っ張っています。 
高機能カメラ搭載のスマートフォンの先端をEZ Signにピタッとくっつけようとしても、この「レンズの出っ張り」が邪魔をして数ミリの隙間が生まれてしまい、NFCの電波が届きにくくなる物理的なジレンマが発生していました。
③ 分厚いスマホケースと、マグネットの壁 
基本的にはケースを付けたままでも転送できますが、手帳型の分厚いスマホケースや、背面にクレジットカードを入れている場合、電波は極端に弱くなります。
さらに、MagSafeなどの「マグネット」付きアクセサリーは、NFCの磁力線を乱反射させてしまい、致命的な通信障害を引き起こします。
④ 「30秒の罠」〜データ量によるアップロード時間の違い〜 
これが最も多いエラーの原因であり、最もお伝えしたいEZ Signのメカニズムです。
実は、まったく同じ画面の大きさ(サイズ)であっても、白黒の「2色(2C)」モデルと、表現力豊かな「4色(4C)」モデルとでは、送信する画像データ量が全く異なります。 
そのため、2色モデルであれば数秒でスッと完了するアップロード工程が、4色モデルになると25〜30秒もの時間がかかってしまうのです。
完全電池レスのEZ Signは、スマートフォンから「NFCの機能を使って、電気(パワー)を送りながら、同時にデータ(画像情報)を送信」しています。 
データ転送が終了すると、多くの人はすぐにスマホを離してしまいます。
しかし、ここが最大の罠なのです。 
データ送信が終わった後も、画面の書き換えが100%完了するまでの間は、スマホを絶対に動かさず、電気を送り続けなければなりません。
なぜなら、EZ Sign本体には電池が一切ないため、電子ペーパー(EPD)の内部にある無数の「マイクロカプセル(色粒子)」を物理的に移動させ、新しい表示として完全に並び替え、安定させるための電力が、まさにその瞬間も必要だからです。粒子が動ききる前に電力が途絶えると、画面はノイズだらけの不完全なエラー表示になってしまい、これを見たお客様が「初期不良だ!」と誤解されてしまっていたのです。

🛠 「特性」を「魅力」に変えるための執念のUX改善


解像度やカラーの特性、そして「電池がないからこそ、動ききるまで給電が必要」というNFCの仕様は、技術上どうすることもできません。 
しかし、「お客様の理解不足だから仕方ない」と突き放すのはメーカーとして失格です。
私たちは、この結果を「お客様が悪い」とは考えませんでした。正しく伝わらなかったのであれば、それはメーカー側の伝え方や体験設計に改善の余地があったということです。 

順次改善をしております。

私たちは、日本の販売ページでの分かりやすい説明(期待値のコントロール)を徹底するとともに、誰もが間違えずに一発で成功するUX(顧客体験)を作るためのPDCAを猛スピードで回しました。
【改善1:徹底的な「視覚化(見える化)」】 
当初は新品時に貼られている画面の保護フィルムそのものにスマホを当てる位置を印刷する案も検討しましたが、特殊印刷はコストが製品価格に跳ね返ってしまいます。 
そこで私たちはコストを抑えつつ確実にお客様へ伝えるため、これから生産するすべての製品に「STOPカード(データ転送成功手順)」を同梱する運用で統一しました。 
さらに、今後の新生産ロットからは、お客様がどこにスマホをかざせばよいか直感的にわかるよう、EZ Sign本体の背面に直接「アンテナマーク」を印刷することを決定し、順次切り替えを進めています。
【改善2:「STOPカード」の封入と、腹落ちする理由付け】 
同梱する「STOPカード」の内容についても、日米中のチームで議論を重ねました。 
そこに、ただ「動かさないでください」と禁止事項を書くのではなく、「なぜ動かしてはいけないのか(画像データが届いた後も、中のマイクロカプセルを動かしきるための電力を、あなたのスマホから直接もらい続けているからです)」という理由(Why)をしっかり明記しました。
仕組みを理解してもらうことで、お客様に「なるほど、だからじっとしてなきゃいけないのか」と納得(腹落ち)して、楽しんで使っていただけるようにしたのです。

🤝 一緒に「魔法」を完成させてください

EZ Signは、「一生電池を交換しなくていい」という常識を覆す利便性を手に入れるために、あえて「書き換えの時だけ、ほんの少しのコツと忍耐が必要」という引き算(トレードオフ)を選択した製品です。
もしこれからEZ Signをお迎えいただく方は、ぜひ最初のセットアップの際、以下の「成功の呪文」を思い出してください。
1. (もし上手くいかない場合は)分厚いケースやマグネットを、ちょっとだけ外す。
2. スマホのNFC位置を、EZ Sign本体背面のNFCマーク若しくは本体中央辺りにピタッと合わせる。
3. データ送信が終わっても、画面が綺麗に変わりきるまで、じっと動かさずに電力を送り続ける。
少しだけ手のかかる子かもしれませんが、一度鮮やかに書き換わってしまえば、あとは電源ゼロで長期間、美しい表示を保ち続けます。
日本の販売ページでも、もっとこの特性を分かりやすくお伝えできるよう、チーム一丸となってブラッシュアップを続けていきます。

私たちの「Continuous Improvements(終わりのない改善)」はこれからも続きます。 
次回【第14話(最終回)】は、いよいよEZ Signの普及をさらに加速させる「新製品と、可能性を無限に広げる専用アクセサリーたちの投入」についてお話しします。
どうぞお楽しみに!

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