【EZ Sign 開発物語 ⑩】「開発者の自己満足」をぶっ壊せ! 日中エンジニアの総力戦で挑んだ、3つのOSアプリの大改修
こんにちは!Santek(サンテクノロジー)のCEO、矢次です。
前回の第9回では、一般販売の開始とともに直面した「NFCの壁」と、
お客様から突きつけられた厳しい声についてお話ししました。
まだ読んでいない方はこちらから!
当時の私たちが調査した限り、競合他社の中で
「Windows、iOS、Android」の3つのOSすべてに対応している
NFC電子ペーパーは、SantekのEZ Signだけでした。
しかし、OSごとに開発言語も異なり、
全くのスクラッチ(ゼロ)から3つのアプリを作り上げるのは、
想像を絶する困難な道のりでした。
今回は、一度は完成したはずのアプリを根本から見直し、
日中エンジニアの「総力戦」で挑んだ
終わらない改善(PDCA)の裏側をお届けします。
1. 「いつの間にかハードルを下げていた」
という猛省
EZ Signのアプリ開発では、改善を施すたびに
無数のスマートフォンやNFCリーダーを使ってテストを繰り返すという、
果てしない試行錯誤が続いていました。
現代のものづくりにおいて、
使いやすいUX・UI(顧客体験・操作性)の設計は必要不可欠です。

しかし、当時の私たちを振り返ると、
何度もエラーと修正を繰り返して一つずつ課題をクリアしていくうちに、
いつの間にか自分たちで最終目標やハードルの高さを少しずつ下げ、
「機能するからこれでいい」と、
開発陣だけで納得してしまっていたのだと思います。
「かざせば一応、書き換わるから良しとしよう」
——そんな甘えがありました。
しかし、私は長年営業畑を歩んできた人間です。
お客さんに心から満足してもらえる製品やサービスを提供するのは、
メーカーとして当たり前のことです。
日米のAmazonやECサイトから届く、
「使いにくい」「エラーばかり出る」という厳しい意見。
これらから目を背けず、耳を傾け、一つひとつ改善していくしか、
顧客満足度を高める方法はありません。
私は「開発者の自己満足」を一度壊し、アプリの大改修を決断しました。
2. 「どうしてできないのだ!」
一番多かった要望と、技術の壁
私たちは日米のお客さんから集めたアプリへの不満・改善要望を
すべてリストアップし、優先順位(Priority)を付けました。
その中で、お客様からの声が圧倒的に一番多かったのが、
「編集した内容をアプリ内に保存して、後から再編集したい」
という要望でした。

EZ Signは何度も書き換えられるのが強みです。
「昨日作ったデザインの、日付だけを変えて今日も使いたい」
と思うのは当然の心理です。
しかし、初期のアプリではそれができず、
毎回ゼロから文字や画像を配置し直さなければなりませんでした。
営業出身の私からすれば、
「そんなの保存ボタンを一つ付けるだけだろう。どうしてできないのだ!」
と、すぐに開発現場を強くプッシュしました。
ところが、エンジニアから返ってきたのは、
簡単そうに思えるこの作業がどれほど難しいかという、
予想もしない技術的な説明でした。
アプリの内部では、
テキスト入力、写真の処理、
グラフィック(QRコード生成など)の描画に、
それぞれ全く別々のソフトウェア(コンポーネント)が動いていました。
これらを、レイヤー構造(文字や画像が重なった状態)を維持したまま、
1つのアプリ内で「再編集可能なデータ」として
一緒にまとめてパッケージ保存するというのは、システムの根本に関わる
極めて難易度が高い開発だったのです。
「別の編集ソフト(Canvaなど)で画像を作ってから、
アプリに読み込んで保存してもらえばいいのでは?」
という妥協案もありました。
実際、ITスキルの高い上級者のお客様は、
自前でそうした解決策を見つけて上手に使ってくれていました。
しかし、より良いものづくり、
そして圧倒的な顧客満足度を追求するメーカーとして、
お客様の親切や妥協に甘んじるわけにはいきません。
外部ソフトに頼らせるような仕様は、
お世辞にも使い勝手が良いとは言えないからです。
「アプリ単体で、
誰もが直感的に再編集できなければEZ Signの未来はない」と、
私たちはこの高い壁に正面から挑むことにしました。
3. フェーズを分け、日中エンジニアの総力戦へ
私たちは11個の重要改善項目を整理し、
開発を「Phase 1」と「Phase 2」に明確に切り分け、
スピード感を持って実装していきました。
【Phase 1:至急対応(エラー表示・警告の改善)】
まずは、お客様が操作でつまずかないための
「表示文の改善」を最優先とし、2月上旬に3OSで先行リリースしました。
データ転送時の表示コメント改善
エラー・警告表示のわかりやすい改善
【Phase 2:UX向上(機能の追加と、最大の難関だった保存機能)】
続いて、例の「再編集保存」を含む、
実用性を劇的に引き上げるための新機能開発です。
再編集可能なデータでの保存機能(最重要項目)
スマートフォン内の「フォント選択機能」の追加
受付やWi-Fi案内に必須な「QRコード自動生成機能」
文字の右寄せ・左寄せなどの配置改善
より美しく画像を表示するための「ディザリング調整機能」
この Phase 2 を進めるにあたり、
当初は中国・珠海(ZH)のエンジニアチームが中心となっていましたが、
B2B向けのカスタムアプリ開発なども並行して抱えており、
彼らだけでは到底タスクに追いつかない状況になりました。
珠海工場にはソフトウェアエンジニアの採用指示を出し、
更には日本のエンジニアも複数名急遽アサインし、
文字通りの「日中総力戦」へと体制を強化したのです。

当時の私の手元には、日本のプロジェクトマネージャーから、
緊迫感とスピード感の伝わる週報(Weekly Report)が次々と届いていました。
お疲れさまです。Santek APP改善は、次のようになっています。
・Windows用:今回の改善が反映されたAPPが、
本日3月6日にリリースされました。
・Android, iOS用:概ね完成しています。
少々の修正をしており、2週間以内にはリリースできると思います。
・Santek APP改善(Android, iOS用):更に修正をしており、
来週リリースできる予定です。
チーム一丸となった猛追の結果、3月中旬から下旬にかけて、
Windows、Android、iOSの3OSすべてで、
あの難関だった「再編集保存機能」や「QRコード生成機能」を
無事にリリースすることができたのです。
4. ハードウェアは完成してからが
「本当のスタート」
この大改修により、EZ Signのアプリは劇的に使いやすくなりました。
お客様からも、「アプリがアップデートされて、使い勝手が良くなった!」という嬉しいお声をいただけるようになりました。
ユーザーが自前で解決策を見つけてくれていることに甘えず、
愚直にシステムの根幹を書き換えたからこそ、
私たちは「誰もが迷わず使えるインフラ」への一歩を踏み出すことができました。
ハードウェア(物理的な板)は、
工場から出荷された時点で形が固定されてしまいます。
しかし、ソフトウェア(アプリ)はお客様の手元に届いてからも、
声を聞きながら一緒に育てていくことができます。
EZ Signは、「売って終わり」の製品ではありません。
皆様の日常の不便をなくすため、これからも終わらないPDCAを回し、
進化し続けていきます。
次回は、【第11回:使い方のクリエイターたち。B向け・C向けを横断するエンドレスなアイデア(ビジネス編)】。
企業や現場での「驚きのEZ Sign活用事例」の数々をご紹介します。
どうぞお楽しみに!
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